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サンタ

ー/ー



駅から歩くこと数分。


木造建築の二階建て。
一階部分の店先に並べられた年季の入った4台のガチャガチャ。
その反対側にはチャリオの自動販売機が一台置かれている。


「駄菓子屋ですか?」


足を止めたカオルにヒロは問いかけた。


「あの子はここの、あたり付きのアイスが好きなの」


そう言って、自動販売機の横をカオルは覗き込んだ。


「サンタ。母上様がご心配しておられるよ」


カオルは誰かがそこにいるように話しかけたが、同じように覗き込んだヒロには何も視えない。


「カオル!」


しかし、弾んだ幼い声がはっきりとヒロの耳には聞こえた。
すると不思議なことに、先ほどまでは何もいなかった空間に一人の子どもの姿が現れた。
若葉色の和服に身を包んだ7、8歳ほどの少年は黒い野球帽を被っていて、帽子からぴょんぴょんとはみ出したようになっている髪はミルクティー色だ。


「かあさまが?」
「二日も帰らぬと、さめざめ泣いておられた」


サンタはことりと首を傾げた。


「そうなの?」


手に持っていたアイスの最後の一かけを小さな赤い舌でぺろりと舐めとったサンタは、残ったアイス棒をくるくると回した。


「悪いことしちゃったな。すぐ帰るつもりだったんだけど……。にぃとねぇは?」
「これから探すから、手伝ってほしいな」
「いいよ!」


サンタが手に持っていたアイス棒はいつの間にか消えていて、カオルのすぐ後ろに立つヒロの近くにサンタは駆け寄った。


「この人、ぼくのこと視えてるよね?」


サンタの翠玉のような丸い瞳がヒロをじっと見つめる。


「わたしの後輩なの。一緒に君たちを探すのよ」
「ふぅん」


ヒロの周りで鼻をひくつかせたサンタは、チラチラと何度もヒロの顔を見上げた。


「ここからだと、にぃが近いよ」


歩き出したサンタの後を、カオルは追うようにヒロへ促した。
少し後ろを歩くカオルに戸惑いながら、ヒロはサンタの姿を追いかける。異変はすぐに訪れた。
ふっとサンタの姿が空気に溶けるように薄くなり、瞬きのうちにその姿が消えたのだ。


「え、」


戸惑い足を止めたヒロにカオルが声をかける。


「見失ったの?よく視て。ほらそこ、サンタは変わらず歩いているよ。先ほどと同じ、人の子どもの姿だ」


それからカオルは少し大きな声を出した。


「サンタ。悪いが少しゆっくり歩いてくれ。あまり来ない街だから、様子を見ておきたい」


振り返ったサンタと目が合うのと同時に、ヒロの眼に再びサンタの姿が映る。
それがカオルの気づかいだと、ヒロにはわかった。


「はーい」


歩調をゆるめたサンタの姿を、今度は見失わないようにと目に力を込めて一心にヒロは追う。
その様子を見ていたカオルは、思わずといったように軽く笑った。


「そんなに気負わなくていいよ。意識して、視ようと思えば問題ない」


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駅から歩くこと数分。
木造建築の二階建て。
一階部分の店先に並べられた年季の入った4台のガチャガチャ。
その反対側にはチャリオの自動販売機が一台置かれている。
「駄菓子屋ですか?」
足を止めたカオルにヒロは問いかけた。
「あの子はここの、あたり付きのアイスが好きなの」
そう言って、自動販売機の横をカオルは覗き込んだ。
「サンタ。母上様がご心配しておられるよ」
カオルは誰かがそこにいるように話しかけたが、同じように覗き込んだヒロには何も視えない。
「カオル!」
しかし、弾んだ幼い声がはっきりとヒロの耳には聞こえた。
すると不思議なことに、先ほどまでは何もいなかった空間に一人の子どもの姿が現れた。
若葉色の和服に身を包んだ7、8歳ほどの少年は黒い野球帽を被っていて、帽子からぴょんぴょんとはみ出したようになっている髪はミルクティー色だ。
「かあさまが?」
「二日も帰らぬと、さめざめ泣いておられた」
サンタはことりと首を傾げた。
「そうなの?」
手に持っていたアイスの最後の一かけを小さな赤い舌でぺろりと舐めとったサンタは、残ったアイス棒をくるくると回した。
「悪いことしちゃったな。すぐ帰るつもりだったんだけど……。にぃとねぇは?」
「これから探すから、手伝ってほしいな」
「いいよ!」
サンタが手に持っていたアイス棒はいつの間にか消えていて、カオルのすぐ後ろに立つヒロの近くにサンタは駆け寄った。
「この人、ぼくのこと視えてるよね?」
サンタの翠玉のような丸い瞳がヒロをじっと見つめる。
「わたしの後輩なの。一緒に君たちを探すのよ」
「ふぅん」
ヒロの周りで鼻をひくつかせたサンタは、チラチラと何度もヒロの顔を見上げた。
「ここからだと、にぃが近いよ」
歩き出したサンタの後を、カオルは追うようにヒロへ促した。
少し後ろを歩くカオルに戸惑いながら、ヒロはサンタの姿を追いかける。異変はすぐに訪れた。
ふっとサンタの姿が空気に溶けるように薄くなり、瞬きのうちにその姿が消えたのだ。
「え、」
戸惑い足を止めたヒロにカオルが声をかける。
「見失ったの?よく視て。ほらそこ、サンタは変わらず歩いているよ。先ほどと同じ、人の子どもの姿だ」
それからカオルは少し大きな声を出した。
「サンタ。悪いが少しゆっくり歩いてくれ。あまり来ない街だから、様子を見ておきたい」
振り返ったサンタと目が合うのと同時に、ヒロの眼に再びサンタの姿が映る。
それがカオルの気づかいだと、ヒロにはわかった。
「はーい」
歩調をゆるめたサンタの姿を、今度は見失わないようにと目に力を込めて一心にヒロは追う。
その様子を見ていたカオルは、思わずといったように軽く笑った。
「そんなに気負わなくていいよ。意識して、視ようと思えば問題ない」