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裏の道具の自由研究 3

ー/ー



「なぁ、本当にユモトって男なんだよな?」

「そうでずよ」

 そう、決して忘れてはいけない。ユモトは男だ。

「それで、隣のヨーリィは迷い木の怪物の眷属で、今はお前が主人なんだよな?」

 ムツヤにもたれかかって眠そうにしているヨーリィをあごで指してアシノは言う。

「えぇ、そうでずよ」

 ふーんと目を閉じてアシノは考える。

「なぁ、お前の夢って何だっけ?」

「はい、この世界でハーレムを作るごどでず!」

 純粋な笑顔を作って最高にゲスな考えをムツヤは口にする。こいつは多分本気なんだろうなとアシノは理解した。

「えーっと、お前さ。色々なことに目をつむれば今の状態ってハーレムなんじゃないのか?」

 3秒ぐらいムツヤはぽかんとしていたが、騒がしい声を上げて言う。

「うっそ!? 本当でずか!?」

 アシノはため息をついてアホのムツヤに説明をしてやるかと話す。

「まずモモはお前の従者なんだろ?」

 うーんとムツヤは腕を組んで考える。

「はい、モモさんは従者だって言っでまずが、俺はどっちが偉いとか抜きにして仲間だと思っでいまず」

「まぁ良い、それでハーレム要員が1人だろ?」

「待っでぐださい」

 そういうアシノにムツヤは真面目な顔をして待ったをかけた。

「俺もごの世界で、モモさん達オーグに合うまでオーグは人間の女の子を襲うものだと思っでましだ」

 ムツヤは胸に手を当て、身を乗り出してアシノに言う。

「でもそれは違っだんです。オーグは女の子を襲わないし、オークと人間が異性として相手を意識するのは物語の中だけらしいんでず」

 すぅっと息を吸ってムツヤは高らかに宣言をする。

「ですから俺はモモさんの事をハーレム要員だとか、異性だとか、そういう目では見ていません!」

 廊下で何かがコトンと落ちる音がした、何が起きたかアシノは大体察しがついた。

「お前それ、モモの前で言ったら、多分あの子泣くぞ……」

「えっ、どうじてですか?」

 ムツヤは悪意の一欠片も無かったのだが、心からの言葉は時に相手を傷付けるものだ。

「じゃあ次、ユモトだ」

 次は台所から何かが落ちる音がした。それと同時にムツヤは声を出して笑い始めた。

「ははは、アシノさん。ハーレムって沢山女の子に囲まれる事ですよ、ユモトさんは男ですって!」

 アシノは遠い目をして思った、今日の夕飯のハンバーグ丸コゲにならないと良いなと。

「それじゃその隣に座っているヨーリィはどうなんだ?」

 言われてムツヤは隣を見る。下からはヨーリィが首をかしげて真っ直ぐ見上げていた。

「ヨーリィは流石にまだ子供でずし」

「でも実年齢は100歳越えてんだろ?」

 言われてムツヤは確かにと気付いた顔をする。

「アシノ様、それは私が生きていたらの話。私は1度死んでいますから年齢はありません」

 そう言えばそうだったなとアシノは思った。

「私はお兄ちゃんの命令であればどんな事も応えるつもりですが、死体がハーレムに居るのは周りから気持ち悪がられると思いますよ」

 ヨーリィがそこまで話し終えるとムツヤはヨーリィの頭に手を置く。

「俺はヨーリィの事を死体だとか気持ち悪いって思っだごとは無いよ」

 ヨーリィは赤面するでも感謝の言葉を出すでもなく「んっ」と声を漏らして目線をムツヤから逸らして下を向いた。

「何ていうか。一癖も二癖もある奴等ばかり仲間にしてるよな、お前って」

「あら、その一癖も二癖もって奴にあなたは入っているのかしら?」

 メイド服を着たままの召喚術師『ルー』が居間に入ってきた。そしてアシノの隣にドカッと座る。

「うーん、疲れたもー」

「うるさいな、私は変わり者だって自覚はあるけど、自分よりも変わり者には言われたくないね」

 アシノは顔を正面に向けたまま瞳だけを左に移動させルーを見た。

「はいはい、所で誰かお茶入れてお茶。もう研究疲れでクッタクタよ」

「お茶を淹れるならお前が一番ふさわしい格好をしてるぞ」

 確かにメイド服を着ているルーは、お茶を持ってくるのには一番似合う格好をしている。

「これは研究の片付けが捗るから着てるだけ、良いからお茶持ってきて」

「私が淹れてきます」

 そう言ってヨーリィはソファを立って台所へと向かう。その背中にルーは「いやー、ありがとね」と声を掛けた。

「そうそう、それとお夕飯食べ終わったら裏の道具について分かったことを皆に伝えたいんだけど」

「何か掴めたのか?」

 ルーは頬杖をしながら気だるそうに話す。

「それがぜーんぜんなのよねー、取り敢えずご飯の後のお楽しみって所で」

 うーんと言いながらルーは背伸びをしている。アシノはそれ以上裏の道具についての追求はせずにまた正面を向いた。


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「なぁ、本当にユモトって男なんだよな?」
「そうでずよ」
 そう、決して忘れてはいけない。ユモトは男だ。
「それで、隣のヨーリィは迷い木の怪物の眷属で、今はお前が主人なんだよな?」
 ムツヤにもたれかかって眠そうにしているヨーリィをあごで指してアシノは言う。
「えぇ、そうでずよ」
 ふーんと目を閉じてアシノは考える。
「なぁ、お前の夢って何だっけ?」
「はい、この世界でハーレムを作るごどでず!」
 純粋な笑顔を作って最高にゲスな考えをムツヤは口にする。こいつは多分本気なんだろうなとアシノは理解した。
「えーっと、お前さ。色々なことに目をつむれば今の状態ってハーレムなんじゃないのか?」
 3秒ぐらいムツヤはぽかんとしていたが、騒がしい声を上げて言う。
「うっそ!? 本当でずか!?」
 アシノはため息をついてアホのムツヤに説明をしてやるかと話す。
「まずモモはお前の従者なんだろ?」
 うーんとムツヤは腕を組んで考える。
「はい、モモさんは従者だって言っでまずが、俺はどっちが偉いとか抜きにして仲間だと思っでいまず」
「まぁ良い、それでハーレム要員が1人だろ?」
「待っでぐださい」
 そういうアシノにムツヤは真面目な顔をして待ったをかけた。
「俺もごの世界で、モモさん達オーグに合うまでオーグは人間の女の子を襲うものだと思っでましだ」
 ムツヤは胸に手を当て、身を乗り出してアシノに言う。
「でもそれは違っだんです。オーグは女の子を襲わないし、オークと人間が異性として相手を意識するのは物語の中だけらしいんでず」
 すぅっと息を吸ってムツヤは高らかに宣言をする。
「ですから俺はモモさんの事をハーレム要員だとか、異性だとか、そういう目では見ていません!」
 廊下で何かがコトンと落ちる音がした、何が起きたかアシノは大体察しがついた。
「お前それ、モモの前で言ったら、多分あの子泣くぞ……」
「えっ、どうじてですか?」
 ムツヤは悪意の一欠片も無かったのだが、心からの言葉は時に相手を傷付けるものだ。
「じゃあ次、ユモトだ」
 次は台所から何かが落ちる音がした。それと同時にムツヤは声を出して笑い始めた。
「ははは、アシノさん。ハーレムって沢山女の子に囲まれる事ですよ、ユモトさんは男ですって!」
 アシノは遠い目をして思った、今日の夕飯のハンバーグ丸コゲにならないと良いなと。
「それじゃその隣に座っているヨーリィはどうなんだ?」
 言われてムツヤは隣を見る。下からはヨーリィが首をかしげて真っ直ぐ見上げていた。
「ヨーリィは流石にまだ子供でずし」
「でも実年齢は100歳越えてんだろ?」
 言われてムツヤは確かにと気付いた顔をする。
「アシノ様、それは私が生きていたらの話。私は1度死んでいますから年齢はありません」
 そう言えばそうだったなとアシノは思った。
「私はお兄ちゃんの命令であればどんな事も応えるつもりですが、死体がハーレムに居るのは周りから気持ち悪がられると思いますよ」
 ヨーリィがそこまで話し終えるとムツヤはヨーリィの頭に手を置く。
「俺はヨーリィの事を死体だとか気持ち悪いって思っだごとは無いよ」
 ヨーリィは赤面するでも感謝の言葉を出すでもなく「んっ」と声を漏らして目線をムツヤから逸らして下を向いた。
「何ていうか。一癖も二癖もある奴等ばかり仲間にしてるよな、お前って」
「あら、その一癖も二癖もって奴にあなたは入っているのかしら?」
 メイド服を着たままの召喚術師『ルー』が居間に入ってきた。そしてアシノの隣にドカッと座る。
「うーん、疲れたもー」
「うるさいな、私は変わり者だって自覚はあるけど、自分よりも変わり者には言われたくないね」
 アシノは顔を正面に向けたまま瞳だけを左に移動させルーを見た。
「はいはい、所で誰かお茶入れてお茶。もう研究疲れでクッタクタよ」
「お茶を淹れるならお前が一番ふさわしい格好をしてるぞ」
 確かにメイド服を着ているルーは、お茶を持ってくるのには一番似合う格好をしている。
「これは研究の片付けが捗るから着てるだけ、良いからお茶持ってきて」
「私が淹れてきます」
 そう言ってヨーリィはソファを立って台所へと向かう。その背中にルーは「いやー、ありがとね」と声を掛けた。
「そうそう、それとお夕飯食べ終わったら裏の道具について分かったことを皆に伝えたいんだけど」
「何か掴めたのか?」
 ルーは頬杖をしながら気だるそうに話す。
「それがぜーんぜんなのよねー、取り敢えずご飯の後のお楽しみって所で」
 うーんと言いながらルーは背伸びをしている。アシノはそれ以上裏の道具についての追求はせずにまた正面を向いた。