表示設定
表示設定
目次 目次




8-4

ー/ー




 俺は海呪城の門前に立った。
 それを見たミノが駆け寄ってくる。

「黒王様、本当にそのまま、飛び降りるのですか? 城内には、妖鳥と呼ばれる大きな鳥がいます。それに、お乗りになられた方が……」
「いらねぇ……。婦子羅姫を乗せろ。俺が隙をつくるから、その間に、〝悪魔の蓄音機〟の中に入れ。あとから、俺も行く」
「は!」
 ミノが足早に去っていく。
 それと入れ替わりに婦子羅姫が現れた。
 なにやら、浮ばない顔でモジモジしながら俺の顔を窺っている。

「どうした? もう、そろそろだぜ」
「いや……さっきはすまぬ。そなたのことを恐ろしいと……」
 婦子羅姫はチラチラと俺の顔を見ては、視線を落としている。

「別に怒ってないよ。気にすんな。でも……今は恐くないのか?」
「ああ、そなたは妾を守ってくれると言った。だから、恐くない」
「そっか……んじゃ、俺は先に行くぜ」

 門が、「ギギー」という音をたてて、開かれる。
 
 五千メートル近い上空からはぴゅうぴゅうと、強い風が吹いている。
 マントがバサバサと激しく揺れる。

 考えてみりゃ、俺、真っ黒だぜ。
 槍も、鎧も、マントも、仮面も……もしかしたら、心も……。

 俺は何も考えずに、門を飛び越えた。
 門の外は、青い空。足場などない。
 何も考えずそのまま、落下していった。

 パラシュートをつけないスカイダイビングのようなものだ。
 徐々に、落ちるスピードが速くなる。

「あれか……」

 ちょうど、古城の真上に、その戦艦は浮んでいる。
 俺は槍を真下に向けて、投げつけた。

 別に、そんなに力を入れたわけでもない。
 だが、槍は光りより速く、風を突き抜けていく。
 戦艦に当たると、厚い何重もの装甲を突き破った。

 やがて、「ぼん!」という音が鳴って、甲板から火があがった。

「次は……」

 遅れて、俺が戦艦の上に飛び乗った。
 何千メートル上から、落ちて来たというのに、体にはなんの異常もない。
 これが魔王の力か……。

「この戦艦、デカすきなんだよ」

 俺は拳を上空にかかげた。
 指先からはビリビリといった、黒い電磁波みたいなのが流れている。
 それを厚い装甲に思いっきりぶつけた。

 拳を当てたところから中心にして、波のように黒い電磁波が艦全体に広がっていく。
 戦艦が大きく、揺れだす。
 所々に、火花が散り、機械が故障を訴えている。
 
 それらを確認すると装甲を突き破って、艦内に侵入した。
 俺が入ったところは、廊下だった。
 中には、頭から猫のような縦耳を立てた兵士が数人いた。

「だ、誰だ! 貴様!」
「黒王だよ、覚えときな」
 
 その猫人間達を拳で黙らせ、奥へと進んだ。
 動力部はどこだ?
 ドアを手当たり次第にぶち壊して、探す。

「これか……」
 そのドアは、普通のドアと違って、〝CAUTION〟と書かれている。
 コンピュータロックで厳重に守られていた。

「ち、めんどくせぇ」
 俺はドアを力任せに蹴破った。
 文字通り、扉は大破した。

「さすが、魔王の力」
 部屋に技師が何人かいた。
 迷うまでもなく、気絶させる。
 中は薄暗く、奥には巨大なエンジンが「ブウウウ」という音をあげて、動いていた。

「これか……」

 拳を突き下ろす。
 たった一撃で、エンジンは鉄クズとなった。
 艦がガクンといって、力が抜けたような揺れを起こす。

「よし、こんなもんか……」
 俺は力任せに、厚い壁を壊して、戦艦から脱出した。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 9-1


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…




 俺は海呪城の門前に立った。
 それを見たミノが駆け寄ってくる。
「黒王様、本当にそのまま、飛び降りるのですか? 城内には、妖鳥と呼ばれる大きな鳥がいます。それに、お乗りになられた方が……」
「いらねぇ……。婦子羅姫を乗せろ。俺が隙をつくるから、その間に、〝悪魔の蓄音機〟の中に入れ。あとから、俺も行く」
「は!」
 ミノが足早に去っていく。
 それと入れ替わりに婦子羅姫が現れた。
 なにやら、浮ばない顔でモジモジしながら俺の顔を窺っている。
「どうした? もう、そろそろだぜ」
「いや……さっきはすまぬ。そなたのことを恐ろしいと……」
 婦子羅姫はチラチラと俺の顔を見ては、視線を落としている。
「別に怒ってないよ。気にすんな。でも……今は恐くないのか?」
「ああ、そなたは妾を守ってくれると言った。だから、恐くない」
「そっか……んじゃ、俺は先に行くぜ」
 門が、「ギギー」という音をたてて、開かれる。
 五千メートル近い上空からはぴゅうぴゅうと、強い風が吹いている。
 マントがバサバサと激しく揺れる。
 考えてみりゃ、俺、真っ黒だぜ。
 槍も、鎧も、マントも、仮面も……もしかしたら、心も……。
 俺は何も考えずに、門を飛び越えた。
 門の外は、青い空。足場などない。
 何も考えずそのまま、落下していった。
 パラシュートをつけないスカイダイビングのようなものだ。
 徐々に、落ちるスピードが速くなる。
「あれか……」
 ちょうど、古城の真上に、その戦艦は浮んでいる。
 俺は槍を真下に向けて、投げつけた。
 別に、そんなに力を入れたわけでもない。
 だが、槍は光りより速く、風を突き抜けていく。
 戦艦に当たると、厚い何重もの装甲を突き破った。
 やがて、「ぼん!」という音が鳴って、甲板から火があがった。
「次は……」
 遅れて、俺が戦艦の上に飛び乗った。
 何千メートル上から、落ちて来たというのに、体にはなんの異常もない。
 これが魔王の力か……。
「この戦艦、デカすきなんだよ」
 俺は拳を上空にかかげた。
 指先からはビリビリといった、黒い電磁波みたいなのが流れている。
 それを厚い装甲に思いっきりぶつけた。
 拳を当てたところから中心にして、波のように黒い電磁波が艦全体に広がっていく。
 戦艦が大きく、揺れだす。
 所々に、火花が散り、機械が故障を訴えている。
 それらを確認すると装甲を突き破って、艦内に侵入した。
 俺が入ったところは、廊下だった。
 中には、頭から猫のような縦耳を立てた兵士が数人いた。
「だ、誰だ! 貴様!」
「黒王だよ、覚えときな」
 その猫人間達を拳で黙らせ、奥へと進んだ。
 動力部はどこだ?
 ドアを手当たり次第にぶち壊して、探す。
「これか……」
 そのドアは、普通のドアと違って、〝CAUTION〟と書かれている。
 コンピュータロックで厳重に守られていた。
「ち、めんどくせぇ」
 俺はドアを力任せに蹴破った。
 文字通り、扉は大破した。
「さすが、魔王の力」
 部屋に技師が何人かいた。
 迷うまでもなく、気絶させる。
 中は薄暗く、奥には巨大なエンジンが「ブウウウ」という音をあげて、動いていた。
「これか……」
 拳を突き下ろす。
 たった一撃で、エンジンは鉄クズとなった。
 艦がガクンといって、力が抜けたような揺れを起こす。
「よし、こんなもんか……」
 俺は力任せに、厚い壁を壊して、戦艦から脱出した。