第22話 主砲
ー/ー
瑠璃子は朝風と夕霧の士官を会議室に集めた。
「これから、朝風の主砲の射撃準備を行います」と瑠璃子。「その手順を天野参謀長から説明してもらいます」と瑠璃子。
「朝風を夕霧に連結して、二隻の重力エンジンを一体化します」と瞳。「連結作業の指揮を夕霧の艦長、伊沢桐子少佐に担当してもらいます。その後の重力エンジンの調整を朝風の艦長、伊沢悠木大尉に担当してもらいます。齟齬のないように各部署で調整をしておいてください」
「質問はありますか?」と瑠璃子。
「はい」と機関長の舞が手を上げた。
「栗原中尉、質問を許可します」と瑠璃子。
「なぜ二隻の艦を連結する必要があるのでしょうか?」と舞。
「出力を上げるためだ」と悠木。
「なぜ縦列に連結するのでしょうか?」と舞。
「いい質問だな」と悠木。「もともとドラゴン級攻撃艦の船体構造は、十二個の重力エンジンを可動式の連結器で直列に接続したものだ。だから船体が長い。そしてその船体を蛇のようにうねらせることができる。二隻を縦列に連結することは、構造上当然のことだ」
「主砲は重力エンジンのエネルギーを使うのでしょうか?」と舞。
「もちろんだ」と悠木。「結合した重力エンジンのエネルギーを収束してビーム状に放出する。それが主砲だ。というか、そもそもこの艦の船体は主砲の砲身なのだ」
「船体がうねる必要があるのでしょうか?」と舞。
「いちいち艦全体を回転させて照準を合わせるのは不便だからだ」と悠木。「つまり船体を曲げて、艦橋のある頭の部分を敵に向けやすくするためだ」
「他に質問はありませんか?」と瑠璃子。
「はい」と副艦長の恵子が手を上げた。
「佐藤中尉、質問を許可します」と瑠璃子。
「なぜ、敵の異星生物はこの火星近くにゲートを開こうとしているのでしょうか。太陽系のどこでもよかったはずですが」と恵子。
「ゲートの発生時には、強い重力波が発生する。その重力波を検知されにくくするために、もともと重力のある惑星の近くでゲートを開いているのだろう」と悠木。「もう一つの問題は、検知された後、何の遮蔽物もなければ狙い撃ちされてしまうことだ。今回の敵は、火星を地球からの直接攻撃を防ぐ盾にするつもりだろう。その後、フォボスを前線基地にするつもりだ」
「第一次防衛戦争の時、敵は太陽系外にゲートを開いたと聞いています。なぜ今回は火星なのでしょうか?」と恵子。
「単純に距離の問題だ」と悠木。「一次戦争では、太陽系外の敵のゲートから地球まで直線距離で百億キロメートルもあった。だから敵が地球に侵攻するのに二十年以上かかり、おかげで我々は迎撃する準備ができた。二次戦争では敵は冥王星のそばにゲートを開いた。距離は約五十億キロメートルで、地球への侵攻にかかった時間は十年程度だった。今回は地球の目と鼻の先の火星だ。二か月あれば地球まで到達できる。敵は早くけりをつけたいのだろう。」
「敵の異星生物は何か時間的に焦っているのでしょうか」と恵子。
「さあな。オレには何もわからん」と悠木。
「最初から火星付近にゲートを開いてもよい気がするのですが」と恵子。
「おそらく、ゲートを乗っ取られて反撃されるのを避けるためだろう」と悠木。「敵の基地がゲート付近にあるはずだからな」
「つまり、敵はわれわれに反撃能力がないとみているのでしょうか」と恵子。
「おそらくな」と悠木。
「他に質問はありませんか?」と瑠璃子。「それでは会議を終わります」
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「これから、朝風の主砲の射撃準備を行います」と瑠璃子。「その手順を天野参謀長から説明してもらいます」と瑠璃子。
「朝風を夕霧に連結して、二隻の重力エンジンを一体化します」と瞳。「連結作業の指揮を夕霧の艦長、伊沢桐子少佐に担当してもらいます。その後の重力エンジンの調整を朝風の艦長、伊沢悠木大尉に担当してもらいます。|齟齬《そご》のないように各部署で調整をしておいてください」
「質問はありますか?」と瑠璃子。
「はい」と機関長の舞が手を上げた。
「栗原中尉、質問を許可します」と瑠璃子。
「なぜ二隻の艦を連結する必要があるのでしょうか?」と舞。
「出力を上げるためだ」と悠木。
「なぜ縦列に連結するのでしょうか?」と舞。
「いい質問だな」と悠木。「もともとドラゴン級攻撃艦の船体構造は、十二個の重力エンジンを可動式の連結器で直列に接続したものだ。だから船体が長い。そしてその船体を蛇のようにうねらせることができる。二隻を縦列に連結することは、構造上当然のことだ」
「主砲は重力エンジンのエネルギーを使うのでしょうか?」と舞。
「もちろんだ」と悠木。「結合した重力エンジンのエネルギーを収束してビーム状に放出する。それが主砲だ。というか、そもそもこの艦の船体は主砲の砲身なのだ」
「船体がうねる必要があるのでしょうか?」と舞。
「いちいち艦全体を回転させて照準を合わせるのは不便だからだ」と悠木。「つまり船体を曲げて、艦橋のある頭の部分を敵に向けやすくするためだ」
「他に質問はありませんか?」と瑠璃子。
「はい」と副艦長の恵子が手を上げた。
「佐藤中尉、質問を許可します」と瑠璃子。
「なぜ、敵の異星生物はこの火星近くにゲートを開こうとしているのでしょうか。太陽系のどこでもよかったはずですが」と恵子。
「ゲートの発生時には、強い重力波が発生する。その重力波を検知されにくくするために、もともと重力のある惑星の近くでゲートを開いているのだろう」と悠木。「もう一つの問題は、検知された後、何の遮蔽物もなければ狙い撃ちされてしまうことだ。今回の敵は、火星を地球からの直接攻撃を防ぐ盾にするつもりだろう。その後、フォボスを前線基地にするつもりだ」
「第一次防衛戦争の時、敵は太陽系外にゲートを開いたと聞いています。なぜ今回は火星なのでしょうか?」と恵子。
「単純に距離の問題だ」と悠木。「一次戦争では、太陽系外の敵のゲートから地球まで直線距離で百億キロメートルもあった。だから敵が地球に侵攻するのに二十年以上かかり、おかげで我々は迎撃する準備ができた。二次戦争では敵は冥王星のそばにゲートを開いた。距離は約五十億キロメートルで、地球への侵攻にかかった時間は十年程度だった。今回は地球の目と鼻の先の火星だ。二か月あれば地球まで到達できる。敵は早くけりをつけたいのだろう。」
「敵の異星生物は何か時間的に焦っているのでしょうか」と恵子。
「さあな。オレには何もわからん」と悠木。
「最初から火星付近にゲートを開いてもよい気がするのですが」と恵子。
「おそらく、ゲートを乗っ取られて反撃されるのを避けるためだろう」と悠木。「敵の基地がゲート付近にあるはずだからな」
「つまり、敵はわれわれに反撃能力がないとみているのでしょうか」と恵子。
「おそらくな」と悠木。
「他に質問はありませんか?」と瑠璃子。「それでは会議を終わります」