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優しさ

ー/ー



「何か欲しいものや、してほしい事はあるか?」

 チフリは首を横に振る。

「おいおい、こういう時ぐらい甘えても良いんだぜ?」

 甘えると聞いてチフリは不思議そうな顔をした。

「私、甘えたこと無いので」

 シュンはうーんと考える。

「あぁ、ニンジャってそういう物なのか?」

「えぇ、ですからこんな風邪ぐらい大したこと……」

 起き上がろうとするチフリの肩をそっとシュンは抑えた。

「今はニンジャじゃなくて、冒険者仲間だ。頼って良いんだぜ」

 思わずその言葉に、チフリの普段は冷徹な顔が緩む。

「な、何を言って!! 刺しますよ!?」

「おぉ、こわいこわい。それだけ元気があるなら大丈夫そうだな! 自分の体、大切にしろよー」

 それだけ言った後「ゆっくり休めよー」と言ってシュンは部屋を出た。


 なんだか悶々とするチフリ。あの男といるとどうも調子が狂う。

 サヴィ家の為に、忍びとして暗躍していた自分。

 自分の体が大切だなんて考えた事も無かった。

 あの男の作った料理を口に運ぶ。柔らかめの物が多くて、気を使っているのかと思う。

 いつもは自分を厳しく律していた。こんな風に優しくされることはあまり経験が無い。

 こんな考えをするなんて、風邪で弱っているせいだ。

 そうチフリは思う事にした。



「飯はまだかのう」

 サキタマは呑気そうな顔で居間の椅子に座っていた。

 そんな彼女にシュンは言う。

「なに言ってんだ諸悪の根源」

「なっ、不名誉な呼び方はやめるのじゃ!!」

 プンスカ怒るサキタマ。シュンは疑問に思っていたことを言った。

「お前だけ風邪引かないな」

「鍛え方が違うのじゃ」

 胸を張るサキタマだったが、シュンは呆れて返す。

「馬鹿は風邪引かないって言うしな」

「のじゃ!? そ、それを言ったらお前だって引いてないじゃろ!!」

「うるせー。ほら飯食え」




 昼になり、またシュンは食事と薬を持ってユキミとチフリの様子を見に行く。

「ユキミさん、具合はどうだ?」

 毛布から顔だけ出してユキミは言った。

「あぁ……。少し良くなった……。と思う」

 それに対し、シュンは笑う。

「そっか、良かったなユキミさん」

「チフリはどうなんだ?」

 その言葉に、シュンはチフリの容態を言う。

「まぁ、チフリさんも心配はいらないかな。ユキミさん自分も大変なのに優しいんだな」

 言われ、ユキミは照れて毛布に顔をうずめる。

「わ、私が風邪を移してしまったしな……」

 シュンは首を横に振り、返す。

「いや、今回はどう考えてもサキタマのせいだ」

 その言葉に、ユキミは小さく言った。

「あまりサキタマも責めないでやってくれ」

 ユキミが言うと、シュンは優しい笑顔を向ける。

「ほんっと優しいなユキミさんは」

 食事と薬を置いて、シュンは部屋を出ようとした。

「それじゃ、チフリさんの所行ってきますわ」

 そこでユキミはまたお願いごとを言った。

「チフリの看病が終わったらまた来てくれ……。また……、その……、手を……」

「手を握って欲しいって奴ですか。お安い御用で」

 ユキミは小さく頷く。




「チフリさーん。入るぞー」

 シュンが部屋に入ると、チフリもだいぶ落ち着いていたみたいだ。

「ほら、食事と薬だ」

「どうも」

 咳をしながら返事をするチフリ。

「ユキミ様はのお加減はどうですか?」

「泣かせる主従愛だねぇ、ユキミさんも同じこと聞いていたよ。チフリさんはどうだって」

 シュンの言葉を聞いて、チフリは思わず俯く。

「ユキミ様はとてもお優しいのです」

「確かに、そうだな」

 シュンは食事と薬をチフリに渡した。

 その時、チフリは何かを言った。

「服を……」

「ん? 服?」

「服を着替えたいんで、持ってきてもらえませんか?」

 確かに汗を掻いただろうチフリが着替えたいのは当然だ。

 シュンは「わかった」と言い着替えを出そうとした。

 タンスを開けて服を出そうとし、シュンは焦る。

 思い切り下着の入った棚を開けてしまったのだ。

「!! そこじゃない!! 何やっているんですか!! 刺しますよ変態!!」

「いや、違う違う!!」

 さっと閉めて、寝巻を取り出した。

「いま見た事は忘れて下さい」

「あ、あぁ……」

 内心「忘れられねーよ」と思ったシュンだが、命の為に忘れた事にする。


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「何か欲しいものや、してほしい事はあるか?」
 チフリは首を横に振る。
「おいおい、こういう時ぐらい甘えても良いんだぜ?」
 甘えると聞いてチフリは不思議そうな顔をした。
「私、甘えたこと無いので」
 シュンはうーんと考える。
「あぁ、ニンジャってそういう物なのか?」
「えぇ、ですからこんな風邪ぐらい大したこと……」
 起き上がろうとするチフリの肩をそっとシュンは抑えた。
「今はニンジャじゃなくて、冒険者仲間だ。頼って良いんだぜ」
 思わずその言葉に、チフリの普段は冷徹な顔が緩む。
「な、何を言って!! 刺しますよ!?」
「おぉ、こわいこわい。それだけ元気があるなら大丈夫そうだな! 自分の体、大切にしろよー」
 それだけ言った後「ゆっくり休めよー」と言ってシュンは部屋を出た。
 なんだか悶々とするチフリ。あの男といるとどうも調子が狂う。
 サヴィ家の為に、忍びとして暗躍していた自分。
 自分の体が大切だなんて考えた事も無かった。
 あの男の作った料理を口に運ぶ。柔らかめの物が多くて、気を使っているのかと思う。
 いつもは自分を厳しく律していた。こんな風に優しくされることはあまり経験が無い。
 こんな考えをするなんて、風邪で弱っているせいだ。
 そうチフリは思う事にした。
「飯はまだかのう」
 サキタマは呑気そうな顔で居間の椅子に座っていた。
 そんな彼女にシュンは言う。
「なに言ってんだ諸悪の根源」
「なっ、不名誉な呼び方はやめるのじゃ!!」
 プンスカ怒るサキタマ。シュンは疑問に思っていたことを言った。
「お前だけ風邪引かないな」
「鍛え方が違うのじゃ」
 胸を張るサキタマだったが、シュンは呆れて返す。
「馬鹿は風邪引かないって言うしな」
「のじゃ!? そ、それを言ったらお前だって引いてないじゃろ!!」
「うるせー。ほら飯食え」
 昼になり、またシュンは食事と薬を持ってユキミとチフリの様子を見に行く。
「ユキミさん、具合はどうだ?」
 毛布から顔だけ出してユキミは言った。
「あぁ……。少し良くなった……。と思う」
 それに対し、シュンは笑う。
「そっか、良かったなユキミさん」
「チフリはどうなんだ?」
 その言葉に、シュンはチフリの容態を言う。
「まぁ、チフリさんも心配はいらないかな。ユキミさん自分も大変なのに優しいんだな」
 言われ、ユキミは照れて毛布に顔をうずめる。
「わ、私が風邪を移してしまったしな……」
 シュンは首を横に振り、返す。
「いや、今回はどう考えてもサキタマのせいだ」
 その言葉に、ユキミは小さく言った。
「あまりサキタマも責めないでやってくれ」
 ユキミが言うと、シュンは優しい笑顔を向ける。
「ほんっと優しいなユキミさんは」
 食事と薬を置いて、シュンは部屋を出ようとした。
「それじゃ、チフリさんの所行ってきますわ」
 そこでユキミはまたお願いごとを言った。
「チフリの看病が終わったらまた来てくれ……。また……、その……、手を……」
「手を握って欲しいって奴ですか。お安い御用で」
 ユキミは小さく頷く。
「チフリさーん。入るぞー」
 シュンが部屋に入ると、チフリもだいぶ落ち着いていたみたいだ。
「ほら、食事と薬だ」
「どうも」
 咳をしながら返事をするチフリ。
「ユキミ様はのお加減はどうですか?」
「泣かせる主従愛だねぇ、ユキミさんも同じこと聞いていたよ。チフリさんはどうだって」
 シュンの言葉を聞いて、チフリは思わず俯く。
「ユキミ様はとてもお優しいのです」
「確かに、そうだな」
 シュンは食事と薬をチフリに渡した。
 その時、チフリは何かを言った。
「服を……」
「ん? 服?」
「服を着替えたいんで、持ってきてもらえませんか?」
 確かに汗を掻いただろうチフリが着替えたいのは当然だ。
 シュンは「わかった」と言い着替えを出そうとした。
 タンスを開けて服を出そうとし、シュンは焦る。
 思い切り下着の入った棚を開けてしまったのだ。
「!! そこじゃない!! 何やっているんですか!! 刺しますよ変態!!」
「いや、違う違う!!」
 さっと閉めて、寝巻を取り出した。
「いま見た事は忘れて下さい」
「あ、あぁ……」
 内心「忘れられねーよ」と思ったシュンだが、命の為に忘れた事にする。