それぞれの日曜日

ー/ー



 ベッドでぼーっと半年前のことを思い出したりして二人を待ってたけど、お昼を過ぎても戻ってこない。またカップ麺でも食べるか〜

 お湯を沸かして――あ、なんかCMで『2分が美味いんだよ』って言ってたから試してみるか。

 キッチンでお湯を入れてから部屋に戻ってスマホで2分のタイマーオン。タイムラグあるから実質2分半くらいかな?

 んで、2分経ったので「いっただきま〜す!」

 お、これ堅めでいいじゃん、今度からこうしよう!

 ググると『気温の違いが作用して戻り時間に誤差が出ることから、30秒長めに表示している』ってのがあったから、2分ちょいってのは実は合っているのかもね。

 ん〜しかし久々の一人はヒマだな〜


 あ、そうだ。オンラインショップでスマホの機種変しちゃおっと。さっき店頭で触った、大きさがちょうどよかった『第5世代』ってのを選んで、色は……赤かな? あ、在庫あるからSIMも一緒に2、3日で届くみたい。カード決済であとは契約者情報入れて、送付先は会社にっ、と――30分もかからない。


 またヒマになった。


 そうだ、ソロでVRMMORPG BulletSにダイブするか〜

 部屋のドアも仮だけど鍵もかけたから二人に急に入ってこられないから安心だしね。

 PC起動して新しくもらったギアと同期させ、頭に被ってベッドに仰向けに寝る。LOGONして転送先は『始まりの街』に……。

 昼間にダイブするのは久々だけど、このVRMMORPG BulletS内は24時間、暗くはならず12時間ごとに暁から黄昏の明るさに調整される。オレみたいに視覚系が強化されているアバターが少ないから夜がないのかな? ま、実際夜間戦闘は避けたいしね、軍隊じゃあるまいし。

 ちなみに雨も降らず、ときたま曇り空にはなるけど基本晴れている。技術的に雨を降らせるのは難易度高いのかな?。

 常時気温は20度前後で、春先くらいかな? 湿度も50から60パーセントくらいで過ごしやすい。風もたまに吹くしね。

 もっともアバターは汗をかく必要もないというか汗腺がないけど、ちょうど良い気温と湿度ってのは心地よい。

 で、今日はPvPでもしようかな〜と『始まりの街』から散歩がてら通称『首都』と呼ばれる中央都市を経由して廃都市に移動するつもりだ。

 首都はあまりレベルが高いプレイヤーが多くないからPvPは廃都市でやるけど、先にいつもの『始まりの街』にあるガンショップに顔を出す。

 歩いてる途中、なんか視線を感じるんだけど愛銃『ASM338(AWSM)』は実体化させてないし、PvPONにもしてないからいいんだけど、ちょ〜っと気持ち悪いなぁ。

 ガンショップに到着し「こんにちわ〜」と店に入るとオヤジさんがいきなり「お〜! シノブちゃん聞いたぞ〜!」と言ってくる。

「ななな、なになに?」オレは慌てて聞き返す。

「プロ契約したんだって? そんで銃、弾薬、装備はVRMMORPG BulletS持ちなんだってな? ウチを贔屓にしてくれててよかったぜ!」

「え〜? 何でそんなに情報早いの?」

「あ〜それな〜。アストラル・ゲームスの運営から『「チームS・S・A」はプロ契約してメンバーはPvP大会の一か月前から購入品は会社負担する』って通知が来てよ」

「あ〜それね〜、運営仕事早っ!」

「でよ、チームS・S・A出演の次大会のPVがデモ版で回ってきたんだけど見るか?」

「え〜なにそれ? 作るって聞いてたけどもう出来てるの〜?」

「ああ。これはガンショップだけに配布されてるんだけど、その反応見て修正するんじゃないか?」

「う〜なんかちょっとハズいな〜」

「まあ見てみ? シノブちゃんのシューティングシーン、結構カッコいいぜ?」

「そ、そう?」


 内容は三人の戦闘中っぽいシーンと次大会の告知……。

 オレのシーンは『ASM338(AWSM)』が『PGMヘカートII』に変わってて、あの『恥ずかしい』バトルスーツ姿でいかにも『スナイパー』って感じのプローンポジションで射撃してるんだけど、『天の秤目』の効果を表してるのか、右目の付近に実際には出ないメモリがついた青い同心円状の光が多重に出てたりする。

 シューメイは雄叫びをあげながら空中を飛んで『M16A3』を乱射しながら敵に突っ込んで行くんだけど、被弾したところをオレと同じバトルスーツを着たアズサちゃんが『ヒール!』と言いながらシューメイを治療――ここでも実際には出ない光が出る、ツッコミどころ満載のPVだ。

 しかも最後にはバーンと『第5回優勝チーム「チームS・S・A」に挑戦せよ! 第6回『VRMMORPG BulletS RECOIL開催まで3ヶ月!』とか出るしぃ〜


「うわ! なにこの恥ずかしいPV! 早く消して! 今すぐ消して〜。恥ずかし過ぎぃ〜わたしおっぱい小さいからこのバトルスーツ、イヤなんだよ〜」

「いやいやいや、シノブちゃんもそれなりに似合ってていいんじゃない? スキルの効果演出も結構受けがいいしな!」

「そ、それなりにって……。それに受けがいいって他に見せた人いるの?」

「おう、お客さんには『ウチの店を贔屓にしてくれてる「チームS・S・A」なんだぜ』ってな!」

「うわぁ〜だから街で視線感じたんだ〜! ここじゃもう装備買ってあげない!」

「おいおい、そりゃないぜ。このPV作ったのは運営だからそっちを恨めよ〜」

「う〜そりゃそうだけどぉ〜」

「それよりシノブちゃん、」

「な、なに?」

「気をつけた方がいいぞ。名前言えねえけど古参でいつも二人で連んでるヤツらのうちの一人がよ、」あ〜カイかユーサクか?

「う、うん……」

「『シノブさんって、リアルとアバターがおんなじで赤目金髪で可愛いんだよ〜』って言ってたから……っと、リアルのことはご法度だったな」

「え? それって……」さっき外出したときに喫煙所でガン見してきたヤツか……? 口調からするとユーサク?

「ま、俺はリアルのことは言いたくないけど、女の子なんだから一人で歩かないほうがいいかもな」

「う、うん……そうする。このアバターって……」

「いや言わないでいいぜ」

「そ、そうだね。ありがと……」

 今日はPvPする気にならなくてLOGOFFした……。



 駅前のビックリカメラのノートPCコーナー。

「アズサ、どのPCがいい?」と英明が聞く。

「え? わたしメインフレームの端末と仕様書作成のオフィス用PCならわかるけどゲーム用のはちょっと……」

「ま、そうだろうな。じゃ、俺も忍も使ってる同じ会社のゲーミング用にしとくか」

「ゲームできれば何でもいいんだけど〜。ゲーミングPCでもノートがあるの?」

「ああ。簡単にいうと普通のノートPCはCPUとGPUが一緒になってるけど、ゲーミング用はGPUが別になってるんだよ。ゲームは描画が命だけど、実際俺たちがやるゲームにはギアがあるからあんまり関係ないけど、マシン能力は高い方がいいからな。ん〜じゃ、この『1650TS』ってのにして、メモリは16GB、ストレージは……512GBか。仕事用にオフィスソフトは入れないよな?」

「ん〜使うかも〜。でも予算は15万円くらいだから〜」

「じゃ今日は買わなくて後で必要ならダウンロードするか。これだと予算ちょっと超えちゃってるから」

「そうね〜、ダウンロードできるんならそれでいいわ〜」

「じゃ、これ買って。あとは何か必要なものは……」

「ん〜とね、忍さん用のお洋服かな〜」

「おいおい、今日はPC買いに来たんじゃ」

「え〜だって、忍さん明日から会社に着ていく服がまだ数着しかないから」

「まぁそうだよな、男みたいにずーっとおんなじスーツってわけにもいかないしな」

「そうよ〜。女の子は毎日替えないとね〜」

「しっかし、お前すっかり忍のお姉さん気取りだな」

「うん、なんか妹が生き返ったみたいで……」

「あ、そうか……アズサの妹さんってたしかユイちゃんだっけ?」

「うん。崔部長さんの娘さんと同じ名前……あ、このことは忍さんには言ってないよね?」

「ああ。大丈夫だ」

「ありがと」

「んじゃ、忍の服も買って帰るか」

「うん! でもその前にお腹空いちゃった〜」



 東京HND空港T3。

 空港は久々なので、3時間も予定より早く着いた。

 ラウンジで休憩、ビールで乾いた喉を潤す。食事は機内食で充分だろうな。

 チェックインし、機内持ち込み手荷物以外の荷物はないのでセキュリティチェック、税関手続きと出国審査でパスポート――当然通り名の『崔ケイスケ』ではない本名――を提示したりの面倒な出国手続きを済ませ、HND発LAX行き13時発の便に乗り込む。

 座席はビジネスクラスにした。

 なにしろ直行便でも約10時間の旅だ。本当はファーストクラスで個室感のあるフルフラットベッドにしたかったけど、ビジネスクラスでもシェルデザインと大型のプラ イバシーパーティションがあると聞いたのでそちらを選んだ。

 帰国するのは何年ぶりだろう? ユイが亡くなってから何回かは帰国しているが4、5年は帰ってないんではないだろうか。

 ここのところシステムトラブルや再LOGONテストの準備でキャロルとはろくに電話もできずにメールだけのやりとりだったけど、帰国すると電話したときは大喜びしてくれた。

 元気そうだったな。

 休暇は三週間取ったから、この数年の埋め合わせくらいはできるだろうか――大丈夫だろうな。

 まずはユイの墓参りに行かなきゃな。

 あと半年もしないうちにアストラル・ゲームスとサーバーもUS本社に引っ越すから、これからは向こうで暮らせるようになるだろう。今は家族のことだけ考えよう。



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 ベッドでぼーっと半年前のことを思い出したりして二人を待ってたけど、お昼を過ぎても戻ってこない。またカップ麺でも食べるか〜

 お湯を沸かして――あ、なんかCMで『2分が美味いんだよ』って言ってたから試してみるか。

 キッチンでお湯を入れてから部屋に戻ってスマホで2分のタイマーオン。タイムラグあるから実質2分半くらいかな?

 んで、2分経ったので「いっただきま〜す!」

 お、これ堅めでいいじゃん、今度からこうしよう!

 ググると『気温の違いが作用して戻り時間に誤差が出ることから、30秒長めに表示している』ってのがあったから、2分ちょいってのは実は合っているのかもね。

 ん〜しかし久々の一人はヒマだな〜


 あ、そうだ。オンラインショップでスマホの機種変しちゃおっと。さっき店頭で触った、大きさがちょうどよかった『第5世代』ってのを選んで、色は……赤かな? あ、在庫あるからSIMも一緒に2、3日で届くみたい。カード決済であとは契約者情報入れて、送付先は会社にっ、と――30分もかからない。


 またヒマになった。


 そうだ、ソロでVRMMORPG BulletSにダイブするか〜

 部屋のドアも仮だけど鍵もかけたから二人に急に入ってこられないから安心だしね。

 PC起動して新しくもらったギアと同期させ、頭に被ってベッドに仰向けに寝る。LOGONして転送先は『始まりの街』に……。

 昼間にダイブするのは久々だけど、このVRMMORPG BulletS内は24時間、暗くはならず12時間ごとに暁から黄昏の明るさに調整される。オレみたいに視覚系が強化されているアバターが少ないから夜がないのかな? ま、実際夜間戦闘は避けたいしね、軍隊じゃあるまいし。

 ちなみに雨も降らず、ときたま曇り空にはなるけど基本晴れている。技術的に雨を降らせるのは難易度高いのかな?。

 常時気温は20度前後で、春先くらいかな? 湿度も50から60パーセントくらいで過ごしやすい。風もたまに吹くしね。

 もっともアバターは汗をかく必要もないというか汗腺がないけど、ちょうど良い気温と湿度ってのは心地よい。

 で、今日はPvPでもしようかな〜と『始まりの街』から散歩がてら通称『首都』と呼ばれる中央都市を経由して廃都市に移動するつもりだ。

 首都はあまりレベルが高いプレイヤーが多くないからPvPは廃都市でやるけど、先にいつもの『始まりの街』にあるガンショップに顔を出す。

 歩いてる途中、なんか視線を感じるんだけど愛銃『ASM338(AWSM)』は実体化させてないし、PvPONにもしてないからいいんだけど、ちょ〜っと気持ち悪いなぁ。

 ガンショップに到着し「こんにちわ〜」と店に入るとオヤジさんがいきなり「お〜! シノブちゃん聞いたぞ〜!」と言ってくる。

「ななな、なになに?」オレは慌てて聞き返す。

「プロ契約したんだって? そんで銃、弾薬、装備はVRMMORPG BulletS持ちなんだってな? ウチを贔屓にしてくれててよかったぜ!」

「え〜? 何でそんなに情報早いの?」

「あ〜それな〜。アストラル・ゲームスの運営から『「チームS・S・A」はプロ契約してメンバーはPvP大会の一か月前から購入品は会社負担する』って通知が来てよ」

「あ〜それね〜、運営仕事早っ!」

「でよ、チームS・S・A出演の次大会のPVがデモ版で回ってきたんだけど見るか?」

「え〜なにそれ? 作るって聞いてたけどもう出来てるの〜?」

「ああ。これはガンショップだけに配布されてるんだけど、その反応見て修正するんじゃないか?」

「う〜なんかちょっとハズいな〜」

「まあ見てみ? シノブちゃんのシューティングシーン、結構カッコいいぜ?」

「そ、そう?」


 内容は三人の戦闘中っぽいシーンと次大会の告知……。

 オレのシーンは『ASM338(AWSM)』が『PGMヘカートII』に変わってて、あの『恥ずかしい』バトルスーツ姿でいかにも『スナイパー』って感じのプローンポジションで射撃してるんだけど、『天の秤目』の効果を表してるのか、右目の付近に実際には出ないメモリがついた青い同心円状の光が多重に出てたりする。

 シューメイは雄叫びをあげながら空中を飛んで『M16A3』を乱射しながら敵に突っ込んで行くんだけど、被弾したところをオレと同じバトルスーツを着たアズサちゃんが『ヒール!』と言いながらシューメイを治療――ここでも実際には出ない光が出る、ツッコミどころ満載のPVだ。

 しかも最後にはバーンと『第5回優勝チーム「チームS・S・A」に挑戦せよ! 第6回『VRMMORPG BulletS RECOIL開催まで3ヶ月!』とか出るしぃ〜


「うわ! なにこの恥ずかしいPV! 早く消して! 今すぐ消して〜。恥ずかし過ぎぃ〜わたしおっぱい小さいからこのバトルスーツ、イヤなんだよ〜」

「いやいやいや、シノブちゃんもそれなりに似合ってていいんじゃない? スキルの効果演出も結構受けがいいしな!」

「そ、それなりにって……。それに受けがいいって他に見せた人いるの?」

「おう、お客さんには『ウチの店を贔屓にしてくれてる「チームS・S・A」なんだぜ』ってな!」

「うわぁ〜だから街で視線感じたんだ〜! ここじゃもう装備買ってあげない!」

「おいおい、そりゃないぜ。このPV作ったのは運営だからそっちを恨めよ〜」

「う〜そりゃそうだけどぉ〜」

「それよりシノブちゃん、」

「な、なに?」

「気をつけた方がいいぞ。名前言えねえけど古参でいつも二人で連んでるヤツらのうちの一人がよ、」あ〜カイかユーサクか?

「う、うん……」

「『シノブさんって、リアルとアバターがおんなじで赤目金髪で可愛いんだよ〜』って言ってたから……っと、リアルのことはご法度だったな」

「え? それって……」さっき外出したときに喫煙所でガン見してきたヤツか……? 口調からするとユーサク?

「ま、俺はリアルのことは言いたくないけど、女の子なんだから一人で歩かないほうがいいかもな」

「う、うん……そうする。このアバターって……」

「いや言わないでいいぜ」

「そ、そうだね。ありがと……」

 今日はPvPする気にならなくてLOGOFFした……。



 駅前のビックリカメラのノートPCコーナー。

「アズサ、どのPCがいい?」と英明が聞く。

「え? わたしメインフレームの端末と仕様書作成のオフィス用PCならわかるけどゲーム用のはちょっと……」

「ま、そうだろうな。じゃ、俺も忍も使ってる同じ会社のゲーミング用にしとくか」

「ゲームできれば何でもいいんだけど〜。ゲーミングPCでもノートがあるの?」

「ああ。簡単にいうと普通のノートPCはCPUとGPUが一緒になってるけど、ゲーミング用はGPUが別になってるんだよ。ゲームは描画が命だけど、実際俺たちがやるゲームにはギアがあるからあんまり関係ないけど、マシン能力は高い方がいいからな。ん〜じゃ、この『1650TS』ってのにして、メモリは16GB、ストレージは……512GBか。仕事用にオフィスソフトは入れないよな?」

「ん〜使うかも〜。でも予算は15万円くらいだから〜」

「じゃ今日は買わなくて後で必要ならダウンロードするか。これだと予算ちょっと超えちゃってるから」

「そうね〜、ダウンロードできるんならそれでいいわ〜」

「じゃ、これ買って。あとは何か必要なものは……」

「ん〜とね、忍さん用のお洋服かな〜」

「おいおい、今日はPC買いに来たんじゃ」

「え〜だって、忍さん明日から会社に着ていく服がまだ数着しかないから」

「まぁそうだよな、男みたいにずーっとおんなじスーツってわけにもいかないしな」

「そうよ〜。女の子は毎日替えないとね〜」

「しっかし、お前すっかり忍のお姉さん気取りだな」

「うん、なんか妹が生き返ったみたいで……」

「あ、そうか……アズサの妹さんってたしかユイちゃんだっけ?」

「うん。崔部長さんの娘さんと同じ名前……あ、このことは忍さんには言ってないよね?」

「ああ。大丈夫だ」

「ありがと」

「んじゃ、忍の服も買って帰るか」

「うん! でもその前にお腹空いちゃった〜」



 東京HND空港T3。

 空港は久々なので、3時間も予定より早く着いた。

 ラウンジで休憩、ビールで乾いた喉を潤す。食事は機内食で充分だろうな。

 チェックインし、機内持ち込み手荷物以外の荷物はないのでセキュリティチェック、税関手続きと出国審査でパスポート――当然通り名の『崔ケイスケ』ではない本名――を提示したりの面倒な出国手続きを済ませ、HND発LAX行き13時発の便に乗り込む。

 座席はビジネスクラスにした。

 なにしろ直行便でも約10時間の旅だ。本当はファーストクラスで個室感のあるフルフラットベッドにしたかったけど、ビジネスクラスでもシェルデザインと大型のプラ イバシーパーティションがあると聞いたのでそちらを選んだ。

 帰国するのは何年ぶりだろう? ユイが亡くなってから何回かは帰国しているが4、5年は帰ってないんではないだろうか。

 ここのところシステムトラブルや再LOGONテストの準備でキャロルとはろくに電話もできずにメールだけのやりとりだったけど、帰国すると電話したときは大喜びしてくれた。

 元気そうだったな。

 休暇は三週間取ったから、この数年の埋め合わせくらいはできるだろうか――大丈夫だろうな。

 まずはユイの墓参りに行かなきゃな。

 あと半年もしないうちにアストラル・ゲームスとサーバーもUS本社に引っ越すから、これからは向こうで暮らせるようになるだろう。今は家族のことだけ考えよう。