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SCENE128 こまめな報告は大事だよ

ー/ー



「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」

 迷路を作るという作業がちょっと詰まってきたので、僕は久しぶりに配信を行うことにした。
 僕が配信を始めれば、すぐに視聴者さんたちが接続してくる。さすがフォロワーさんたちは反応が早い。

『こんらみあ~』

『今日のウィンクちゃんの配信は何かな?』

 なんかすでに配信を始めただけで興味を持たれてしまっている。僕ってそんなに人気があるのかなぁと、つい疑問に感じてしまう。
 でもまぁ、配信をして誰も見てくれないよりはマシなので、僕はとりあえず気にしないで配信を続ける。

「本日の配信は、僕のダンジョンの追加要素についてですね。死なない初心者ダンジョンを目指していますので、もちろん危険のないものですよ」

『ほうほう』

『どんなことをしてるんだろうかな、気になる』

 視聴者さんたちはものすごく食いついている。そんなに気になるんだなぁ。
 嬉しいような、恥ずかしいような。なんとも不思議な気分になってくるね。

「僕は現在、ダンジョンの二階層に迷路を作っています」

『おお、迷路かぁ』

『ダンジョン自体が迷路じゃいかんのか?』

『ダンジョンをどう扱おうがダンジョンマスターの勝手だろ、野暮なことを言うな』

 喜んでいる視聴者さんはいるけれど、やっぱりそう思う視聴者さんもいるよね。ダンジョンの宿命ってやつなのかな。

「僕は、気軽に会いに来れるダンジョンマスターでいたいので、ダンジョンそのものを複雑にする気はありませんよ。その代わり、脇道に楽しめる場所を設置しようという考えなんです」

『なるほ』

『ウィンクちゃんに実際に会いやすいかどうかは重要』

『ああ、ダンジョンまでの道までが近ければな・・・』

 僕がダンジョンのルートを簡単にしている理由を答えると、今度は外のことに文句を言い始めたよ。ごめん、それだけは僕じゃどうしようもできないや。
 本当に、ああ言えばこう言う視聴者さんもいて、僕は対応に困っちゃうなぁ。
 でも、僕のダンジョンまでは遠いっていうのは事実だもんね。
 時々来てくれる高志さん。横浜の家から三時間かけて来るっていうんだもん。そう思えば、確かにここまでかなり遠いよね。
 でも、交通の便に関しては自治体に言ってもらわないと困るよ。

「まあ、そういう外の話は僕には無縁の話なので、ひとまず置いておきましょう」

『せやね』

『すまんかった』

 僕が手を打って話を変えると、文句ばっかり言っていた視聴者さんが謝ってくれた。

「ダンジョンに仕掛ける迷路ですが、宝箱を設置して、中にあれこれと入れておくつもりでいます。ただ、どんなものを入れるかはちょっとまだ決めきれていないんですよね。ダンジョンにも予算というものがあるみたいなので」

『ダンジョンにそんなものあるの?!』

『せちがらいなぁ』

 おっと、そういえばこれは管理局など一部の人にしか話していないことだった。

「あははは、ダンジョンの資源も無尽蔵ってわけじゃないってことですね」

『ふむふむ』

『ダンジョンって、十年ちょっと経っても分からんことが多すぎるからなぁ』

『そちらに立ったウィンクちゃんにしか分からん内容よな』

 僕は適当にごまかしながら笑っていると、視聴者さんたちは納得してくれたみたいだった。

『そういえば、ウィンクちゃん』

「はい、なんでしょうか」

 視聴者さんから急に質問が飛んできたので、僕は目をぱちぱちとさせながら返事をする。

『バトラーさんとラティナちゃんはどうしてるの?』

 何かと思えば、バトラーとラティナさんが顔を出さないことを気にしているようだった。
 みんな、僕の魅了でファンになってくれているはずなんだけど、意外と僕以外にも意識が向いているんだよね。これって、もしかして魅了が効いてないじゃないかって気がしてくるよ。
 魅了に関しては僕がまったく意識していないから、そのせいもあるんだろうなぁ。

「しょうがないですね。お呼びしますので、ちょっと待ってて下さいね」

『正座待機』

『りょ!』

 視聴者さんたちの要望を聞かないわけにもいかず、僕は二人を呼ぶことになってしまった。

「なんですか。今日はプリンセスだけで配信するのではなかったのですか」

 バトラーが珍しく文句を言ってくる。

「ごめん、視聴者さんたちがものすごく気になっているみたいでね。ちょっとだけでいいから、お願いできるかな?」

「仕方ありませんな。我とラティナ様は、迷路の中身を相談しておるのです。なので、今日のところはプリンセスの進捗報告だけで勘弁願いたい」

「ごめんなさい、みなさん。完成した際には、ぜひとも遊びにいらして下さいね」

 僕がどうしてもとひと言を頼むと、二人ともわざわざドローンに向かって話をしていってくれた。優しいよね、二人とも。

『なるほど、配信ができるのがウィンクちゃんだけだから、そういう形になったのか』

「はい、そうなんです。あんまり配信をしていないとみなさん心配されるでしょうからね。それで、僕だけで進捗報告配信をすることにしたんです」

『そうだったのか』

『正直すまなんだ』

 正直な事情を説明すると、視聴者さんたちはすんなりと納得してくれた。本当にみんな優しいなぁ。

「そんなわけですので、新しい仕掛けを準備してますので、完成した時にはぜひとも遊びに来て下さいね」

『りょ』

『鉱石掘りもあるから、そのうちいくよ』

「それでは、ダンジョンマスターのウィンクでした。みなさん、ごきげんよう」

『おつらみあ~』

 そんなこんなで、いろいろと絡まれてしまったけど、僕は無事に進捗報告配信を終えることができたのだった。
 さぁ、探索者が楽しめるダンジョンを目指すぞ。


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「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」
 迷路を作るという作業がちょっと詰まってきたので、僕は久しぶりに配信を行うことにした。
 僕が配信を始めれば、すぐに視聴者さんたちが接続してくる。さすがフォロワーさんたちは反応が早い。
『こんらみあ~』
『今日のウィンクちゃんの配信は何かな?』
 なんかすでに配信を始めただけで興味を持たれてしまっている。僕ってそんなに人気があるのかなぁと、つい疑問に感じてしまう。
 でもまぁ、配信をして誰も見てくれないよりはマシなので、僕はとりあえず気にしないで配信を続ける。
「本日の配信は、僕のダンジョンの追加要素についてですね。死なない初心者ダンジョンを目指していますので、もちろん危険のないものですよ」
『ほうほう』
『どんなことをしてるんだろうかな、気になる』
 視聴者さんたちはものすごく食いついている。そんなに気になるんだなぁ。
 嬉しいような、恥ずかしいような。なんとも不思議な気分になってくるね。
「僕は現在、ダンジョンの二階層に迷路を作っています」
『おお、迷路かぁ』
『ダンジョン自体が迷路じゃいかんのか?』
『ダンジョンをどう扱おうがダンジョンマスターの勝手だろ、野暮なことを言うな』
 喜んでいる視聴者さんはいるけれど、やっぱりそう思う視聴者さんもいるよね。ダンジョンの宿命ってやつなのかな。
「僕は、気軽に会いに来れるダンジョンマスターでいたいので、ダンジョンそのものを複雑にする気はありませんよ。その代わり、脇道に楽しめる場所を設置しようという考えなんです」
『なるほ』
『ウィンクちゃんに実際に会いやすいかどうかは重要』
『ああ、ダンジョンまでの道までが近ければな・・・』
 僕がダンジョンのルートを簡単にしている理由を答えると、今度は外のことに文句を言い始めたよ。ごめん、それだけは僕じゃどうしようもできないや。
 本当に、ああ言えばこう言う視聴者さんもいて、僕は対応に困っちゃうなぁ。
 でも、僕のダンジョンまでは遠いっていうのは事実だもんね。
 時々来てくれる高志さん。横浜の家から三時間かけて来るっていうんだもん。そう思えば、確かにここまでかなり遠いよね。
 でも、交通の便に関しては自治体に言ってもらわないと困るよ。
「まあ、そういう外の話は僕には無縁の話なので、ひとまず置いておきましょう」
『せやね』
『すまんかった』
 僕が手を打って話を変えると、文句ばっかり言っていた視聴者さんが謝ってくれた。
「ダンジョンに仕掛ける迷路ですが、宝箱を設置して、中にあれこれと入れておくつもりでいます。ただ、どんなものを入れるかはちょっとまだ決めきれていないんですよね。ダンジョンにも予算というものがあるみたいなので」
『ダンジョンにそんなものあるの?!』
『せちがらいなぁ』
 おっと、そういえばこれは管理局など一部の人にしか話していないことだった。
「あははは、ダンジョンの資源も無尽蔵ってわけじゃないってことですね」
『ふむふむ』
『ダンジョンって、十年ちょっと経っても分からんことが多すぎるからなぁ』
『そちらに立ったウィンクちゃんにしか分からん内容よな』
 僕は適当にごまかしながら笑っていると、視聴者さんたちは納得してくれたみたいだった。
『そういえば、ウィンクちゃん』
「はい、なんでしょうか」
 視聴者さんから急に質問が飛んできたので、僕は目をぱちぱちとさせながら返事をする。
『バトラーさんとラティナちゃんはどうしてるの?』
 何かと思えば、バトラーとラティナさんが顔を出さないことを気にしているようだった。
 みんな、僕の魅了でファンになってくれているはずなんだけど、意外と僕以外にも意識が向いているんだよね。これって、もしかして魅了が効いてないじゃないかって気がしてくるよ。
 魅了に関しては僕がまったく意識していないから、そのせいもあるんだろうなぁ。
「しょうがないですね。お呼びしますので、ちょっと待ってて下さいね」
『正座待機』
『りょ!』
 視聴者さんたちの要望を聞かないわけにもいかず、僕は二人を呼ぶことになってしまった。
「なんですか。今日はプリンセスだけで配信するのではなかったのですか」
 バトラーが珍しく文句を言ってくる。
「ごめん、視聴者さんたちがものすごく気になっているみたいでね。ちょっとだけでいいから、お願いできるかな?」
「仕方ありませんな。我とラティナ様は、迷路の中身を相談しておるのです。なので、今日のところはプリンセスの進捗報告だけで勘弁願いたい」
「ごめんなさい、みなさん。完成した際には、ぜひとも遊びにいらして下さいね」
 僕がどうしてもとひと言を頼むと、二人ともわざわざドローンに向かって話をしていってくれた。優しいよね、二人とも。
『なるほど、配信ができるのがウィンクちゃんだけだから、そういう形になったのか』
「はい、そうなんです。あんまり配信をしていないとみなさん心配されるでしょうからね。それで、僕だけで進捗報告配信をすることにしたんです」
『そうだったのか』
『正直すまなんだ』
 正直な事情を説明すると、視聴者さんたちはすんなりと納得してくれた。本当にみんな優しいなぁ。
「そんなわけですので、新しい仕掛けを準備してますので、完成した時にはぜひとも遊びに来て下さいね」
『りょ』
『鉱石掘りもあるから、そのうちいくよ』
「それでは、ダンジョンマスターのウィンクでした。みなさん、ごきげんよう」
『おつらみあ~』
 そんなこんなで、いろいろと絡まれてしまったけど、僕は無事に進捗報告配信を終えることができたのだった。
 さぁ、探索者が楽しめるダンジョンを目指すぞ。