第2章〜映文研には手を出すな〜⑮
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aya_kawaragi
これから、友だちの家で、話題の生ドーナツをいただきま〜す。
#話題の生ドーナツ
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《ミンスタグラム》には、彼女が投稿した画像とテキストが反映されている。
亜矢が、写真撮影を行い、に投稿するまでの一連の流れを撮影していたオレは、彼女の同意を取り付け、ドーナツを食べ終わってから、先週、瓦木家で行ったインタビュー素材の続きを撮ることにした。
スマホを専用のミニ三脚に固定して、彼女が話している姿がキッチリと画角に収まるように調整し、インタビューを始める。
――――――投稿、お疲れさま。には、頻繁に更新してるの?
「まえに比べたら、頻度は減ったけどね〜。美味しそうなスイーツを食べるときとか、ショップで気に入った商品を見つけたときは、投稿するようにしてるよ?」
――――――そっか……《ミンスタ》ではライブ配信をしてたり、では、動画を編集したりもしていると思うけど、そういう編集術は、どこで勉強したの?
「編集の方法は、独学かな〜。他の人の動画を参考にすることが多いし、あと、ネットで調べれば、動画編集のコツって、たくさん見つかるしね! それより、今日は、ジャンプカットの歴史について教えてくれるんでしょ?」
――――――あぁ、そうだった! じゃあ、さっそく、『勝手にしやがれ』を観てみるか? と言っても、全部再生したら、九十分以上あるから、ジャンプカットが使われているシーンだけ観てみようか?
「そうね! でも、どの場面でジャンプカットが使われているか、覚えてるの?」
――――――まぁ、結構いろいろな場面で使われてるからな〜。たとえば、主人公のジャン・ポール・ベルモントとジーン・セバーグが語り合う、この場面とか……。
「ふ〜ん、たしかに、会話はつながっているんだけど……ぶつ切りになってる感じがするね……」
――――――あとは、さっきのウェブサイトにも書いてあった、運転中のシーンだな。窓の外の風景が急に変わったりするから、わかりやすい。
「ホントだ! いま、景色が飛んだね! でも、それなりに、会話は成立してる……なんだか、面白い」
――――――この映画でのジャンプカットは、プロデューサーから、上映時間を半分にしろ、って命令されて、仕方なくカットした結果から生まれた、『偶然の産物』なんて言われてるけど、それが、いまの映画や動画の編集術にも使われてるってのは面白いよな〜。
「へ〜、計算してカットしたわけじゃないんだ? でも、会話の間とかテンポは、すごく良いよね?」
――――――そうなんだよな〜。そこが、映画監督ゴダールの天才的なところなのかも! こういう編集術って、ながく映画制作に関わってきたベテランじゃないとできないと思うんだけど、この映画は、ゴダールの長編デビュー作なんだよ……。
「えっ!? そうなの? それって、スゴいじゃん!」
――――――だろう? たぶん、ゴダールは、この映画を撮る前から、ずっと頭のなかで、こんな映画を作りたい、って組み立てをしてたんじゃないかって思うんだ。だから、上映時間を半分にしろ! なんていう無茶な要求をされても、多少ストーリーの整合性を犠牲にしても、観客のココロを掴む作品になったんじゃないかなって……。
「うんうん」
――――――正直、この映画、ストーリーに関しては、個人的に大して面白いとは思えないんだ。
「そうなの?」
――――――でも、大掛かりなセットじゃない手持ちカメラで撮影されているところとか、パリの街なかでゲリラ撮影していることとか、とにかく、オレは映画を撮りたいんだ! っていう情熱が感じられて、見入ってしまうんだよな〜。
「ふ〜ん、そっかそっか……それは、スマホで映画を撮影したり、学校内でゲリラ撮影をしたりする映文研の寿太郎にとって、共感できるところが大きい、そういう解釈で良いのかな?」
――――――いや、それは……。
「う〜ん、『魔法少女☆マジカル・スウィーティー』だっけ? 撮影できなかったのは、残念だったね〜」
――――――スウィーティーじゃない!スイーピーな!
「そっか、ゴメンゴメン! でも、普段は、無口なのに今日は、ずいぶんと熱く語るじゃない、寿太郎くん!」
――――――ハッ! これは、オレの持論を語る場じゃなくて、亜矢のインタビューだった……せっかく、録画してたのに、もったいない……。
「まぁまぁ、イイじゃん? でも、寿太郎って、急にスイッチが入ったように語りだすよね……しかも、同じような内容のことを、毎回おなじテンションで話しそう……」
――――――そ、それは、持論を補強するためでもあって……
「ふ〜ん、なんか良くわからないケド……でも、イイんじゃない? わたしとしては、けっこう興味深い話しが聞けたと思うし! それに、寿太郎の話しなら、何度でも聞くよ?」
そう言った彼女の笑顔は、自分にとって、あまりに眩しく、直視できなかった。
自分の感情に、なにか大きな変化が起きているように感じられたが、それが何なのか、このときのオレには、まだ良く理解できなかった。
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《ミンスタグラム》には、彼女が投稿した画像とテキストが反映されている。
亜矢が、写真撮影を行い、に投稿するまでの一連の流れを撮影していたオレは、彼女の同意を取り付け、ドーナツを食べ終わってから、先週、瓦木家で行ったインタビュー素材の続きを撮ることにした。
スマホを専用のミニ三脚に固定して、彼女が話している姿がキッチリと画角に収まるように調整し、インタビューを始める。
――――――投稿、お疲れさま。には、頻繁に更新してるの?
「まえに比べたら、頻度は減ったけどね〜。美味しそうなスイーツを食べるときとか、ショップで気に入った商品を見つけたときは、投稿するようにしてるよ?」
――――――そっか……《ミンスタ》ではライブ配信をしてたり、では、動画を編集したりもしていると思うけど、そういう編集術は、どこで勉強したの?
「編集の方法は、独学かな〜。他の人の動画を参考にすることが多いし、あと、ネットで調べれば、動画編集のコツって、たくさん見つかるしね! それより、今日は、ジャンプカットの歴史について教えてくれるんでしょ?」
――――――あぁ、そうだった! じゃあ、さっそく、『勝手にしやがれ』を観てみるか? と言っても、全部再生したら、九十分以上あるから、ジャンプカットが使われているシーンだけ観てみようか?
「そうね! でも、どの場面でジャンプカットが使われているか、覚えてるの?」
――――――まぁ、結構いろいろな場面で使われてるからな〜。たとえば、主人公のジャン・ポール・ベルモントとジーン・セバーグが語り合う、この場面とか……。
「ふ〜ん、たしかに、会話はつながっているんだけど……ぶつ切りになってる感じがするね……」
――――――あとは、さっきのウェブサイトにも書いてあった、運転中のシーンだな。窓の外の風景が急に変わったりするから、わかりやすい。
「ホントだ! いま、景色が飛んだね! でも、それなりに、会話は成立してる……なんだか、面白い」
――――――この映画でのジャンプカットは、プロデューサーから、上映時間を半分にしろ、って命令されて、仕方なくカットした結果から生まれた、『偶然の産物』なんて言われてるけど、それが、いまの映画や動画の編集術にも使われてるってのは面白いよな〜。
「へ〜、計算してカットしたわけじゃないんだ? でも、会話の間とかテンポは、すごく良いよね?」
――――――そうなんだよな〜。そこが、映画監督ゴダールの天才的なところなのかも! こういう編集術って、ながく映画制作に関わってきたベテランじゃないとできないと思うんだけど、この映画は、ゴダールの長編デビュー作なんだよ……。
「えっ!? そうなの? それって、スゴいじゃん!」
――――――だろう? たぶん、ゴダールは、この映画を撮る前から、ずっと頭のなかで、こんな映画を作りたい、って組み立てをしてたんじゃないかって思うんだ。だから、上映時間を半分にしろ! なんていう無茶な要求をされても、多少ストーリーの整合性を犠牲にしても、観客のココロを掴む作品になったんじゃないかなって……。
「うんうん」
――――――正直、この映画、ストーリーに関しては、個人的に大して面白いとは思えないんだ。
「そうなの?」
――――――でも、大掛かりなセットじゃない手持ちカメラで撮影されているところとか、パリの街なかでゲリラ撮影していることとか、とにかく、オレは映画を撮りたいんだ! っていう情熱が感じられて、見入ってしまうんだよな〜。
「ふ〜ん、そっかそっか……それは、スマホで映画を撮影したり、学校内でゲリラ撮影をしたりする映文研の寿太郎にとって、共感できるところが大きい、そういう解釈で良いのかな?」
――――――いや、それは……。
「う〜ん、『魔法少女☆マジカル・スウィーティー』だっけ? 撮影できなかったのは、残念だったね〜」
――――――スウィーティーじゃない!スイーピーな!
「そっか、ゴメンゴメン! でも、普段は、無口なのに今日は、ずいぶんと熱く語るじゃない、寿太郎くん!」
――――――ハッ! これは、オレの持論を語る場じゃなくて、亜矢のインタビューだった……せっかく、録画してたのに、もったいない……。
「まぁまぁ、イイじゃん? でも、寿太郎って、急にスイッチが入ったように語りだすよね……しかも、同じような内容のことを、毎回おなじテンションで話しそう……」
――――――そ、それは、持論を補強するためでもあって……
「ふ〜ん、なんか良くわからないケド……でも、イイんじゃない? わたしとしては、けっこう興味深い話しが聞けたと思うし! それに、寿太郎の話しなら、何度でも聞くよ?」
そう言った彼女の笑顔は、自分にとって、あまりに眩しく、直視できなかった。
自分の感情に、なにか大きな変化が起きているように感じられたが、それが何なのか、このときのオレには、まだ良く理解できなかった。
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亜矢が、写真撮影を行い、《ミンスタ》に投稿するまでの一連の流れを撮影していたオレは、彼女の同意を取り付け、ドーナツを食べ終わってから、先週、瓦木家で行ったインタビュー素材の続きを撮ることにした。
亜矢が、写真撮影を行い、《ミンスタ》に投稿するまでの一連の流れを撮影していたオレは、彼女の同意を取り付け、ドーナツを食べ終わってから、先週、瓦木家で行ったインタビュー素材の続きを撮ることにした。
スマホを専用のミニ三脚に固定して、彼女が話している姿がキッチリと|画角《がかく》に収まるように調整し、インタビューを始める。
――――――投稿、お疲れさま。《ミンスタ》には、頻繁に更新してるの?
「まえに比べたら、頻度は減ったけどね〜。美味しそうなスイーツを食べるときとか、ショップで気に入った商品を見つけたときは、投稿するようにしてるよ?」
――――――そっか……《ミンスタ》ではライブ配信をしてたり、《YourTube》では、動画を編集したりもしていると思うけど、そういう編集術は、どこで勉強したの?
「編集の方法は、独学かな〜。他の人の動画を参考にすることが多いし、あと、ネットで調べれば、動画編集のコツって、たくさん見つかるしね! それより、今日は、ジャンプカットの歴史について教えてくれるんでしょ?」
――――――あぁ、そうだった! じゃあ、さっそく、『勝手にしやがれ』を観てみるか? と言っても、全部再生したら、九十分以上あるから、ジャンプカットが使われているシーンだけ観てみようか?
「そうね! でも、どの場面でジャンプカットが使われているか、覚えてるの?」
――――――まぁ、結構いろいろな場面で使われてるからな〜。たとえば、主人公のジャン・ポール・ベルモントとジーン・セバーグが語り合う、この場面とか……。
「ふ〜ん、たしかに、会話はつながっているんだけど……ぶつ切りになってる感じがするね……」
――――――あとは、さっきのウェブサイトにも書いてあった、運転中のシーンだな。窓の外の風景が急に変わったりするから、わかりやすい。
「ホントだ! いま、景色が飛んだね! でも、それなりに、会話は成立してる……なんだか、面白い」
――――――この映画でのジャンプカットは、プロデューサーから、上映時間を半分にしろ、って命令されて、仕方なくカットした結果から生まれた、『偶然の産物』なんて言われてるけど、それが、いまの映画や動画の編集術にも使われてるってのは面白いよな〜。
「へ〜、計算してカットしたわけじゃないんだ? でも、会話の|間《・》とかテンポは、すごく良いよね?」
――――――そうなんだよな〜。そこが、映画監督ゴダールの天才的なところなのかも! こういう編集術って、ながく映画制作に関わってきたベテランじゃないとできないと思うんだけど、この映画は、ゴダールの長編デビュー作なんだよ……。
「えっ!? そうなの? それって、スゴいじゃん!」
――――――だろう? たぶん、ゴダールは、この映画を撮る前から、ずっと頭のなかで、こんな映画を作りたい、って組み立てをしてたんじゃないかって思うんだ。だから、上映時間を半分にしろ! なんていう無茶な要求をされても、多少ストーリーの整合性を犠牲にしても、観客のココロを掴む作品になったんじゃないかなって……。
「うんうん」
――――――正直、この映画、ストーリーに関しては、個人的に大して面白いとは思えないんだ。
「そうなの?」
――――――でも、大掛かりなセットじゃない手持ちカメラで撮影されているところとか、パリの街なかでゲリラ撮影していることとか、とにかく、オレは映画を撮りたいんだ! っていう情熱が感じられて、見入ってしまうんだよな〜。
「ふ〜ん、そっかそっか……それは、スマホで映画を撮影したり、学校内でゲリラ撮影をしたりする映文研の寿太郎にとって、共感できるところが大きい、そういう解釈で良いのかな?」
――――――いや、それは……。
「う〜ん、『魔法少女☆マジカル・スウィーティー』だっけ? 撮影できなかったのは、残念だったね〜」
――――――|ス《・》|ウ《・》|ィ《・》|ー《・》|テ《・》|ィ《・》|ー《・》じゃない!|ス《・》|イ《・》|ー《・》|ピ《・》|ー《・》な!
「そっか、ゴメンゴメン! でも、普段は、無口なのに今日は、ずいぶんと熱く語るじゃない、寿太郎くん!」
――――――ハッ! これは、オレの持論を語る場じゃなくて、亜矢のインタビューだった……せっかく、録画してたのに、もったいない……。
「まぁまぁ、イイじゃん? でも、寿太郎って、急にスイッチが入ったように語りだすよね……しかも、同じような内容のことを、毎回おなじテンションで話しそう……」
――――――そ、それは、持論を補強するためでもあって……
「ふ〜ん、なんか良くわからないケド……でも、イイんじゃない? わたしとしては、けっこう興味深い話しが聞けたと思うし! それに、寿太郎の話しなら、何度でも聞くよ?」
そう言った彼女の笑顔は、自分にとって、あまりに眩しく、直視できなかった。
自分の感情に、なにか大きな変化が起きているように感じられたが、それが何なのか、このときのオレには、まだ良く理解できなかった。
自分の感情に、なにか大きな変化が起きているように感じられたが、それが何なのか、このときのオレには、まだ良く理解できなかった。