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【少しこわい話】梅酒

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 老婆が梅酒を作っていた。瓶に注がれた焼酎の底に沈んでいる梅の実を見て、孫の男の子が尋ねた。「これは何をしているの」老婆は答えた。「梅の味がするお酒を作っているのさ」やがてその梅酒が出来上がり、老婆がそれを飲んでいたある夜、孫の姿が見えない。老婆が家を探すと、孫は、暗い部屋の真ん中で、コップで水を飲んでいた。「何してるんだい」老婆はそう声をかけて部屋の電気をつけた。すると、孫が握りしめているコップに注がれた水の底に、何かが沈んでいるのがわかった。老婆が目をこらすと、それは女の子を象った人形の、首だった。人形の首を漬けた水を、孫は飲んでいた。「何してるんだい」老婆が恐る恐るそう尋ねると、孫はとろんとした目で、老婆をじっと見つめた。そして、口の端を歪め、嫌な音のげっぷを放った。


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