表示設定
表示設定
目次 目次




コハナとのんこ

ー/ー



 私はコハナ。
 年齢は内緒だけど、中学生だって事は教えてあげる。

 といっても、ファンの人たちには年齢もバレているんだけど、私の口からは本当の年齢のことは言わないようにしているの。

 ちなみにこれからお仕事の時間なのだけれど……私は鏡に映る自分の顔を見ながら、ムッとする。

「ちょっと、今日の撮影はコラボ企画なんだから、もっと自然なメイクにしてよ! コラボ相手が目立たなくなるじゃない!」

「あ、す、すみません」

 私の指摘を聞いて、チークを使っていたメイク担当の金咲が身を縮めた。
 この金咲という人は、メイクの腕はいいんだけど、私のことを全く理解していない。

 私がバッチリ目立つお化粧で出たら、コラボ相手が霞んで見えるから、可哀想でしょ。
 コラボは相手を立ててこそよ!

「すぐ直します」

 金咲は急いで化粧落としを始めた。
 もう、本当に気のきかない人なんだから。
 でも、私は優しいから今回は許してあげる。

 そして、ナチュラルメイクにワイシャツとチェックの赤いスカートを合わせて、制服風のファッションに身を包み、私は姿見の前に立つ。

 うん、可愛い!
 さすが私だわ!

 今回のコラボ相手は私より少し年上の人。
 この制服風の服は相手の子と色ちがいのお揃いなの。

「コハナ、リンゴさんが来たわよ」

 声がして、私は振り向く。
 そこに立っていたのは、お母さんだった。
 お母さんは出演者兼、私のマネージャーをしてくれているの。

「はーい」

 私は返事をして、駆け足で部屋から出る。
 階段を降りて、撮影所になっている一階の部屋へと向かった。

 部屋に入ると、父親らしき大人の人と話しているリンゴちゃんの姿があった。
 衣装に合わせた緑色のリボンで髪をツインテールにしているリンゴちゃん。

 可愛いなぁ。
 私ほどじゃないけど。
 リンゴちゃんは素朴っていうのかしら、メイクがちょっと地味な感じ。
 やっぱり私のメイクを控えめにして正解だったわね。

 なんて考えていたら、リンゴちゃんは私に気付いて頭をペコリと下げた。

「コハナさん、今日はよろしくお願いします」

 リンゴちゃんはちょっと緊張しているみたい。
 ほっぺを赤くして、挨拶をしてきた。
 ちゃんと私も頭を下げる。

「こちらこそ、よろしく、リンゴちゃん」

 私が返すとリンゴちゃんはにっこり笑う。
 愛嬌があって、なんだかふんわりした雰囲気の笑顔に、私はちょっと癒される感じがした。

「はい、じゃあ早速撮影に入りましょう」

 そう言ったのは、私のお父さん。
 スタッフとして現場を仕切ってくれる心強い仲間でもあるの。
 もちろんお父さんも出演者としても頑張ってくれるわ。
 今回はお母さんもお父さんも出演しないけどね。

 リンゴちゃんと私はソファーに並んで座り、前に設置されているカメラの方を見る。

 さぁ、仕事の時間だ。

 もう分かったわよね?

 そう。
 私の仕事はミーチューバー。
 ミーチューブという動画投稿サイトで活動しているの。
 私が可愛いから、雑誌でモデルもしているのよ。

 チャンネル登録者数は二十五万人。
 ファミリー系ミーチューバーとして、家族で頑張っているの。
 もっと、頑張って、チャンネル登録者数を増やしたいわ。
 ちなみにリンゴちゃんもチャンネル登録者数十万人のミーチューバーよ。

 今回はリンゴちゃんと一緒に動物型のクッキーを作るの。
 うふふ、楽しみ。

「あれー?」

 と、お父さんが困った声で言う。
 何かしら?

「どうしたの? お父さん」

 何だろう?
 お父さんはカメラとにらめっこしながら首を傾げてる。

「いや、なんかね、変な所にピントが合っちゃって、二人がぼやけちゃうんだよ」

 あーあ。
 たまにあるのよね、こういう事。
 カメラって繊細なの。

 ちまちまお父さんがカメラをいじっていると、お父さんは頷く。

「オッケー、ピント合ったよ」

 お父さんに言われて、私とリンゴちゃんは顔を見合せ、笑顔になる。

 さぁ、撮影開始よ!


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む コハナとのんこ2


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 私はコハナ。
 年齢は内緒だけど、中学生だって事は教えてあげる。
 といっても、ファンの人たちには年齢もバレているんだけど、私の口からは本当の年齢のことは言わないようにしているの。
 ちなみにこれからお仕事の時間なのだけれど……私は鏡に映る自分の顔を見ながら、ムッとする。
「ちょっと、今日の撮影はコラボ企画なんだから、もっと自然なメイクにしてよ! コラボ相手が目立たなくなるじゃない!」
「あ、す、すみません」
 私の指摘を聞いて、チークを使っていたメイク担当の金咲が身を縮めた。
 この金咲という人は、メイクの腕はいいんだけど、私のことを全く理解していない。
 私がバッチリ目立つお化粧で出たら、コラボ相手が霞んで見えるから、可哀想でしょ。
 コラボは相手を立ててこそよ!
「すぐ直します」
 金咲は急いで化粧落としを始めた。
 もう、本当に気のきかない人なんだから。
 でも、私は優しいから今回は許してあげる。
 そして、ナチュラルメイクにワイシャツとチェックの赤いスカートを合わせて、制服風のファッションに身を包み、私は姿見の前に立つ。
 うん、可愛い!
 さすが私だわ!
 今回のコラボ相手は私より少し年上の人。
 この制服風の服は相手の子と色ちがいのお揃いなの。
「コハナ、リンゴさんが来たわよ」
 声がして、私は振り向く。
 そこに立っていたのは、お母さんだった。
 お母さんは出演者兼、私のマネージャーをしてくれているの。
「はーい」
 私は返事をして、駆け足で部屋から出る。
 階段を降りて、撮影所になっている一階の部屋へと向かった。
 部屋に入ると、父親らしき大人の人と話しているリンゴちゃんの姿があった。
 衣装に合わせた緑色のリボンで髪をツインテールにしているリンゴちゃん。
 可愛いなぁ。
 私ほどじゃないけど。
 リンゴちゃんは素朴っていうのかしら、メイクがちょっと地味な感じ。
 やっぱり私のメイクを控えめにして正解だったわね。
 なんて考えていたら、リンゴちゃんは私に気付いて頭をペコリと下げた。
「コハナさん、今日はよろしくお願いします」
 リンゴちゃんはちょっと緊張しているみたい。
 ほっぺを赤くして、挨拶をしてきた。
 ちゃんと私も頭を下げる。
「こちらこそ、よろしく、リンゴちゃん」
 私が返すとリンゴちゃんはにっこり笑う。
 愛嬌があって、なんだかふんわりした雰囲気の笑顔に、私はちょっと癒される感じがした。
「はい、じゃあ早速撮影に入りましょう」
 そう言ったのは、私のお父さん。
 スタッフとして現場を仕切ってくれる心強い仲間でもあるの。
 もちろんお父さんも出演者としても頑張ってくれるわ。
 今回はお母さんもお父さんも出演しないけどね。
 リンゴちゃんと私はソファーに並んで座り、前に設置されているカメラの方を見る。
 さぁ、仕事の時間だ。
 もう分かったわよね?
 そう。
 私の仕事はミーチューバー。
 ミーチューブという動画投稿サイトで活動しているの。
 私が可愛いから、雑誌でモデルもしているのよ。
 チャンネル登録者数は二十五万人。
 ファミリー系ミーチューバーとして、家族で頑張っているの。
 もっと、頑張って、チャンネル登録者数を増やしたいわ。
 ちなみにリンゴちゃんもチャンネル登録者数十万人のミーチューバーよ。
 今回はリンゴちゃんと一緒に動物型のクッキーを作るの。
 うふふ、楽しみ。
「あれー?」
 と、お父さんが困った声で言う。
 何かしら?
「どうしたの? お父さん」
 何だろう?
 お父さんはカメラとにらめっこしながら首を傾げてる。
「いや、なんかね、変な所にピントが合っちゃって、二人がぼやけちゃうんだよ」
 あーあ。
 たまにあるのよね、こういう事。
 カメラって繊細なの。
 ちまちまお父さんがカメラをいじっていると、お父さんは頷く。
「オッケー、ピント合ったよ」
 お父さんに言われて、私とリンゴちゃんは顔を見合せ、笑顔になる。
 さぁ、撮影開始よ!