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幕間その4〜決戦・日本シリーズ!オリックス対阪神〜その⑤

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11月2日(木)

 この日も、前日と同じように、僕は帰宅してすぐに自宅を出て、スーパーで食材を買い込み、彼女の家に向かう。
 スーパーでは、マルタイの皿うどんが安く売られていたので、カット野菜、豚肉、イカとエビの冷凍パックを購入した。

 ほとんど包丁を使う必要がなく、食材をフライパンで炒めたあと、スープで煮込むだけで完成する料理の火を止めた後、彼女を待ちながら、リビングで試合を観戦する。

 試合展開も前日と同じく、1点を争う攻防となっていた。

 パ・リーグから移籍してきたため、バファローズの各打者が、その球筋に慣れているとタイガースベンチが考えたためか、5戦目まで登板の機会がなかった先発の大竹(おおたけ)は、5回をホームランの1点に抑える好投を見せてくれた。
 しかし、それ以上に、バファローズの先発投手・田嶋大樹(たじまだいき)の投球は素晴らしく、タイガース打線は終盤に入るまで得点を奪うことができないでいた。

 おまけに、7回表には、内野ゴロを中野(なかの)森下(もりした)が続けて後逸して、リードを広げられるという悪い流れを作ってしまう。

 田嶋の前に沈黙を続けるタイガース打線の現状を察したのか、

「今日は、あんまりランナーが出ないね……」

と、帰宅して食事を終えた彼女も残念そうにつぶやく。

 7回裏の攻撃前には、珍しくタイガースベンチの前で円陣が組まれた(僕たちが観戦したマリーンズ戦以来のことらしい)が、その効果もすぐにあらわれたわけではなかった。

 しかし――――――。

 先発の田嶋が降板した8回裏に試合が動く。

 この回の先頭打者である木浪(きなみ)のボテボテの内野ゴロが、相手守備のエラーを呼び込んで無死二塁となると、続く代打の糸原(いとはら)も鮮やかな流し打ちを見せて、チャンスを拡大。

 さらに、レギュラーシーズンではリーグ1の得点圏打率を誇った近本が、こともなげにライトへタイムリーを放ち1点差につめ寄る。
 
 そして、ここで、7回表の失点に絡んだ二人に打順が回る――――――。

 無死一・二塁から、中野が難なく送りバントを決めて一死二・三塁とすると、カバーリングのミスから失点を許してしまった森下が打席に入った。

 バファローズも山﨑颯一郎(やまざきそういちろう)に代わって、三連投となる宇田川優希(うだがわゆうき)が、マウンドに上がる。
 前日までは高めに決まる豪速球と落差のあるフォークで、タイガースの打者を全く寄せ付けなかった宇田川だが、連投の疲れなのか、ストレートの抑えは効かず、フォークも真ん中より高めに浮いているように感じられた。

 直球にも変化球にも食らいつく様に対応する森下と渾身の力でボールを投げ込み続ける宇田川の対決に、スタンドからは、猛烈と言っても良い大声援が送られている。

 一打出れば逆転という勝負の決着が着いたのは、7球目だった。

 内角やや高めのコースにミットを構えたキャッチャー・若月の意図に反して、宇田川の投球は、低めのコースに向かい、ワンバウンドするかと思われるような位置で、森下はバットを振り抜く。

 打球は、前進守備のレフトとセンターの間を真っ二つに切り裂き、二人のランナーが生還。

 自らのミスを帳消しにするどころか、倍返しの打点をあげ、ヘッドスライディングで三塁に滑り込んだルーキーの姿を確認し、前日のサヨナラ勝ちの瞬間よりも力を込めた強さで彼女とハイタッチを交わす。

 スタンドからの声援に気圧されたのか、これまでの試合ではどれだけ追い詰められても余裕の表情を見せていたバファローズの選手たちが、茫然自失となっている様子が、テレビ画面からも伝わってきた。
 
 その後、大山と坂本にもタイムリーが飛び出して、この回、一挙6点の猛攻で逆転勝利を収めた我がチームは、ついに、悲願の日本一に王手を掛けた。

 この日のゲームの盛り上がりに影響されたのか、甲子園球場では、試合が行われない11月4日(土)にも、パブリックビューイングの実施が決定する。
 
 京セラドーム大阪での観戦チケットを持っていない僕は、当然、彼女と翌日のチケット争奪戦に参加することにした。
 
 
 【本日の試合結果】

 プロ野球日本選手権シリーズ 阪神 対 オリックス 第5戦 

 阪神 6ー2 オリックス

 両チームとも、勝てば日本一に王手を掛けることになる第5戦のマウンドを託されたのは、タイガース・大竹耕太郎(おおたけこうたろう)、バファローズ・田嶋大樹(たじまだいき)
 試合は、4回表にマーウィン・ゴンザレスのソロホームランで、バファローズが先制すると、7回にも二死一塁からの森友哉(もりともや)の内野ゴロを中野拓夢(なかのたくむ)森下翔太(もりしたしょうた)が立て続けに後逸し2点差となる。
 しかし、タイガースは、好投を続けていた田嶋から、山﨑颯一郎(やまざきそういちろう)に投手が代わった8回裏、エラーとヒットで出たランナーを近本光司(ちかもとこうじ)のタイムリーで返した後、中野犠打で一死二・三塁となってから、森下が価千金の逆転タイムリースリーベースを放ち逆転に成功。
 その後、大山悠輔(おおやまゆうすけ)坂本誠志郎(さかもとせいしろう)にもタイムリーが飛び出し、この回、一気に6点をあげて試合を決定づけたタイガースが、38年ぶりの日本一に王手を掛けた。
 
 ◎11月2日終了時点の日本選手権シリーズ成績
 
 阪神タイガース     3勝
 オリックスバファローズ 2勝




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11月2日(木)
 この日も、前日と同じように、僕は帰宅してすぐに自宅を出て、スーパーで食材を買い込み、彼女の家に向かう。
 スーパーでは、マルタイの皿うどんが安く売られていたので、カット野菜、豚肉、イカとエビの冷凍パックを購入した。
 ほとんど包丁を使う必要がなく、食材をフライパンで炒めたあと、スープで煮込むだけで完成する料理の火を止めた後、彼女を待ちながら、リビングで試合を観戦する。
 試合展開も前日と同じく、1点を争う攻防となっていた。
 パ・リーグから移籍してきたため、バファローズの各打者が、その球筋に慣れているとタイガースベンチが考えたためか、5戦目まで登板の機会がなかった先発の|大竹《おおたけ》は、5回をホームランの1点に抑える好投を見せてくれた。
 しかし、それ以上に、バファローズの先発投手・|田嶋大樹《たじまだいき》の投球は素晴らしく、タイガース打線は終盤に入るまで得点を奪うことができないでいた。
 おまけに、7回表には、内野ゴロを|中野《なかの》と|森下《もりした》が続けて後逸して、リードを広げられるという悪い流れを作ってしまう。
 田嶋の前に沈黙を続けるタイガース打線の現状を察したのか、
「今日は、あんまりランナーが出ないね……」
と、帰宅して食事を終えた彼女も残念そうにつぶやく。
 7回裏の攻撃前には、珍しくタイガースベンチの前で円陣が組まれた(僕たちが観戦したマリーンズ戦以来のことらしい)が、その効果もすぐにあらわれたわけではなかった。
 しかし――――――。
 先発の田嶋が降板した8回裏に試合が動く。
 この回の先頭打者である|木浪《きなみ》のボテボテの内野ゴロが、相手守備のエラーを呼び込んで無死二塁となると、続く代打の|糸原《いとはら》も鮮やかな流し打ちを見せて、チャンスを拡大。
 さらに、レギュラーシーズンではリーグ1の得点圏打率を誇った近本が、こともなげにライトへタイムリーを放ち1点差につめ寄る。
 そして、ここで、7回表の失点に絡んだ二人に打順が回る――――――。
 無死一・二塁から、中野が難なく送りバントを決めて一死二・三塁とすると、カバーリングのミスから失点を許してしまった森下が打席に入った。
 バファローズも|山﨑颯一郎《やまざきそういちろう》に代わって、三連投となる|宇田川優希《うだがわゆうき》が、マウンドに上がる。
 前日までは高めに決まる豪速球と落差のあるフォークで、タイガースの打者を全く寄せ付けなかった宇田川だが、連投の疲れなのか、ストレートの抑えは効かず、フォークも真ん中より高めに浮いているように感じられた。
 直球にも変化球にも食らいつく様に対応する森下と渾身の力でボールを投げ込み続ける宇田川の対決に、スタンドからは、猛烈と言っても良い大声援が送られている。
 一打出れば逆転という勝負の決着が着いたのは、7球目だった。
 内角やや高めのコースにミットを構えたキャッチャー・若月の意図に反して、宇田川の投球は、低めのコースに向かい、ワンバウンドするかと思われるような位置で、森下はバットを振り抜く。
 打球は、前進守備のレフトとセンターの間を真っ二つに切り裂き、二人のランナーが生還。
 自らのミスを帳消しにするどころか、倍返しの打点をあげ、ヘッドスライディングで三塁に滑り込んだルーキーの姿を確認し、前日のサヨナラ勝ちの瞬間よりも力を込めた強さで彼女とハイタッチを交わす。
 スタンドからの声援に気圧されたのか、これまでの試合ではどれだけ追い詰められても余裕の表情を見せていたバファローズの選手たちが、茫然自失となっている様子が、テレビ画面からも伝わってきた。
 その後、大山と坂本にもタイムリーが飛び出して、この回、一挙6点の猛攻で逆転勝利を収めた我がチームは、ついに、悲願の日本一に王手を掛けた。
 この日のゲームの盛り上がりに影響されたのか、甲子園球場では、試合が行われない11月4日(土)にも、パブリックビューイングの実施が決定する。
 京セラドーム大阪での観戦チケットを持っていない僕は、当然、彼女と翌日のチケット争奪戦に参加することにした。
 【本日の試合結果】
 プロ野球日本選手権シリーズ 阪神 対 オリックス 第5戦 
 阪神 6ー2 オリックス
 両チームとも、勝てば日本一に王手を掛けることになる第5戦のマウンドを託されたのは、タイガース・|大竹耕太郎《おおたけこうたろう》、バファローズ・|田嶋大樹《たじまだいき》。
 試合は、4回表にマーウィン・ゴンザレスのソロホームランで、バファローズが先制すると、7回にも二死一塁からの|森友哉《もりともや》の内野ゴロを|中野拓夢《なかのたくむ》と|森下翔太《もりしたしょうた》が立て続けに後逸し2点差となる。
 しかし、タイガースは、好投を続けていた田嶋から、|山﨑颯一郎《やまざきそういちろう》に投手が代わった8回裏、エラーとヒットで出たランナーを|近本光司《ちかもとこうじ》のタイムリーで返した後、中野犠打で一死二・三塁となってから、森下が価千金の逆転タイムリースリーベースを放ち逆転に成功。
 その後、|大山悠輔《おおやまゆうすけ》、|坂本誠志郎《さかもとせいしろう》にもタイムリーが飛び出し、この回、一気に6点をあげて試合を決定づけたタイガースが、38年ぶりの日本一に王手を掛けた。
 ◎11月2日終了時点の日本選手権シリーズ成績
 阪神タイガース     3勝
 オリックスバファローズ 2勝