第24話【アレス編】全自動M字開脚?!さようなら魔王様!僕は今から鳥になりまーす!
ー/ー第24話【アレス編】全自動M字開脚?!さようなら魔王様!僕は今から鳥になりまーす!
「ボクの計算は完璧だ!」
魔王城の地下深奥。そこは、数分おきに虹色の爆発音が響き渡る禁断の研究室。
天才発明家にして魔王軍兵器局長のメルクリアは、愛用の作業用ゴーグルを跳ね上げ、目の前にある銀色のパワードスーツを眺めて悦に浸っていた。
「アレス君は勇者候補だったわりに、歩き方がフラフラしてていけない。魔界の威信を背負うなら、立ち振る舞いからして美しくなければね!」
ツナギ姿の彼女は水色のショートヘアを跳ねさせた、中性的な魅力を持つ〝ボクっ子〟である。
「この全自動・外骨格物理ブースター〝プロキオン〟をプレゼントしよう。彼はきっと泣いて喜ぶぞー!」
メルクリアに悪意はない。ただ、自分の最高傑作を「誰かに試してほしくてたまらない」という、純粋無垢な知識の暴走に身を任せているだけなのだ。
※※※
昼下がり、中庭で素振りをしていたアレスの前に、巨大な金属パーツを背負ったメルクリアが目を輝かせて現れた。
「やあアレス君!勇者特訓の疲れで体がガタガタだろ?ボクが最高のサポートウェアを作ってきたよ!これを着て魔王様に謁見すれば、君の評価は爆上がり間違いなしだ!」
「えっ!メルクリアさん、わざわざ僕のために……。ありがとうございます、本当に優しい人だなあ!」
「エヘヘ、いいってことさ!友達じゃないか!さあ、装着だ!」
『……嫌な予感しかしないわね』
腰のサタンブレイドが呟く中、アレスの四肢にチタン合金のフレームが密着していく。
最後に胸の中央のコアがピカッと青く光り、アレスの背筋がボキボキと音を立てて垂直に固定された。
「起動完了!ボクは地下でログを取るからこれで。頑張れよ、闇の勇者!……さーて、こっちも本番だ。魔王様直命の特注品、ボクの最高傑作を早く仕上げなくっちゃ。期待しててよ、魔王様!」
メルクリアは風のように去っていった。
アレスは「お、体が勝手にしゃんとするぞ!」と感激し、そのまま謁見の間へと向かった。
魔王ユピテルが玉座で古文書に目を通していると、扉が勢いよく開く。
「……アレスか。今日は随分と姿勢が良いな」
「は、はい!実はメルクリアさんに――って、うわっ!?何、これ!?脚が、脚が勝手に――!」
魔王の言葉を「挨拶の合図」と誤認したスーツのAIが暴走を開始した。
アレスの右足が、まるでバネのように高く跳ね上がり、そのまま空中で三回転する。
「ひっ、ひっ、ふぅっ!?魔王様!足が、僕の足が天井を蹴り続けてます!」
『ア、アレス何してるの!?』
「……貴様、新手の反抗期か?」
アレスの意思とは無関係に、スーツは〝情熱的かつ華麗な自己紹介ステップ〟へと移行した。
アレスの体は床に手をついたかと思うと、そのまま頭を軸にして高速ヘッドスピンを開始した。
「あぁぁぁ!世界が回る!視界が!視界が!」
『やめてぇぇ!目が回るぅぅ!』
「アレス、回るな。話が頭に入らん」
しかしプロキオンの辞書に〝停止〟はない。
回転を止めたアレスの体は、今度は滑らかなムーンウォークで壁を駆け上がり、重力を無視して天井に逆さまに張り付いた。
「魔王様!天井でタップダンスを踊っています!止まりたい!降りたいのに、足の裏の吸盤が離れない!」
アレスの足が天井をタカタカと叩き、その振動でシャンデリアが激しく揺れる。
スーツはさらにヒートアップし、アレスを天井から急降下させると、着地した瞬間に〝M字開脚からの激しい腰振りダンス〟を魔王の鼻先で披露した。
「ひ、ひぃぃぃ!目を合わせないでください魔王様!これは僕の趣味じゃないんです!全自動なんです!」
「……お前。私に対する敬意を、どこで落としてきたのだ」
『ま、ま、ま、魔王様が本気で引いてるわよ!』
魔王が呆れ果てる中、スーツは背中で滑り込みながらのスピンへと移行。さらにアレスの腕を無理やり頭上で交差させ、情熱的なサンバのステップを刻み始めた。
「今度はサンバぁぁ!?待って、魔王様から遠ざかっちゃう!戻らせて、プロキオン君!」
スーツは〝最高潮(クライマックス)〟と判断。
アレスの股関節を180度開脚させ、そのまま床の上をルンバのように高速回転しながら、謁見の間を隅から隅まで掃除するように踊り狂った。
「股関節が、僕の勇者としての股関節が悲鳴を上げてるぅぅぅ!」
『勇者としての股関節って何なのぉぉぉ!』
さらにロボットダンスに突入。
カクカクとした動きで魔王の周りを一周し、最後に片足を高く上げて、魔王の耳元で「コケコッコー!」というポーズを決める。
「終わった……?終わったよね……?」
『別の意味でね……』
と思った瞬間、スーツの胸部コアが赤く点滅し〝おかわり(アンコール)!〟の信号がアレスの脊髄を駆け抜けた。
今度はアレスの両腕が、意志を持つ大風車の如く猛烈な勢いで回転を始める。
『ウソでしょ!まだ続くのー!?』
「あああ!腕が!僕の腕が、勝手に空を飛ぼうとしてる!魔王様、さようなら!僕は今から、鳥になりまーーすっ!」
最終的に、スーツは全エネルギーを消費してブリッジの状態で停止。
アレスは体を極限まで反らせた「ブリッジ」の状態で、そのままピクリとも動かなくなった。
「……アレス。その……〝闇の舞踏〟には感服した。今後は許可なく室内で踊ることを禁ずる」
「も、申し訳……ありませ……。……メルクリアさぁぁぁん!!」
『……もう手遅れね。何もかも……』
アレスの悲痛な叫びが響き渡る。一方、地下の研究室ではメルクリアがホログラムのグラフを見て満足げに頷いていた。
「素晴らしい!運動強度が通常の500%を記録したぞ!アレス君、次は〝ロケットパンチ機能〟も付けてあげよう。エヘヘ。喜ぶぞー、彼は!」
メルクリアの〝純粋な善意〟は、今日も魔王城の平和 (とアレスの関節)を粉々に粉砕するのであった。
「ボクの計算は完璧だ!」
魔王城の地下深奥。そこは、数分おきに虹色の爆発音が響き渡る禁断の研究室。
天才発明家にして魔王軍兵器局長のメルクリアは、愛用の作業用ゴーグルを跳ね上げ、目の前にある銀色のパワードスーツを眺めて悦に浸っていた。
「アレス君は勇者候補だったわりに、歩き方がフラフラしてていけない。魔界の威信を背負うなら、立ち振る舞いからして美しくなければね!」
ツナギ姿の彼女は水色のショートヘアを跳ねさせた、中性的な魅力を持つ〝ボクっ子〟である。
「この全自動・外骨格物理ブースター〝プロキオン〟をプレゼントしよう。彼はきっと泣いて喜ぶぞー!」
メルクリアに悪意はない。ただ、自分の最高傑作を「誰かに試してほしくてたまらない」という、純粋無垢な知識の暴走に身を任せているだけなのだ。
※※※
昼下がり、中庭で素振りをしていたアレスの前に、巨大な金属パーツを背負ったメルクリアが目を輝かせて現れた。
「やあアレス君!勇者特訓の疲れで体がガタガタだろ?ボクが最高のサポートウェアを作ってきたよ!これを着て魔王様に謁見すれば、君の評価は爆上がり間違いなしだ!」
「えっ!メルクリアさん、わざわざ僕のために……。ありがとうございます、本当に優しい人だなあ!」
「エヘヘ、いいってことさ!友達じゃないか!さあ、装着だ!」
『……嫌な予感しかしないわね』
腰のサタンブレイドが呟く中、アレスの四肢にチタン合金のフレームが密着していく。
最後に胸の中央のコアがピカッと青く光り、アレスの背筋がボキボキと音を立てて垂直に固定された。
「起動完了!ボクは地下でログを取るからこれで。頑張れよ、闇の勇者!……さーて、こっちも本番だ。魔王様直命の特注品、ボクの最高傑作を早く仕上げなくっちゃ。期待しててよ、魔王様!」
メルクリアは風のように去っていった。
アレスは「お、体が勝手にしゃんとするぞ!」と感激し、そのまま謁見の間へと向かった。
魔王ユピテルが玉座で古文書に目を通していると、扉が勢いよく開く。
「……アレスか。今日は随分と姿勢が良いな」
「は、はい!実はメルクリアさんに――って、うわっ!?何、これ!?脚が、脚が勝手に――!」
魔王の言葉を「挨拶の合図」と誤認したスーツのAIが暴走を開始した。
アレスの右足が、まるでバネのように高く跳ね上がり、そのまま空中で三回転する。
「ひっ、ひっ、ふぅっ!?魔王様!足が、僕の足が天井を蹴り続けてます!」
『ア、アレス何してるの!?』
「……貴様、新手の反抗期か?」
アレスの意思とは無関係に、スーツは〝情熱的かつ華麗な自己紹介ステップ〟へと移行した。
アレスの体は床に手をついたかと思うと、そのまま頭を軸にして高速ヘッドスピンを開始した。
「あぁぁぁ!世界が回る!視界が!視界が!」
『やめてぇぇ!目が回るぅぅ!』
「アレス、回るな。話が頭に入らん」
しかしプロキオンの辞書に〝停止〟はない。
回転を止めたアレスの体は、今度は滑らかなムーンウォークで壁を駆け上がり、重力を無視して天井に逆さまに張り付いた。
「魔王様!天井でタップダンスを踊っています!止まりたい!降りたいのに、足の裏の吸盤が離れない!」
アレスの足が天井をタカタカと叩き、その振動でシャンデリアが激しく揺れる。
スーツはさらにヒートアップし、アレスを天井から急降下させると、着地した瞬間に〝M字開脚からの激しい腰振りダンス〟を魔王の鼻先で披露した。
「ひ、ひぃぃぃ!目を合わせないでください魔王様!これは僕の趣味じゃないんです!全自動なんです!」
「……お前。私に対する敬意を、どこで落としてきたのだ」
『ま、ま、ま、魔王様が本気で引いてるわよ!』
魔王が呆れ果てる中、スーツは背中で滑り込みながらのスピンへと移行。さらにアレスの腕を無理やり頭上で交差させ、情熱的なサンバのステップを刻み始めた。
「今度はサンバぁぁ!?待って、魔王様から遠ざかっちゃう!戻らせて、プロキオン君!」
スーツは〝最高潮(クライマックス)〟と判断。
アレスの股関節を180度開脚させ、そのまま床の上をルンバのように高速回転しながら、謁見の間を隅から隅まで掃除するように踊り狂った。
「股関節が、僕の勇者としての股関節が悲鳴を上げてるぅぅぅ!」
『勇者としての股関節って何なのぉぉぉ!』
さらにロボットダンスに突入。
カクカクとした動きで魔王の周りを一周し、最後に片足を高く上げて、魔王の耳元で「コケコッコー!」というポーズを決める。
「終わった……?終わったよね……?」
『別の意味でね……』
と思った瞬間、スーツの胸部コアが赤く点滅し〝おかわり(アンコール)!〟の信号がアレスの脊髄を駆け抜けた。
今度はアレスの両腕が、意志を持つ大風車の如く猛烈な勢いで回転を始める。
『ウソでしょ!まだ続くのー!?』
「あああ!腕が!僕の腕が、勝手に空を飛ぼうとしてる!魔王様、さようなら!僕は今から、鳥になりまーーすっ!」
最終的に、スーツは全エネルギーを消費してブリッジの状態で停止。
アレスは体を極限まで反らせた「ブリッジ」の状態で、そのままピクリとも動かなくなった。
「……アレス。その……〝闇の舞踏〟には感服した。今後は許可なく室内で踊ることを禁ずる」
「も、申し訳……ありませ……。……メルクリアさぁぁぁん!!」
『……もう手遅れね。何もかも……』
アレスの悲痛な叫びが響き渡る。一方、地下の研究室ではメルクリアがホログラムのグラフを見て満足げに頷いていた。
「素晴らしい!運動強度が通常の500%を記録したぞ!アレス君、次は〝ロケットパンチ機能〟も付けてあげよう。エヘヘ。喜ぶぞー、彼は!」
メルクリアの〝純粋な善意〟は、今日も魔王城の平和 (とアレスの関節)を粉々に粉砕するのであった。
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