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第19話 咲の誘惑

ー/ー



「や、やめてくれ咲。これ以上は……」

「遠慮しなくても良いのよ? 悠真だって男の子なんだからこういうの一度はしてみたいって思ったことあるでしょ?」

「た、確かにあるっちゃあるけど……もうちょっと将来的に考えてだな……」

「将来的に? もうわたしたちは高校生だよ? ほぼ大人よ」

「お、俺たちはまだ学生なんだぞ! バレたら何言われるか……」

「バレたって何も言われないし、経験してる人なんて全国に山ほどいるからね? だ・か・ら……これが普通」

 ダメだ、反論しても全部返ってくる。
 俺の逃げ場が完全になくなってしまった。それに咲がずっと俺の耳元で囁いてくるから、だんだんと俺の頭の中がおかしくなってきてる。
 何も考えられない……。まるで咲に吸い込まれるような気分だ。

「悠真……わたしと一緒に大人になってみない?」

「――――はあ?」

「悠真とは今以上の関係になりたいし、もう我慢出来ないの。はあ、ふふっ。悠真のせいで色々おかしくなっちゃいそう」

「おかしくなるな! お前なんかおかしいぞ!?」

「そうよ、わたしはもうおかしくなってるの。全部悠真のせいだからね」

 咲の暴走は止まらない。もはやさらに暴走している気がする。
 それを見せるかのように、今度は唇を咲に塞がれた。そう、咲が俺にキスをしてきたのだ。
 当然俺の頭は理解が追いついていない。俺の顔に手を添えて来たかと思うと、突然キスをしてきたから、何が起こったのかよく分からなかった。

「――――!? お、おい。こんなことしちゃダメだろ……」

「今更何言ってるの。嫌なら振りほどけば良いじゃない」

 咲の言う通りだった。普通に嫌なら意地でも手を振りほどくはずだ。だけど、俺にはそんな選択肢は頭にはない。ただ欲望に負け、咲の言いなりになってしまっているしかなかった。
 咲は俺から顔を離した。顔が離れても、咲の甘い吐息が伝わってくる。

「ふふっ……どうだった? わたしのファーストキスは」

「――――っ!」

 咲は頬をほんのり赤くしながら、そしてまた俺の頬に手を添えて、至近距離で見つめながらそう聞いてきた。
 当然、俺は質問に答えることが出来なかった。どう言えば分からなかったと表現したほうが正しいかもしれない。俺が出来ることは、ただ眼の前にいる咲を見つめることだけ⋯⋯。

「ねえ悠真……。わたしもう我慢できないの。わたしが悠真を奪ってあげる」

「咲……」

 完全に雰囲気に飲まれてしまった。顔が熱くなって咲を眼の前で見つめて、腕が勝手に動いて咲を抱きしめていた。
 身体がもう言うことを効かない。もうどうにでもなってしまえ……。

『えっと何してるんですかね2人とも?』

「「――――!?」」

 そんな時女神が現れた。俺ははっと我に帰り右を見ると、部屋の入口には仁王立ちになって腕を組んでいるメリーがいた。頬をピクリと痙攣させながら怖い顔をしている。

「メリー! まじで助かった! 恩につきますううう!」

 俺はベットからずり落ちながらメリーに深々と土下座した。咲はちぇっと不満げな顔をしていた。

『ゆーまくん、あとでゆっくりと話を聞かせてくださいね……?』

 顔は笑っているけどめちゃくちゃ怒ってるみたいだな。こういう状況でメリーが笑っているのはかなり怖いことはわかっている。
 あとで俺は地獄を見ること間違いなしだ。メリーよ、どうかお手柔らかにお願いします……。

「じゃあわたしはお風呂入ってくるわね」

 咲は服装を整えると、バックからタオルとシャンプーが入っているらしき容器を取り出すと、そのまま風呂へ向かっていった。
 まさかあいつ、今日も俺の家で泊まる気じゃないだろうな? 両親は咲のこと心配してないのだろうか。

「はあ……」

 とりあえず、ピンチからはメリーのおかげで逃れることができた。俺は大きなため息をつきながら、体を脱力させる。

『ゆーまくん……。その、したんですか?』

「えっ? えっと……」

 メリーは真顔で俺を見つめながらそう言った。メリーの顔があまりにも強すぎて、逆に話せなかった。

『――――洗いざらい話してくれないと……』

「わ、分かった言うから! 確かにしました! というよりもされました!」

『――――』

「えっと、もう一回言った方が良いか? 咲にキスされました」

 聞こえなかったのかと思ってもう一度言ってみたけど、返事は来なかった。
 と思っていたら、メリーは顔を俯かせながら震えていた。

『そ、それ本当のこと言っているんですか……?』

「ああ、本当のことだ。咲から突然、な」

『――――ゆーまくん、からでは無いんですよね?』

「勿論だ! 俺は何もしてないぞ!」

 危うく咲に吸い込まれそうになったけどな……。でも俺は耐えたぞ。
 するとメリーは俯いたまま俺の目の前まで歩み寄った。

『――――なら良いです』

「えっ?」

 メリーはぼそっとそう言うと、上目遣いで俺を見上げた。
 俺は一瞬ドキッとしてしまった。何だろう……やっぱさっきの咲の件で頭おかしくなってるのか?

『咲さんと変なことを自らしたと言うならどうなるかわからなかったですが、ゆーまくんが何も手を出していないなら、メリーは怒りませんよ』

「そ、そうか……」

 メリーは俺を抱きしめてそう言った。
良かった……。
地獄を見ないで、安心して夜を過ごせそうだよ……。


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次のエピソードへ進む 第20話 女子って怖ぇ〜


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「や、やめてくれ咲。これ以上は……」
「遠慮しなくても良いのよ? 悠真だって男の子なんだからこういうの一度はしてみたいって思ったことあるでしょ?」
「た、確かにあるっちゃあるけど……もうちょっと将来的に考えてだな……」
「将来的に? もうわたしたちは高校生だよ? ほぼ大人よ」
「お、俺たちはまだ学生なんだぞ! バレたら何言われるか……」
「バレたって何も言われないし、経験してる人なんて全国に山ほどいるからね? だ・か・ら……これが普通」
 ダメだ、反論しても全部返ってくる。
 俺の逃げ場が完全になくなってしまった。それに咲がずっと俺の耳元で囁いてくるから、だんだんと俺の頭の中がおかしくなってきてる。
 何も考えられない……。まるで咲に吸い込まれるような気分だ。
「悠真……わたしと一緒に大人になってみない?」
「――――はあ?」
「悠真とは今以上の関係になりたいし、もう我慢出来ないの。はあ、ふふっ。悠真のせいで色々おかしくなっちゃいそう」
「おかしくなるな! お前なんかおかしいぞ!?」
「そうよ、わたしはもうおかしくなってるの。全部悠真のせいだからね」
 咲の暴走は止まらない。もはやさらに暴走している気がする。
 それを見せるかのように、今度は唇を咲に塞がれた。そう、咲が俺にキスをしてきたのだ。
 当然俺の頭は理解が追いついていない。俺の顔に手を添えて来たかと思うと、突然キスをしてきたから、何が起こったのかよく分からなかった。
「――――!? お、おい。こんなことしちゃダメだろ……」
「今更何言ってるの。嫌なら振りほどけば良いじゃない」
 咲の言う通りだった。普通に嫌なら意地でも手を振りほどくはずだ。だけど、俺にはそんな選択肢は頭にはない。ただ欲望に負け、咲の言いなりになってしまっているしかなかった。
 咲は俺から顔を離した。顔が離れても、咲の甘い吐息が伝わってくる。
「ふふっ……どうだった? わたしのファーストキスは」
「――――っ!」
 咲は頬をほんのり赤くしながら、そしてまた俺の頬に手を添えて、至近距離で見つめながらそう聞いてきた。
 当然、俺は質問に答えることが出来なかった。どう言えば分からなかったと表現したほうが正しいかもしれない。俺が出来ることは、ただ眼の前にいる咲を見つめることだけ⋯⋯。
「ねえ悠真……。わたしもう我慢できないの。わたしが悠真を奪ってあげる」
「咲……」
 完全に雰囲気に飲まれてしまった。顔が熱くなって咲を眼の前で見つめて、腕が勝手に動いて咲を抱きしめていた。
 身体がもう言うことを効かない。もうどうにでもなってしまえ……。
『えっと何してるんですかね2人とも?』
「「――――!?」」
 そんな時女神が現れた。俺ははっと我に帰り右を見ると、部屋の入口には仁王立ちになって腕を組んでいるメリーがいた。頬をピクリと痙攣させながら怖い顔をしている。
「メリー! まじで助かった! 恩につきますううう!」
 俺はベットからずり落ちながらメリーに深々と土下座した。咲はちぇっと不満げな顔をしていた。
『ゆーまくん、あとでゆっくりと話を聞かせてくださいね……?』
 顔は笑っているけどめちゃくちゃ怒ってるみたいだな。こういう状況でメリーが笑っているのはかなり怖いことはわかっている。
 あとで俺は地獄を見ること間違いなしだ。メリーよ、どうかお手柔らかにお願いします……。
「じゃあわたしはお風呂入ってくるわね」
 咲は服装を整えると、バックからタオルとシャンプーが入っているらしき容器を取り出すと、そのまま風呂へ向かっていった。
 まさかあいつ、今日も俺の家で泊まる気じゃないだろうな? 両親は咲のこと心配してないのだろうか。
「はあ……」
 とりあえず、ピンチからはメリーのおかげで逃れることができた。俺は大きなため息をつきながら、体を脱力させる。
『ゆーまくん……。その、したんですか?』
「えっ? えっと……」
 メリーは真顔で俺を見つめながらそう言った。メリーの顔があまりにも強すぎて、逆に話せなかった。
『――――洗いざらい話してくれないと……』
「わ、分かった言うから! 確かにしました! というよりもされました!」
『――――』
「えっと、もう一回言った方が良いか? 咲にキスされました」
 聞こえなかったのかと思ってもう一度言ってみたけど、返事は来なかった。
 と思っていたら、メリーは顔を俯かせながら震えていた。
『そ、それ本当のこと言っているんですか……?』
「ああ、本当のことだ。咲から突然、な」
『――――ゆーまくん、からでは無いんですよね?』
「勿論だ! 俺は何もしてないぞ!」
 危うく咲に吸い込まれそうになったけどな……。でも俺は耐えたぞ。
 するとメリーは俯いたまま俺の目の前まで歩み寄った。
『――――なら良いです』
「えっ?」
 メリーはぼそっとそう言うと、上目遣いで俺を見上げた。
 俺は一瞬ドキッとしてしまった。何だろう……やっぱさっきの咲の件で頭おかしくなってるのか?
『咲さんと変なことを自らしたと言うならどうなるかわからなかったですが、ゆーまくんが何も手を出していないなら、メリーは怒りませんよ』
「そ、そうか……」
 メリーは俺を抱きしめてそう言った。
良かった……。
地獄を見ないで、安心して夜を過ごせそうだよ……。