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小説家になりたい

ー/ー



 エリシアは退屈を紛らわすために、ふと思いつきでWEBサイト「小説家になろう」に登録し、小説を執筆することにした。



「ふふん、私の文才であれば、簡単にランキングのトップに躍り出ることでしょう。」



 優雅な微笑みを浮かべながら、エリシアは完璧な文章を書き上げたつもりで投稿ボタンをクリックした。

 内容は壮大な魔法ファンタジーで、主人公はもちろん自分をモデルにした最強の魔術師。物語のすべてがエリシアを中心に回り、敵も味方も彼女のために動くという、自信満々の設定だ。



「これで読者たちが私の才能にひれ伏すのも時間の問題ですわね。」



 満足げにパソコンの画面を閉じ、一息つく。



 ——翌日。



 エリシアは期待に胸を膨らませながら、投稿した小説のアクセス数を確認するために再びサイトを開いた。



「さて、どれだけ読まれているのかしら……。」



アクセス数:ゼロ。



「……は?」



 エリシアは目を疑った。何度リロードしても数字は変わらない。



「そんなはずはありませんわ!私の作品が誰にも読まれないなんて、何かの間違いに決まってますわ!」



 彼女は愕然としながらも、次の作品を書き始めた。彼女にとって、諦めるという選択肢はなかったのだ。



 アクセス数ゼロの現実を目の当たりにしたエリシアは、次にランキング上位の小説をチェックすることにした。



「ふぅん、上位作品がどんなものか見れば、私の作品との差が分かりますわね。」



 彼女は軽い気持ちでランキング1位の小説をクリックし、冒頭から読み始めた——が、すぐに眉をひそめた。



「なんですの、これ!?しょーもない!」



 エリシアの顔には露骨な不満が浮かぶ。



「またハーレム展開ですの?ヒロイン多すぎではなくて?何人いるんですのよ!」



 さらに読み進めていくと、作品内でやたらと登場する「ステータス」や「スキル」の描写にも苛立ちを覚える。



「謎のステータス制度って何ですの?『筋力+10』とか『スキル:炎の剣Lv.3』とか、こんなのただの数字遊びじゃありませんの!」



 主人公の性格描写にも容赦ない評価を下す。



「良い人すぎますわよ!こんな都合の良い性格、誰が共感するんですの!リアル感ゼロですわ!」



 彼女はランキング上位の他の作品もいくつか読み進めてみたが、どれも似たような展開ばかりで、全くお気に召さない。



「こんな作品が評価されるなんて、この世界の読者の目は節穴ですわね!」



 エリシアは激しく憤慨しながらも、負けず嫌いな性格が新たな創作意欲を掻き立てる。



「いいでしょう!これらをすべて凌駕する傑作を私が書いて見せますわ!」



 そう言いながら、彼女は再びキーボードを叩き始めた。だが、その勢いとは裏腹に、次の作品が読者に届くかどうかはまだ誰にも分からないのだった。



 エリシアはランキング上位の小説を一通りチェックし終えた後、デスクに向かって腕を組んだ。



「ハーレム展開も、ステータス制度も、善良すぎる主人公も……どれもつまらないですわ。」



 彼女は自分にしか書けない、読者を惹きつける物語を考え始めた。そして、しばらく頭を悩ませた末に、ようやくアイデアが閃いた。



「そうですわ!これなら誰にも真似できませんわね。」

 エリシアが思いついたのは、次のようなストーリーだった。



 ——最強の魔術師と宇宙一の殺し屋が、テロリストに奪われたお宝を巡って手を組む……かと思いきや、お互いに裏切りと協力を繰り返しながら、それぞれの思惑で動くハードボイルドな物語。

 魔術師はお宝を取り戻すことで自らの力をさらに高めようとし、殺し屋は依頼人にお宝を届けることで莫大な報酬を狙う。

 しかし、二人の行動は次第にテロリストとの全面衝突だけでなく、世界そのものを巻き込む大事件へと発展していく……。



 エリシアはパソコンに向かってキーボードを叩き始めた。



「最強の魔術師と宇宙一の殺し屋。どちらも譲れない信念を持ちながらも、時には共闘し、時には裏切る。この緊張感がたまりませんわね!」



 彼女の脳裏には、激しい戦闘シーンや駆け引き、どんでん返しの数々が浮かび上がっていく。



「ふふふ……これでランキング上位を独占してやりますわ!」



 エリシアの創作意欲は最高潮に達し、次々とアイデアが文章となっていく。これが成功するかどうかはさておき、彼女の熱意だけは間違いなく本物だった。



 エリシアは試行錯誤を重ねながら、ようやく5話分のストーリーを投稿し終えた。



 執筆にはかなりの時間と労力を要したが、彼女はその仕上がりに自信を持っていた。



「これで読者たちが私の才能を認めざるを得なくなるはずですわ!」



 そう言いながら、満足げに画面を閉じ、数日後——。

 再びサイトを開き、PV(ページビュー)とユニークアクセス数を確認する。



「さて、どれくらい読まれているのかしら……?」



 すると、画面に表示されたのは驚きの数字だった。



 PV:1
 ユニーク:1



「……誰か読んでる!!」



 エリシアは思わず席を立ち上がった。たった1人、されど1人。初めて誰かが自分の作品を読んだという事実に、彼女は胸が高鳴った。



「ふふっ、ついに私の才能を見抜いた読者が現れましたわね!」



 それが偶然かどうかは関係ない。エリシアにとって、この1アクセスは何よりも大きな励みだった。



「これは序章ですわ!この調子で作品を書き続ければ、ランキング上位も夢ではありませんわね!」



 エリシアは新たな意欲を胸に、次の話を書くために再びキーボードを叩き始めた。どんなに少ない読者でも、彼女にとっては立派なファンなのだから——。



 エリシアはその後も執筆を続け、次々と新しい話を投稿していった。

 ストーリーは加速し、最強の魔術師と宇宙一の殺し屋の激しい駆け引きや裏切りが描かれる展開に、自分でも手応えを感じていた。

 そして、サイトを開いてPVとユニークアクセス数を確認するたびに、決まって誰かが読んでいることを知る。



 PV:15
 ユニーク:1



「ふふふ……毎回、しっかり読んでくれていますわね!」



 たった一人の読者だが、その存在はエリシアの創作意欲を支えていた。



「いけますわよ〜!きっとこの読者が次第に広めてくれるに違いありませんわ!」



 エリシアはそう自信満々に宣言し、さらに作品を書き続けた。たとえ数が少なくても、彼女にとって「誰かが読んでいる」という事実は、何よりのモチベーションだった。



「次の話ではもっと衝撃的などんでん返しを入れますわ!これでアクセス数が爆発的に伸びるのは間違いありませんわね!」



 エリシアはキーボードを叩きながら、未来の成功に思いを馳せていた。



 エリシアは、最近の執筆活動の成果をヴァイに自慢げに話した。



「というわけで、私の物語が完成すれば、いずれ書籍化することも夢ではありませんわ!その時はあなたに宣伝を依頼しますから、よろしくお願いしますわね。」



 ヴァイは苦笑いしながら、エリシアの話に耳を傾けていたが、聞き終わると声を上げてツッコんだ。



「おいおい!ランキングの底の底じゃねえか!」



 エリシアはムッとしながら腕を組む。



「何を言いますの?最初はみんなそんなものですわ。それに、着実にPVも増えているのですわよ!」



「増えてるって……15PVでユニーク1だろ?そりゃ熱心な読者1人が何度も読んでるだけじゃねえか!」



「その1人が重要なんですの!」



 エリシアは声を張り上げて反論する。



「その読者が口コミで広げて、やがて読者が増えるに決まっていますわ!今がその土台作りの段階ですのよ!」



 ヴァイは肩をすくめて笑った。



「ま、そいつが本当に広めてくれればな。けどよ、宣伝ってオレがやるのかよ?殺し屋のオレ様が?」



 エリシアは微笑みながら言った。



「ええ、宇宙一の殺し屋が宣伝しているとなれば、それだけで話題になりますわ。」



「おいおい、逆に怪しすぎるだろ!」



 ヴァイは呆れたように頭を抱えたが、エリシアの自信満々な態度は変わらなかった。



「大丈夫ですわよ。私の書籍化が現実になったら、あなたもファンの一人になるに決まっていますわ!」



 ヴァイはエリシアから教えられた小説のページにアクセスしてみた。



「どれどれ、どんなもんか見てやるか……。」



 ページを開いて適当に目を通した後、興味本位でサイトのアナリティクスデータを確認する。すると——



 アクセス元: Googleウェブクローラー



「おいおいおいおいおい!」



 ヴァイは爆笑しながら頭を抱えた。



「これ、読者って……人間じゃねえじゃねえかよ!検索エンジンのクローラーだろ!」



 エリシアにその結果を報告すると、彼女は一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに気を取り直して堂々と言い放った。



「ふふん、それも立派なアクセス数ですわね。私の作品がいかに価値あるものか、検索エンジンにまで認められている証拠ですわ!」



 ヴァイはさらに爆笑しながらツッコむ。



「いやいや!機械だぜ!?お前のストーリー読んでるわけじゃねえから!」






 ヴァイは全速力で走りながら、背後から迫る火球や氷の矢をひょいひょい避けていた。




「良いじゃねーかよ!ウェブクローラーさんを楽しませてやれヨォ!」



 背後では、完全にブチ切れたエリシアが奇声を上げながら追いかけてくる。



「きえええぇええぇええ〜!」



 彼女の手からは次々と強力な魔法が放たれ、火球は地面を焦がし、氷の矢はヴァイの足元を凍りつかせる勢いで迫っていた。



「貴様ァ!そんなバカにする発言、許しませんわよ!私の作品がどれほど偉大か、骨の髄まで教えて差し上げますわ!」



 ヴァイは振り返りもせず笑いながら叫ぶ。



「偉大だって!?まだ人間が読んでねえのにか!?ハッハッハ!」

「黙れえええぇぇぇ!」



 エリシアの怒りの火力は増すばかりで、魔法の威力もさらに強力になっていく。一方のヴァイは、それをいとも簡単に避けながら軽口を叩き続ける。



「いやー、オレ様がウェブクローラーだったら5話全部読むぜぇ!そしたらPVもっと増えるだろ?」



「そんな余計なこと言ってないで止まりなさいませ!このッ、無礼者ォ!」



 こうして追いかけっこは続き、周囲を巻き込みながら二人の激闘はヒートアップしていくのだった。


おわり




 エリシアは執筆を続けているうちに、ついに待望の感想コメントが付いたことに気づいた。



「おぉ!」



 喜びのあまり声を上げながら、意気揚々とコメント欄を開く。しかし、そこに書かれていたのは——。






ニックネーム: vai
評価: 1/5
コメント: くっそつまんねええなああ!
マクドの包み紙の方が読み応えあったぜ!?




作者の返信:
しね、きえろ。
だったらお前がお書きあそばせ。


















次のエピソードへ進む 大食い企画


みんなのリアクション

 エリシアは退屈を紛らわすために、ふと思いつきでWEBサイト「小説家になろう」に登録し、小説を執筆することにした。
「ふふん、私の文才であれば、簡単にランキングのトップに躍り出ることでしょう。」
 優雅な微笑みを浮かべながら、エリシアは完璧な文章を書き上げたつもりで投稿ボタンをクリックした。
 内容は壮大な魔法ファンタジーで、主人公はもちろん自分をモデルにした最強の魔術師。物語のすべてがエリシアを中心に回り、敵も味方も彼女のために動くという、自信満々の設定だ。
「これで読者たちが私の才能にひれ伏すのも時間の問題ですわね。」
 満足げにパソコンの画面を閉じ、一息つく。
 ——翌日。
 エリシアは期待に胸を膨らませながら、投稿した小説のアクセス数を確認するために再びサイトを開いた。
「さて、どれだけ読まれているのかしら……。」
アクセス数:ゼロ。
「……は?」
 エリシアは目を疑った。何度リロードしても数字は変わらない。
「そんなはずはありませんわ!私の作品が誰にも読まれないなんて、何かの間違いに決まってますわ!」
 彼女は愕然としながらも、次の作品を書き始めた。彼女にとって、諦めるという選択肢はなかったのだ。
 アクセス数ゼロの現実を目の当たりにしたエリシアは、次にランキング上位の小説をチェックすることにした。
「ふぅん、上位作品がどんなものか見れば、私の作品との差が分かりますわね。」
 彼女は軽い気持ちでランキング1位の小説をクリックし、冒頭から読み始めた——が、すぐに眉をひそめた。
「なんですの、これ!?しょーもない!」
 エリシアの顔には露骨な不満が浮かぶ。
「またハーレム展開ですの?ヒロイン多すぎではなくて?何人いるんですのよ!」
 さらに読み進めていくと、作品内でやたらと登場する「ステータス」や「スキル」の描写にも苛立ちを覚える。
「謎のステータス制度って何ですの?『筋力+10』とか『スキル:炎の剣Lv.3』とか、こんなのただの数字遊びじゃありませんの!」
 主人公の性格描写にも容赦ない評価を下す。
「良い人すぎますわよ!こんな都合の良い性格、誰が共感するんですの!リアル感ゼロですわ!」
 彼女はランキング上位の他の作品もいくつか読み進めてみたが、どれも似たような展開ばかりで、全くお気に召さない。
「こんな作品が評価されるなんて、この世界の読者の目は節穴ですわね!」
 エリシアは激しく憤慨しながらも、負けず嫌いな性格が新たな創作意欲を掻き立てる。
「いいでしょう!これらをすべて凌駕する傑作を私が書いて見せますわ!」
 そう言いながら、彼女は再びキーボードを叩き始めた。だが、その勢いとは裏腹に、次の作品が読者に届くかどうかはまだ誰にも分からないのだった。
 エリシアはランキング上位の小説を一通りチェックし終えた後、デスクに向かって腕を組んだ。
「ハーレム展開も、ステータス制度も、善良すぎる主人公も……どれもつまらないですわ。」
 彼女は自分にしか書けない、読者を惹きつける物語を考え始めた。そして、しばらく頭を悩ませた末に、ようやくアイデアが閃いた。
「そうですわ!これなら誰にも真似できませんわね。」
 エリシアが思いついたのは、次のようなストーリーだった。
 ——最強の魔術師と宇宙一の殺し屋が、テロリストに奪われたお宝を巡って手を組む……かと思いきや、お互いに裏切りと協力を繰り返しながら、それぞれの思惑で動くハードボイルドな物語。
 魔術師はお宝を取り戻すことで自らの力をさらに高めようとし、殺し屋は依頼人にお宝を届けることで莫大な報酬を狙う。
 しかし、二人の行動は次第にテロリストとの全面衝突だけでなく、世界そのものを巻き込む大事件へと発展していく……。
 エリシアはパソコンに向かってキーボードを叩き始めた。
「最強の魔術師と宇宙一の殺し屋。どちらも譲れない信念を持ちながらも、時には共闘し、時には裏切る。この緊張感がたまりませんわね!」
 彼女の脳裏には、激しい戦闘シーンや駆け引き、どんでん返しの数々が浮かび上がっていく。
「ふふふ……これでランキング上位を独占してやりますわ!」
 エリシアの創作意欲は最高潮に達し、次々とアイデアが文章となっていく。これが成功するかどうかはさておき、彼女の熱意だけは間違いなく本物だった。
 エリシアは試行錯誤を重ねながら、ようやく5話分のストーリーを投稿し終えた。
 執筆にはかなりの時間と労力を要したが、彼女はその仕上がりに自信を持っていた。
「これで読者たちが私の才能を認めざるを得なくなるはずですわ!」
 そう言いながら、満足げに画面を閉じ、数日後——。
 再びサイトを開き、PV(ページビュー)とユニークアクセス数を確認する。
「さて、どれくらい読まれているのかしら……?」
 すると、画面に表示されたのは驚きの数字だった。
 PV:1
 ユニーク:1
「……誰か読んでる!!」
 エリシアは思わず席を立ち上がった。たった1人、されど1人。初めて誰かが自分の作品を読んだという事実に、彼女は胸が高鳴った。
「ふふっ、ついに私の才能を見抜いた読者が現れましたわね!」
 それが偶然かどうかは関係ない。エリシアにとって、この1アクセスは何よりも大きな励みだった。
「これは序章ですわ!この調子で作品を書き続ければ、ランキング上位も夢ではありませんわね!」
 エリシアは新たな意欲を胸に、次の話を書くために再びキーボードを叩き始めた。どんなに少ない読者でも、彼女にとっては立派なファンなのだから——。
 エリシアはその後も執筆を続け、次々と新しい話を投稿していった。
 ストーリーは加速し、最強の魔術師と宇宙一の殺し屋の激しい駆け引きや裏切りが描かれる展開に、自分でも手応えを感じていた。
 そして、サイトを開いてPVとユニークアクセス数を確認するたびに、決まって誰かが読んでいることを知る。
 PV:15
 ユニーク:1
「ふふふ……毎回、しっかり読んでくれていますわね!」
 たった一人の読者だが、その存在はエリシアの創作意欲を支えていた。
「いけますわよ〜!きっとこの読者が次第に広めてくれるに違いありませんわ!」
 エリシアはそう自信満々に宣言し、さらに作品を書き続けた。たとえ数が少なくても、彼女にとって「誰かが読んでいる」という事実は、何よりのモチベーションだった。
「次の話ではもっと衝撃的などんでん返しを入れますわ!これでアクセス数が爆発的に伸びるのは間違いありませんわね!」
 エリシアはキーボードを叩きながら、未来の成功に思いを馳せていた。
 エリシアは、最近の執筆活動の成果をヴァイに自慢げに話した。
「というわけで、私の物語が完成すれば、いずれ書籍化することも夢ではありませんわ!その時はあなたに宣伝を依頼しますから、よろしくお願いしますわね。」
 ヴァイは苦笑いしながら、エリシアの話に耳を傾けていたが、聞き終わると声を上げてツッコんだ。
「おいおい!ランキングの底の底じゃねえか!」
 エリシアはムッとしながら腕を組む。
「何を言いますの?最初はみんなそんなものですわ。それに、着実にPVも増えているのですわよ!」
「増えてるって……15PVでユニーク1だろ?そりゃ熱心な読者1人が何度も読んでるだけじゃねえか!」
「その1人が重要なんですの!」
 エリシアは声を張り上げて反論する。
「その読者が口コミで広げて、やがて読者が増えるに決まっていますわ!今がその土台作りの段階ですのよ!」
 ヴァイは肩をすくめて笑った。
「ま、そいつが本当に広めてくれればな。けどよ、宣伝ってオレがやるのかよ?殺し屋のオレ様が?」
 エリシアは微笑みながら言った。
「ええ、宇宙一の殺し屋が宣伝しているとなれば、それだけで話題になりますわ。」
「おいおい、逆に怪しすぎるだろ!」
 ヴァイは呆れたように頭を抱えたが、エリシアの自信満々な態度は変わらなかった。
「大丈夫ですわよ。私の書籍化が現実になったら、あなたもファンの一人になるに決まっていますわ!」
 ヴァイはエリシアから教えられた小説のページにアクセスしてみた。
「どれどれ、どんなもんか見てやるか……。」
 ページを開いて適当に目を通した後、興味本位でサイトのアナリティクスデータを確認する。すると——
 アクセス元: Googleウェブクローラー
「おいおいおいおいおい!」
 ヴァイは爆笑しながら頭を抱えた。
「これ、読者って……人間じゃねえじゃねえかよ!検索エンジンのクローラーだろ!」
 エリシアにその結果を報告すると、彼女は一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに気を取り直して堂々と言い放った。
「ふふん、それも立派なアクセス数ですわね。私の作品がいかに価値あるものか、検索エンジンにまで認められている証拠ですわ!」
 ヴァイはさらに爆笑しながらツッコむ。
「いやいや!機械だぜ!?お前のストーリー読んでるわけじゃねえから!」
 ヴァイは全速力で走りながら、背後から迫る火球や氷の矢をひょいひょい避けていた。
「良いじゃねーかよ!ウェブクローラーさんを楽しませてやれヨォ!」
 背後では、完全にブチ切れたエリシアが奇声を上げながら追いかけてくる。
「きえええぇええぇええ〜!」
 彼女の手からは次々と強力な魔法が放たれ、火球は地面を焦がし、氷の矢はヴァイの足元を凍りつかせる勢いで迫っていた。
「貴様ァ!そんなバカにする発言、許しませんわよ!私の作品がどれほど偉大か、骨の髄まで教えて差し上げますわ!」
 ヴァイは振り返りもせず笑いながら叫ぶ。
「偉大だって!?まだ人間が読んでねえのにか!?ハッハッハ!」
「黙れえええぇぇぇ!」
 エリシアの怒りの火力は増すばかりで、魔法の威力もさらに強力になっていく。一方のヴァイは、それをいとも簡単に避けながら軽口を叩き続ける。
「いやー、オレ様がウェブクローラーだったら5話全部読むぜぇ!そしたらPVもっと増えるだろ?」
「そんな余計なこと言ってないで止まりなさいませ!このッ、無礼者ォ!」
 こうして追いかけっこは続き、周囲を巻き込みながら二人の激闘はヒートアップしていくのだった。
おわり
 エリシアは執筆を続けているうちに、ついに待望の感想コメントが付いたことに気づいた。
「おぉ!」
 喜びのあまり声を上げながら、意気揚々とコメント欄を開く。しかし、そこに書かれていたのは——。
ニックネーム: vai
評価: 1/5
コメント: くっそつまんねええなああ!
マクドの包み紙の方が読み応えあったぜ!?
作者の返信:
しね、きえろ。
だったらお前がお書きあそばせ。