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SCENE132 育成空間配信・その1

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 あたしは、そこで捕まえた探索者たちをどろーんの前へと引っ張り出しましたわ。
 さすがに渋っておりましたので、シードラゴンが尻尾ではたいていましたわね。
 そんなわけでして、ようやく探索者のお二人が配信画面に映りましたわ。

『誰だよ、こいつら』

『知らない探索者だな、新人か?』

 観客の方々が、反応をしておりますけれど、どうやら知られていらっしゃらない方たちのようですわね。
 まぁ、その方がいいですわね。なにせあたしのダンジョンのこの一角は、新人を育成するための空間ですものね。

「今のあたしの配信では、この方たちがどなたかなんて関係ありませんわ。なにせ探索者育成のための空間なのですからね。無名の方の方が名を売れていいというものですわ」

『まあ、確かにそうかも知れないな』

「というわけですわ。お二人さん、自己紹介をお願いできますかしら」

 観客たちの反応からして、いい感じなようですからこのまま続けてまいりましょう。
 自己紹介をしてもらいましたけれど、この二人の名前は覚える気になりませんわ。あんまり興味がないというのも困ったものですけれど、下僕の名前もまったく覚えていませんから、あたしの特性なのかもしれませんわね。シードラゴンにすべて丸投げですわ。

「それでは、お二人には早速体験をして頂きますわね」

「は、はい。よろしくお願いします」

 あたしは、いよいよ育成空間のお披露目に参りますわ。
 とはいいましても、あたしも実はこの空間に足を運ぶのは初めてですわ。
 あたしはダンジョンコアでいじっていただけで、確認をしていたのはシードラゴンですもの。ダンジョン管理局の方々との打ち合わせは、すべてシードラゴンに丸投げですわ。
 だって、なんといいましてもあたしはダンジョンマスター。軽々しく表に出ていくわけにはまいりませんもの。知らなくても仕方ありませんわ。

「それでは、シードラゴン。案内を頼みますわよ」

「はっ、お任せ下さいませ」

 あたしは細かいところがまったく分かりませんから、今回の案内もシードラゴンに丸投げをしましたわ。
 それでも文句のひとつも言わずにして下さいますから、信頼関係というものは大事ですわね。

「それでは、入ってすぐのところでございますね」

 シードラゴンはぴたりと足を止める。
 シードラゴンはあたしと一緒で、本来の姿であれば足は存在しない。だけど、さすがは公爵家に仕える執事とあって、この程度のことなんて造作もございませんのよ。
 それはさておきまして、シードラゴンが説明を始めましたわ。
 あたしが設定した通りに配置されているのか、実に緊張の一瞬ですわね。

『おや、ただの広い部屋のようだな』

『同じ階層の他の場所と比べても、洞窟って感じだな』

『だな、他のところは地下鉄のコンコースの延長って感じだけど、岩の洞窟って感じだ』

 観客たちからは意外だというような感想が聞こえてきますわね。まあ、それはしょうがないですわね。
 一般的なダンジョンに合わせて作りましたから、逆にこの横浜ダンジョンとは一線を画した内装になってしまいましたのよ。

「とりあえず、お二人は部屋に足を踏み入れて下さい」

「わ、分かりました」

 シードラゴンに言われて、探索者のお二人が部屋の中に足を踏み入れましたわ。

 ポコン、ポコン。

 足を踏み入れた瞬間に、モンスターの出現ですわよ。
 低レベルモンスターであるアクアゲルですわね。ちゃんと設定が機能していますわ。

「ここはトラップ部屋なのか?!」

「ダンジョンの別の場所に影響を及ぼすわけにはまいりませんから、部屋の中に踏み入れたらモンスターが出現するように設定をしました。初心者でも倒しやすい、弱いモンスターでございます。さあ、戦って下さい」

「や、やってやんよ!」

 バトラーに言われて、探索者の二人はモンスターを相手にしますわ。
 探索者の状態によってモンスターの出現数が変わるようにしておりますが、さすがデバフが入っている関係で、数はそんなに多くありませんでしたわね。
 ちなみにアクアゲルはダンジョンポイントを2消費しますわ。
 さて、突然のモンスターに驚いていたようですけれど、無事に対処できていますわね。
 あっという間にアクアゲル五体を倒しきっていましたわ。

「お疲れ様です。どうでしょうか、こういうものは」

「急にモンスターが出てビビったけど、ダンジョンってこういう罠もあったりするんだな」

『あるある』

『俺が知る限りは、あちこちにあるぞ』

『意地が悪いところは、宝箱を設置して、手をかけようとした瞬間にモンスターハウス化させるってダンジョンもあったな』

『そいつはひでえな』

 探索者たちの感想を聞いて、観客たちもいろいろと話をしておりますわね。
 まあ、宝箱で釣って袋叩きにするような意地の悪いダンジョンもありますのね。
 でも、情報が出ているということは、それを突破されたのでしょうね。あたし以外のダンジョンで死に戻り設定のあるダンジョンなど聞いたことはありませんから。
 とりあえず、つかみはいい感じでしょうかしら。
 この調子で、一階層を半分程度配信できればいいですけれど、大丈夫かしらね。

 探索者育成空間を紹介する配信は、まだまだ続きますわよ。


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 あたしは、そこで捕まえた探索者たちをどろーんの前へと引っ張り出しましたわ。
 さすがに渋っておりましたので、シードラゴンが尻尾ではたいていましたわね。
 そんなわけでして、ようやく探索者のお二人が配信画面に映りましたわ。
『誰だよ、こいつら』
『知らない探索者だな、新人か?』
 観客の方々が、反応をしておりますけれど、どうやら知られていらっしゃらない方たちのようですわね。
 まぁ、その方がいいですわね。なにせあたしのダンジョンのこの一角は、新人を育成するための空間ですものね。
「今のあたしの配信では、この方たちがどなたかなんて関係ありませんわ。なにせ探索者育成のための空間なのですからね。無名の方の方が名を売れていいというものですわ」
『まあ、確かにそうかも知れないな』
「というわけですわ。お二人さん、自己紹介をお願いできますかしら」
 観客たちの反応からして、いい感じなようですからこのまま続けてまいりましょう。
 自己紹介をしてもらいましたけれど、この二人の名前は覚える気になりませんわ。あんまり興味がないというのも困ったものですけれど、下僕の名前もまったく覚えていませんから、あたしの特性なのかもしれませんわね。シードラゴンにすべて丸投げですわ。
「それでは、お二人には早速体験をして頂きますわね」
「は、はい。よろしくお願いします」
 あたしは、いよいよ育成空間のお披露目に参りますわ。
 とはいいましても、あたしも実はこの空間に足を運ぶのは初めてですわ。
 あたしはダンジョンコアでいじっていただけで、確認をしていたのはシードラゴンですもの。ダンジョン管理局の方々との打ち合わせは、すべてシードラゴンに丸投げですわ。
 だって、なんといいましてもあたしはダンジョンマスター。軽々しく表に出ていくわけにはまいりませんもの。知らなくても仕方ありませんわ。
「それでは、シードラゴン。案内を頼みますわよ」
「はっ、お任せ下さいませ」
 あたしは細かいところがまったく分かりませんから、今回の案内もシードラゴンに丸投げをしましたわ。
 それでも文句のひとつも言わずにして下さいますから、信頼関係というものは大事ですわね。
「それでは、入ってすぐのところでございますね」
 シードラゴンはぴたりと足を止める。
 シードラゴンはあたしと一緒で、本来の姿であれば足は存在しない。だけど、さすがは公爵家に仕える執事とあって、この程度のことなんて造作もございませんのよ。
 それはさておきまして、シードラゴンが説明を始めましたわ。
 あたしが設定した通りに配置されているのか、実に緊張の一瞬ですわね。
『おや、ただの広い部屋のようだな』
『同じ階層の他の場所と比べても、洞窟って感じだな』
『だな、他のところは地下鉄のコンコースの延長って感じだけど、岩の洞窟って感じだ』
 観客たちからは意外だというような感想が聞こえてきますわね。まあ、それはしょうがないですわね。
 一般的なダンジョンに合わせて作りましたから、逆にこの横浜ダンジョンとは一線を画した内装になってしまいましたのよ。
「とりあえず、お二人は部屋に足を踏み入れて下さい」
「わ、分かりました」
 シードラゴンに言われて、探索者のお二人が部屋の中に足を踏み入れましたわ。
 ポコン、ポコン。
 足を踏み入れた瞬間に、モンスターの出現ですわよ。
 低レベルモンスターであるアクアゲルですわね。ちゃんと設定が機能していますわ。
「ここはトラップ部屋なのか?!」
「ダンジョンの別の場所に影響を及ぼすわけにはまいりませんから、部屋の中に踏み入れたらモンスターが出現するように設定をしました。初心者でも倒しやすい、弱いモンスターでございます。さあ、戦って下さい」
「や、やってやんよ!」
 バトラーに言われて、探索者の二人はモンスターを相手にしますわ。
 探索者の状態によってモンスターの出現数が変わるようにしておりますが、さすがデバフが入っている関係で、数はそんなに多くありませんでしたわね。
 ちなみにアクアゲルはダンジョンポイントを2消費しますわ。
 さて、突然のモンスターに驚いていたようですけれど、無事に対処できていますわね。
 あっという間にアクアゲル五体を倒しきっていましたわ。
「お疲れ様です。どうでしょうか、こういうものは」
「急にモンスターが出てビビったけど、ダンジョンってこういう罠もあったりするんだな」
『あるある』
『俺が知る限りは、あちこちにあるぞ』
『意地が悪いところは、宝箱を設置して、手をかけようとした瞬間にモンスターハウス化させるってダンジョンもあったな』
『そいつはひでえな』
 探索者たちの感想を聞いて、観客たちもいろいろと話をしておりますわね。
 まあ、宝箱で釣って袋叩きにするような意地の悪いダンジョンもありますのね。
 でも、情報が出ているということは、それを突破されたのでしょうね。あたし以外のダンジョンで死に戻り設定のあるダンジョンなど聞いたことはありませんから。
 とりあえず、つかみはいい感じでしょうかしら。
 この調子で、一階層を半分程度配信できればいいですけれど、大丈夫かしらね。
 探索者育成空間を紹介する配信は、まだまだ続きますわよ。