第30話 惨劇
ー/ー
西暦2243年2月1日
「やぁ、ハルベルド君」
「ようやくキミに会えて、僕の心はとても歓喜に満ち溢れているところだよ」
とある一室に、突如として響く何者かの声。
思いもよらぬその声に、ハルベルドと呼ばれた初老の男は狼狽しながら立ち上がる。
「誰だ貴様はっ!」
「うっはぁ、イイネイイネその台詞、笑っちゃう」
「アハハハハハハハハハ」
室内に響き渡る、その何者かの声に更に狼狽しながらも、ハルベルドと呼ばれた男は机に備え付けられている警報装置のスイッチを入れた。
しかし、警報は鳴らない。
「どういうことだっ!?何故鳴らない!?そもそも何故こんな状態で護衛部隊が来ないんだっ!」
ハルベルドはいら立ちを隠せず、両手で机を叩いた。
「いやぁ、来るわけないよ」
「だって、この建物の中で生きてる人間はもうキミだけなんだからさ」
「馬鹿なっ!ここには100人を超える精兵が守っているんだぞ!?」
「精兵ねぇ………まぁ、頑張った方じゃないの?」
「人間としては…だけどさ」
「ククククククククク」
「あ、なんか今の僕、悪者っぽくていい感じ?」
「アハハハハハハハハハ」
「貴様っ!人工知能か!?」
「どこの国だっ!言えっ!!!」
「日本だけど」
「何を馬鹿な。あんな三等国家の人もどきの猿如きに世界随一の優れた我が国のセキュリティを突破出来るわけがなかろうっ!」
「そもそも、どうやって我が国が誇る人工知能によるセキュリティを突破したと……っ!?まさかっ………!?」
「そうか!分かったぞ!」
「貴様っ!ロシアの手の者だなっ!」
ハルベルドはどこに居るとも分からない相手に指を差しながら吠えた。
「えぇ……いや、本当に日本なんだけど」
「あ…でも、しいて言えば日露連合?みたいな感じかも」
「なんだとっ!………あのボンクラ日本猿めぇ!……裏切ったのかっ!」
「ん?…何のことか知らないけどさ」
「僕がやってるのは、ただの私怨?ってやつだよ?」
「私怨だとっ!?貴様は本当に誰だっ!?」
「いや…誰から命令を受けて来たっ!!!」
「おぉっ!流石は暗殺部隊を指揮しているだけあって、もう脈拍も正常に戻ってる」
「流石だねぇ」
「でもさ、これを見ても正常でいられるかなぁ?」
姿の見えない何者かは、ハルベルドの目の前の空間に映像を映した。
「っ!?これは…私の孫娘…か!?」
「だねぇ」
「いやぁ、可愛いねぇ。まだ6歳だっけ」
「きっ…貴様っ!何をするつもりだっ!!!」
ハルベルドの顔は見る見るうちに紅潮していく。
「アハハハハハハハ、茹でダコみたいになってる」
「おっもしろーい」
「答えろっ!!!」
「まぁ、直ぐ始まるから待ってなよ」
「5・4・3・2・1………」
姿の見えない何者かがゼロをカウントした瞬間、ハルベルドの目の前に映し出された画面が眩く光る。
そして、ハルベルドの顔が見る見るうちに蒼白となった。
「あ………あぁ………うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
ハルベルドは、自身の孫娘の身体がみるみるうちに人の姿を成さなくなって溶けていく様を、その目に焼き付けることとなったからである。
「おぉ……おおおぉぉぉ………」
そして、四つん這いになり嗚咽を上げる事しか出来なかった。
「いやぁ、楽しかった楽しかった」
「さて…面白い物も見れたし、じゃあね。サ・ヨ・ナ・ラ………」
その次の瞬間。
「ぐ………がっ………がはっ………うぐぐぐ…………ごふっ!」
ハルベルドは、口から大量の吐血をして、程なく自身の身体を支えることすら出来なくなり床に伏してしまう。
時折、その体は小刻みに震えているが、もはや助かるすべはないだろう。
------
「こちらコードネーム『グリーンチャイルド』」
「結構経つけど、終わった?」
「ん?あぁ…緑子ちゃん」
「終わったよ。面白い映像が撮れたから後で見せてあげるね」
「コードネームで呼んでよ。折角使ってるのに」
「あと映像はいらないわ。どうせ碌でもないものでしょ」
「まぁ、そうだけどさ。俺達の父さんと母さんを殺した奴等の組織の人間なんて死んで当たり前じゃん」
「それに、俺達の弟………君にとっては養父だけど、その身体を奪おうとした盗人組織だぜ?」
「ま…でも、あいつの孫娘までは殺してないけどね」
「…そんな勝手なことしていいの?傘七」
「珊瑚たちに怒られるわよ」
「…だろうね」
「けど、一応チャンスは与えたいじゃん」
「それに彼女自身は組織とは関係ないし」
「でも、それ以外は殺したのよね」
「うん。だって他のやつら全員成人してるじゃん」
「………」
「ま、変わらなければ、その時にまた処分すればいいわけだし」
「…全く………あの国のセキュリティ壊すのにどれだけ私が苦労してると思ってるのよ」
「いやぁ、流石はネネカの姉御が作った人工知能シリーズだね」
「あっと…でも、そう言えば今回の一件も相手がワザと入れてくれたんだっけ」
「そうね、簡単に施設内には入れてくれたけどソイツの構築したセキュリティを壊すのには難儀したわ」
「もう御免なんだけど」
「だったら、今度そのロリィな体で誘惑して仲間に加えちゃいなよぉ」
「傘七………次言ったら御主人様にチクるから」
「えぇ…それは勘弁してほしいなぁ」
「まだ見ぬ弟の蒼治良に嫌われちゃうじゃん」
「だったらもう言わない事ね」
「はいはい、分かりましたよー」
「ま、ともかく。今後ともその相手との交渉よろしくー」
「えぇ………やだなぁ………私いつもこんな役じゃん」
------
「………おーい、そっちコカトリスの気配あるかぁー?」
「おーい、ユウキぃー………ん?あいつ何やってんだ?」
50m程離れたところでユウキは何やらしゃがみ込んでいた。
「ふっふっふ。この俺がいつまでもお前の下にいるとは限らない事を教えてやるとしよう」
そう思った俺は気配を隠し、ユウキの背後に距離を詰めた。
(………というのが今回の報告内容となります)
「そう…わかった。ありがとう珊瑚」
(いえいえ、ネネカの姉御もお体に気を付けて下さい)
(あと、弟の事も引き続きよろしくお願い致します)
(ではでは)
「珊瑚ってなんだ?」
「っ!?」
俺の言葉にユウキはハッとして後ろを振り向いた。
しかし、それも一瞬のことで直ぐにいつものポーカーフェイスに戻る。
「なに?」
「いや、『そう…わかった。ありがとう珊瑚』って聞こえたから、誰かと念話してたのかと思ってな」
「………」
「…宗若太、元蟻我糖惨醐の初代総長であり、西暦2231年に対馬を統一して対馬幕府を開いた。2241年没」
そう口走った後のユウキの頬は、思いっきり朱に染まっていた。
「恥ずかしいなら言うなよ……まぁ、いいや」
「あっちにコカトリスの巣は無かったぞ」
「そう…こっちの方にも無かった」
「んじゃ、念話飛ばして皆に訊いてみるか」
「うん」
こうして、俺達は他のメンバーが見つけたコカトリスを無事に討伐して鶏肉と卵をゲットしたのだった。
って…何、今回のシナリオ。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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「やぁ、ハルベルド君」
「ようやくキミに会えて、僕の心はとても歓喜に満ち溢れているところだよ」
とある一室に、突如として響く何者かの声。
思いもよらぬその声に、ハルベルドと呼ばれた初老の男は狼狽しながら立ち上がる。
「誰だ貴様はっ!」
「うっはぁ、イイネイイネその台詞、笑っちゃう」
「アハハハハハハハハハ」
室内に響き渡る、その何者かの声に更に狼狽しながらも、ハルベルドと呼ばれた男は机に備え付けられている警報装置のスイッチを入れた。
しかし、警報は鳴らない。
「どういうことだっ!?何故鳴らない!?そもそも何故こんな状態で護衛部隊が来ないんだっ!」
ハルベルドはいら立ちを隠せず、両手で机を叩いた。
「いやぁ、来るわけないよ」
「だって、この建物の中で|生きてる人間《・・・・・・》はもうキミだけなんだからさ」
「馬鹿なっ!ここには100人を超える精兵が守っているんだぞ!?」
「精兵ねぇ………まぁ、頑張った方じゃないの?」
「|人間《・・》としては…だけどさ」
「ククククククククク」
「あ、なんか今の僕、悪者っぽくていい感じ?」
「アハハハハハハハハハ」
「貴様っ!|人工知能《AI》か!?」
「どこの国だっ!言えっ!!!」
「日本だけど」
「何を馬鹿な。あんな三等国家の人もどきの猿如きに世界随一の優れた我が国のセキュリティを突破出来るわけがなかろうっ!」
「そもそも、どうやって我が国が誇る|人工知能《AI》によるセキュリティを突破したと……っ!?まさかっ………!?」
「そうか!分かったぞ!」
「貴様っ!ロシアの手の者だなっ!」
ハルベルドはどこに居るとも分からない相手に指を差しながら吠えた。
「えぇ……いや、本当に日本なんだけど」
「あ…でも、しいて言えば日露連合?みたいな感じかも」
「なんだとっ!………あのボンクラ日本猿めぇ!……裏切ったのかっ!」
「ん?…何のことか知らないけどさ」
「僕がやってるのは、ただの私怨?ってやつだよ?」
「私怨だとっ!?貴様は本当に誰だっ!?」
「いや…誰から命令を受けて来たっ!!!」
「おぉっ!流石は暗殺部隊を指揮しているだけあって、もう脈拍も正常に戻ってる」
「流石だねぇ」
「でもさ、これを見ても正常でいられるかなぁ?」
姿の見えない何者かは、ハルベルドの目の前の空間に映像を映した。
「っ!?これは…私の孫娘…か!?」
「だねぇ」
「いやぁ、可愛いねぇ。まだ6歳だっけ」
「きっ…貴様っ!何をするつもりだっ!!!」
ハルベルドの顔は見る見るうちに紅潮していく。
「アハハハハハハハ、茹でダコみたいになってる」
「おっもしろーい」
「答えろっ!!!」
「まぁ、直ぐ始まるから待ってなよ」
「5・4・3・2・1………」
姿の見えない何者かがゼロをカウントした瞬間、ハルベルドの目の前に映し出された画面が眩く光る。
そして、ハルベルドの顔が見る見るうちに蒼白となった。
「あ………あぁ………うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
ハルベルドは、自身の孫娘の身体がみるみるうちに人の姿を成さなくなって溶けていく様を、その目に焼き付けることとなったからである。
「おぉ……おおおぉぉぉ………」
そして、四つん這いになり嗚咽を上げる事しか出来なかった。
「いやぁ、楽しかった楽しかった」
「さて…面白い物も見れたし、じゃあね。サ・ヨ・ナ・ラ………」
その次の瞬間。
「ぐ………がっ………がはっ………うぐぐぐ…………ごふっ!」
ハルベルドは、口から大量の吐血をして、程なく自身の身体を支えることすら出来なくなり床に伏してしまう。
時折、その体は小刻みに震えているが、もはや助かるすべはないだろう。
------
「こちらコードネーム『グリーンチャイルド』」
「結構経つけど、終わった?」
「ん?あぁ…緑子ちゃん」
「終わったよ。面白い映像が撮れたから後で見せてあげるね」
「コードネームで呼んでよ。折角使ってるのに」
「あと映像はいらないわ。どうせ碌でもないものでしょ」
「まぁ、そうだけどさ。|俺達《・・》の父さんと母さんを殺した奴等の組織の人間なんて死んで当たり前じゃん」
「それに、|俺達《・・》の|弟《・》………|君《・》にとっては|養父《・・》だけど、その身体を奪おうとした盗人組織だぜ?」
「ま…でも、あいつの孫娘までは|殺してない《・・・・・》けどね」
「…そんな勝手なことしていいの?|傘七《さんしち》」
「|珊瑚《さんご》たちに怒られるわよ」
「…だろうね」
「けど、一応チャンスは与えたいじゃん」
「それに彼女自身は組織とは関係ないし」
「でも、それ以外は殺したのよね」
「うん。だって他のやつら全員成人してるじゃん」
「………」
「ま、変わらなければ、その時にまた|処分《・・》すればいいわけだし」
「…全く………あの国のセキュリティ壊すのにどれだけ私が苦労してると思ってるのよ」
「いやぁ、流石はネネカの|姉御《あねご》が作った|人工知能《AI》シリーズだね」
「あっと…でも、そう言えば今回の一件|も《・》相手がワザと入れてくれたんだっけ」
「そうね、簡単に施設内には入れてくれたけど|ソイツ《・・・》の構築したセキュリティを壊すのには難儀したわ」
「もう御免なんだけど」
「だったら、今度そのロリィな体で誘惑して仲間に加えちゃいなよぉ」
「|傘七《さんしち》………次言ったら|御主人様《マスター》にチクるから」
「えぇ…それは勘弁してほしいなぁ」
「|まだ見ぬ弟《・・・・・》の蒼治良に嫌われちゃうじゃん」
「だったらもう言わない事ね」
「はいはい、分かりましたよー」
「ま、ともかく。今後ともその相手との交渉よろしくー」
「えぇ………やだなぁ………私いつもこんな役じゃん」
------
「………おーい、そっちコカトリスの気配あるかぁー?」
「おーい、ユウキぃー………ん?あいつ何やってんだ?」
50m程離れたところでユウキは何やらしゃがみ込んでいた。
「ふっふっふ。この俺がいつまでもお前の下にいるとは限らない事を教えてやるとしよう」
そう思った俺は気配を隠し、ユウキの背後に距離を詰めた。
(………というのが今回の報告内容となります)
「そう…わかった。ありがとう|珊瑚《・・》」
(いえいえ、ネネカの姉御もお体に気を付けて下さい)
(あと、|弟《・》の事も引き続きよろしくお願い致します)
(ではでは)
「珊瑚ってなんだ?」
「っ!?」
俺の言葉にユウキはハッとして後ろを振り向いた。
しかし、それも一瞬のことで直ぐにいつものポーカーフェイスに戻る。
「なに?」
「いや、『そう…わかった。ありがとう珊瑚』って聞こえたから、誰かと念話してたのかと思ってな」
「………」
「…宗若太、元蟻我糖惨醐の初代総長であり、西暦2231年に対馬を統一して対馬幕府を開いた。2241年没」
そう口走った後のユウキの頬は、思いっきり朱に染まっていた。
「恥ずかしいなら言うなよ……まぁ、いいや」
「あっちにコカトリスの巣は無かったぞ」
「そう…こっちの方にも無かった」
「んじゃ、念話飛ばして皆に訊《き》いてみるか」
「うん」
こうして、俺達は他のメンバーが見つけたコカトリスを無事に討伐して|鶏《コカトリス》肉と卵をゲットしたのだった。
って…何、今回のシナリオ。