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ブライニクルスラッシュ

ー/ー



 ギルドマスターの後に付いて、広場まで向かうシュンとユキミ。

 その最中でユキミは剣を抜きながらぶつぶつと(ひと)り言を言う。
ユキミ・サヴィ赤枝豆先生
(イラスト:赤枝豆先生)

「大丈夫、私は大丈夫、大丈夫……」

「ちょっ、ユキミさん!? 剣抜くのまだ早い! 早いから!」

 ギルドマスターと氷の姫騎士が広場までやって来たので、冒険者達もなんだなんだと集まり始めた。

 その視線を浴びて、ユキミはまた緊張で体が震えていた。

 ギルドマスターはユキミに声をかける。

「それでは、ユキミさん。お願いできますかな?」

 シュンも応援し始めた。

「ユキミさーんやれー! やっちまえー!!!」

 ふぅっと息を吐いて目を閉じ、ユキミは呼吸を整える。

「ブライニクルスラッシュ!!!」

 剣を握ると同時に地面から極太の氷柱が槍の様に突き出る。

 そして、冷気を纏わせた剣で横薙ぎ、袈裟斬りにと剣を振るう。

 氷の粒が散り、反射してキラキラと光るそれは、神秘的な舞を見ているかのような美しさを感じた。

 ユキミが剣をしまうと、氷柱はガラガラと崩れる。

 そのまま一礼すると、ギルドマスターが拍手をし、見ていた冒険者達までも思わず拍手を始めた。

 ギルドマスターはユキミに近付いて話し始める。

「いやー、素晴らしい!!」

 ユキミは何と言っていいか分からず。

「あ、あの、すみません……」

 思わず謝ってしまった。それを聞いてシュンは笑う。

「おいおい、なんで謝るんだよユキミさん。やっぱすげーなーその技!」

 ギルドマスターは笑顔でユキミに言った。

「ユキミさんはもっと冒険者としての実績を積んで、昇格試験に挑まれた方が良さそうですな」

「え、えっと、あの、ありがとうございます」

 昇格試験と聞いて、少しだけ顔が曇るシュンだったが、気を取り直してユキミに話しかける。

「ユキミさん、ひとまず飯でも食ってようぜ!」

「あ、あぁ、うん!」

 ギルドに戻り、遅めの食事を摂る二人。

 そんな何気ない日常に水を差す輩がやって来た。

「こんにちはー、さっきの見てたよ。凄いねー」

 シュンを日頃から目の敵にしていた冒険者パーティだ。

 その中の長い金髪男がユキミに声を掛けた。

「ねぇ、そんな奴と組まないでさ、俺達と組もうよ」

 ユキミは怖がっているのか、何も言葉が出ない。

「ねーってばー」

「その辺にしておいてくれないか?」

 シュンは金髪男を見据えて言う。

「オメーには話してねーよ! 黙ってな!」

 金髪男が声を荒げると、ユキミは途端に冷たい顔をして一言だけ言う。

「やめろ」

 その美しく冷たい目で見られ、金髪男はたじろぐ。

「まぁいいわ、考えておいてよな、姫騎士様」

 冒険者パーティが去った後にシュンはユキミに謝る。

「あー、なんか余計な事しちまって悪かったなユキミさん」

「どうして、謝るの?」

「どうしてって……。俺なんかと組むより、ちゃんとしたパーティと組んだ方が絶対良いと思うんだけどもな」

 言った後シュンは自分でも驚いていた。楽ができるからと組んだユキミの将来を心配している自分にだ。

 ユキミはまっすぐシュンを見つめて言った。

「や、やっぱり私とパーティを組むのは嫌か?」

「いや、嫌じゃないけど……」

「私は、シュンとパーティを組みたい」

 その言葉に思わずシュンはドキッとする。

「あ、いや、そう言われるとな……」

「や、やっぱり駄目か?」

「いやいや!! 駄目じゃないって!! むしろこっちがお願いしたいぐらいで……」

 そこまでシュンが言うと、ユキミはフッと笑った。

「そっか、良かった」

 その笑顔に、更に胸の鼓動が高鳴るシュン。



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 ギルドマスターの後に付いて、広場まで向かうシュンとユキミ。
 その最中でユキミは剣を抜きながらぶつぶつと|独《ひと》り言を言う。
(イラスト:赤枝豆先生)
「大丈夫、私は大丈夫、大丈夫……」
「ちょっ、ユキミさん!? 剣抜くのまだ早い! 早いから!」
 ギルドマスターと氷の姫騎士が広場までやって来たので、冒険者達もなんだなんだと集まり始めた。
 その視線を浴びて、ユキミはまた緊張で体が震えていた。
 ギルドマスターはユキミに声をかける。
「それでは、ユキミさん。お願いできますかな?」
 シュンも応援し始めた。
「ユキミさーんやれー! やっちまえー!!!」
 ふぅっと息を吐いて目を閉じ、ユキミは呼吸を整える。
「ブライニクルスラッシュ!!!」
 剣を握ると同時に地面から極太の氷柱が槍の様に突き出る。
 そして、冷気を纏わせた剣で横薙ぎ、袈裟斬りにと剣を振るう。
 氷の粒が散り、反射してキラキラと光るそれは、神秘的な舞を見ているかのような美しさを感じた。
 ユキミが剣をしまうと、氷柱はガラガラと崩れる。
 そのまま一礼すると、ギルドマスターが拍手をし、見ていた冒険者達までも思わず拍手を始めた。
 ギルドマスターはユキミに近付いて話し始める。
「いやー、素晴らしい!!」
 ユキミは何と言っていいか分からず。
「あ、あの、すみません……」
 思わず謝ってしまった。それを聞いてシュンは笑う。
「おいおい、なんで謝るんだよユキミさん。やっぱすげーなーその技!」
 ギルドマスターは笑顔でユキミに言った。
「ユキミさんはもっと冒険者としての実績を積んで、昇格試験に挑まれた方が良さそうですな」
「え、えっと、あの、ありがとうございます」
 昇格試験と聞いて、少しだけ顔が曇るシュンだったが、気を取り直してユキミに話しかける。
「ユキミさん、ひとまず飯でも食ってようぜ!」
「あ、あぁ、うん!」
 ギルドに戻り、遅めの食事を摂る二人。
 そんな何気ない日常に水を差す輩がやって来た。
「こんにちはー、さっきの見てたよ。凄いねー」
 シュンを日頃から目の敵にしていた冒険者パーティだ。
 その中の長い金髪男がユキミに声を掛けた。
「ねぇ、そんな奴と組まないでさ、俺達と組もうよ」
 ユキミは怖がっているのか、何も言葉が出ない。
「ねーってばー」
「その辺にしておいてくれないか?」
 シュンは金髪男を見据えて言う。
「オメーには話してねーよ! 黙ってな!」
 金髪男が声を荒げると、ユキミは途端に冷たい顔をして一言だけ言う。
「やめろ」
 その美しく冷たい目で見られ、金髪男はたじろぐ。
「まぁいいわ、考えておいてよな、姫騎士様」
 冒険者パーティが去った後にシュンはユキミに謝る。
「あー、なんか余計な事しちまって悪かったなユキミさん」
「どうして、謝るの?」
「どうしてって……。俺なんかと組むより、ちゃんとしたパーティと組んだ方が絶対良いと思うんだけどもな」
 言った後シュンは自分でも驚いていた。楽ができるからと組んだユキミの将来を心配している自分にだ。
 ユキミはまっすぐシュンを見つめて言った。
「や、やっぱり私とパーティを組むのは嫌か?」
「いや、嫌じゃないけど……」
「私は、シュンとパーティを組みたい」
 その言葉に思わずシュンはドキッとする。
「あ、いや、そう言われるとな……」
「や、やっぱり駄目か?」
「いやいや!! 駄目じゃないって!! むしろこっちがお願いしたいぐらいで……」
 そこまでシュンが言うと、ユキミはフッと笑った。
「そっか、良かった」
 その笑顔に、更に胸の鼓動が高鳴るシュン。