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SCENE092 たまには雑談もいいよね

ー/ー



「こんにちは~、ダンジョンマスターのウィンクです」

「えと、あの……。ゴーレムのラティナ・ロックウェルです」

 今日の僕は、意味もなく配信を行うことにした。
 衣織お姉さんが持ってきた勉強もしているけれど、さすがにそればっかりだと滅入ってきちゃうもの。
 そんなわけで、気晴らしに配信をして見ることにした。
 僕だけでやるのも何かと思ったし、ラティナさんにはこちらの世界に慣れてもらうということで、配信に参加してもらっている。

『こんらみあ~』

『ウィンクちゃんは今日も可愛いな』

『おや、こないだの配信に映っていたゴーレムの子じゃないか』

『岩だらけの姿なのに、なんでかかわいく見えるな』

 僕に反応する視聴者さんたちが多いものの、やっぱりラティナさんにも反応をしている。新しい子だからしょうがないよね。
 ラティナさんは緊張しているせいか、堅い体がさらにガチガチに固くなってしまっている。

『そういえば、その子はどうやってここまで来たんだ?』

 とある視聴者さんが、ラティナさんのことに興味を示した。
 確かにそうだよね。ここは元々無人ダンジョンで、僕がバトラーの手によってダンジョンマスターに選ばれたことで通常のダンジョンに生まれ変わった場所だからね。
 そんな特殊なダンジョンなのに、ラティナさんがどうやってやって来たのかは、とても気になるよね。

「ラティナさん、話してもだいじょうな内容かな?」

「えと、その……。衣織様からは話さない方がいいという風には言われております。なので、できれば秘密でお願いします」

 僕が尋ねると、ラティナさんはそのように答えていた。
 衣織お姉さんから口止めされているのか。まあ、確かに普通じゃ考えられない方法だしなぁ。他のモンスターに試して、面倒になっても困るから、黙っていた方がいいという判断には頷ける。

『げげっ、鬼百合の衣織が関わっているのか』

『それじゃ、俺らは下手に追及しない方がいいな』

『鬼百合は怒らせたら怖いからな』

 あっ、衣織お姉さんの名前が出た瞬間に、視聴者さんたちが勝手に黙り始めちゃった。すごいなぁ、衣織お姉さん。
 でも、それだけ怖がられるって、普段の衣織お姉さんは一体何をしてるんだろう……。
 気にはなるけど、これは聞いちゃいけないやつだよね。うん、やめておこう。僕だって、衣織お姉さんに怒られるのはやだもん。
 ラティナさんは照れくさそうに笑っているけど、みんなはそれどころじゃない感じだよ。

「さて、今日の配信ですけれど、特に何も話題がありません。なので、適当にみなさんの質問に答えていこうかと思っています」

『話題もないのに配信してるんだ』

『まあいいじゃないか、たまには雑談も』

『せやね』

 視聴者さんたちはノリがいいので、こういう時は本当に助かるな。
 これも、種族特性の魅了のおかげなんだろうかな?

『ウィンクちゃんは普段は何をしてるの?』

 早速質問が飛んでくる。

「はい、最近は勉強ですね。僕は普通の学生でしたから、勉強はやっぱり欠かせないと思うんです。そしたら、衣織お姉さんからおさがりの教科書をたくさんもらっちゃいました」

『鬼百合はこういうところでも遠慮がねえな』

『ちょっと待って、鬼百合より年下になるってこと?』

『ウィンクちゃん、失礼は承知で聞くけど、今いくつなの?』

「はい、今年で十五歳です」

『ファーッ!』

『入っちゃいかん年齢でダンジョン突撃したのか』

『それでダンジョンマスターになるとか、波乱すぎん?』

 思いっきり驚かれちゃってるなぁ。僕っていくつに思われていたんだろう。

「クラスの友人に無理やり誘われたんですよね。そこで巨大なへびの状態のバトラーと出会って、僕は見捨てられてこうなったんですよ」

『うわぁ・・・』

『そいつ最悪やな』

『まあ、適性年齢じゃなきゃあ、そうなるのも分かるが・・・引くわぁ』

 僕が正直に話すと、視聴者さんたちはドン引きしていた。
 まあしょうがないよね。ダンジョンに潜れる高校生にも満たない僕たちが勝手に潜り込んで、こういうことになってるんだからね。そりゃ、一緒に入ったみんなが非難されてもしょうがないか。

『それにしても、バトラーさんって人型以外の姿もあるのか』

「ええ、ございますとも。プリンセスを迎えた時の巨大なへびも、我の姿のひとつでございます」

 リスナーの反応に、バトラーはしっかりと反応していた。

「ウィンク様、それは災難でございましたね」

「まあ、今となってはこれでよかったと思いますよ」

 ラティナさんが同情してくれたけれど、僕はそう言ってにっこりと笑っていた。
 ちょっとしんみりしちゃったけど、その後も僕たちは視聴者さんたちを交えながらの雑談配信を続けた。
 ラティナさんは話を振られた際にちょっとびっくりするような反応をしていたけど、なんとか視聴者のみなさんと言葉を交わすことはできたみたいだ。僕の配信の視聴者さんたちは弁えているし、優しいからね。おかげで最後の方ではラティナさんも、緊張がほぐれていたみたい。

「それでは、そろそろ終わりにしましょうか」

『ええ、もうなの?』

 僕が限界かなと思って終わりにしようかとしたら、視聴者さんは残念そうにしていた。

「はい、ラティナさんがちょっと疲れてしまったみたいですからね」

『なるほど』

『慣れてないと、まあ疲れるよね』

『了解、我々も撤退する』

「それでは、本当に今日はお付き合いくださり、ありがとうございました。また次の配信を楽しみにしていて下さい」

『おつらみあ~』

 こうして、今日の配信は無事に終えることができた。
 あとでダンジョンポイントを確認してみたけど、やっぱり思ったより増えてない。なんでだろうね……。


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「こんにちは~、ダンジョンマスターのウィンクです」
「えと、あの……。ゴーレムのラティナ・ロックウェルです」
 今日の僕は、意味もなく配信を行うことにした。
 衣織お姉さんが持ってきた勉強もしているけれど、さすがにそればっかりだと滅入ってきちゃうもの。
 そんなわけで、気晴らしに配信をして見ることにした。
 僕だけでやるのも何かと思ったし、ラティナさんにはこちらの世界に慣れてもらうということで、配信に参加してもらっている。
『こんらみあ~』
『ウィンクちゃんは今日も可愛いな』
『おや、こないだの配信に映っていたゴーレムの子じゃないか』
『岩だらけの姿なのに、なんでかかわいく見えるな』
 僕に反応する視聴者さんたちが多いものの、やっぱりラティナさんにも反応をしている。新しい子だからしょうがないよね。
 ラティナさんは緊張しているせいか、堅い体がさらにガチガチに固くなってしまっている。
『そういえば、その子はどうやってここまで来たんだ?』
 とある視聴者さんが、ラティナさんのことに興味を示した。
 確かにそうだよね。ここは元々無人ダンジョンで、僕がバトラーの手によってダンジョンマスターに選ばれたことで通常のダンジョンに生まれ変わった場所だからね。
 そんな特殊なダンジョンなのに、ラティナさんがどうやってやって来たのかは、とても気になるよね。
「ラティナさん、話してもだいじょうな内容かな?」
「えと、その……。衣織様からは話さない方がいいという風には言われております。なので、できれば秘密でお願いします」
 僕が尋ねると、ラティナさんはそのように答えていた。
 衣織お姉さんから口止めされているのか。まあ、確かに普通じゃ考えられない方法だしなぁ。他のモンスターに試して、面倒になっても困るから、黙っていた方がいいという判断には頷ける。
『げげっ、鬼百合の衣織が関わっているのか』
『それじゃ、俺らは下手に追及しない方がいいな』
『鬼百合は怒らせたら怖いからな』
 あっ、衣織お姉さんの名前が出た瞬間に、視聴者さんたちが勝手に黙り始めちゃった。すごいなぁ、衣織お姉さん。
 でも、それだけ怖がられるって、普段の衣織お姉さんは一体何をしてるんだろう……。
 気にはなるけど、これは聞いちゃいけないやつだよね。うん、やめておこう。僕だって、衣織お姉さんに怒られるのはやだもん。
 ラティナさんは照れくさそうに笑っているけど、みんなはそれどころじゃない感じだよ。
「さて、今日の配信ですけれど、特に何も話題がありません。なので、適当にみなさんの質問に答えていこうかと思っています」
『話題もないのに配信してるんだ』
『まあいいじゃないか、たまには雑談も』
『せやね』
 視聴者さんたちはノリがいいので、こういう時は本当に助かるな。
 これも、種族特性の魅了のおかげなんだろうかな?
『ウィンクちゃんは普段は何をしてるの?』
 早速質問が飛んでくる。
「はい、最近は勉強ですね。僕は普通の学生でしたから、勉強はやっぱり欠かせないと思うんです。そしたら、衣織お姉さんからおさがりの教科書をたくさんもらっちゃいました」
『鬼百合はこういうところでも遠慮がねえな』
『ちょっと待って、鬼百合より年下になるってこと?』
『ウィンクちゃん、失礼は承知で聞くけど、今いくつなの?』
「はい、今年で十五歳です」
『ファーッ!』
『入っちゃいかん年齢でダンジョン突撃したのか』
『それでダンジョンマスターになるとか、波乱すぎん?』
 思いっきり驚かれちゃってるなぁ。僕っていくつに思われていたんだろう。
「クラスの友人に無理やり誘われたんですよね。そこで巨大なへびの状態のバトラーと出会って、僕は見捨てられてこうなったんですよ」
『うわぁ・・・』
『そいつ最悪やな』
『まあ、適性年齢じゃなきゃあ、そうなるのも分かるが・・・引くわぁ』
 僕が正直に話すと、視聴者さんたちはドン引きしていた。
 まあしょうがないよね。ダンジョンに潜れる高校生にも満たない僕たちが勝手に潜り込んで、こういうことになってるんだからね。そりゃ、一緒に入ったみんなが非難されてもしょうがないか。
『それにしても、バトラーさんって人型以外の姿もあるのか』
「ええ、ございますとも。プリンセスを迎えた時の巨大なへびも、我の姿のひとつでございます」
 リスナーの反応に、バトラーはしっかりと反応していた。
「ウィンク様、それは災難でございましたね」
「まあ、今となってはこれでよかったと思いますよ」
 ラティナさんが同情してくれたけれど、僕はそう言ってにっこりと笑っていた。
 ちょっとしんみりしちゃったけど、その後も僕たちは視聴者さんたちを交えながらの雑談配信を続けた。
 ラティナさんは話を振られた際にちょっとびっくりするような反応をしていたけど、なんとか視聴者のみなさんと言葉を交わすことはできたみたいだ。僕の配信の視聴者さんたちは弁えているし、優しいからね。おかげで最後の方ではラティナさんも、緊張がほぐれていたみたい。
「それでは、そろそろ終わりにしましょうか」
『ええ、もうなの?』
 僕が限界かなと思って終わりにしようかとしたら、視聴者さんは残念そうにしていた。
「はい、ラティナさんがちょっと疲れてしまったみたいですからね」
『なるほど』
『慣れてないと、まあ疲れるよね』
『了解、我々も撤退する』
「それでは、本当に今日はお付き合いくださり、ありがとうございました。また次の配信を楽しみにしていて下さい」
『おつらみあ~』
 こうして、今日の配信は無事に終えることができた。
 あとでダンジョンポイントを確認してみたけど、やっぱり思ったより増えてない。なんでだろうね……。