お持ち帰りはポテトもセットで!(後編)
ー/ー ――目が覚めた。
目を開けて、むくりと顔を上げたモチコは、右手を強く握っていたことに気づいた。
何度かグー、パーと閉じたり開いたりして、手の力を抜く。
「あ、モチコちゃん、目が覚めた?」
リサの声がしてそちらに顔を向けると、モチコと同じテーブルを囲んで、リサとシズゥが座っていた。
どうやらテーブルに突っ伏して眠ってしまったようだ。
背中には誰かがブランケットをかけてくれていた。
「あ……。すみません、眠ってしまってました」
「気にしなくていいのよ。モチコちゃんは初めてのフライトで緊張しただろうし、もう真夜中だから。眠くなって当然だと思うわ」
「真夜中……。結構長いあいだ寝ちゃってましたか」
「数時間くらいかな〜。そのあいだに台風は無事に過ぎ去って、大きな被害も無かったよ~」
シズゥの言葉に台風のことを思い出して耳を澄ますと、雨と風の音はすっかり止んでいた。
リサとシズゥの仕事も一段落して、今はのんびりお茶を飲んでいたようだ。
「はいお茶〜。モッチーも飲みな〜」
シズゥがテーブルの上にあったポットで紅茶を淹れてくれた。
ティーカップがモチコの前に差し出される。
「おシズさん、ありがとうございます」
お礼を言って紅茶に口をつけると、ホッとするような優しい香りが目の前に広がった。
湯気で黒ぶちメガネがちょっと曇る。
「はい〜。ではここからはお待ちかねの、真夜中の女子会、恋バナタイム〜」
「ぶっ!」
思わず紅茶をちょっと吹き出す。
ホッとしたのも束の間、シズゥが変なことを言い出した。
「えっと……全然お待ちかねていないですけど」
「女子会っていうか魔女の会だから〜。魔女会でもいいね〜」
どうやら、モチコのささやかな抗議は当然のようにスルーされ、話は進んでいくらしい。
「モッチーは恋人はいるのかな〜?」
魔女会はもう始まったようだ。
モチコは抵抗するのを諦めて答えることにする。
「……いないですよ、恋人」
「なるほどなるほど〜。ちなみにリサは幼なじみの恋人がいて、私は自由気ままな独り身だよ〜」
「はあ、そうですか」
どう反応すれば良いかも分からないので、適当な相づちを返しておく。
「ミライアも恋人はいないから安心してね〜」
「何が安心なのか、よく分からないです」
「ただミライアはね〜。ライバルがすごく多いからね〜」
「そう、ミライアはどこにいてもモテるのよね。でも、今まで恋人がいたって話は一度も聞いたことがないわ」
ここへ来てリサも参戦してきた。もう止められない。
2人の話によると、ミライアは男女問わずあちらこちらでモテ続け、数々の伝説を築いてきたらしい。
学生時代にはクラスメイトの全員からラブレターを貰ったとか。
行きつけのカフェでは店員からデートのお誘いがあっただけでなく、他の常連客からも連絡先を渡されたとか。
それどころか、ミライア目当ての常連客がどんどん増えて大盛況になり、お店が2倍の大きさになったとか。
そこそこ名の知れた貴族から求婚されたことも、何度かあるらしい。
「はあ、なんかすごいですね……」
尽きぬエピソードがすごすぎて、もはや感心半分、呆れ半分のため息しか出てこない。
「タワーのスタッフの中にも、ミライアのファンクラブみたいなものがあるわよね」
「ミライアに相方が出来たなんて知ったら、あの人達は大騒ぎするだろうね〜。モッチー頑張って〜」
そう言うシズゥは応援している風ではあったが、声に楽しそうな感じが滲み出ていた。
……絶対、面白がっているに違いない。
「そんな感じだからね〜。若い女の子たちは、ミライアのホウキの後ろに乗るのが憧れみたいだね〜」
「帰りが遅くなったスタッフの女の子とか、夜中に街で道に迷った女の子とか、よくホウキに乗せてお持ち帰りしてるわよね」
「あれ絶対、ミライアに拾ってもらうために、わざと迷子になってる子いるよね〜」
そんな話を聞きながら、モチコは気を引き締めた。
自分はあの変な魔女に、絶対お持ち帰りされないように気をつけねば。
真夜中の魔女会が、主にリサとシズゥによってきゃっきゃと盛り上がっていると、螺旋階段を上ってくる足音が聞こえた。
ミライアが戻ってきたようだ。
「お、なんだかみんな楽しそうだね」
「楽しい深夜のおしゃべり会だよ〜」
おしゃべりの内容が、実はミライアの事だとは誰も口にしない。
ミライアも特に気にしていない様子だ。
「さて、台風も過ぎ去ったことだし、今日はもう上がってもいいかな?」
「ええ、いいわよ」
ミライアの問いかけにリサが答えた。
灯台の勤務は基本的に2交代制で、だいたい太陽が出ている時間帯が朝番、沈んでいる時間帯が夜番だそうだ。
基本のシフトが長時間である代わりに、台風が過ぎ去った後などは、早く上がることも出来るらしい。
「朝番への引き継ぎはリサと私でしておくね〜。ふたりは早めに帰っていいよ〜」
その言葉を聞いたミライアは、ホウキを持って螺旋階段を上がり始めた。
「じゃあモチコ、おいで。送っていくから」
「うっ……」
お持ち帰り、という言葉が一瞬、頭に浮かぶ。
だが、こんな夜中にひとりで歩いて帰るのは危険すぎるので、ホウキで送ってもらう以外の選択肢は無い。
急いで身支度をして、ミライアの方へ駆け出した。
「リサさん、おシズさん、ありがとうございました。お先に失礼します」
帰りの挨拶をすると、シズゥが何かが詰まった布袋を持ってきた。
「これ、ミライアの荷物だよ〜。どうするかはモッチーに任せるから、よろしくね〜」
「え? あ、はい」
モチコは、何を任されたのか良く分からないまま、とりあえず荷物を受け取る。
袋の中をのぞくと、ジャガイモなどの野菜が入っているようだった。
螺旋階段を上ると屋上展望台に出る。
台風が過ぎ去った夜空は、穏やかな風が吹いていた。
ミライアはすでにホウキにまたがって、飛ぶ準備をしている。
「はい、乗って。飛ぶよ」
「よろしくお願いします」
モチコはシズゥから受け取った布袋を胸の前に抱えると、ホウキの後ろにまたがった。
すぐにホウキは浮き上がり、穏やかな風のなかを飛び始める。
台風一過の雲ひとつない夜空を、ふたりを乗せたホウキが、黄金色の尾を引きながら翔けていった。
目を開けて、むくりと顔を上げたモチコは、右手を強く握っていたことに気づいた。
何度かグー、パーと閉じたり開いたりして、手の力を抜く。
「あ、モチコちゃん、目が覚めた?」
リサの声がしてそちらに顔を向けると、モチコと同じテーブルを囲んで、リサとシズゥが座っていた。
どうやらテーブルに突っ伏して眠ってしまったようだ。
背中には誰かがブランケットをかけてくれていた。
「あ……。すみません、眠ってしまってました」
「気にしなくていいのよ。モチコちゃんは初めてのフライトで緊張しただろうし、もう真夜中だから。眠くなって当然だと思うわ」
「真夜中……。結構長いあいだ寝ちゃってましたか」
「数時間くらいかな〜。そのあいだに台風は無事に過ぎ去って、大きな被害も無かったよ~」
シズゥの言葉に台風のことを思い出して耳を澄ますと、雨と風の音はすっかり止んでいた。
リサとシズゥの仕事も一段落して、今はのんびりお茶を飲んでいたようだ。
「はいお茶〜。モッチーも飲みな〜」
シズゥがテーブルの上にあったポットで紅茶を淹れてくれた。
ティーカップがモチコの前に差し出される。
「おシズさん、ありがとうございます」
お礼を言って紅茶に口をつけると、ホッとするような優しい香りが目の前に広がった。
湯気で黒ぶちメガネがちょっと曇る。
「はい〜。ではここからはお待ちかねの、真夜中の女子会、恋バナタイム〜」
「ぶっ!」
思わず紅茶をちょっと吹き出す。
ホッとしたのも束の間、シズゥが変なことを言い出した。
「えっと……全然お待ちかねていないですけど」
「女子会っていうか魔女の会だから〜。魔女会でもいいね〜」
どうやら、モチコのささやかな抗議は当然のようにスルーされ、話は進んでいくらしい。
「モッチーは恋人はいるのかな〜?」
魔女会はもう始まったようだ。
モチコは抵抗するのを諦めて答えることにする。
「……いないですよ、恋人」
「なるほどなるほど〜。ちなみにリサは幼なじみの恋人がいて、私は自由気ままな独り身だよ〜」
「はあ、そうですか」
どう反応すれば良いかも分からないので、適当な相づちを返しておく。
「ミライアも恋人はいないから安心してね〜」
「何が安心なのか、よく分からないです」
「ただミライアはね〜。ライバルがすごく多いからね〜」
「そう、ミライアはどこにいてもモテるのよね。でも、今まで恋人がいたって話は一度も聞いたことがないわ」
ここへ来てリサも参戦してきた。もう止められない。
2人の話によると、ミライアは男女問わずあちらこちらでモテ続け、数々の伝説を築いてきたらしい。
学生時代にはクラスメイトの全員からラブレターを貰ったとか。
行きつけのカフェでは店員からデートのお誘いがあっただけでなく、他の常連客からも連絡先を渡されたとか。
それどころか、ミライア目当ての常連客がどんどん増えて大盛況になり、お店が2倍の大きさになったとか。
そこそこ名の知れた貴族から求婚されたことも、何度かあるらしい。
「はあ、なんかすごいですね……」
尽きぬエピソードがすごすぎて、もはや感心半分、呆れ半分のため息しか出てこない。
「タワーのスタッフの中にも、ミライアのファンクラブみたいなものがあるわよね」
「ミライアに相方が出来たなんて知ったら、あの人達は大騒ぎするだろうね〜。モッチー頑張って〜」
そう言うシズゥは応援している風ではあったが、声に楽しそうな感じが滲み出ていた。
……絶対、面白がっているに違いない。
「そんな感じだからね〜。若い女の子たちは、ミライアのホウキの後ろに乗るのが憧れみたいだね〜」
「帰りが遅くなったスタッフの女の子とか、夜中に街で道に迷った女の子とか、よくホウキに乗せてお持ち帰りしてるわよね」
「あれ絶対、ミライアに拾ってもらうために、わざと迷子になってる子いるよね〜」
そんな話を聞きながら、モチコは気を引き締めた。
自分はあの変な魔女に、絶対お持ち帰りされないように気をつけねば。
真夜中の魔女会が、主にリサとシズゥによってきゃっきゃと盛り上がっていると、螺旋階段を上ってくる足音が聞こえた。
ミライアが戻ってきたようだ。
「お、なんだかみんな楽しそうだね」
「楽しい深夜のおしゃべり会だよ〜」
おしゃべりの内容が、実はミライアの事だとは誰も口にしない。
ミライアも特に気にしていない様子だ。
「さて、台風も過ぎ去ったことだし、今日はもう上がってもいいかな?」
「ええ、いいわよ」
ミライアの問いかけにリサが答えた。
灯台の勤務は基本的に2交代制で、だいたい太陽が出ている時間帯が朝番、沈んでいる時間帯が夜番だそうだ。
基本のシフトが長時間である代わりに、台風が過ぎ去った後などは、早く上がることも出来るらしい。
「朝番への引き継ぎはリサと私でしておくね〜。ふたりは早めに帰っていいよ〜」
その言葉を聞いたミライアは、ホウキを持って螺旋階段を上がり始めた。
「じゃあモチコ、おいで。送っていくから」
「うっ……」
お持ち帰り、という言葉が一瞬、頭に浮かぶ。
だが、こんな夜中にひとりで歩いて帰るのは危険すぎるので、ホウキで送ってもらう以外の選択肢は無い。
急いで身支度をして、ミライアの方へ駆け出した。
「リサさん、おシズさん、ありがとうございました。お先に失礼します」
帰りの挨拶をすると、シズゥが何かが詰まった布袋を持ってきた。
「これ、ミライアの荷物だよ〜。どうするかはモッチーに任せるから、よろしくね〜」
「え? あ、はい」
モチコは、何を任されたのか良く分からないまま、とりあえず荷物を受け取る。
袋の中をのぞくと、ジャガイモなどの野菜が入っているようだった。
螺旋階段を上ると屋上展望台に出る。
台風が過ぎ去った夜空は、穏やかな風が吹いていた。
ミライアはすでにホウキにまたがって、飛ぶ準備をしている。
「はい、乗って。飛ぶよ」
「よろしくお願いします」
モチコはシズゥから受け取った布袋を胸の前に抱えると、ホウキの後ろにまたがった。
すぐにホウキは浮き上がり、穏やかな風のなかを飛び始める。
台風一過の雲ひとつない夜空を、ふたりを乗せたホウキが、黄金色の尾を引きながら翔けていった。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
――目が覚めた。
目を開けて、むくりと顔を上げたモチコは、右手を強く握っていたことに気づいた。
何度かグー、パーと閉じたり開いたりして、手の力を抜く。
何度かグー、パーと閉じたり開いたりして、手の力を抜く。
「あ、モチコちゃん、目が覚めた?」
リサの声がしてそちらに顔を向けると、モチコと同じテーブルを囲んで、リサとシズゥが座っていた。
どうやらテーブルに突っ伏して眠ってしまったようだ。
背中には誰かがブランケットをかけてくれていた。
どうやらテーブルに突っ伏して眠ってしまったようだ。
背中には誰かがブランケットをかけてくれていた。
「あ……。すみません、眠ってしまってました」
「気にしなくていいのよ。モチコちゃんは初めてのフライトで緊張しただろうし、もう真夜中だから。眠くなって当然だと思うわ」
「真夜中……。結構長いあいだ寝ちゃってましたか」
「数時間くらいかな〜。そのあいだに台風は無事に過ぎ去って、大きな被害も無かったよ~」
「気にしなくていいのよ。モチコちゃんは初めてのフライトで緊張しただろうし、もう真夜中だから。眠くなって当然だと思うわ」
「真夜中……。結構長いあいだ寝ちゃってましたか」
「数時間くらいかな〜。そのあいだに台風は無事に過ぎ去って、大きな被害も無かったよ~」
シズゥの言葉に台風のことを思い出して耳を澄ますと、雨と風の音はすっかり止んでいた。
リサとシズゥの仕事も一段落して、今はのんびりお茶を飲んでいたようだ。
リサとシズゥの仕事も一段落して、今はのんびりお茶を飲んでいたようだ。
「はいお茶〜。モッチーも飲みな〜」
シズゥがテーブルの上にあったポットで紅茶を淹れてくれた。
ティーカップがモチコの前に差し出される。
ティーカップがモチコの前に差し出される。
「おシズさん、ありがとうございます」
お礼を言って紅茶に口をつけると、ホッとするような優しい香りが目の前に広がった。
湯気で黒ぶちメガネがちょっと曇る。
湯気で黒ぶちメガネがちょっと曇る。
「はい〜。ではここからはお待ちかねの、真夜中の女子会、恋バナタイム〜」
「ぶっ!」
「ぶっ!」
思わず紅茶をちょっと吹き出す。
ホッとしたのも束の間、シズゥが変なことを言い出した。
ホッとしたのも束の間、シズゥが変なことを言い出した。
「えっと……全然お待ちかねていないですけど」
「女子会っていうか魔女の会だから〜。魔女会でもいいね〜」
「女子会っていうか魔女の会だから〜。魔女会でもいいね〜」
どうやら、モチコのささやかな抗議は当然のようにスルーされ、話は進んでいくらしい。
「モッチーは恋人はいるのかな〜?」
魔女会はもう始まったようだ。
モチコは抵抗するのを諦めて答えることにする。
モチコは抵抗するのを諦めて答えることにする。
「……いないですよ、恋人」
「なるほどなるほど〜。ちなみにリサは幼なじみの恋人がいて、私は自由気ままな独り身だよ〜」
「はあ、そうですか」
「なるほどなるほど〜。ちなみにリサは幼なじみの恋人がいて、私は自由気ままな独り身だよ〜」
「はあ、そうですか」
どう反応すれば良いかも分からないので、適当な相づちを返しておく。
「ミライアも恋人はいないから安心してね〜」
「何が安心なのか、よく分からないです」
「ただミライアはね〜。ライバルがすごく多いからね〜」
「そう、ミライアはどこにいてもモテるのよね。でも、今まで恋人がいたって話は一度も聞いたことがないわ」
「何が安心なのか、よく分からないです」
「ただミライアはね〜。ライバルがすごく多いからね〜」
「そう、ミライアはどこにいてもモテるのよね。でも、今まで恋人がいたって話は一度も聞いたことがないわ」
ここへ来てリサも参戦してきた。もう止められない。
2人の話によると、ミライアは男女問わずあちらこちらでモテ続け、数々の伝説を築いてきたらしい。
学生時代にはクラスメイトの全員からラブレターを貰ったとか。
行きつけのカフェでは店員からデートのお誘いがあっただけでなく、他の常連客からも連絡先を渡されたとか。
それどころか、ミライア目当ての常連客がどんどん増えて大盛況になり、お店が2倍の大きさになったとか。
そこそこ名の知れた貴族から求婚されたことも、何度かあるらしい。
行きつけのカフェでは店員からデートのお誘いがあっただけでなく、他の常連客からも連絡先を渡されたとか。
それどころか、ミライア目当ての常連客がどんどん増えて大盛況になり、お店が2倍の大きさになったとか。
そこそこ名の知れた貴族から求婚されたことも、何度かあるらしい。
「はあ、なんかすごいですね……」
尽きぬエピソードがすごすぎて、もはや感心半分、呆れ半分のため息しか出てこない。
「タワーのスタッフの中にも、ミライアのファンクラブみたいなものがあるわよね」
「ミライアに相方が出来たなんて知ったら、あの人達は大騒ぎするだろうね〜。モッチー頑張って〜」
「ミライアに相方が出来たなんて知ったら、あの人達は大騒ぎするだろうね〜。モッチー頑張って〜」
そう言うシズゥは応援している風ではあったが、声に楽しそうな感じが滲み出ていた。
……絶対、面白がっているに違いない。
……絶対、面白がっているに違いない。
「そんな感じだからね〜。若い女の子たちは、ミライアのホウキの後ろに乗るのが憧れみたいだね〜」
「帰りが遅くなったスタッフの女の子とか、夜中に街で道に迷った女の子とか、よくホウキに乗せてお持ち帰りしてるわよね」
「あれ絶対、ミライアに拾ってもらうために、わざと迷子になってる子いるよね〜」
「帰りが遅くなったスタッフの女の子とか、夜中に街で道に迷った女の子とか、よくホウキに乗せてお持ち帰りしてるわよね」
「あれ絶対、ミライアに拾ってもらうために、わざと迷子になってる子いるよね〜」
そんな話を聞きながら、モチコは気を引き締めた。
自分はあの変な魔女に、絶対お持ち帰りされないように気をつけねば。
自分はあの変な魔女に、絶対お持ち帰りされないように気をつけねば。
真夜中の魔女会が、主にリサとシズゥによってきゃっきゃと盛り上がっていると、螺旋階段を上ってくる足音が聞こえた。
ミライアが戻ってきたようだ。
ミライアが戻ってきたようだ。
「お、なんだかみんな楽しそうだね」
「楽しい深夜のおしゃべり会だよ〜」
「楽しい深夜のおしゃべり会だよ〜」
おしゃべりの内容が、実はミライアの事だとは誰も口にしない。
ミライアも特に気にしていない様子だ。
ミライアも特に気にしていない様子だ。
「さて、台風も過ぎ去ったことだし、今日はもう上がってもいいかな?」
「ええ、いいわよ」
「ええ、いいわよ」
ミライアの問いかけにリサが答えた。
|灯台《タワー》の勤務は基本的に2交代制で、だいたい太陽が出ている時間帯が朝番、沈んでいる時間帯が夜番だそうだ。
基本のシフトが長時間である代わりに、台風が過ぎ去った後などは、早く上がることも出来るらしい。
基本のシフトが長時間である代わりに、台風が過ぎ去った後などは、早く上がることも出来るらしい。
「朝番への引き継ぎはリサと私でしておくね〜。ふたりは早めに帰っていいよ〜」
その言葉を聞いたミライアは、ホウキを持って螺旋階段を上がり始めた。
「じゃあモチコ、おいで。送っていくから」
「うっ……」
「うっ……」
お持ち帰り、という言葉が一瞬、頭に浮かぶ。
だが、こんな夜中にひとりで歩いて帰るのは危険すぎるので、ホウキで送ってもらう以外の選択肢は無い。
急いで身支度をして、ミライアの方へ駆け出した。
だが、こんな夜中にひとりで歩いて帰るのは危険すぎるので、ホウキで送ってもらう以外の選択肢は無い。
急いで身支度をして、ミライアの方へ駆け出した。
「リサさん、おシズさん、ありがとうございました。お先に失礼します」
帰りの挨拶をすると、シズゥが何かが詰まった布袋を持ってきた。
「これ、ミライアの荷物だよ〜。どうするかはモッチーに任せるから、よろしくね〜」
「え? あ、はい」
「え? あ、はい」
モチコは、何を任されたのか良く分からないまま、とりあえず荷物を受け取る。
袋の中をのぞくと、ジャガイモなどの野菜が入っているようだった。
袋の中をのぞくと、ジャガイモなどの野菜が入っているようだった。
螺旋階段を上ると|屋上展望台《フライトデッキ》に出る。
台風が過ぎ去った夜空は、穏やかな風が吹いていた。
ミライアはすでにホウキにまたがって、飛ぶ準備をしている。
台風が過ぎ去った夜空は、穏やかな風が吹いていた。
ミライアはすでにホウキにまたがって、飛ぶ準備をしている。
「はい、乗って。飛ぶよ」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
モチコはシズゥから受け取った布袋を胸の前に抱えると、ホウキの後ろにまたがった。
すぐにホウキは浮き上がり、穏やかな風のなかを飛び始める。
すぐにホウキは浮き上がり、穏やかな風のなかを飛び始める。
台風一過の雲ひとつない夜空を、ふたりを乗せたホウキが、黄金色の尾を引きながら翔けていった。