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第4章〜⑳〜

ー/ー



「ドコに惚れた、ということを答えるのは難しいが……夏休み前と夏休みが始まった頃は、とにかく小嶋と一緒にいることが楽しくて……ただ、八月に入って、会う機会が減ってしまってからの方が、小嶋のことを考える時間が増えたかも知れない。自分が、本当に小嶋のことを想っている、と自覚したのは、その時かもな……」

「それって、ナツミと離れて寂しく感じた、ってこと!?」

 こちらの答えに、中嶋は、なぜか興奮を抑えきれない、という口調で、たずねてきた。

「まぁ、そうなるかな……」

「そっか……じゃあ、ちょっと、いじわるなコトを聞くけど……ナツミって、男子からしたら、面倒くさい性格じゃない? 遠慮なく、ズケズケと自分の言いたいことを言うかと思えば、自分が想っていることとは、正反対のことを言うこともあるし……坂井は、そういうところが気になったりしないの?」

 さすがは友人というべきか、中嶋由香は、小嶋夏海の性格をよく把握している。
 そう感じて、苦笑しながら、

「そうだな……確かに、中嶋の言う通りかも知れないが……でも、それは、小嶋の周りの環境が、そうさせてしまったんじゃないかと思うんだよな……他人が口を出して良いことじゃないかも知れないが、家族との関係も影響してるかも知れないし……それでも、その弱さを見せようとしないからな、小嶋は……」

面倒な性格、と友人に評されたクラスメートの顔を思い浮かべながら語る。

「昨日の花火の時だって、両親の話しをする時に、涙一つ流さないんだぜ? そうやって、気を張っているんだろうなってことを感じるとさ、少しくらい、無茶な要求をされたり、カンに触ることを言われても、『まぁ、いいか』って、気持ちになるんだよな……」

 意図せず、長い独白になってしまったことに気づき、

「スマン! 長々と語ってしまった」

と、謝ると、しばしの沈黙のあと、電話越しの相手は、

「そうなんだ……わかった……」

と、つぶやき、

「うん! やっぱり、坂井は、ナツミに想いを伝えるべきだ!!」

唐突に声をあげて、自ら出した結論を提示してきた。

「な、なんなんだ、突然!?」

 驚きの声をあげるオレに、中嶋は、

「さっきも言ったけど、いまのナツミの気持ちを救えるのは、坂井しかいない!もちろん、無理強いは出来ないけど……もし、坂井にその気があるなら、絶対にナツミを振り向かせることができる、『必殺のテク』を教えてあげる。あのコは、新学期初日のお昼にコッチを発つそうだから……それまでに覚悟が決まったら、いつでも連絡してきて!」

また、一方的に持論を展開した。

「わ、わかった……」

 彼女の迫力に押されて、そう答えるしかなかったが……。
 いまのところ、全く勝算の見込みのない『告白』に踏み切るほどの蛮勇を、オレ自身は、持ち合わせていなかった。

(この状況から、どうやって、告白が成功するというのか……)

 当事者の自分自身が、全く自信を持てないでいる状況を、通話相手に、どう伝えようかと思案するうちに、

「じゃあ、そういうことだから! ちゃんと考えて、決断してね、坂井」

そう言って、アドバイザーは、覚悟をうながす。
 その迫力に、

「あ、あぁ……」

と、答えるのが精一杯だった。
 小嶋夏海が、自分たちの元を去ってしまう、という事態にショックを受けながら始まった、中嶋由香との会話は、こうして幕を閉じたのだった。


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「ドコに惚れた、ということを答えるのは難しいが……夏休み前と夏休みが始まった頃は、とにかく小嶋と一緒にいることが楽しくて……ただ、八月に入って、会う機会が減ってしまってからの方が、小嶋のことを考える時間が増えたかも知れない。自分が、本当に小嶋のことを想っている、と自覚したのは、その時かもな……」
「それって、ナツミと離れて寂しく感じた、ってこと!?」
 こちらの答えに、中嶋は、なぜか興奮を抑えきれない、という口調で、たずねてきた。
「まぁ、そうなるかな……」
「そっか……じゃあ、ちょっと、いじわるなコトを聞くけど……ナツミって、男子からしたら、面倒くさい性格じゃない? 遠慮なく、ズケズケと自分の言いたいことを言うかと思えば、自分が想っていることとは、正反対のことを言うこともあるし……坂井は、そういうところが気になったりしないの?」
 さすがは友人というべきか、中嶋由香は、小嶋夏海の性格をよく把握している。
 そう感じて、苦笑しながら、
「そうだな……確かに、中嶋の言う通りかも知れないが……でも、それは、小嶋の周りの環境が、そうさせてしまったんじゃないかと思うんだよな……他人が口を出して良いことじゃないかも知れないが、家族との関係も影響してるかも知れないし……それでも、その弱さを見せようとしないからな、小嶋は……」
面倒な性格、と友人に評されたクラスメートの顔を思い浮かべながら語る。
「昨日の花火の時だって、両親の話しをする時に、涙一つ流さないんだぜ? そうやって、気を張っているんだろうなってことを感じるとさ、少しくらい、無茶な要求をされたり、カンに触ることを言われても、『まぁ、いいか』って、気持ちになるんだよな……」
 意図せず、長い独白になってしまったことに気づき、
「スマン! 長々と語ってしまった」
と、謝ると、しばしの沈黙のあと、電話越しの相手は、
「そうなんだ……わかった……」
と、つぶやき、
「うん! やっぱり、坂井は、ナツミに想いを伝えるべきだ!!」
唐突に声をあげて、自ら出した結論を提示してきた。
「な、なんなんだ、突然!?」
 驚きの声をあげるオレに、中嶋は、
「さっきも言ったけど、いまのナツミの気持ちを救えるのは、坂井しかいない!もちろん、無理強いは出来ないけど……もし、坂井にその気があるなら、絶対にナツミを振り向かせることができる、『必殺のテク』を教えてあげる。あのコは、新学期初日のお昼にコッチを発つそうだから……それまでに覚悟が決まったら、いつでも連絡してきて!」
また、一方的に持論を展開した。
「わ、わかった……」
 彼女の迫力に押されて、そう答えるしかなかったが……。
 いまのところ、全く勝算の見込みのない『告白』に踏み切るほどの蛮勇を、オレ自身は、持ち合わせていなかった。
(この状況から、どうやって、告白が成功するというのか……)
 当事者の自分自身が、全く自信を持てないでいる状況を、通話相手に、どう伝えようかと思案するうちに、
「じゃあ、そういうことだから! ちゃんと考えて、決断してね、坂井」
そう言って、アドバイザーは、覚悟をうながす。
 その迫力に、
「あ、あぁ……」
と、答えるのが精一杯だった。
 小嶋夏海が、自分たちの元を去ってしまう、という事態にショックを受けながら始まった、中嶋由香との会話は、こうして幕を閉じたのだった。