第68話

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ここは試練の森の中の神殿。


精霊神アイリスに女神の力を引き出されたリリィは、まだ実感は無いが確実に魔力が上がっていた。

「リリィ、もう一つ、大事な話があります。魔神のことです。」
アイリスは、真剣な顔でリリィに話した。
「魔神ザハーク...精霊神様、魔神についての大事な話って何ですか?」
「わたくしのことを呼ぶ時はアイリスで良いです。リリィ。魔神は深淵の国に城を構えています。」
アイリスは静かに語る。
「はい。」
リリィも真剣な顔でアイリスの言葉に耳を傾ける。
「深淵の国に行くには深淵の鍵が必要です。その鍵を使うには古代から伝わる歌を歌う必要があります。」
リリィは思い出した。
「あの詩...」

三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう

以前、古代遺跡から持って来た書物の中に出て来た詩だ。

アイリスは言葉を続けた。

「その詩は、言葉だけでは意味がありません。音階、旋律が合わさることで、初めて深淵の鍵を使うことができるのです。」
「旋律...歌ってことね。」
リリィは納得した。

「その歌を知るのは、古代人、そして古代人の末裔のみ。しかし、古代人の末裔は死に絶えてしまいました。」
「死に絶えてしまった?じゃあ、もう歌を知っている人はいないの?」
リリィは、驚いてアイリスに聞いた。

「古代人の血は絶えてしまいましたが、歌を引き継いだ者がいます。」
アイリスが言うと、
「それは、誰なの?アイリス!」
リリィが前のめりに聞いてくる。

「それは...わたくしです。」
アイリスの言葉にリリィは驚いた。
「アイリスが歌を引き継いだの!?」
「そうです。古代人とわたくしは親交がありましたので、彼らから教わりました。」
アイリスは静かに答えた。
「じゃあ、私たちが深淵の国に行く時にアイリスが歌ってよ。」
リリィが言う。
「そうも行かないのです。この歌は特別な人間が歌わないと効果がないのです。」
「そんな...」
「その特別な人間は、女神の魂を持つ者...リリィ、あなたです。」
リリィは、驚いて思わず叫んだ。
「私が!?」
「そうです。わたくしがあなたに歌を教えます。試しに歌ってみてください。」
アイリスの言葉にリリィは頷いた。

そして、アイリスは厳かに歌い出した。

三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう

リリィは、感動して思わず涙ぐんでしまった。
「さあ、リリィさん。歌ってみてください。」
アイリスに促され、リリィは咳払いをし出した。
そして、思いっきり息を吸って、目を瞑り、感情豊かに歌い出した。

三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう

神殿の壁にヒビが入り、今にも崩れ落ちそうになる。穏やかな表情だったアイリスの顔が曇り、耳を指で塞いだ。

リリィは歌い終えると満足気にアイリスの方を見た。
アイリスは思わず目を逸らす。
「ねぇ?アイリス。どうだった?」
リリィは満面の笑みで、アイリスに聞いた。

「そ、その、そうですわね。あともう少し練習したら、良いんじゃないでしょうか?」
流石のアイリスも言葉に詰まる。
リリィの歌は致命的に個性的過ぎる...いわゆる【音痴】だった。

「少し練習したら大丈夫?」
リリィが不安気な声で聞いた。
「そ、そうですね...そうですわ。わたくしが個人レッスンをしましょう。」
アイリスが言葉を絞り出す。
「個人レッスンかぁ、ここに私が通うのも大変だし...そうだ!アイリスも丸太小屋に住めばいいんだわ!」
リリィが突然、思いついた。
「わたくしが?リリィさんと一緒に住む!?」
アイリスは動揺している。
「だって、少しでも速く歌を覚えたいもの。それが1番よ。そうしよう!」
リリィの勢いに、アイリスは押し負けてしまった。
「分かりましたわ。わたくしも一緒に行きましょう。早速、特訓ですわ。」
アイリスは観念した。

「じゃあ、行きましょう、アイリス!フィーネやみんなを紹介するわ。」
リリィは、振り返って歩き出した。
アイリスも後からついて行く。

「わたくしとしたことが、不覚ですわ。」
アイリスは小さく呟いた。


その頃、

フィーネたちは妖精に用意してもらった食事を食べていた。
「リリィ遅いキー...」
モックはリリィの心配をしている。
「早く来ないと飯が無くなるぞ。」
ハクがリリィの分も食べようと狙っている。

微かに振動がして食器がビリビリと音を立てた。
「地震か?」
イブが言う。

ドドドドドッ!

遠くから地響きのような音が聞こえてきた。
「何の音?」
フィーネが不安そうに言った。

「フィーネー!」
遠くからリリィの声がする。そして、

ドーン!

フィーネたちが囲んでいる食卓にリリィが突っ込みテーブルが破壊された。

「あっ!フィーネ!紹介したい人がいるの!」
イブとハクは唖然としている。
「リリィ!食事が台無しじゃないの!」
フィーネはリリィを叱る。それに構わずリリィは続ける。
「フィーネに紹介したい人がいるの。こちらはアイリス。精霊神よ。」
アイリスが慌てて飛んでくる。
「初めまして。私はアイリス、精霊の神です。」
「今度は精霊の神様か...」
フィーネはため息をついた。

「それで、アイリスも丸太小屋に住むことになったから。今日から。」
リリィが言うと、

「えーっ!?」
フィーネたちは、声を揃えて叫んだ。

こうして、丸太小屋に新たな仲間が増えたのである。




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ここは試練の森の中の神殿。
精霊神アイリスに女神の力を引き出されたリリィは、まだ実感は無いが確実に魔力が上がっていた。
「リリィ、もう一つ、大事な話があります。魔神のことです。」
アイリスは、真剣な顔でリリィに話した。
「魔神ザハーク...精霊神様、魔神についての大事な話って何ですか?」
「わたくしのことを呼ぶ時はアイリスで良いです。リリィ。魔神は深淵の国に城を構えています。」
アイリスは静かに語る。
「はい。」
リリィも真剣な顔でアイリスの言葉に耳を傾ける。
「深淵の国に行くには深淵の鍵が必要です。その鍵を使うには古代から伝わる歌を歌う必要があります。」
リリィは思い出した。
「あの詩...」
三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう
以前、古代遺跡から持って来た書物の中に出て来た詩だ。
アイリスは言葉を続けた。
「その詩は、言葉だけでは意味がありません。音階、旋律が合わさることで、初めて深淵の鍵を使うことができるのです。」
「旋律...歌ってことね。」
リリィは納得した。
「その歌を知るのは、古代人、そして古代人の末裔のみ。しかし、古代人の末裔は死に絶えてしまいました。」
「死に絶えてしまった?じゃあ、もう歌を知っている人はいないの?」
リリィは、驚いてアイリスに聞いた。
「古代人の血は絶えてしまいましたが、歌を引き継いだ者がいます。」
アイリスが言うと、
「それは、誰なの?アイリス!」
リリィが前のめりに聞いてくる。
「それは...わたくしです。」
アイリスの言葉にリリィは驚いた。
「アイリスが歌を引き継いだの!?」
「そうです。古代人とわたくしは親交がありましたので、彼らから教わりました。」
アイリスは静かに答えた。
「じゃあ、私たちが深淵の国に行く時にアイリスが歌ってよ。」
リリィが言う。
「そうも行かないのです。この歌は特別な人間が歌わないと効果がないのです。」
「そんな...」
「その特別な人間は、女神の魂を持つ者...リリィ、あなたです。」
リリィは、驚いて思わず叫んだ。
「私が!?」
「そうです。わたくしがあなたに歌を教えます。試しに歌ってみてください。」
アイリスの言葉にリリィは頷いた。
そして、アイリスは厳かに歌い出した。
三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう
リリィは、感動して思わず涙ぐんでしまった。
「さあ、リリィさん。歌ってみてください。」
アイリスに促され、リリィは咳払いをし出した。
そして、思いっきり息を吸って、目を瞑り、感情豊かに歌い出した。
三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう
神殿の壁にヒビが入り、今にも崩れ落ちそうになる。穏やかな表情だったアイリスの顔が曇り、耳を指で塞いだ。
リリィは歌い終えると満足気にアイリスの方を見た。
アイリスは思わず目を逸らす。
「ねぇ?アイリス。どうだった?」
リリィは満面の笑みで、アイリスに聞いた。
「そ、その、そうですわね。あともう少し練習したら、良いんじゃないでしょうか?」
流石のアイリスも言葉に詰まる。
リリィの歌は致命的に個性的過ぎる...いわゆる【音痴】だった。
「少し練習したら大丈夫?」
リリィが不安気な声で聞いた。
「そ、そうですね...そうですわ。わたくしが個人レッスンをしましょう。」
アイリスが言葉を絞り出す。
「個人レッスンかぁ、ここに私が通うのも大変だし...そうだ!アイリスも丸太小屋に住めばいいんだわ!」
リリィが突然、思いついた。
「わたくしが?リリィさんと一緒に住む!?」
アイリスは動揺している。
「だって、少しでも速く歌を覚えたいもの。それが1番よ。そうしよう!」
リリィの勢いに、アイリスは押し負けてしまった。
「分かりましたわ。わたくしも一緒に行きましょう。早速、特訓ですわ。」
アイリスは観念した。
「じゃあ、行きましょう、アイリス!フィーネやみんなを紹介するわ。」
リリィは、振り返って歩き出した。
アイリスも後からついて行く。
「わたくしとしたことが、不覚ですわ。」
アイリスは小さく呟いた。
その頃、
フィーネたちは妖精に用意してもらった食事を食べていた。
「リリィ遅いキー...」
モックはリリィの心配をしている。
「早く来ないと飯が無くなるぞ。」
ハクがリリィの分も食べようと狙っている。
微かに振動がして食器がビリビリと音を立てた。
「地震か?」
イブが言う。
ドドドドドッ!
遠くから地響きのような音が聞こえてきた。
「何の音?」
フィーネが不安そうに言った。
「フィーネー!」
遠くからリリィの声がする。そして、
ドーン!
フィーネたちが囲んでいる食卓にリリィが突っ込みテーブルが破壊された。
「あっ!フィーネ!紹介したい人がいるの!」
イブとハクは唖然としている。
「リリィ!食事が台無しじゃないの!」
フィーネはリリィを叱る。それに構わずリリィは続ける。
「フィーネに紹介したい人がいるの。こちらはアイリス。精霊神よ。」
アイリスが慌てて飛んでくる。
「初めまして。私はアイリス、精霊の神です。」
「今度は精霊の神様か...」
フィーネはため息をついた。
「それで、アイリスも丸太小屋に住むことになったから。今日から。」
リリィが言うと、
「えーっ!?」
フィーネたちは、声を揃えて叫んだ。
こうして、丸太小屋に新たな仲間が増えたのである。