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翼竜

ー/ー



 ユキミの足元から無数の太い氷柱が現れ、翼竜を串刺しにする。

 そうして身動きを封じられた翼竜に、冷気を纏わせた剣で斬りかかった。

 鋭く研ぎ澄まされた剣は、いとも簡単に翼竜の首を刎ねる。

 とてもDランクの冒険者が扱っていいレベルの魔法ではない。

 シュンは驚いて剣を握ったまま身動きが取れないでいた。

 ユキミはくるりと振り返って言う。

「だ、大丈夫か?」

 その言葉でシュンは我に返る。

「いや、大丈夫かって大丈夫だけど……」

 氷柱で串刺しの翼竜は夢なんかじゃない。現実だ。

「なんつーか、ユキミさん強すぎないか?」

「そ、そうか?」

「まー、無事で良かった。ひとまずギルドに報告だな」

 ここは街からもギルドからも近い。シュンは右手を上空に向け、魔法で赤色の信号弾を打つ。

 赤色は緊急事態を知らせる救助信号だ。

 シュンは緊張の糸がほぐれ、その場にドカッと座る。

「さてっと、誰かが来るまで色々お話を聞いてもいいですかい?」

「う、うん」

 とは言ったものの、何から聞こうかと思考を巡らせる。

「とりあえず。ユキミさんは本当にDランクなのか?」

「うん、そう」

「どこかで修行でもしていたんですかい?」

 そう聞かれると、ユキミはうんと頷く。

「地元で、お、お父様に修行をつけてもらって、それで……」

「なるほどねぇ……」

 修行してたにしろ、翼竜を一人でたやすく仕留めるなんて、Bランク並みだぞと思っていた。

 しばらくすると、ギルド所属のスタッフと冒険者が数人様子を見に来てくれたみたいだ。

 そして、氷漬けの翼竜を見て驚く。

「な、なんだこりゃ!?」

「なんだって、翼竜だよ。ユキミさんが倒した」

「そっちの姫騎士さんが!? 嘘だろ!!」

「本当だよ」

 信じられない気持ちはシュンにも分かるが、ユキミが倒したのは事実だ。

 ギルドスタッフが翼竜の状態を確認し、集まった冒険者に言う。

「ひとまず、翼竜を解体して運ぶクエストを緊急で出します。報酬は銀貨7枚で!」

 銀貨7枚というと、今回のシュン達が受けた薬草集めの3倍ほどの価格だ。

 集まった冒険者たちが歓喜の声を上げる。

「人助けに来てみるもんだな!」

「やったぜ。ありがとな姫騎士さん!」

 人々に感謝され、顔を真っ赤にして俯くユキミ。

 そこで、シュンはギルドスタッフに尋ねた。

「念のため、翼竜の肉や素材の報酬はもらえるんですかい? 倒したのはユキミさんだぜ?」

「ギルド買い取りの場合、鑑定した後に報酬を支払います」

「それは普通の魔物と変わらないって所か」

 薬草集めのクエストは、急に翼竜解体と運搬に変わってしまった。

「翼竜って固いんだな。カッチカチだぞ!?」

 そこいらの冒険者の剣と力では文字通り刃が立たなかった。

 そこに、シュンの服袖をちょんちょんと引っ張ってユキミがぼそぼそと言う。

「私、切ろうか?」

「そうだな、ユキミさんに切ってもらうのが手っ取り早いな。おーい、みんな離れてくれー」

 ユキミはギルドスタッフがマーキングした線に沿ってスパスパと翼竜を切り分けていく。

 みんな、舌を巻いてその様子を見ると同時に、本当に姫騎士様が倒したんだなと改めて信じることができた。


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 ユキミの足元から無数の太い氷柱が現れ、翼竜を串刺しにする。
 そうして身動きを封じられた翼竜に、冷気を纏わせた剣で斬りかかった。
 鋭く研ぎ澄まされた剣は、いとも簡単に翼竜の首を刎ねる。
 とてもDランクの冒険者が扱っていいレベルの魔法ではない。
 シュンは驚いて剣を握ったまま身動きが取れないでいた。
 ユキミはくるりと振り返って言う。
「だ、大丈夫か?」
 その言葉でシュンは我に返る。
「いや、大丈夫かって大丈夫だけど……」
 氷柱で串刺しの翼竜は夢なんかじゃない。現実だ。
「なんつーか、ユキミさん強すぎないか?」
「そ、そうか?」
「まー、無事で良かった。ひとまずギルドに報告だな」
 ここは街からもギルドからも近い。シュンは右手を上空に向け、魔法で赤色の信号弾を打つ。
 赤色は緊急事態を知らせる救助信号だ。
 シュンは緊張の糸がほぐれ、その場にドカッと座る。
「さてっと、誰かが来るまで色々お話を聞いてもいいですかい?」
「う、うん」
 とは言ったものの、何から聞こうかと思考を巡らせる。
「とりあえず。ユキミさんは本当にDランクなのか?」
「うん、そう」
「どこかで修行でもしていたんですかい?」
 そう聞かれると、ユキミはうんと頷く。
「地元で、お、お父様に修行をつけてもらって、それで……」
「なるほどねぇ……」
 修行してたにしろ、翼竜を一人でたやすく仕留めるなんて、Bランク並みだぞと思っていた。
 しばらくすると、ギルド所属のスタッフと冒険者が数人様子を見に来てくれたみたいだ。
 そして、氷漬けの翼竜を見て驚く。
「な、なんだこりゃ!?」
「なんだって、翼竜だよ。ユキミさんが倒した」
「そっちの姫騎士さんが!? 嘘だろ!!」
「本当だよ」
 信じられない気持ちはシュンにも分かるが、ユキミが倒したのは事実だ。
 ギルドスタッフが翼竜の状態を確認し、集まった冒険者に言う。
「ひとまず、翼竜を解体して運ぶクエストを緊急で出します。報酬は銀貨7枚で!」
 銀貨7枚というと、今回のシュン達が受けた薬草集めの3倍ほどの価格だ。
 集まった冒険者たちが歓喜の声を上げる。
「人助けに来てみるもんだな!」
「やったぜ。ありがとな姫騎士さん!」
 人々に感謝され、顔を真っ赤にして俯くユキミ。
 そこで、シュンはギルドスタッフに尋ねた。
「念のため、翼竜の肉や素材の報酬はもらえるんですかい? 倒したのはユキミさんだぜ?」
「ギルド買い取りの場合、鑑定した後に報酬を支払います」
「それは普通の魔物と変わらないって所か」
 薬草集めのクエストは、急に翼竜解体と運搬に変わってしまった。
「翼竜って固いんだな。カッチカチだぞ!?」
 そこいらの冒険者の剣と力では文字通り刃が立たなかった。
 そこに、シュンの服袖をちょんちょんと引っ張ってユキミがぼそぼそと言う。
「私、切ろうか?」
「そうだな、ユキミさんに切ってもらうのが手っ取り早いな。おーい、みんな離れてくれー」
 ユキミはギルドスタッフがマーキングした線に沿ってスパスパと翼竜を切り分けていく。
 みんな、舌を巻いてその様子を見ると同時に、本当に姫騎士様が倒したんだなと改めて信じることができた。