閑話 これで安上りになる

ー/ー



 週末の初日。

 中学二年生の詩織(しおり)が所属する文芸部には、夏休みの選択課題として、一万文字以上の小説を書く、好きな小説五冊に対しての考察と構図を解き明かす等々があった。
 
 残暑が残る今日は、リビングのソファーでクーラーに当たりながら、そのコピーしたみんなの課題を読んで感想を付けていた。父親の勝彦と母親の彩音は食品を買いに大型スーパーに行った。

「ただいま~~! 私が帰ったぞぉ~~!」

 と、今年度卒業する先輩が書いた二十万文字の超大作小説を読んでいた時、玄関の方から呂律の回っていない叫び声が聞こえた。

 詩織は顔を顰める。ガタッと人が倒れた音が聞こえる。溜息を吐くとソファーから立ち上がり併設されているキッチンへと足を運ぶ。

 すると、階段を歩く音が聞こえ、従兄であり義兄である直樹が降りてきたんだろうと思いながら棚からコップを取り出し、水を入れる。ガタガタという物音を聞き、扉が開いたのでそっちを見た。

 そして絶句する。
 
「うぃ~~。今日も直樹は可愛いよぉ! いや、隼人も詩織も全員可愛いぃ!」
「はいはい、水な。あ、詩織、ありがと」
「……」

 背負っていた姉、(みお)をソファーへと降ろし、朝帰りで酔っぱらいの戯言を聞き流しながしながら、水が入ったコップを受け取った直樹。詩織は呆然と直樹を見つめる。
 
 ただ、直樹はそれに気にすることなくソファーで水が入ったコップを差し出す。

「可愛い詩織が入れてくれた水だ」
「あい~~!」
「……ったく、それくらい自分で飲めっつうの」

 そう呆れながら直樹は澪の体を起こし、コップを唇に当てゆっくりと水を飲ます。意外にも手際がよい。四分の一程水がなくなったら、それをソファーの前のローテーブルに置く。

「澪義姉さん、酒臭いから風呂入りなよ」
「あうっ」

 直樹は澪に一度デコピンする。それから呆然としている詩織を見た。

「じゃ、俺はこれから予定があるから」

 そう言いながら直樹はぶらぶらと手を振り、リビングを出ていった。詩織はそれでも呆然としている。それほどまでに今見た光景は己を疑うほどに信じられなかったからだ。

 え、え、え、え、とずっと疑問が頭に浮かび、詩織は勝彦たちが帰ってくるまでずっと突っ立っていた。



 Φ



「お、ピッタリだな」
「もちろんです。早く来て待つなど不快でございますし、遅れるなどもっと不快ですから」
「はいはい」

 駅前で待っていた直樹は冥土(ギズィア)に呆れる。市街地にいるため、冥土(ギズィア)はメイド服ではない。夜空のような黒の長髪を黒のバレッタで止め、深淵の瞳は黒縁のボストン型眼鏡で守る。黒のロングワンピースに黒ブーツで飾っている。

 喪服のようなそれだが、これら全てには認識偽装が込められている。冥土(ギズィア)の容貌は大輔と直樹の傑作。美しいという言葉では語り切れないほどの美貌。纏う雰囲気は人のそれではない。

 だからこそ、認識偽装はしっかりしておかなければならないのだ。

 周りを見て、しっかり認識阻害がかかっているなと確認した直樹は黒の長髪(・・)を靡かせて反転する。

「じゃあ行く――ぐわっ」

 と、冥土(ギズィア)は駅へと入ろうとした直樹を掴む。

「その前に本当にあの件は大丈夫なのでしょうか」
「あ、ああ、問題ない。実験という意味合いが強いが、順調にいってる」
「魔力の方は大丈夫でしょうか? 今日の夕方には――」
「それも大丈夫だ。っつうか、予約している時間に遅れる」

 今週で何度目かの詰問に辟易しながら、直樹はガシガシと頭を掻こうとしてやめる。その代わり、冥土(ギズィア)の手を掴み引っ張る。

 もちろんすぐに叩き落とすが、まぁ糞みたいな名前を付けたが副創造主様(サブマスター)は約束を破るやつではないしな、と思い直した冥土(ギズィア)は直樹の後をついていった。

 そうして電車に乗って揺られ、大都会のとある駅で降りた二人はとあるガラス張りのビルの中に入る。そのビルの中にあるお店に足を踏み入れた。店員が立っていたので、高い声(・・・)で話しかけた。

「今日予約していた佐藤です」
「きゃっ!」

 “隠密隠蔽[薄没]”は発動していなかったのだが、普段から足音や服の擦れる音などは極力出さない癖がついていたためか、粛然と佇んでいた店員さんが驚く。腰を抜かしそうになる。

 それに先に動いたのは冥土(ギズィア)。アルビオンでもよくあったことなので、予想していたのだ。素早く動きながら店員の腰に手を回し、丁寧に受け止める。

「大丈夫でしょうか?」
「あ、はい。……失礼いたしました」
「いえ、大丈夫です」

 店員さんはこれまた礼儀正しく頭を下げた。よほど訓練されているということが分かるお辞儀だった。

「それで佐藤様ですね。……お待ちしておりました」
「はい」

 端末を確認した店員に直樹が頷く。店員は頷いた直樹と冥土(ギズィア)の全体を一瞬だけじっくり見た後、案内をする。

「では、女性(・・)二名以上といのも確認いたしましたので、こちらへどうぞ」
「はい」

 艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、グリーンのストレートパンツに灰色のジャケット等々とマニッシュ系の服を身に着けた普通顔の女性――直樹と冥土(ギズィア)は店員に案内されるがままに席に着いた。

「本日は期間限定のビュッフェのご利用ですね」
「はい」
「では、ごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」

 店員が去ったところで直樹は興奮した様子で立ち上がろうとするが、その前に冥土(ギズィア)に一度だけ頭を下げる。

「これで安上りになる。助かった、冥土(ギズィア)
「これは取引。礼を言われるようなものではありません。ところで本当に私もよろしいのでしょうか」
「ああ。お前の分を払っても一人で来るよりも安いからな。っというか、もう二人分として予約しているしな」
「そうですか」

 胸は入れていないし分かりやすい女装はしていないが、明らかに女性と思える声音や仕草等々を直樹がしているのには理由がある。

 期間限定で女性二名以上だと、格段に安くなるのだ。男一人で来るよりも。

 また、ここのビュッフェはスイーツが豊富だ。それはもう直樹が興奮するくらいにはスイーツの種類が豊富なのだ。そして美味しい。もともとスイーツビュッフェとしてやっていたお店がホテルと提携を結んだのが始まりだったりするので。

 なので、直樹は“身体肉体操作術”の技巧(アーツ)、[毛髪操作]で髪を腰まで伸ばし、ちょっとした化粧で輪郭を柔らかくし、マニッシュ系の服を着た女性としてここに来たのだ。

 胸は入れない。入れる必要はないからだ。

 アルビオンにおいて直樹が女装することは、結構あった。実際に人間を暗殺する事もあったし、潜入捜査等々をしていた事もあった。特に人の魔王や人形の魔王などは人間社会に溶け込んでいたこともあり、男性よりも女性として潜入捜査した方が都合がよかった。

 そういうのもあってか、その完成度も高い。胸はないが、腰まで伸ばした長髪に、肩幅や骨格なんかも少し細工をしているし、女性らしい丸みを帯びた高い声音で話していることもあり、本当に女性としか思えない。

 だが、だからと言ってたかだかスイーツを安く食べるためだけに女装するのは、ちょっとどうかと思うのだが……

 どっちにしろ、今日の夕方に異世界転移用の幻想具(アイテム)を作る予定が入っているのもあり、かつ丼的な気合を入れるために直樹は早速スイーツが陳列された方へ足を運ぶ。ウッキウッキとステップを踏む。

 冥土(ギズィア)は普通に昼食としてパスタ等々の場所へ足を運ぶ。冥土(ギズィア)冥土(ギズィア)で、高級的なお店での料理を食べ、解析し、自分で作れるようにしたいと思っている。

 彼女は護衛等々の兼ね合いもあって、今後は大輔の“収納庫”ではなく普通に外で過ごすことが多くなる。なので、大輔だけでなく和也(かずや)瞳子(とうこ)に美味しい料理を作ろうと思っているのだ。彼女は冥土(ギズィア)だが、メイドでもあるので。

 後は、大輔の研究仲間でお姫様でもあるイザベラのためでもある。彼女に料理を教える際に、自分ができていた方がいいので。

 ただ、食べた料理がどこに消えるかは、謎だが。彼女は人形なのだが……。

 そんな謎な冥土(ギズィア)は幾つかの料理をもって席に戻った。そして上品ながらも凄い勢いでケーキやプリンを食べている直樹を見て、呆れる。直樹の目の前には結構な量のスイーツがあったからだ。

「……相も変わらず病気にならないのでしょうか? もう内臓などは人でしょう」
「もぐ。むぐ……ごっくん。問題ない。ステータスのもあるが、なんか知らんがそこらへんは向こう基準になってる。そも膨大なステータス値に耐えられるように体が変性してるからな。人間のそれとは違うだろ」
「確かに周りの人々と比べますと、明らかに寿命等々が違いますが」

 そう言いながらも冥土(ギズィア)は気品ある所作で並べた料理を食していく。直樹もアルビオンで鍛えられた所作でスイーツを食べる。すぐに食べ終わり、また新たに取りに行く。

 スイーツを補充していた従業員の女性の一人が怖ろしい事実を見る目で直樹を見ている。そ、そんなに食べて太らないのか、体重が増えるのが怖ろしくないのか、という顔である。

 たぶんそんなに食べたことあるのだろう。お腹をぷにーと触ってガックリと肩を落としていた。

 十数分もすると、直樹は一通りのスイーツを食べ終わり、次は気に入ったスイーツをいっぱい取る。怒られない範囲ギリギリでいっぱい。

 そういうのを何度も繰り返し三十分くらい経つと、従業員だけでなく近くにいた客、特に女性客が直樹に注目し始めた。

 当の直樹はスイーツに夢中で全く気が付いていない。美味しいスイーツを夢のように食べられるので直樹は夢見心地だ。アルビオンだと食糧難等々の理由でスイーツは満足に食べられなかったし、娘と息子のミラとノアの教育のためにもたくさん食べるのは控えていた。

 自制が効いていたのだが、今はちょっと外れている。数日前に久しぶりに戦闘したり、今日の異世界転移用幻想具(アイテム)を作るなどの事があり、ハメを外しているのだ。

 と、注目されているのは直樹だけではない。冥土(ギズィア)もだ。

 直樹よりは劣るものの、それでも普通に一般女性からかけ離れた量を三十分で食べており、また仕草が洗練とされているのもあって直樹以上に注目されている。直樹はスイーツだけだが、冥土(ギズィア)は多種多様な料理を食べており、それにあった所作を使い分けていたので。あと、認識阻害はしているがそれでも美貌は目立つ。

 そうして注目を集めているのも気にせずビュッフェを堪能していた二人だが、突然動きを止めた。

 それと同時に、隣の席に三人家族が座った。

「ママ、ここは何っ?」
「優斗、ここはビュッフェよ。それより、上着を脱ぎましょうね」
「うん!」

 ママと呼ばれた中年の女性は凛としていた。アーモンド型の茶目に肩まであるダークブラウンの髪。背筋はピンと伸ばされていて、落ち着いた物腰だった。

 そんな彼女は、優斗と呼んだ低学年と思しき栗色の目と茶髪の少年から上着を受け取り、鞄に掛けた。優斗は店員が用意した少し高めの椅子に座り、首を傾げた。

「ねぇねぇ、どうかしたの?」
「……何でもないよ」

 ねぇねぇと呼ばれた毛先が白い黒髪ショートの少女は、直樹と冥土(ギズィア)の方をチラリと見たあと、優斗に微笑んだ。

 食事をしている仕草をしながらそれを横目に見ていた直樹と冥土(ギズィア)は、目配せする。魔力反応を隠蔽しつつ〝念話〟をする。

(気づかれたでしょうか?)
(たぶん。ただ、あの感じだと無視してくれると思うんだが……)

 何の偶然か、直樹たちの隣には雪とその家族が座ったのだ。しかも。

(何か気になることでも)
(いや、子供の勘は馬鹿にならないからな)
(あの優斗と呼ばれていた男の子でございますか? どこかでお会いしたことでもあるのですか?)
(ああ。以前、病院でな)

 一ヶ月少し前に病院で遊んだ優斗がいたのだ。

 直樹は雪と優斗が家族だということは知っていた。前に監視のために潜ませていた[影魔]モード・ダークハンドから、その情報を受け取っていたからだ。

 なので今更その事には驚きはなかった。むしろ元気な姿が見れてよかったと思っている。
 
 のだが。

(なるほど。では、ここを出ますか?)
(いや、隠形する。流石に隠形すれば気が付かないだろ)
(どうでしょうか? 直樹様の隠形は子供相手だと何故か効力が弱くなりますし)

 今は困る。今、直樹があの時のにぃにぃという存在だと優斗にバレるのがとても困る。だって、今は女性としてこの店にいるし。女性としていなければ、お金が余計にかかるし。というか、お金持ってきてないし。

 だからそれを恐れてここを出るというのは違う。というか、あと二十分あるのだ。お金を無駄にはしたくない。それにもうちょっとスイーツを食べたい。もうちょっとと言わずもっと食べたい。

 それもあってか、直樹は不自然に思われない程の隠形をする。特に“隠密隠蔽[薄没]”を重点的に発動する。

 それに雪がピクリと少しだけ反応するが、すぐに優斗や母親と会話を始めた。優斗は直樹たちに目もくれない。母と一緒に色々な料理をちょこっとずつ取ってきては美味しそうに食べている。

 よしよしこれで大丈夫だな、と直樹は安心し、スイーツを食べた。食べに食べまくった。時折直樹たちをチラリと見ていた雪の頬が引きつるのが分かる。

 そして合計で一時間が経ち、丁度食べ終わった直樹たちは店員さんを呼んで会計を頼もうとした。

 その時。

「にぃにぃ? ……にぃにぃ!」

(おい、マジか!)

 店員さんを呼ぶために隠形を切ったのが災いしたのだろう。優斗は目敏く直樹に気が付き、声を上げる。

 店員は、はい? と首を傾げ、雪は眉を(ひそ)める。母親は一瞬驚いたものの、すぐに優斗を取りなす。

「すみません。こちらは気にせず。……ほら、優斗。あの方は女性でしょう?」
「違う、にぃにぃだもん!」
「にぃにぃって、いつも言っている助けてくれた青年の方でしょう?」
「そう! だからにぃにぃなの!」

 優斗は直樹を指さす。それでも母親はたゆまず取りなすが優斗は頑として自分の主張を曲げない。

 店員さんが少しだけ疑うような目をして直樹を見始め、冥土(ギズィア)は面倒ですね、と思い始めたころ。

「うわぁぁぁぁーーーん!」
「ああ、優斗。落ち着きなさい」

 優斗が泣き叫びだしてしまった。母親は周りに頭を下げ、雪は手際よく優斗の背中を撫でる。呼吸に合わせて撫でるためか、涙は流しているものの優斗は大声を上げている時間は短かった。

「本当にすみません。……ほら、優斗。あの方は女性なの。にぃにぃではないわ」
「……にぃにぃだもん。絶対ににぃにぃだもん」

 母親は困ったような顔をする。優斗が冗談をいう子でないのは知っているが、流石に目の前の女性が男性だとは思えない。先ほどのスイーツを食べる仕草や困ったようにこちらを見ているその仕草は女性のそれだったし。

 優斗はぐずり、母親は困る。店員さんは怖ろしい目で直樹を見始め、雪は少しだけ考え込む。冥土(ギズィア)は知らん顔。

 直樹はしょうがないな、と思う。

「優斗君、だったか?」

 女性らしい声音で優しく尋ねた直樹は優斗の背の高さに合うように屈み、頭を撫でた。

「ここは食事処。泣いているよりも、笑ってご飯を食べた方が幸せだと思うんだ」

 優斗は直樹の手を話さないように掴む。ふにゃーと顔が緩み、潤んだ大きな栗色の目で尋ねる。

「……にぃにぃは?」
「私はもう食べ終わってしまってな。一緒には食べられないんだ」
「……にぃにぃ」

 悲しそうに瞳を伏せた優斗に直樹は苦笑しながら、もう一度頭を撫でた。

「今日は大好きなママとねぇねぇとご飯を食べに来たんだよな」
「……うん」
「なら、私の事はいい。それよりも大好きなママたちと一緒に食べな。それにまた、すぐに会えるから」

 優斗はキョトンと首を傾げる。少しだけ頬を紅潮させる。

「……会えるの?」
「ああ、本当のにぃにぃが会いに行く。約束だ」
「約束?」
「ああ」

 直樹は優斗の手を握り、小指を出す。自分の小指と優斗の小指を絡め合わせる。

「指きりげんまん」
「うそついたらはりせんぼんの~ます!」

 直樹が楽しそうに言えば、優斗は自然と口ずさむ。

「「指切ったっ!」」

 そして優斗の顔には笑顔が戻り、それを確認した直樹は立ち上がった。

「ありがとうございます。それとすみません」
「いえ、大丈夫ですよ。それにこっちこそすみません」

 母親は頭を下げ、直樹も楚々と頭を下げた。それから疑う店員に偽装した身分証を差し出し、直樹は最後まで女性としてその店を出た。

 外には雪がいた。会計している最中に席を立ったのだろう。

 会計や受付からは死角となる柱の裏に移動した後、雪は直樹に微笑んだ。

「あの今日の事は誰にも言いません。人にはそれぞれありますから」
「あ、いや、そういう……まぁいいや、今度話すよ」

 勘違いだ、と言い募ろうとしたが、雪のその表情を見てやめた。そして雪はチラリと中にいる優斗の方を見て。

「はい、今度は本当のにぃにぃとして話してください、優斗に」
「……分かったよ」

 深々と直樹に頭を下げたのだった。

「本当にありがとうございます」
「……それも今度な」

 そして直樹と冥土(ギズィア)はその場を後にした。雪はずっと頭を下げていた。



 後日談として、女装してまでスイーツを食べたかったということが雪経由で大輔にバレ、それはもう本当に揶揄われまくったのだった。

 あと、何故か雪がもう一度女装姿も見たいと言ったりもしていた。




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 週末の初日。
 中学二年生の|詩織《しおり》が所属する文芸部には、夏休みの選択課題として、一万文字以上の小説を書く、好きな小説五冊に対しての考察と構図を解き明かす等々があった。
 残暑が残る今日は、リビングのソファーでクーラーに当たりながら、そのコピーしたみんなの課題を読んで感想を付けていた。父親の勝彦と母親の彩音は食品を買いに大型スーパーに行った。
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 と、今年度卒業する先輩が書いた二十万文字の超大作小説を読んでいた時、玄関の方から呂律の回っていない叫び声が聞こえた。
 詩織は顔を顰める。ガタッと人が倒れた音が聞こえる。溜息を吐くとソファーから立ち上がり併設されているキッチンへと足を運ぶ。
 すると、階段を歩く音が聞こえ、従兄であり義兄である直樹が降りてきたんだろうと思いながら棚からコップを取り出し、水を入れる。ガタガタという物音を聞き、扉が開いたのでそっちを見た。
 そして絶句する。
「うぃ~~。今日も直樹は可愛いよぉ! いや、隼人も詩織も全員可愛いぃ!」
「はいはい、水な。あ、詩織、ありがと」
「……」
 背負っていた姉、|澪《みお》をソファーへと降ろし、朝帰りで酔っぱらいの戯言を聞き流しながしながら、水が入ったコップを受け取った直樹。詩織は呆然と直樹を見つめる。
 ただ、直樹はそれに気にすることなくソファーで水が入ったコップを差し出す。
「可愛い詩織が入れてくれた水だ」
「あい~~!」
「……ったく、それくらい自分で飲めっつうの」
 そう呆れながら直樹は澪の体を起こし、コップを唇に当てゆっくりと水を飲ます。意外にも手際がよい。四分の一程水がなくなったら、それをソファーの前のローテーブルに置く。
「澪義姉さん、酒臭いから風呂入りなよ」
「あうっ」
 直樹は澪に一度デコピンする。それから呆然としている詩織を見た。
「じゃ、俺はこれから予定があるから」
 そう言いながら直樹はぶらぶらと手を振り、リビングを出ていった。詩織はそれでも呆然としている。それほどまでに今見た光景は己を疑うほどに信じられなかったからだ。
 え、え、え、え、とずっと疑問が頭に浮かび、詩織は勝彦たちが帰ってくるまでずっと突っ立っていた。
 Φ
「お、ピッタリだな」
「もちろんです。早く来て待つなど不快でございますし、遅れるなどもっと不快ですから」
「はいはい」
 駅前で待っていた直樹は冥土《ギズィア》に呆れる。市街地にいるため、|冥土《ギズィア》はメイド服ではない。夜空のような黒の長髪を黒のバレッタで止め、深淵の瞳は黒縁のボストン型眼鏡で守る。黒のロングワンピースに黒ブーツで飾っている。
 喪服のようなそれだが、これら全てには認識偽装が込められている。|冥土《ギズィア》の容貌は大輔と直樹の傑作。美しいという言葉では語り切れないほどの美貌。纏う雰囲気は人のそれではない。
 だからこそ、認識偽装はしっかりしておかなければならないのだ。
 周りを見て、しっかり認識阻害がかかっているなと確認した直樹は黒の|長髪《・・》を靡かせて反転する。
「じゃあ行く――ぐわっ」
 と、|冥土《ギズィア》は駅へと入ろうとした直樹を掴む。
「その前に本当にあの件は大丈夫なのでしょうか」
「あ、ああ、問題ない。実験という意味合いが強いが、順調にいってる」
「魔力の方は大丈夫でしょうか? 今日の夕方には――」
「それも大丈夫だ。っつうか、予約している時間に遅れる」
 今週で何度目かの詰問に辟易しながら、直樹はガシガシと頭を掻こうとしてやめる。その代わり、|冥土《ギズィア》の手を掴み引っ張る。
 もちろんすぐに叩き落とすが、まぁ糞みたいな名前を付けたが|副創造主様《サブマスター》は約束を破るやつではないしな、と思い直した|冥土《ギズィア》は直樹の後をついていった。
 そうして電車に乗って揺られ、大都会のとある駅で降りた二人はとあるガラス張りのビルの中に入る。そのビルの中にあるお店に足を踏み入れた。店員が立っていたので、|高い声《・・・》で話しかけた。
「今日予約していた佐藤です」
「きゃっ!」
 “隠密隠蔽[薄没]”は発動していなかったのだが、普段から足音や服の擦れる音などは極力出さない癖がついていたためか、粛然と佇んでいた店員さんが驚く。腰を抜かしそうになる。
 それに先に動いたのは|冥土《ギズィア》。アルビオンでもよくあったことなので、予想していたのだ。素早く動きながら店員の腰に手を回し、丁寧に受け止める。
「大丈夫でしょうか?」
「あ、はい。……失礼いたしました」
「いえ、大丈夫です」
 店員さんはこれまた礼儀正しく頭を下げた。よほど訓練されているということが分かるお辞儀だった。
「それで佐藤様ですね。……お待ちしておりました」
「はい」
 端末を確認した店員に直樹が頷く。店員は頷いた直樹と|冥土《ギズィア》の全体を一瞬だけじっくり見た後、案内をする。
「では、|女性《・・》二名以上といのも確認いたしましたので、こちらへどうぞ」
「はい」
 艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、グリーンのストレートパンツに灰色のジャケット等々とマニッシュ系の服を身に着けた普通顔の女性――直樹と|冥土《ギズィア》は店員に案内されるがままに席に着いた。
「本日は期間限定のビュッフェのご利用ですね」
「はい」
「では、ごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
 店員が去ったところで直樹は興奮した様子で立ち上がろうとするが、その前に|冥土《ギズィア》に一度だけ頭を下げる。
「これで安上りになる。助かった、|冥土《ギズィア》」
「これは取引。礼を言われるようなものではありません。ところで本当に私もよろしいのでしょうか」
「ああ。お前の分を払っても一人で来るよりも安いからな。っというか、もう二人分として予約しているしな」
「そうですか」
 胸は入れていないし分かりやすい女装はしていないが、明らかに女性と思える声音や仕草等々を直樹がしているのには理由がある。
 期間限定で女性二名以上だと、格段に安くなるのだ。男一人で来るよりも。
 また、ここのビュッフェはスイーツが豊富だ。それはもう直樹が興奮するくらいにはスイーツの種類が豊富なのだ。そして美味しい。もともとスイーツビュッフェとしてやっていたお店がホテルと提携を結んだのが始まりだったりするので。
 なので、直樹は“身体肉体操作術”の|技巧《アーツ》、[毛髪操作]で髪を腰まで伸ばし、ちょっとした化粧で輪郭を柔らかくし、マニッシュ系の服を着た女性としてここに来たのだ。
 胸は入れない。入れる必要はないからだ。
 アルビオンにおいて直樹が女装することは、結構あった。実際に人間を暗殺する事もあったし、潜入捜査等々をしていた事もあった。特に人の魔王や人形の魔王などは人間社会に溶け込んでいたこともあり、男性よりも女性として潜入捜査した方が都合がよかった。
 そういうのもあってか、その完成度も高い。胸はないが、腰まで伸ばした長髪に、肩幅や骨格なんかも少し細工をしているし、女性らしい丸みを帯びた高い声音で話していることもあり、本当に女性としか思えない。
 だが、だからと言ってたかだかスイーツを安く食べるためだけに女装するのは、ちょっとどうかと思うのだが……
 どっちにしろ、今日の夕方に異世界転移用の|幻想具《アイテム》を作る予定が入っているのもあり、かつ丼的な気合を入れるために直樹は早速スイーツが陳列された方へ足を運ぶ。ウッキウッキとステップを踏む。
 |冥土《ギズィア》は普通に昼食としてパスタ等々の場所へ足を運ぶ。|冥土《ギズィア》は|冥土《ギズィア》で、高級的なお店での料理を食べ、解析し、自分で作れるようにしたいと思っている。
 彼女は護衛等々の兼ね合いもあって、今後は大輔の“収納庫”ではなく普通に外で過ごすことが多くなる。なので、大輔だけでなく|和也《かずや》や|瞳子《とうこ》に美味しい料理を作ろうと思っているのだ。彼女は|冥土《ギズィア》だが、メイドでもあるので。
 後は、大輔の研究仲間でお姫様でもあるイザベラのためでもある。彼女に料理を教える際に、自分ができていた方がいいので。
 ただ、食べた料理がどこに消えるかは、謎だが。彼女は人形なのだが……。
 そんな謎な|冥土《ギズィア》は幾つかの料理をもって席に戻った。そして上品ながらも凄い勢いでケーキやプリンを食べている直樹を見て、呆れる。直樹の目の前には結構な量のスイーツがあったからだ。
「……相も変わらず病気にならないのでしょうか? もう内臓などは人でしょう」
「もぐ。むぐ……ごっくん。問題ない。ステータスのもあるが、なんか知らんがそこらへんは向こう基準になってる。そも膨大なステータス値に耐えられるように体が変性してるからな。人間のそれとは違うだろ」
「確かに周りの人々と比べますと、明らかに寿命等々が違いますが」
 そう言いながらも|冥土《ギズィア》は気品ある所作で並べた料理を食していく。直樹もアルビオンで鍛えられた所作でスイーツを食べる。すぐに食べ終わり、また新たに取りに行く。
 スイーツを補充していた従業員の女性の一人が怖ろしい事実を見る目で直樹を見ている。そ、そんなに食べて太らないのか、体重が増えるのが怖ろしくないのか、という顔である。
 たぶんそんなに食べたことあるのだろう。お腹をぷにーと触ってガックリと肩を落としていた。
 十数分もすると、直樹は一通りのスイーツを食べ終わり、次は気に入ったスイーツをいっぱい取る。怒られない範囲ギリギリでいっぱい。
 そういうのを何度も繰り返し三十分くらい経つと、従業員だけでなく近くにいた客、特に女性客が直樹に注目し始めた。
 当の直樹はスイーツに夢中で全く気が付いていない。美味しいスイーツを夢のように食べられるので直樹は夢見心地だ。アルビオンだと食糧難等々の理由でスイーツは満足に食べられなかったし、娘と息子のミラとノアの教育のためにもたくさん食べるのは控えていた。
 自制が効いていたのだが、今はちょっと外れている。数日前に久しぶりに戦闘したり、今日の異世界転移用|幻想具《アイテム》を作るなどの事があり、ハメを外しているのだ。
 と、注目されているのは直樹だけではない。|冥土《ギズィア》もだ。
 直樹よりは劣るものの、それでも普通に一般女性からかけ離れた量を三十分で食べており、また仕草が洗練とされているのもあって直樹以上に注目されている。直樹はスイーツだけだが、|冥土《ギズィア》は多種多様な料理を食べており、それにあった所作を使い分けていたので。あと、認識阻害はしているがそれでも美貌は目立つ。
 そうして注目を集めているのも気にせずビュッフェを堪能していた二人だが、突然動きを止めた。
 それと同時に、隣の席に三人家族が座った。
「ママ、ここは何っ?」
「優斗、ここはビュッフェよ。それより、上着を脱ぎましょうね」
「うん!」
 ママと呼ばれた中年の女性は凛としていた。アーモンド型の茶目に肩まであるダークブラウンの髪。背筋はピンと伸ばされていて、落ち着いた物腰だった。
 そんな彼女は、優斗と呼んだ低学年と思しき栗色の目と茶髪の少年から上着を受け取り、鞄に掛けた。優斗は店員が用意した少し高めの椅子に座り、首を傾げた。
「ねぇねぇ、どうかしたの?」
「……何でもないよ」
 ねぇねぇと呼ばれた毛先が白い黒髪ショートの少女は、直樹と|冥土《ギズィア》の方をチラリと見たあと、優斗に微笑んだ。
 食事をしている仕草をしながらそれを横目に見ていた直樹と|冥土《ギズィア》は、目配せする。魔力反応を隠蔽しつつ〝念話〟をする。
(気づかれたでしょうか?)
(たぶん。ただ、あの感じだと無視してくれると思うんだが……)
 何の偶然か、直樹たちの隣には雪とその家族が座ったのだ。しかも。
(何か気になることでも)
(いや、子供の勘は馬鹿にならないからな)
(あの優斗と呼ばれていた男の子でございますか? どこかでお会いしたことでもあるのですか?)
(ああ。以前、病院でな)
 一ヶ月少し前に病院で遊んだ優斗がいたのだ。
 直樹は雪と優斗が家族だということは知っていた。前に監視のために潜ませていた[影魔]モード・ダークハンドから、その情報を受け取っていたからだ。
 なので今更その事には驚きはなかった。むしろ元気な姿が見れてよかったと思っている。
 のだが。
(なるほど。では、ここを出ますか?)
(いや、隠形する。流石に隠形すれば気が付かないだろ)
(どうでしょうか? 直樹様の隠形は子供相手だと何故か効力が弱くなりますし)
 今は困る。今、直樹があの時のにぃにぃという存在だと優斗にバレるのがとても困る。だって、今は女性としてこの店にいるし。女性としていなければ、お金が余計にかかるし。というか、お金持ってきてないし。
 だからそれを恐れてここを出るというのは違う。というか、あと二十分あるのだ。お金を無駄にはしたくない。それにもうちょっとスイーツを食べたい。もうちょっとと言わずもっと食べたい。
 それもあってか、直樹は不自然に思われない程の隠形をする。特に“隠密隠蔽[薄没]”を重点的に発動する。
 それに雪がピクリと少しだけ反応するが、すぐに優斗や母親と会話を始めた。優斗は直樹たちに目もくれない。母と一緒に色々な料理をちょこっとずつ取ってきては美味しそうに食べている。
 よしよしこれで大丈夫だな、と直樹は安心し、スイーツを食べた。食べに食べまくった。時折直樹たちをチラリと見ていた雪の頬が引きつるのが分かる。
 そして合計で一時間が経ち、丁度食べ終わった直樹たちは店員さんを呼んで会計を頼もうとした。
 その時。
「にぃにぃ? ……にぃにぃ!」
(おい、マジか!)
 店員さんを呼ぶために隠形を切ったのが災いしたのだろう。優斗は目敏く直樹に気が付き、声を上げる。
 店員は、はい? と首を傾げ、雪は眉を|顰《ひそ》める。母親は一瞬驚いたものの、すぐに優斗を取りなす。
「すみません。こちらは気にせず。……ほら、優斗。あの方は女性でしょう?」
「違う、にぃにぃだもん!」
「にぃにぃって、いつも言っている助けてくれた青年の方でしょう?」
「そう! だからにぃにぃなの!」
 優斗は直樹を指さす。それでも母親はたゆまず取りなすが優斗は頑として自分の主張を曲げない。
 店員さんが少しだけ疑うような目をして直樹を見始め、|冥土《ギズィア》は面倒ですね、と思い始めたころ。
「うわぁぁぁぁーーーん!」
「ああ、優斗。落ち着きなさい」
 優斗が泣き叫びだしてしまった。母親は周りに頭を下げ、雪は手際よく優斗の背中を撫でる。呼吸に合わせて撫でるためか、涙は流しているものの優斗は大声を上げている時間は短かった。
「本当にすみません。……ほら、優斗。あの方は女性なの。にぃにぃではないわ」
「……にぃにぃだもん。絶対ににぃにぃだもん」
 母親は困ったような顔をする。優斗が冗談をいう子でないのは知っているが、流石に目の前の女性が男性だとは思えない。先ほどのスイーツを食べる仕草や困ったようにこちらを見ているその仕草は女性のそれだったし。
 優斗はぐずり、母親は困る。店員さんは怖ろしい目で直樹を見始め、雪は少しだけ考え込む。|冥土《ギズィア》は知らん顔。
 直樹はしょうがないな、と思う。
「優斗君、だったか?」
 女性らしい声音で優しく尋ねた直樹は優斗の背の高さに合うように屈み、頭を撫でた。
「ここは食事処。泣いているよりも、笑ってご飯を食べた方が幸せだと思うんだ」
 優斗は直樹の手を話さないように掴む。ふにゃーと顔が緩み、潤んだ大きな栗色の目で尋ねる。
「……にぃにぃは?」
「私はもう食べ終わってしまってな。一緒には食べられないんだ」
「……にぃにぃ」
 悲しそうに瞳を伏せた優斗に直樹は苦笑しながら、もう一度頭を撫でた。
「今日は大好きなママとねぇねぇとご飯を食べに来たんだよな」
「……うん」
「なら、私の事はいい。それよりも大好きなママたちと一緒に食べな。それにまた、すぐに会えるから」
 優斗はキョトンと首を傾げる。少しだけ頬を紅潮させる。
「……会えるの?」
「ああ、本当のにぃにぃが会いに行く。約束だ」
「約束?」
「ああ」
 直樹は優斗の手を握り、小指を出す。自分の小指と優斗の小指を絡め合わせる。
「指きりげんまん」
「うそついたらはりせんぼんの~ます!」
 直樹が楽しそうに言えば、優斗は自然と口ずさむ。
「「指切ったっ!」」
 そして優斗の顔には笑顔が戻り、それを確認した直樹は立ち上がった。
「ありがとうございます。それとすみません」
「いえ、大丈夫ですよ。それにこっちこそすみません」
 母親は頭を下げ、直樹も楚々と頭を下げた。それから疑う店員に偽装した身分証を差し出し、直樹は最後まで女性としてその店を出た。
 外には雪がいた。会計している最中に席を立ったのだろう。
 会計や受付からは死角となる柱の裏に移動した後、雪は直樹に微笑んだ。
「あの今日の事は誰にも言いません。人にはそれぞれありますから」
「あ、いや、そういう……まぁいいや、今度話すよ」
 勘違いだ、と言い募ろうとしたが、雪のその表情を見てやめた。そして雪はチラリと中にいる優斗の方を見て。
「はい、今度は本当のにぃにぃとして話してください、優斗に」
「……分かったよ」
 深々と直樹に頭を下げたのだった。
「本当にありがとうございます」
「……それも今度な」
 そして直樹と|冥土《ギズィア》はその場を後にした。雪はずっと頭を下げていた。
 後日談として、女装してまでスイーツを食べたかったということが雪経由で大輔にバレ、それはもう本当に揶揄われまくったのだった。
 あと、何故か雪がもう一度女装姿も見たいと言ったりもしていた。
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“身体肉体操作術[毛髪操作]”:魔力を使用することによって、毛髪を操作したり、伸ばしたり、鋼鉄と化したり色々とできる。暗殺等々にはもってこい。