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第87話 呪術師との戦い

ー/ー



俺の攻撃は防がれる事なく全て命中した。そして、少なからずダメージを与えられたようだった。

「くっ…!」
デモリアはかすかに声を上げたが、怯むような素振りは見せなかった。
「か…下級の異人にしてはやるじゃない…?でも、この程度でいい気にならないことね!」
そして、再び攻撃をしてきた。
「闇法 [ダークフレーム]」
俺含む数人の足元から黒い火柱が噴き上がった。
高温のものが直に肌に当たった時とはまた違った熱さと痛みが走る。
火柱が消えた後も痛みが残り、地味にキツい…と思ったが、周りを見てみれば同様に攻撃を食らった輝や樹が妙に辛そうにしているのが目に入った。
それで、何となく理解した…これは闇と火の2属性術だ。つまり、本来は火の熱さと闇の熱さを同時に味わうのだ。
俺は火に耐性があるから、闇のダメージだけを受けたのだろう。

「[グリーム]」
「[シャイン]」
すかさず苺と吏廻流が敵討ちとばかりに魔法を放つ。
続いて、俺も魔弾を放った。
「[フレイムラッド]」
だが、いずれもことごとく結界でガードされた。
そこで、「ラスタードヨーヨー」を放つ。
斧を何度も投げて攻撃するだけでなく、結界の破壊も可能な技だ。

結界は3回ほど斧を投げたら割る事ができた。
デモリアは一瞬驚いたが、すぐに反応して斧を巧みに躱し、カウンターしてきた。
「[リィム]」
空中に黒い球が現れた…と思ったら、こちらに突っ込んできた。
反射的に斧を振ったら、幸運にも掻き消す事が出来た。

「ふふ…魔法を掻き消すとはね」
そう言った直後、デモリアは俺の直接攻撃を杖で防いできた。
そのまま腹を蹴られて距離を取られた…かと思ったら杖を構えて高速で突っ込んできた。
素早くジャンプして躱し、落下攻撃の構えを取る。
しかし、デモリアが魔弾を大量に放ってきたために、構えを解くのを余儀なくされた。

魔弾を回避しながら落下したが、あと少しの所で胸に食らってしまった。
だが俺は、一瞬顔を歪めながらも斧を振るい、デモリアに一撃を与えた。
頭にこそ当たらなかったが、胸に縦に一直線の傷を負わせた。

「つくづくやるわね。あなた…確か、一行のリーダーだったかしら?」

「だったら何だ」
デモリアは、また薄気味悪い笑いを浮かべて言った。
「ならば好都合だわ。リーダーを仕留めれば、他のメンバーは士気が下がる…まずは、あなたからやりましょうか」

ここで樹が飛び出し、技を放つ。
「棍技 [海竜衝]」
棍に水をまとわせ、舞うように空中で回転しながら攻撃する。
だが、デモリアは結界を張ってそれを防ぎ、その上で反撃した。
「[ドレイル]」
樹の体から黒い謎の塊が飛び出し、デモリアの体に吸い込まれると同時に、樹は吹き飛んだ。


俺は樹を見、デモリアを見、にわかに驚いた。
なんと、デモリアが回復している。
先ほど、俺が与えた胸の傷が薄くなっているのだ。
「…回復、してる…!?」

すると、デモリアが答えてきた。
「あら、当然でしょう?私は今、そいつの体力を吸ったのだから」

吸った…?と困惑していると、苺が解説してくれた。
「なるほど。黒魔法…あなた達祈祷師系種族が扱う、白魔法と対の属性の魔法ですか。おそらくは、リスペアと対になる吸収魔法を使ったのでしょう」

「さすが、大司祭様はすぐにお気づきになられますね。ですが…そのような解説をされても、無駄な事です」

「あら。それはなぜでしょうか?」

「あなたがいかに私の術や技を分析し、解説しようと、あなた達はみな、ここで終わるのですから…!」

「ふーん…」
苺は言いながら目を閉じ、
「本気で言ってるなら、あなたはとんだ思い違いをしているわね」
と言った。
…『紫』の苺が出てきたようだ。

「さあ、それはどうでしょう?私の杖には、あなた方に対して特効があります。…それでもまだ、そんな事が言えますの?」

苺は、ため息をついた。
「特効。それは確かに厄介ね。でも、だからと言って戦いに勝てるとは限らないでしょう?」

「ならば、お見せしましょうか…!」

デモリアは高速で苺に襲いかかった。
そして第一撃を防がれた後、高速で連続攻撃を加えた。
だが、苺はその全てを杖で防いだ。

「な…何、ですって…?」
怒涛の連撃を防がれ、デモリアは息を切らしながら唸った。
「どうして?どうして一撃も入らないの…?」



その時、俺は瞬時に閃き、そして動き出す。
もう一度剣を抜き、デモリアに背後から飛びかかった。
そして、もう一度あの技を決める。

「奥義 [火剣の舞い]」
今度は、全てが背中にクリーンヒットした。



「なっ…!?」
デモリアは驚きの声を上げた。
それは2度も同じ技を受けたことにか、それとも体に、小さな炎の丸い魔法陣…炎陣(えんじん)を受けたことにか。

魔法陣と言うと、大抵の人は怪しい儀式の時に床に描かれるアレが思い浮かぶだろうが、ここで言うのはその魔法陣ではない。
正式名称を『魔法効果付与陣』と言い、取り付けたものに特定の術や魔法の効果を付与する魔法の一種だ。
その中の一つである炎陣は、取り付けた相手の全体あるいは一部に『火耐性減少』の効果を付与する…その名の通り、火に弱くなるのだ。
もちろん永続的な効果ではないが、それでも属性攻撃が通りやすくなるのはかなり助か
る。

あの奥義は、確率でではあるが炎陣を相手に付与することが出来る。
今度は、上手く決まってよかった。
すぐにデモリアは振り向いて反撃しようとしてくるので、素早く飛び退く。

これは、自分のためではない。
むしろ、仲間のためだ。

俺が飛び退くのと入れ替わりにメリムが飛び出し、炎陣目掛けて燃え盛る大剣を振るう。



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俺の攻撃は防がれる事なく全て命中した。そして、少なからずダメージを与えられたようだった。
「くっ…!」
デモリアはかすかに声を上げたが、怯むような素振りは見せなかった。
「か…下級の異人にしてはやるじゃない…?でも、この程度でいい気にならないことね!」
そして、再び攻撃をしてきた。
「闇法 [ダークフレーム]」
俺含む数人の足元から黒い火柱が噴き上がった。
高温のものが直に肌に当たった時とはまた違った熱さと痛みが走る。
火柱が消えた後も痛みが残り、地味にキツい…と思ったが、周りを見てみれば同様に攻撃を食らった輝や樹が妙に辛そうにしているのが目に入った。
それで、何となく理解した…これは闇と火の2属性術だ。つまり、本来は火の熱さと闇の熱さを同時に味わうのだ。
俺は火に耐性があるから、闇のダメージだけを受けたのだろう。
「[グリーム]」
「[シャイン]」
すかさず苺と吏廻流が敵討ちとばかりに魔法を放つ。
続いて、俺も魔弾を放った。
「[フレイムラッド]」
だが、いずれもことごとく結界でガードされた。
そこで、「ラスタードヨーヨー」を放つ。
斧を何度も投げて攻撃するだけでなく、結界の破壊も可能な技だ。
結界は3回ほど斧を投げたら割る事ができた。
デモリアは一瞬驚いたが、すぐに反応して斧を巧みに躱し、カウンターしてきた。
「[リィム]」
空中に黒い球が現れた…と思ったら、こちらに突っ込んできた。
反射的に斧を振ったら、幸運にも掻き消す事が出来た。
「ふふ…魔法を掻き消すとはね」
そう言った直後、デモリアは俺の直接攻撃を杖で防いできた。
そのまま腹を蹴られて距離を取られた…かと思ったら杖を構えて高速で突っ込んできた。
素早くジャンプして躱し、落下攻撃の構えを取る。
しかし、デモリアが魔弾を大量に放ってきたために、構えを解くのを余儀なくされた。
魔弾を回避しながら落下したが、あと少しの所で胸に食らってしまった。
だが俺は、一瞬顔を歪めながらも斧を振るい、デモリアに一撃を与えた。
頭にこそ当たらなかったが、胸に縦に一直線の傷を負わせた。
「つくづくやるわね。あなた…確か、一行のリーダーだったかしら?」
「だったら何だ」
デモリアは、また薄気味悪い笑いを浮かべて言った。
「ならば好都合だわ。リーダーを仕留めれば、他のメンバーは士気が下がる…まずは、あなたからやりましょうか」
ここで樹が飛び出し、技を放つ。
「棍技 [海竜衝]」
棍に水をまとわせ、舞うように空中で回転しながら攻撃する。
だが、デモリアは結界を張ってそれを防ぎ、その上で反撃した。
「[ドレイル]」
樹の体から黒い謎の塊が飛び出し、デモリアの体に吸い込まれると同時に、樹は吹き飛んだ。
俺は樹を見、デモリアを見、にわかに驚いた。
なんと、デモリアが回復している。
先ほど、俺が与えた胸の傷が薄くなっているのだ。
「…回復、してる…!?」
すると、デモリアが答えてきた。
「あら、当然でしょう?私は今、そいつの体力を吸ったのだから」
吸った…?と困惑していると、苺が解説してくれた。
「なるほど。黒魔法…あなた達祈祷師系種族が扱う、白魔法と対の属性の魔法ですか。おそらくは、リスペアと対になる吸収魔法を使ったのでしょう」
「さすが、大司祭様はすぐにお気づきになられますね。ですが…そのような解説をされても、無駄な事です」
「あら。それはなぜでしょうか?」
「あなたがいかに私の術や技を分析し、解説しようと、あなた達はみな、ここで終わるのですから…!」
「ふーん…」
苺は言いながら目を閉じ、
「本気で言ってるなら、あなたはとんだ思い違いをしているわね」
と言った。
…『紫』の苺が出てきたようだ。
「さあ、それはどうでしょう?私の杖には、あなた方に対して特効があります。…それでもまだ、そんな事が言えますの?」
苺は、ため息をついた。
「特効。それは確かに厄介ね。でも、だからと言って戦いに勝てるとは限らないでしょう?」
「ならば、お見せしましょうか…!」
デモリアは高速で苺に襲いかかった。
そして第一撃を防がれた後、高速で連続攻撃を加えた。
だが、苺はその全てを杖で防いだ。
「な…何、ですって…?」
怒涛の連撃を防がれ、デモリアは息を切らしながら唸った。
「どうして?どうして一撃も入らないの…?」
その時、俺は瞬時に閃き、そして動き出す。
もう一度剣を抜き、デモリアに背後から飛びかかった。
そして、もう一度あの技を決める。
「奥義 [火剣の舞い]」
今度は、全てが背中にクリーンヒットした。
「なっ…!?」
デモリアは驚きの声を上げた。
それは2度も同じ技を受けたことにか、それとも体に、小さな炎の丸い魔法陣…|炎陣《えんじん》を受けたことにか。
魔法陣と言うと、大抵の人は怪しい儀式の時に床に描かれるアレが思い浮かぶだろうが、ここで言うのはその魔法陣ではない。
正式名称を『魔法効果付与陣』と言い、取り付けたものに特定の術や魔法の効果を付与する魔法の一種だ。
その中の一つである炎陣は、取り付けた相手の全体あるいは一部に『火耐性減少』の効果を付与する…その名の通り、火に弱くなるのだ。
もちろん永続的な効果ではないが、それでも属性攻撃が通りやすくなるのはかなり助か
る。
あの奥義は、確率でではあるが炎陣を相手に付与することが出来る。
今度は、上手く決まってよかった。
すぐにデモリアは振り向いて反撃しようとしてくるので、素早く飛び退く。
これは、自分のためではない。
むしろ、仲間のためだ。
俺が飛び退くのと入れ替わりにメリムが飛び出し、炎陣目掛けて燃え盛る大剣を振るう。