26.冗談で済むことと済まないこと
ー/ー
さっきチラッとしか読んでなかった魔法の説明文を改めて読んでみる。
「これ、発想がすごいな」
おそらくクイズ形式にすることで所有物の調査ではない形にしている。
多分それが[対抗呪文]で打ち消されない理由の一つであるはずだ。
また色という客観的に確認できるものであるのもポイントだと思う。
正解が誰の目にも明らかだから秘密にならない。
もし本人しか分からないことならきっと心の中を読む扱いになるだろう。
加えて言えば妄想を掻き立てるものの何かに使えるものではないので実用性はかなり低く判定されてるんじゃないかな。
だから消費MPが抑えられているんだ。
「作った人は天才だな」
前の透視の人もそうだったけど何を考えたらこういうアイディアが浮かぶのか。
……あれ? よく見ると説明文の書き方が透視魔法の人と似てる気がする。
でも名前は違うから別人だよな。
うーん、もしかして標準的な書き方みたいなのがあるのかな?
そう思って新着魔法を手当たり次第に眺めてみたけどそんな書き方してない。
まあいいか、今は透視魔法に応用することを考えよう。
まず隠された部分の情報を知ることが出来るというのは応用できる気がする。
ただおっぱいのサイズを想像して透視するというのがネックだ。
イメージした形と実際の形が同じなら正解という感じでは作れるだろうけど、それだと正解するのがかなり難しい。
もっと選択肢を狭めないと……。
「いや、よく考えたら無理に透視じゃなくてもいいのか」
そもそもおっぱいのサイズ鑑定をしたかったんだ。
クイズ形式ならサイズ鑑定は……駄目か、サイズが公開情報じゃない。
ならブラのサイズで……あれってタグとかあるのかな?
タグがないならやっぱり駄目かもしれない。
うーん、あとちょっとな気がするんだけどなぁ。
放課後になったのですぐに家に帰る。
幸い陽菜はもう帰ってきているようだ。
せっかく教わった魔法を試さない手はない。
「妹ー」
「なにー」
「ちょっと部屋に来て」
「わかった」
隣の部屋とはいえわざわざドアの前にいって呼び出す必要がないので壁が薄いのもそれなりにメリットが有る。
「お兄ちゃんが呼ぶのは珍しいね」
「……たしかに俺が部屋にいけばよかったな」
テンションが上がっていたのでつい呼んでしまった。
まあ呼び出された当人がニコニコしているので問題ないか。
「で、何?」
小首をかしげながら俺の目を見てくる陽菜。
ええと相手を見て下着の色を想像しながら……。
と言っても昨日見てるから白なのは知ってるけど。
「【てめえの下着はなに色だーっ!!】」
「白だよ」
「魔法の意味ねぇー!?」
頭の中に〇が出るのと本人の口から正解を告げられるのが同時だった。
「下着の色当ての魔法?」
「ああ、この魔法は[対抗呪文]を貫通するらしいんだ」
「それは珍しいね」
「そうだろ、何かに活かせそうな気がするんだけど」
「私もそう思う」
少し遠くを見る仕草をしているので、いろいろ考えているのだろう。
陽菜も検証が嫌いって訳じゃないんだよな、面倒くさがるだけで。
「うん、許容範囲かな」
「何が?」
「エロの方向性」
「そっちかよ!?」
首を縦に振りながらそう答える陽菜。
てっきり[対抗呪文]を貫通する方を考えているのかと思ったのにエロ方向だった。
「色じゃ何もできないもんね」
「少年漫画で許される範囲で頑張る」
パンツの色当てぐらいならきっと健全だと思う。
多分、きっと、おそらく、メイビー。
「でも少年漫画ならこれぐらいまで許容されるんじゃない?」
「わざわざパンツ見せんな!?」
「昨日さんざん見たでしょ」
「妹の下着姿さんざん見たとか言われたら社会的に死んでしまうわ!?」
「舐めるように見られました、もうお嫁にいけません」
「本気でやめろよ!?」
冗談で済むのは家の中だけだからな。
外でやったらポリスメン呼ばれてもおかしくない。
「裸見られても叩くだけで許すヒロインって心広いよね」
「最近は暴力系ヒロインとか言われて、裸を見られても叩くのはNGらしいぞ」
「あれはいろいろ勘違いした作品が広まったせいだよ」
「どういうこと?」
どうやら陽菜的には暴力系ヒロインに一家言あるらしい。
真剣な表情で言葉を続ける。
「例えばさっきの私ってパンツ見られたよね?」
「お前が見せたんだろ」
「そう、それなのに殴ってくるヒロインが増えたんだよ」
「たしかにそういうヒロインは多いかも」
「"見られた"から殴るならともかく"見せた"から殴るって理不尽だよね」
「なるほど」
「暴力系ヒロインとか言ってるのはそういう勘違いしたヒロインのことだよ」
裸を見られて叩くヒロインと裸を見せてきて叩くヒロイン。
どちらも結果は叩いているけど意味は全然違う。
「ちなみに私は前者のタイプだよ」
「なるほど……ってお前大体見せてくるだろ!?」
「だから許してるよね?」
「見せておいて許してるとはこれいかに」
見せてくれるのはきっと嬉しいことだろうけど、一方的なのは変わりない気がするぞ。
「そこが重要なんだよ、お兄ちゃん」
「そこってどこだよ」
「ちゃんと真剣に許可を取れば見せるかもしれないということだよ」
「なるほd……いやいや、そんなことないわ」
「本当に真剣に頼んだことある?」
「いや……ないけど普通怒るだろ」
やったことなくても失敗するのは目に見えている。
怒ると分かっているのにやる意味なんてない。
「『普通』なんて他人の心が読める訳でもないのに言っちゃ駄目だよ」
「いや『裸を見せて』なんて駄目だろ」
「駄目ってことはないよ、TPOは大事だけど」
「そんな馬鹿な……」
「じゃあ私が他人に『裸見せて』と言われたら怒ると思う?」
「……怒りはしないと思う」
陽菜の性格からして言われた程度で怒ることはないと思う。
見せはしないだろうけど。
「お兄ちゃんの言う通り答えはYes、その程度では怒りを見せたりしない」
陽菜はよく分からない地雷原があるものの基本的には温厚だ。
無理やり何かされたならともかく言葉だけで怒ることはないだろう。
「でも内心では怒ってる時があるのは知ってる?」
「え、そうなのか?」
「ほら、一番身近な私の心ですら想像するのは難しいんだよ」
「自分で一番身近って言うのかよ」
「お兄ちゃんの結婚式のスピーチで『一番身近で愛してくれました』って言うんだ」
「結婚式をぶち壊しにする気だな!?」
全力で誤解させていくスタイル。
結婚式で離婚しましたとなってもおかしくない。
「でもまあ言いたいことは理解した、言ってみないと分からないってことだな」
「うんうん」
「しかし現実問題、「裸見せて」と言っていいものなのか?」
「なぜ裸を見たいのか、なぜその人じゃないと駄目なのかと言ったことを説明できないなら駄目だね」
「なるほど……」
「つまりお兄ちゃんに真剣な顔で頼まれたら裸を見せるのもやぶさかではない」
「結局その落ちかよ!?」
「あははー」
笑いながら自分の部屋に戻っていった。
うーん、なぜあんなに見せたがるのか。
体に自信が出てきたから褒めて欲しいのかな?
自信、自信かぁ。
和泉さんが自分の身体に自信を持っていないのはわかる。
では自信がない人はなぜ体を見せたくないのか?
おそらく馬鹿にされると思っているからだろう。
それなら誰にも見せたくないと思っているのだから真剣に聞いても駄目だろうな。
ただその場合、魔法でおっぱいのサイズを調べても同じではないだろうか?
あいつらが和泉さんに直接文句言ったりあまつさえその結果を周りに広められたりしたら駄目なんじゃないだろうか?
和泉さんは若干怒りっぽいけどそれはあいつらが煽っているせいでもある。
一方的に傷つけていいわけがない。
あいつらが真偽を知ってどう思うのか確かめないと。
次の日。
学校にきてすぐいつもの三人に声を掛ける。
「三人に質問があるんだ」
「どうした?」
「なんだ?」
「なに?」
「和泉さんのおっぱいがCより小さかったとして、それからどうする?」
「どういう意味?」
「馬鹿にしたり嘘ついたと言って糾弾したりする?」
「するわけ無いだろ」
「胸パッドを使っているかわかればそれでいい」
「むしろ喜ぶ」
「そっか」
「能見、そういうことしようとするのは良くないぞ」
「そうそう、和泉だって好きで小さいんじゃないんだから」
「褒め称えるなら手伝う」
和泉さんを傷つけるどころかむしろ俺を諭し始めた。
そうか、本当に真偽を確かめたいだけなんだな。
「ならさ、魔法なんて使わず正攻法に行かないか?」
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正解が誰の目にも明らかだから秘密にならない。
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加えて言えば妄想を掻き立てるものの何かに使えるものではないので実用性はかなり低く判定されてるんじゃないかな。
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……あれ? よく見ると説明文の書き方が透視魔法の人と似てる気がする。
でも名前は違うから別人だよな。
うーん、もしかして標準的な書き方みたいなのがあるのかな?
そう思って新着魔法を手当たり次第に眺めてみたけどそんな書き方してない。
まあいいか、今は透視魔法に応用することを考えよう。
まず隠された部分の情報を知ることが出来るというのは応用できる気がする。
ただおっぱいのサイズを想像して透視するというのがネックだ。
イメージした形と実際の形が同じなら正解という感じでは作れるだろうけど、それだと正解するのがかなり難しい。
もっと選択肢を狭めないと……。
「いや、よく考えたら無理に透視じゃなくてもいいのか」
そもそもおっぱいのサイズ鑑定をしたかったんだ。
クイズ形式ならサイズ鑑定は……駄目か、サイズが公開情報じゃない。
ならブラのサイズで……あれってタグとかあるのかな?
タグがないならやっぱり駄目かもしれない。
うーん、あとちょっとな気がするんだけどなぁ。
放課後になったのですぐに家に帰る。
幸い陽菜はもう帰ってきているようだ。
せっかく教わった魔法を試さない手はない。
「妹ー」
「なにー」
「ちょっと部屋に来て」
「わかった」
隣の部屋とはいえわざわざドアの前にいって呼び出す必要がないので壁が薄いのもそれなりにメリットが有る。
「お兄ちゃんが呼ぶのは珍しいね」
「……たしかに俺が部屋にいけばよかったな」
テンションが上がっていたのでつい呼んでしまった。
まあ呼び出された当人がニコニコしているので問題ないか。
「で、何?」
小首をかしげながら俺の目を見てくる陽菜。
ええと相手を見て下着の色を想像しながら……。
と言っても昨日見てるから白なのは知ってるけど。
「【てめえの下着はなに色だーっ!!】」
「白だよ」
「魔法の意味ねぇー!?」
頭の中に〇が出るのと本人の口から正解を告げられるのが同時だった。
「下着の色当ての魔法?」
「ああ、この魔法は[対抗呪文]を貫通するらしいんだ」
「それは珍しいね」
「そうだろ、何かに活かせそうな気がするんだけど」
「私もそう思う」
少し遠くを見る仕草をしているので、いろいろ考えているのだろう。
陽菜も検証が嫌いって訳じゃないんだよな、面倒くさがるだけで。
「うん、許容範囲かな」
「何が?」
「エロの方向性」
「そっちかよ!?」
首を縦に振りながらそう答える陽菜。
てっきり[対抗呪文]を貫通する方を考えているのかと思ったのにエロ方向だった。
「色じゃ何もできないもんね」
「少年漫画で許される範囲で頑張る」
パンツの色当てぐらいならきっと健全だと思う。
多分、きっと、おそらく、メイビー。
「でも少年漫画ならこれぐらいまで許容されるんじゃない?」
「わざわざパンツ見せんな!?」
「昨日さんざん見たでしょ」
「妹の下着姿さんざん見たとか言われたら社会的に死んでしまうわ!?」
「舐めるように見られました、もうお嫁にいけません」
「本気でやめろよ!?」
冗談で済むのは家の中だけだからな。
外でやったらポリスメン呼ばれてもおかしくない。
「裸見られても叩くだけで許すヒロインって心広いよね」
「最近は暴力系ヒロインとか言われて、裸を見られても叩くのはNGらしいぞ」
「あれはいろいろ勘違いした作品が広まったせいだよ」
「どういうこと?」
どうやら陽菜的には暴力系ヒロインに一家言あるらしい。
真剣な表情で言葉を続ける。
「例えばさっきの私ってパンツ見られたよね?」
「お前が見せたんだろ」
「そう、それなのに殴ってくるヒロインが増えたんだよ」
「たしかにそういうヒロインは多いかも」
「"見られた"から殴るならともかく"見せた"から殴るって理不尽だよね」
「なるほど」
「暴力系ヒロインとか言ってるのはそういう勘違いしたヒロインのことだよ」
裸を見られて叩くヒロインと裸を見せてきて叩くヒロイン。
どちらも結果は叩いているけど意味は全然違う。
「ちなみに私は前者のタイプだよ」
「なるほど……ってお前大体見せてくるだろ!?」
「だから許してるよね?」
「見せておいて許してるとはこれいかに」
見せてくれるのはきっと嬉しいことだろうけど、一方的なのは変わりない気がするぞ。
「そこが重要なんだよ、お兄ちゃん」
「そこってどこだよ」
「ちゃんと真剣に許可を取れば見せるかもしれないということだよ」
「なるほd……いやいや、そんなことないわ」
「本当に真剣に頼んだことある?」
「いや……ないけど普通怒るだろ」
やったことなくても失敗するのは目に見えている。
怒ると分かっているのにやる意味なんてない。
「『普通』なんて他人の心が読める訳でもないのに言っちゃ駄目だよ」
「いや『裸を見せて』なんて駄目だろ」
「駄目ってことはないよ、TPOは大事だけど」
「そんな馬鹿な……」
「じゃあ私が他人に『裸見せて』と言われたら怒ると思う?」
「……怒りはしないと思う」
陽菜の性格からして言われた程度で怒ることはないと思う。
見せはしないだろうけど。
「お兄ちゃんの言う通り答えはYes、その程度では怒りを見せたりしない」
陽菜はよく分からない地雷原があるものの基本的には温厚だ。
無理やり何かされたならともかく言葉だけで怒ることはないだろう。
「でも内心では怒ってる時があるのは知ってる?」
「え、そうなのか?」
「ほら、一番身近な私の心ですら想像するのは難しいんだよ」
「自分で一番身近って言うのかよ」
「お兄ちゃんの結婚式のスピーチで『一番身近で愛してくれました』って言うんだ」
「結婚式をぶち壊しにする気だな!?」
全力で誤解させていくスタイル。
結婚式で離婚しましたとなってもおかしくない。
「でもまあ言いたいことは理解した、言ってみないと分からないってことだな」
「うんうん」
「しかし現実問題、「裸見せて」と言っていいものなのか?」
「なぜ裸を見たいのか、なぜその人じゃないと駄目なのかと言ったことを説明できないなら駄目だね」
「なるほど……」
「つまりお兄ちゃんに真剣な顔で頼まれたら裸を見せるのもやぶさかではない」
「結局その落ちかよ!?」
「あははー」
笑いながら自分の部屋に戻っていった。
うーん、なぜあんなに見せたがるのか。
体に自信が出てきたから褒めて欲しいのかな?
自信、自信かぁ。
和泉さんが自分の身体に自信を持っていないのはわかる。
では自信がない人はなぜ体を見せたくないのか?
おそらく馬鹿にされると思っているからだろう。
それなら誰にも見せたくないと思っているのだから真剣に聞いても駄目だろうな。
ただその場合、魔法でおっぱいのサイズを調べても同じではないだろうか?
あいつらが和泉さんに直接文句言ったりあまつさえその結果を周りに広められたりしたら駄目なんじゃないだろうか?
和泉さんは若干怒りっぽいけどそれはあいつらが煽っているせいでもある。
一方的に傷つけていいわけがない。
あいつらが真偽を知ってどう思うのか確かめないと。
次の日。
学校にきてすぐいつもの三人に声を掛ける。
「三人に質問があるんだ」
「どうした?」
「なんだ?」
「なに?」
「和泉さんのおっぱいがCより小さかったとして、それからどうする?」
「どういう意味?」
「馬鹿にしたり嘘ついたと言って糾弾したりする?」
「するわけ無いだろ」
「胸パッドを使っているかわかればそれでいい」
「むしろ喜ぶ」
「そっか」
「能見、そういうことしようとするのは良くないぞ」
「そうそう、和泉だって好きで小さいんじゃないんだから」
「褒め称えるなら手伝う」
和泉さんを傷つけるどころかむしろ俺を諭し始めた。
そうか、本当に真偽を確かめたいだけなんだな。
「ならさ、魔法なんて使わず正攻法に行かないか?」