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第7話・Cランク冒険者

ー/ー




―――冒険者ギルド―――

 僕は応接室に案内され、深めのソファに座りしばらく待つ。
「なぁ、アリス。たぶんだけど、出身地と身元引受人の偽装で怒られる気がするぞ」
「そうなのか?わしは正直に答えただけだけどな」
 そう言ってアリスは部屋を物色している。
 ――コンコンッ……カチャ。
「お待たせしました。こちら、ギルドマスターのラルクです」
「待たせたな。そなたがハルト君か。まぁ座りたまえ」
 50代くらいのダンディなおじさまが入って来た。ギルドマスターということはここのお偉いさんか。
「書類を見せてもらったが、いくつか聞きたいことがある。まず出身地、身元引受人について教えてくれないか」
「はい。出身地も身元引受人も嘘です」
『パリーーーン!』
 突然、オブジェの壺が床に落ちて割れる。アリスが落としたのだ。受付のお姉さんがビクッ!としてるではないか。慌てて片付けをするお姉さん。
「こほん。なぜ、嘘を書いたのだ?」
「はい。僕は南のサウスタンの田舎から来たのですが、住所もなく、身元引受人もいません。アリスは知っている名前を書きました。ただ聖都で冒険者をするなら必要だと思い……嘘でした。すみませんでした」
『バタンっ!!』
 突然、窓が開いた。アリスだ。自分はここにいるアピールがすごい。受付のお姉さんが壺の片付けをしながらビクビクしている。
「そ、そうか。嘘なのか……中央都市にもしかしたら生き残りの住民がおるのかと少し期待したのだが。創造神アリス様の名前まで使うので少し話を聞きたいと思ったのだよ」
「アリス様?……お騒がせしてすみません。僕は当然、冒険者にはなれないですよね?ははは……」
「本来、冒険者とは正直でならねばならん。が、そなたの様に身元引受人がいない者がいるのも事実。もし試験に好成績で合格すれば、わしが身元引受人になろう」
 おぉ、なんて良い人だ。アリスの事を本当に神様だと思ってるし、試験次第では冒険者になれそうだ。
「マリンよ、この者に試験を受けさせてやってくれ。結果は後で聞く。頼んだぞ」
「はい。お父様。いえ、ギルドマスター……ひっ!」
 コーヒーカップがカタカタと音を立てて震える。アリスだ。頼むから謎の行動はやめて欲しい。
 ここは受付のお姉さんの父親がギルドマスターと言う家族経営のギルドだった。

―――試験会場―――

 ギルドの裏手にある屋外の闘技場のような場所に案内されると、観客席には数人の冒険者もいる。休憩や待ち時間に使っているようだ。
「こちらが試験会場となります。まず魔力の有無、属性、スキルを確認しますのでこちらの水晶に触れてください」
 おぉ、なんか楽しそうな試験だ。これで得意属性もわかるのか。
 僕は水晶に手を触れると、水晶が虹色に光り辺りを包む。
「……え?魔力測定不能!?全属性耐性!?サブスキル鋳造合成!?……固有スキルTHE複製(ザ・コピー)!!??あ、あなたはいったい!?」
 バタンッ!
 マリンはその場に座り込み、心なしか顔が高揚し赤くなっている。
「マリン様!大丈夫ですか!!」
 護衛が駆け寄り、慌てて僕もマリンに声をかける。
「あ、あの……マリンさん。だ、大丈夫ですか?」
「……はぁはぁはぁ。大丈夫じゃないです。南方の方はこんな方ばかりなのですか?特にTHE複製(ザ・コピー)はこの大陸では失われた固有スキル。神の時代のものだと聞いております。はぁはぁはぁ……」
 既にボロボロのマリン。この特殊能力はそこでチョウチョを楽しそうに追いかけてる神様が持っているスキルなんですよ……とは言えない。
「そ、そうなんですか!わーすごいなー!神様ありがとうー!」
 自分でもどうしていいかわからない奇怪な回答をする。興奮するマリン……たぶんオタクだ。

「そ、それでは……ふぅ、オーガ1匹と魔法を使えるナーガを1匹づつ討伐してもらいます。危なくなったら護衛がかけつけますし、生命回復(ヒールライト)が使える者もおりますのでご安心を。討伐できなくても冒険者になれないということはありません。それでは始めてください」
 戦闘試験か。僕も試してみたい魔法をちょっとやってみよう。まずは……!!
光の剣(ライトソード)!!」
「キャーーーー!!♡」
 マリンが叫ぶ。
「な、なんだ!あの剣は!?」
「おいっ!あれ見てみろよ!魔法剣じゃないか!」
 ザワザワザワザワ……!闘技場で休憩していた冒険者や、護衛が騒ぎ出す。
「出来た!!これが魔法剣か!」
 マリンが鼻血を出している。
「うむ、ハルトよ。上出来だ。もうちょっと魔力を絞って剣先を鋭くすると良いの」
 いつの間にかアリスが戻ってきていた。
 剣先を絞って……こうか。ぼや~としていた光が鋭く細くなる。そして向かってくるオーガに一閃!
「グガァァァァァ!」
「せいっ!」
 ザシュッッッ!!
 オーガの胴体がまっぷたつに裂ける!すごい切れ味だ。ドロップした剣では加速しないとここまでの威力はない。
 魔法剣の感触を確かめていると、ふいに右から火の玉(ファイアーボール)が飛んでくる!
 あっ……ナーガも居たんだった。
「シャァァァァァ!」
『ドォォォォォンッ!!』
 火の玉(ファイアーボール)が僕の顔に直撃する!!
 ……する?した?あれ?熱くも痛くもない。不思議バリアか。まぁ、いい。アリスに教わった高難易度の魔法を、この魔法剣があれば使えそうだ。
「混沌の地より生まれし光、我の声に答え、導け。我はこの世界を作るもの也……聖なる柱(ホーリーライト)!!」
 魔法剣が輝き出すっ!!
「っっっ!!!???」
 その場に居た全ての野次馬達が目を見開く!!
 するとナーガの周りに、すぅぅぅぅぅと光の柱が空から現れ……そして、激しく閃光する!
『ピカッ―――!!』
「グギャァァァァァ!!」
 パラパラパラパラ……!!
 一瞬でナーガの体が砕け散り天へと昇っていった。
「誰!あの人!嘘でしょ……!まさかクラス4の聖なる柱(ホーリーライト)に、光の剣(ライトソード)!?こ、これはエルフ族長にお伝えしないと……!!」
「エルーどこいったのー?エールー!」

ーーーギルドホールーーー

「ハルト様!ご用意できました!こちらが冒険者カードです。ランクはCランクとなります!通常Eランクからのスタートなのですけど、ギルドマスターより特別許可がおりてます。あとこちらが私の連絡先です♡」
「は、はぁ、ありがとうございます」
「ちなみに……今夜のご予定などはありますか?はぁはぁはぁ……」
 マリンが小犬みたいになっている。お手とかしそうな勢いだ。
「今日はちょっと先約がありまして……ははは……」
「そ、そうですか……では明日――!」
「明日もちょっと……」
 とりあえず、これで冒険者登録は出来たみたいだ。すごく疲れた。宿屋に戻ってちょっと休もう。僕はマリンから逃げる様に冒険者ギルドをそそくさと後にするのであった。


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―――冒険者ギルド―――
 僕は応接室に案内され、深めのソファに座りしばらく待つ。
「なぁ、アリス。たぶんだけど、出身地と身元引受人の偽装で怒られる気がするぞ」
「そうなのか?わしは正直に答えただけだけどな」
 そう言ってアリスは部屋を物色している。
 ――コンコンッ……カチャ。
「お待たせしました。こちら、ギルドマスターのラルクです」
「待たせたな。そなたがハルト君か。まぁ座りたまえ」
 50代くらいのダンディなおじさまが入って来た。ギルドマスターということはここのお偉いさんか。
「書類を見せてもらったが、いくつか聞きたいことがある。まず出身地、身元引受人について教えてくれないか」
「はい。出身地も身元引受人も嘘です」
『パリーーーン!』
 突然、オブジェの壺が床に落ちて割れる。アリスが落としたのだ。受付のお姉さんがビクッ!としてるではないか。慌てて片付けをするお姉さん。
「こほん。なぜ、嘘を書いたのだ?」
「はい。僕は南のサウスタンの田舎から来たのですが、住所もなく、身元引受人もいません。アリスは知っている名前を書きました。ただ聖都で冒険者をするなら必要だと思い……嘘でした。すみませんでした」
『バタンっ!!』
 突然、窓が開いた。アリスだ。自分はここにいるアピールがすごい。受付のお姉さんが壺の片付けをしながらビクビクしている。
「そ、そうか。嘘なのか……中央都市にもしかしたら生き残りの住民がおるのかと少し期待したのだが。創造神アリス様の名前まで使うので少し話を聞きたいと思ったのだよ」
「アリス様?……お騒がせしてすみません。僕は当然、冒険者にはなれないですよね?ははは……」
「本来、冒険者とは正直でならねばならん。が、そなたの様に身元引受人がいない者がいるのも事実。もし試験に好成績で合格すれば、わしが身元引受人になろう」
 おぉ、なんて良い人だ。アリスの事を本当に神様だと思ってるし、試験次第では冒険者になれそうだ。
「マリンよ、この者に試験を受けさせてやってくれ。結果は後で聞く。頼んだぞ」
「はい。お父様。いえ、ギルドマスター……ひっ!」
 コーヒーカップがカタカタと音を立てて震える。アリスだ。頼むから謎の行動はやめて欲しい。
 ここは受付のお姉さんの父親がギルドマスターと言う家族経営のギルドだった。
―――試験会場―――
 ギルドの裏手にある屋外の闘技場のような場所に案内されると、観客席には数人の冒険者もいる。休憩や待ち時間に使っているようだ。
「こちらが試験会場となります。まず魔力の有無、属性、スキルを確認しますのでこちらの水晶に触れてください」
 おぉ、なんか楽しそうな試験だ。これで得意属性もわかるのか。
 僕は水晶に手を触れると、水晶が虹色に光り辺りを包む。
「……え?魔力測定不能!?全属性耐性!?サブスキル鋳造合成!?……固有スキル|THE複製《ザ・コピー》!!??あ、あなたはいったい!?」
 バタンッ!
 マリンはその場に座り込み、心なしか顔が高揚し赤くなっている。
「マリン様!大丈夫ですか!!」
 護衛が駆け寄り、慌てて僕もマリンに声をかける。
「あ、あの……マリンさん。だ、大丈夫ですか?」
「……はぁはぁはぁ。大丈夫じゃないです。南方の方はこんな方ばかりなのですか?特に|THE複製《ザ・コピー》はこの大陸では失われた固有スキル。神の時代のものだと聞いております。はぁはぁはぁ……」
 既にボロボロのマリン。この特殊能力はそこでチョウチョを楽しそうに追いかけてる神様が持っているスキルなんですよ……とは言えない。
「そ、そうなんですか!わーすごいなー!神様ありがとうー!」
 自分でもどうしていいかわからない奇怪な回答をする。興奮するマリン……たぶんオタクだ。
「そ、それでは……ふぅ、オーガ1匹と魔法を使えるナーガを1匹づつ討伐してもらいます。危なくなったら護衛がかけつけますし、|生命回復《ヒールライト》が使える者もおりますのでご安心を。討伐できなくても冒険者になれないということはありません。それでは始めてください」
 戦闘試験か。僕も試してみたい魔法をちょっとやってみよう。まずは……!!
「|光の剣《ライトソード》!!」
「キャーーーー!!♡」
 マリンが叫ぶ。
「な、なんだ!あの剣は!?」
「おいっ!あれ見てみろよ!魔法剣じゃないか!」
 ザワザワザワザワ……!闘技場で休憩していた冒険者や、護衛が騒ぎ出す。
「出来た!!これが魔法剣か!」
 マリンが鼻血を出している。
「うむ、ハルトよ。上出来だ。もうちょっと魔力を絞って剣先を鋭くすると良いの」
 いつの間にかアリスが戻ってきていた。
 剣先を絞って……こうか。ぼや~としていた光が鋭く細くなる。そして向かってくるオーガに一閃!
「グガァァァァァ!」
「せいっ!」
 ザシュッッッ!!
 オーガの胴体がまっぷたつに裂ける!すごい切れ味だ。ドロップした剣では加速しないとここまでの威力はない。
 魔法剣の感触を確かめていると、ふいに右から|火の玉《ファイアーボール》が飛んでくる!
 あっ……ナーガも居たんだった。
「シャァァァァァ!」
『ドォォォォォンッ!!』
 |火の玉《ファイアーボール》が僕の顔に直撃する!!
 ……する?した?あれ?熱くも痛くもない。不思議バリアか。まぁ、いい。アリスに教わった高難易度の魔法を、この魔法剣があれば使えそうだ。
「混沌の地より生まれし光、我の声に答え、導け。我はこの世界を作るもの也……|聖なる柱《ホーリーライト》!!」
 魔法剣が輝き出すっ!!
「っっっ!!!???」
 その場に居た全ての野次馬達が目を見開く!!
 するとナーガの周りに、すぅぅぅぅぅと光の柱が空から現れ……そして、激しく閃光する!
『ピカッ―――!!』
「グギャァァァァァ!!」
 パラパラパラパラ……!!
 一瞬でナーガの体が砕け散り天へと昇っていった。
「誰!あの人!嘘でしょ……!まさかクラス4の|聖なる柱《ホーリーライト》に、|光の剣《ライトソード》!?こ、これはエルフ族長にお伝えしないと……!!」
「エルーどこいったのー?エールー!」
ーーーギルドホールーーー
「ハルト様!ご用意できました!こちらが冒険者カードです。ランクはCランクとなります!通常Eランクからのスタートなのですけど、ギルドマスターより特別許可がおりてます。あとこちらが私の連絡先です♡」
「は、はぁ、ありがとうございます」
「ちなみに……今夜のご予定などはありますか?はぁはぁはぁ……」
 マリンが小犬みたいになっている。お手とかしそうな勢いだ。
「今日はちょっと先約がありまして……ははは……」
「そ、そうですか……では明日――!」
「明日もちょっと……」
 とりあえず、これで冒険者登録は出来たみたいだ。すごく疲れた。宿屋に戻ってちょっと休もう。僕はマリンから逃げる様に冒険者ギルドをそそくさと後にするのであった。