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第106話 戦姫の道

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馬車に揺られている間に、これから向かう国のことを調べた…ネットや図書室の本を使って、可能な限り。

ロードア。それはかつて霊騎士オレグによって建てられた、騎士の国。
セドラルとほぼ同等の約1020平方キロメートルの国土面積を誇り、人口は14000人。
「騎士王」と呼ばれる国王は現在33代目で、名をギルックと言う。
首都にして王都のアラルには、大陸で最大の高さを誇るロードア城がある。

厳密な上下関係のある国家であり、国王の他に貴族などの上級国民もいるという、まあなんというか典型的な形の「王国」であるようだ。

ちなみに、アルバンの首都であるメゾーヌと向こうの首都アラルを繋ぐ一本道があるそうなので、そこを通ることにした。
ロードアに入国するには関所を通らなければならないようだが、これも他国と比べると厳重なものらしい。
まあ俺達は良からぬ目的があるわけではないし、何より王に話が行っているはずだから、大丈夫だとは思うが。



進むこと数日、やけに綺麗な道に出た。
それはきっちりと整備され、道の両脇には一定の感覚をおいてピンク色の薔薇が植えられている。
また、この道からは何だか不思議な魔力も感じる。
なんとなくただの道ではないと判断した俺は、柳助にこの道のことを聞いてみた。

「いかにも、この道は『戦姫の道』と呼ばれる特別な道でな、ロードアとアルバン、両方の国が整備している道だ。この道はかつて、魔戦士バレスの妹ミイアがロードアに嫁ぐ際に通った道。それに由来して、戦姫の道と呼ばれている」

「バレス…って、この国を立てたやつだよな。妹いたのか」

「ああ。ロードアの国を開いた霊騎士オレグと魔戦士バレスは、古くからの友人だった。ロードアを開き王となったオレグは、王国の発展のために妻…すなわち王妃を迎える必要があった。そこでバレスがオレグに妹を紹介し、嫁がせた。幸いにも、戦士と騎士は元より近い関係にある種族であることもあり、両者の結婚に異を唱える者はいなかったと聞く。そうして、バレスとオレグは親戚となったのだ」

「へえ…じゃ、アルバンの王様とロードアの王様は親戚…ってことになるのか」

「そうだ。そのような経緯があるから、現在でも両国の関係は良好なものとなっている。かくいう俺も、エウル王がロードア王ギルックを城に招いて話しているのを見たことがある」

「親戚同士、仲良くしてる…ってことか。まあ喧嘩ばっかしてるよりは全然いいわな。てか、なんで道の両脇に薔薇が植えてあるんだ?」

「ミイアは花、特に薔薇が好きだった。彼女がこの道を通って嫁ぎに行く際も、道の両脇に並んだ民衆は薔薇の花を手にしていた。だから今でも、この道には薔薇が植えられている」

薔薇…か。なんだろう、なぜか騎士…というか恋愛もののイメージがある。
ラノベとかそんな読んだことないのだが。



1日も経たないうちに、道の終わりが見えてきた。
黒い金属製の柵で区切られた道の真ん中に、関所らしき施設があった。
「誰か交渉してこないとな。誰がいく?」

「俺が行こう」
柳助が名乗り出てくれたが、せっかくなので俺もついていく。

馬車を降り、門に近づくと3人の兵士が近づいてきた。
「待て。この先はロードアの国だ。ここを通りたいなら、立場と要件を話してもらおう」

俺が言葉を発する前に、柳助が説明を始めた。
「俺達は旅の者だ。ロードアには、単なる訪問で行こうと思っている。すでに、エウル王からそちらの王に連絡が行っているはずだ」

兵士たちは顔を見合わせ、
「少し待て」
と言って門の入り口まで戻っていった。
3人は、何かの書類を取り出してページをパラパラとめくり、何かを話し合っていた。
そしてしばらくして戻ってきて、
「事実の確認が取れた。先ほどのあなたの言葉に、間違いはないようだ。ギルック様は、あなた方の来城を待っておられる。通ってよろしい」
と言って、門を開けてくれた。



門の先の景色は、今までとほぼ変わりなかった。
しかし、遠くに巨大な城とその周りを取り囲むように並ぶ都市が見えた。
これからあそこに向かうのか…と思うと、とてつもなくワクワクした。



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馬車に揺られている間に、これから向かう国のことを調べた…ネットや図書室の本を使って、可能な限り。
ロードア。それはかつて霊騎士オレグによって建てられた、騎士の国。
セドラルとほぼ同等の約1020平方キロメートルの国土面積を誇り、人口は14000人。
「騎士王」と呼ばれる国王は現在33代目で、名をギルックと言う。
首都にして王都のアラルには、大陸で最大の高さを誇るロードア城がある。
厳密な上下関係のある国家であり、国王の他に貴族などの上級国民もいるという、まあなんというか典型的な形の「王国」であるようだ。
ちなみに、アルバンの首都であるメゾーヌと向こうの首都アラルを繋ぐ一本道があるそうなので、そこを通ることにした。
ロードアに入国するには関所を通らなければならないようだが、これも他国と比べると厳重なものらしい。
まあ俺達は良からぬ目的があるわけではないし、何より王に話が行っているはずだから、大丈夫だとは思うが。
進むこと数日、やけに綺麗な道に出た。
それはきっちりと整備され、道の両脇には一定の感覚をおいてピンク色の薔薇が植えられている。
また、この道からは何だか不思議な魔力も感じる。
なんとなくただの道ではないと判断した俺は、柳助にこの道のことを聞いてみた。
「いかにも、この道は『戦姫の道』と呼ばれる特別な道でな、ロードアとアルバン、両方の国が整備している道だ。この道はかつて、魔戦士バレスの妹ミイアがロードアに嫁ぐ際に通った道。それに由来して、戦姫の道と呼ばれている」
「バレス…って、この国を立てたやつだよな。妹いたのか」
「ああ。ロードアの国を開いた霊騎士オレグと魔戦士バレスは、古くからの友人だった。ロードアを開き王となったオレグは、王国の発展のために妻…すなわち王妃を迎える必要があった。そこでバレスがオレグに妹を紹介し、嫁がせた。幸いにも、戦士と騎士は元より近い関係にある種族であることもあり、両者の結婚に異を唱える者はいなかったと聞く。そうして、バレスとオレグは親戚となったのだ」
「へえ…じゃ、アルバンの王様とロードアの王様は親戚…ってことになるのか」
「そうだ。そのような経緯があるから、現在でも両国の関係は良好なものとなっている。かくいう俺も、エウル王がロードア王ギルックを城に招いて話しているのを見たことがある」
「親戚同士、仲良くしてる…ってことか。まあ喧嘩ばっかしてるよりは全然いいわな。てか、なんで道の両脇に薔薇が植えてあるんだ?」
「ミイアは花、特に薔薇が好きだった。彼女がこの道を通って嫁ぎに行く際も、道の両脇に並んだ民衆は薔薇の花を手にしていた。だから今でも、この道には薔薇が植えられている」
薔薇…か。なんだろう、なぜか騎士…というか恋愛もののイメージがある。
ラノベとかそんな読んだことないのだが。
1日も経たないうちに、道の終わりが見えてきた。
黒い金属製の柵で区切られた道の真ん中に、関所らしき施設があった。
「誰か交渉してこないとな。誰がいく?」
「俺が行こう」
柳助が名乗り出てくれたが、せっかくなので俺もついていく。
馬車を降り、門に近づくと3人の兵士が近づいてきた。
「待て。この先はロードアの国だ。ここを通りたいなら、立場と要件を話してもらおう」
俺が言葉を発する前に、柳助が説明を始めた。
「俺達は旅の者だ。ロードアには、単なる訪問で行こうと思っている。すでに、エウル王からそちらの王に連絡が行っているはずだ」
兵士たちは顔を見合わせ、
「少し待て」
と言って門の入り口まで戻っていった。
3人は、何かの書類を取り出してページをパラパラとめくり、何かを話し合っていた。
そしてしばらくして戻ってきて、
「事実の確認が取れた。先ほどのあなたの言葉に、間違いはないようだ。ギルック様は、あなた方の来城を待っておられる。通ってよろしい」
と言って、門を開けてくれた。
門の先の景色は、今までとほぼ変わりなかった。
しかし、遠くに巨大な城とその周りを取り囲むように並ぶ都市が見えた。
これからあそこに向かうのか…と思うと、とてつもなくワクワクした。