十三話 行けっ、ファ〇ネル!
ー/ー『こちら観測班。多数の混沌の兵士の反応を確認』
「反応箇所は? あと数は?」
タンッタンッと軽やかに灰色の世界を跳ぶ杏――プロミネンスは回数制限ありの限定通信で観測班に問い返す。建物から建物へ跳ぶプロミネンスに背負われながら、自ら治癒をしていたホワイトが首を傾げた気配を感じた。
『そちらから西へ一キロ。数は五十。反応箇所は一つ』
「五十……いや、一カ所だとっ?」
プロミネンスは首を傾げた。混沌の兵士が大規模発生してから三日目。奴らは、広範囲に発生していた。いや、平時は当たり前として、こんな非常時においても五体以上の混沌の兵士が一所に発生するなどあり得ない。
そんな疑問を込めて問い返したプロミネンスに観測班は頷いた。
『はい。原因は調査中ですが、確かにその箇所にて五十体の混沌の兵士を確認。反応から特一級が一体。特三級が二体。そのほか、三級です』
「ッ。……増員はっ?」
『他カ所にての発生を確認しておりませんから、療養チームと予備チームを除いた全チームに同様の要請をしております』
「ということは、五人か」
『はい。療養チームは一時間後にそちらへ向かう予定です。遅滞戦闘に移行し、できるだけ時間を稼いでください。最悪、個々の判断における撤退も可能です』
プロミネンスは内心舌打ちをする。圧倒的に分が悪い。観測班の言う通り殲滅ではなく、療養チームの回復を待つ一時間の持久戦に移行するのが無難だが、チラリと背負っているホワイトを見やった。
ホワイトはここ三日の連戦によって消耗が酷い。肉体的な消耗は全くもってないが、精神的な消耗が激しいのだ。特に同年代の少女の大怪我などを見る回復担当として。
そんな心配が伝わったのだろう。
ホワイトは薄桃色の瞳を揺らす。逡巡し、数秒間伏せる。その幼さが残る可愛らしい顔には悲壮感が漂っていたが、けれど徐々に決意が宿っていく。
そして瞳を開いた。
「プロミネンス先輩。大丈夫です」
「……そうか」
夜風に真っ白のショートヘアと腰まで伸びる深紅の髪が揺れる。けれどその揺れは不安定さからではなく安定したゆれ、いわば子守歌のような揺れ。
確かな決意があり、そして絆があった。
「先輩面はできそうにないな」
「いえ、まだまだ後輩面させてもらいます」
「そうか」
新人研修の一年間と、新人教育のために東京から千葉へ派遣されてから二ヶ月強。あまり長い時間ではなかったが、それでもホワイトの成長を実感できたプロミネンスは嬉しそうに頬を緩めた。
一際高いビルへ降り立ち、クイッと一瞬で向きを変えて観測班から伝えられた方へと跳んだ。
キリリと顔が引き締まる。これから行く場所は戦地だ。大事な後輩や仲間と共に生死を賭けて戦う場所だ。
プロミネンスは跳び移ったビルの看板を蹴った。
Φ
「……結界をお願い」
「かしこまりました」
確認した反応へと空を駆けていた大輔はその手前で止まり、隣を飛翔していた冥土に声をかける。
冥土は黒翼を一度夜風に打ち、ホバリングする。恭しく頭を下げながら五片の黒羽根を黒翼からパージし、四角錐の結界を張る。熱や生体反応、気配や魔力などの隠蔽、迷彩、ジャミング等々を組み込んだ結界だ。
足元に作り出した金茶色の障壁に立つ大輔は、少し先にいる存在を見下ろす。
「高みの見物ですか?」
「どうだろう。少なくとも彼女たちは戦士だから邪魔はしないよ。こっちが切羽詰まっているわけでもないし」
巨大な影だ。亭々と聳え立つおどろおどろしい砦。もしくは大樹。見ているだけで生気を抉られ、気を失ってしまうのではないかと思うほどに醜く、おぞましい。それがゆっくりと生長している。
そんな存在から湧きだす三メートルほどの影。無数の手を体から生やし、不気味にそれらを動かしながら這いずる。または、気色悪い手が連ねられた翼を生やして空を飛ぶ。
向かう先は、大輔たちがいる方角。大輔たちが目的なのだろう。
けれど、その間には違う存在がいた。
「見殺しにするのですか?」
「それはないよ。翔たちに約束したし、それにイザベラに言われている。向こうさんは僕たちが目的のようだし、彼女たちの戦う意志は尊重するけど、見殺しは流石にね」
「それだけですか?」
主にアルビオンの大輔を知っている冥土の言葉。それでも肉壁にする、などといった鬼畜発言をする創造主であることを知っている。創造主の研究仲間でお姫様から鬼畜発言をした場合、諫めるように命令されている。
だからこその疑問。大輔はそれに苦笑いして応えた。
「……たぶん、父さんたちに会えたからかな」
「そうですか」
感情は持たないが自立思考をする冥土は創造主の回答に納得しながら、影と戦う存在を見やった。観察する。大輔も観察する。
それは魔法少女。直樹から教えてもらった知識では大した意味をもっていなかったが、混沌の異界や混沌の兵士を解析した今、大きな意味を持っている。
いるのは五人。
深紅の長髪に蒼穹の瞳の魔法少女、リボンをつけた真っ白なショートヘアに薄桃色の瞳の魔法少女、漆黒の長髪に漆黒の瞳の魔法少女。
「む。キャラ被りでしょうか」
「ゴスロリ魔法少女とメイドだし、キャラは被ってないと思うよ。それに君、人間ではないじゃん。メイドゴーレムじゃん。魔法少女よりもキャラ強いよ」
「確かにそうですね」
ビスクドールのように表情は動かないし声音は抑揚はないが、冥土は心なしか誇るように頷いた。直樹から伝え聞いた魔法少女を確認した大輔は、その他に二人に眼鏡を向けた。
一人はトパーズ色の縦ロールにルビーの瞳。着ているフリル付きのドレスは、煌びやかで上品に宝石が施されている。宝石のハイヒールを履き、トパーズの指輪を右中指に、ルビーの指輪を左中指に嵌めている。
強化した聴力と視力で観察すれば、名前はジュエリー、釣り目でいかにもお嬢様と思うほどの容姿。美貌。
もう一人は全身を覆う水玉模様が入ったポンチョ姿。しかも被っているフードには猫耳がついている。美空色の長靴を履き、水玉模様が織り込まれた傘を閉じたり開いたりしている。
聞こえる名前はレイン。フードの影から覗く髪は綺麗な美空色で、瞳は群青。オドオドとしたおとなしめで可愛らしい顔つき。水たまりみたいな感じだ。
「……何故彼女たちはあんな外装を通して魔法を行使しているのでしょうか? あれだけの力量なら、普通に魔法術式を組んで魔法を行使したほうがいいのでは?」
魔法少女を観察している冥土は、真っ白の目に黒の花と翡翠の星々を浮かべて同様に観察する大輔に疑問を呈する。
学校では観察がバレた時の万が一を考えて魔法少女――百目鬼杏の観察はしなかった。
それに魂魄を持つ存在が発する特有のオーラ――気配の感知に優れていて、個々の絶妙な気配の違いを見分けられる直樹が、プロミネンスと杏を同一人物と判断したところで、大輔には、そも直樹にもどうでもよかった。
直樹が調査した感じ、魔法少女自体は地球のファンタジーにはあまり関わっていないようだった。それに魔法少女自体を調べなくとも、その上――神和ぎ社や陰陽寮などの機関へのラインを持った存在は把握している。
局長と呼ばれていた人物だ。
それに、もしそのラインが途切れても、向こうには魔力を感知する術があるようなので、大輔たちの存在がバレなように隠蔽しながら、多大魔力を発生されば必ず現れる。
問題があればその後を追えばいい。
兎も角、学校で解析する必要性はなかったのだ。
だけど、今は興味がある。それに学校ではないから、認識阻害をして観察すれば大輔であることはバレない。それくらいの自信がある。
その自信を持った大輔は、解析能力を消耗に影響しない範囲で稼働しながら、冥土の疑問に応える。
「たぶん、彼女たち自身の魔力量は大したことないよ。魔法の力量も。混沌の兵士とやらが邪魔でまだ全貌は分かってないけど、たぶんあの外装――魔法少女衣装は一時的に魄を変性させて、魔力を増幅させてるんだよ。それはあの魔法少女衣装を纏ってない時もそうだね。たぶんコアかなんかを魄に取り込む感じかな。肉体をすっ飛ばしている感じだし」
魄とは、肉体に重なる精神体の事だ。魂はその魄の中心部分であり、精神そのものを司っている。それらを合わせて魂魄とよぶ。
「肉体を直接変性させていないといことは、魄の変性に無理やり付随させたのでしょうか?」
「たぶんそうだろうね。結構無理やりだから、一時的……丁度十三歳くらいから二十歳近くだね。混沌の兵士への有効攻撃手段と重なっているのは偶然じゃないと思う。どっちにしろ、彼女たちがあれだけの魔力を持てるのはその期間の間だけ、ということかな。その後は、普通の女性になる」
「……使い捨てでしょうか。普通の女性といっても無理した後遺症は残るでしょうし、魔力持ちがその外装を身に着ければ、あれ以上の強化が望めるでしょう」
「たぶん、そうだろうね。人材不足か、コスパか。兎も角地球、いや日本でも子供が戦わなきゃいけないのは変わりないようだね」
大輔の精神は大人だ。年数で言えば二十三歳。もう少しで四歳になるだろうか。異世界だろうが平和な日本だろうが、子供に命を賭けさせている社会に僅かばかり呟いた。
けど僅かばかりだ。大輔はそんな社会を憂いて、変革を為そうと思ってはいない。大輔は善人ではないからだ。
それは、大輔を目的として湧いて襲ってきている混沌の兵士を魔法少女に任せていることからも分かる。それを高みの見物として観察しているのも。ぶっちゃけクズの部類だろう。
それに、けれど。
「……ねぇ、高校生って大人だったけ? 子供だったけ?」
「……高校生とは、十五歳から十八歳までの学生のことでしょうか」
「まぁ留年したりすればそれ以上もいるけど」
「……なら、大人では? ご主人様もその年齢で殺し合いをしていましたし」
「うん、やっぱり戦士だね」
自らの意志で戦って生きている者の邪魔は、なるべくしない。少なくとも面白半分に介入する事は、絶対にない。それが大輔の持っている礼儀の一つだ。
だから、血を流しながらも燦然と輝く瞳で混沌の兵士と戦う魔法少女に手を出したりはしない。彼女たちには大輔が原因であろうがそうでなかろうが、戦う理由があるからだ。その理由を意志として戦っている彼女たちの邪魔はしない。
まぁ死にそうになったら手助けをするが。
けど、そもそれは最初に表明していた。冥土は少しだけ首を傾げる。
「先ほど自分で戦士だと仰っていたではありませんか」
「まぁね」
大輔はヘラヘラと笑う。今はまだ、手を出さない。
Φ
『撤退しなさい! 再度通告するわよ、撤退しなさい!』
混沌の異界と現世を繋ぐ通信システムの通信回数は決まっている。その限界を無理やり突破して来た二度目の通信に、けれどプロミネンスは無視する。他の魔法少女も同様だ。
戦う。ここで引けば、ここら一帯に住んでいる全ての人が襲われ、混乱に陥る。死者がでるかもしれない。それだけは防がなければ。
けれど。
「ジュエリーとレインは防御に徹しろっ! グリムはホワイトの補助をっ!」
「言われるまでもないですわっ! それより、アナタはサッサと下がりなさい!」
「はひぃ!」
「……ん!」
数百体を超える混沌の兵士相手に防御重視の殲滅をしていたが、プロミネンスたちの損傷がホワイトの≪癒し≫の発動速度を超え始めてしまった。
このままでは瓦解する。そう判断したプロミネンスは完全な防御陣形を指示する。折れた右腕で風穴の空いた腹を抑える。大剣は手元になく、≪灼熱≫で作り出した炎の弾丸を混沌の兵士へ放ち牽制する。戦線を離脱しようとする。
血に染まった縦ロールを揺らし、額から血を流すジュエリーは、されど凛然と艶笑する。プロミネンスが自身の後ろに後退した事を確認すると、ルビーの指輪を輝かせて≪金剛≫で半円の宝石の壁を自身の前に作り出す。後ろにいる存在を守護し、下から三番目に強い三級の歩く混沌の猛攻を防ぐ。
宝石の壁の外に取り残されたグリムは黒のブーツから闇色の光を波打たせ、≪影踏み≫で空中に作り出した実体を持つ影を踏んで、一気に壁を跳び越える。
闇の波動を放つ大鎌を振るって宝石の壁から漏れた歩く混沌を切り払いながら、≪生殺≫で傷を負ったプロミネンスとレインを回復させる。ホワイトの傍に降り立つ。
カフッと血を吐きながらレインは開いた水玉模様の傘を一振り。≪鬼雨≫で雨の弾丸を作り出し、数十もの歩く混沌を消滅させる。
水玉模様のポンチョをはためかせ、≪氾浪≫で水の激流を作り出し、宝石の壁の手前に水の壁を作り出す。ホワイトは≪強化≫でレインの魔法を強化する。
そして最後の力をふり絞って戦線を離脱したプロミネンスをステッキを輝かせて≪癒し≫で治癒する。けれど折れた右腕も腹に空いた風穴も全くもって癒されない。ホワイトの≪癒し≫の出力が弱っているのだ。魔力が足りない。
治癒は全くもって進んでいないプロミネンスは、ホワイトに体を預けながらも苦痛に歪んでいる顔で笑う。腕を連ねた翼で飛翔し、激流の壁と宝石の壁を飛び越えた飛ぶ混沌六体を、≪灼熱≫で爆発を起こして吹き飛ばす。
「はぁうっ!」
「こんっのっ、やろうですわっ!」
レインとジュエリーが裂帛の叫びを上げる。大河の激流の壁は弾き飛ばされ、宝石の壁に亀裂が走る。
それでも二人は残り少ない魔力を注ぎ込み、プロミネンスの怪我の治癒するまでの時間を稼ぐ。
全員は薄々気が付いていた。プロミネンスの傷を癒す時間は稼げても、あと二十分も時間は稼げない。
もともと彼女たち五人以外にも、東京と神奈川から派遣された魔法少女を含めてあと六人いる。予備チームが二人。負傷して緊急治癒に入っているのが四人。
予備チームは新人だ。魔法少女新人であり、戦闘には不慣れ。最下級の五級相手を倒すのにも時間が掛かる。だから戦線には出さない。出したところで足手まといだ。
そしてここにいる全員がこの戦線に入った瞬間分かった。五人だけでは殲滅は不可能だと。
最も高い階級、特一級に属しており、混沌の兵士を生み出す力を持つ混沌の兵士。大樹の混沌の兵士。最強と言われる混沌の兵士。
湧く混沌。
過去に現れたのは一度。一度は混沌の妄執が西日本の混沌の異界の支配権を失う時。最後の足掻きとして現れた。
十数人の魔法少女が命を掛けて戦い、何とか倒した敵。倒さなければ支配権を一瞬で奪い返されてしまう敵。バランスブレイカー。
なのに今は五人。特一級でも戦闘型ならばまだよかった。ただただ強いだけならやりようはある。けれど物量で押しつぶす湧く混沌を少人数で倒すことはできない。物量には物量。常識だ。
だから彼女たちは持久戦へと移行した。緊急治療をしている四人の魔法少女が回復し、こっちに来るまでの残り二十分を耐えて耐えてそして倒す。
そう考えていたのだが……
「ッッッッッッ!」
「ヒィィィィッィィィィッィッ!」
脳裏にチラついていた悪い予想がついに訪れた。
ドクンと混沌の兵士の群れが脈動した瞬間、レインとジュエリーが作り出した防御壁が決壊した。二人は歩く混沌の濁流に飲まれ、二人は吹き飛ばされる。
その瞬間、ホワイトとグリムは逃げることを決意した。
先輩である三人は命尽きるまで戦うつもりだろう。けれど彼女たちは違う。彼女たちは先輩たちのために命を賭けるのであって、正義のために命を捨てる気はさらさらない。先輩たちの命なら猶更。
絶対に捨てさせない。生き延びて見せる。自らの命に代えても。
それが後輩たちの想い。
だからホワイトはプロミネンスをレンジャーロールする。グリムは≪影踏み≫で空中を蹴る。吹き飛ばされ気を失い宙を舞っている二人を受け止めようとするが。
「ッ」
グリムを恰好の獲物と捉えたか。数十体の飛ぶ混沌が襲い掛かる。ジュエリーたちに気を取られていたグリムは大鎌を振るうが、全方位から襲い掛かる敵を倒しきれない。
あわやグリムが飛ぶ混沌に食われそうになった瞬間。
「……えん……だん」
ホワイトに担がれたプロミネンスは、激痛で意識を朦朧とさせて視界を暗転させていたのにも関わらず、≪直観≫でグリムの危機を捉える。≪直観≫でグリムを襲う飛ぶ混沌を把握し、無意識に≪灼熱≫で作り出した火炎弾を射出する。力尽きプロミネンスは気を失う。
けれど力をふり絞った甲斐はあった。
グリムの周囲にいた飛ぶ混沌が火炎弾に貫かれて霧散した。それでも間断なく飛ぶ混沌が襲ってくるが、数秒は稼いだ。
その数秒を逃さない。グリムは≪影踏み≫で一気に加速し、大鎌を上へ投げながらジュエリーとレインを抱える。タイミングよく落ちてきた大鎌を足で水平に蹴り飛ばし、襲い掛かってきた飛ぶ混沌を切り殺す。
大鎌はブーメランのようにグリムのもとへ返ってくる。
それを見届ける事もせずに、即座に反転。≪影踏み≫で踏み込み、ホワイトに並んで駆ける。ホワイトはビルからビルへ飛び移る。グリムは空を駆ける。
二人は必死に遁走しながら、ホワイトは≪癒し≫で、グリムは≪生殺≫でプロミネンスたちを意識が回復するよう治癒を施す。意識がないと重すぎるからだ。
「まだっ!」
「……っ。ま、負けるかっ!」
けれど意識が回復するには時間が足らない。二人のすぐ後ろには、喰い殺さんばかりに猛る飛ぶ混沌が数十体もいた。歩く混沌は違う方へと進行しているのは不幸中の幸いか。
二人は歯を食いしばり、踏ん張る。グリムはいつもの能面のような顔を思いっきり歪める。軽傷といえど、体力は既に底をついている。精神的な体力なら猶更。
だから。
「……ぁ」
「グリムさんっ!」
自身よりも大きい意識をなくした少女二人を背負っていたグリムは、≪影踏み≫で作り出した影の足場を踏み外した。ホワイトは慌てて手を伸ばすが間に合わない。
数十の飛ぶ混沌がグリムを喰い殺そうと殺到しようとして。
「創造主様直伝っ、行けっ、ファ〇ネル!」
灰色の世界に似つかわしくない光る漆黒の羽根が、全ての飛ぶ混沌を貫いた。
「反応箇所は? あと数は?」
タンッタンッと軽やかに灰色の世界を跳ぶ杏――プロミネンスは回数制限ありの限定通信で観測班に問い返す。建物から建物へ跳ぶプロミネンスに背負われながら、自ら治癒をしていたホワイトが首を傾げた気配を感じた。
『そちらから西へ一キロ。数は五十。反応箇所は一つ』
「五十……いや、一カ所だとっ?」
プロミネンスは首を傾げた。混沌の兵士が大規模発生してから三日目。奴らは、広範囲に発生していた。いや、平時は当たり前として、こんな非常時においても五体以上の混沌の兵士が一所に発生するなどあり得ない。
そんな疑問を込めて問い返したプロミネンスに観測班は頷いた。
『はい。原因は調査中ですが、確かにその箇所にて五十体の混沌の兵士を確認。反応から特一級が一体。特三級が二体。そのほか、三級です』
「ッ。……増員はっ?」
『他カ所にての発生を確認しておりませんから、療養チームと予備チームを除いた全チームに同様の要請をしております』
「ということは、五人か」
『はい。療養チームは一時間後にそちらへ向かう予定です。遅滞戦闘に移行し、できるだけ時間を稼いでください。最悪、個々の判断における撤退も可能です』
プロミネンスは内心舌打ちをする。圧倒的に分が悪い。観測班の言う通り殲滅ではなく、療養チームの回復を待つ一時間の持久戦に移行するのが無難だが、チラリと背負っているホワイトを見やった。
ホワイトはここ三日の連戦によって消耗が酷い。肉体的な消耗は全くもってないが、精神的な消耗が激しいのだ。特に同年代の少女の大怪我などを見る回復担当として。
そんな心配が伝わったのだろう。
ホワイトは薄桃色の瞳を揺らす。逡巡し、数秒間伏せる。その幼さが残る可愛らしい顔には悲壮感が漂っていたが、けれど徐々に決意が宿っていく。
そして瞳を開いた。
「プロミネンス先輩。大丈夫です」
「……そうか」
夜風に真っ白のショートヘアと腰まで伸びる深紅の髪が揺れる。けれどその揺れは不安定さからではなく安定したゆれ、いわば子守歌のような揺れ。
確かな決意があり、そして絆があった。
「先輩面はできそうにないな」
「いえ、まだまだ後輩面させてもらいます」
「そうか」
新人研修の一年間と、新人教育のために東京から千葉へ派遣されてから二ヶ月強。あまり長い時間ではなかったが、それでもホワイトの成長を実感できたプロミネンスは嬉しそうに頬を緩めた。
一際高いビルへ降り立ち、クイッと一瞬で向きを変えて観測班から伝えられた方へと跳んだ。
キリリと顔が引き締まる。これから行く場所は戦地だ。大事な後輩や仲間と共に生死を賭けて戦う場所だ。
プロミネンスは跳び移ったビルの看板を蹴った。
Φ
「……結界をお願い」
「かしこまりました」
確認した反応へと空を駆けていた大輔はその手前で止まり、隣を飛翔していた冥土に声をかける。
冥土は黒翼を一度夜風に打ち、ホバリングする。恭しく頭を下げながら五片の黒羽根を黒翼からパージし、四角錐の結界を張る。熱や生体反応、気配や魔力などの隠蔽、迷彩、ジャミング等々を組み込んだ結界だ。
足元に作り出した金茶色の障壁に立つ大輔は、少し先にいる存在を見下ろす。
「高みの見物ですか?」
「どうだろう。少なくとも彼女たちは戦士だから邪魔はしないよ。こっちが切羽詰まっているわけでもないし」
巨大な影だ。亭々と聳え立つおどろおどろしい砦。もしくは大樹。見ているだけで生気を抉られ、気を失ってしまうのではないかと思うほどに醜く、おぞましい。それがゆっくりと生長している。
そんな存在から湧きだす三メートルほどの影。無数の手を体から生やし、不気味にそれらを動かしながら這いずる。または、気色悪い手が連ねられた翼を生やして空を飛ぶ。
向かう先は、大輔たちがいる方角。大輔たちが目的なのだろう。
けれど、その間には違う存在がいた。
「見殺しにするのですか?」
「それはないよ。翔たちに約束したし、それにイザベラに言われている。向こうさんは僕たちが目的のようだし、彼女たちの戦う意志は尊重するけど、見殺しは流石にね」
「それだけですか?」
主にアルビオンの大輔を知っている冥土の言葉。それでも肉壁にする、などといった鬼畜発言をする創造主であることを知っている。創造主の研究仲間でお姫様から鬼畜発言をした場合、諫めるように命令されている。
だからこその疑問。大輔はそれに苦笑いして応えた。
「……たぶん、父さんたちに会えたからかな」
「そうですか」
感情は持たないが自立思考をする冥土は創造主の回答に納得しながら、影と戦う存在を見やった。観察する。大輔も観察する。
それは魔法少女。直樹から教えてもらった知識では大した意味をもっていなかったが、混沌の異界や混沌の兵士を解析した今、大きな意味を持っている。
いるのは五人。
深紅の長髪に蒼穹の瞳の魔法少女、リボンをつけた真っ白なショートヘアに薄桃色の瞳の魔法少女、漆黒の長髪に漆黒の瞳の魔法少女。
「む。キャラ被りでしょうか」
「ゴスロリ魔法少女とメイドだし、キャラは被ってないと思うよ。それに君、人間ではないじゃん。メイドゴーレムじゃん。魔法少女よりもキャラ強いよ」
「確かにそうですね」
ビスクドールのように表情は動かないし声音は抑揚はないが、冥土は心なしか誇るように頷いた。直樹から伝え聞いた魔法少女を確認した大輔は、その他に二人に眼鏡を向けた。
一人はトパーズ色の縦ロールにルビーの瞳。着ているフリル付きのドレスは、煌びやかで上品に宝石が施されている。宝石のハイヒールを履き、トパーズの指輪を右中指に、ルビーの指輪を左中指に嵌めている。
強化した聴力と視力で観察すれば、名前はジュエリー、釣り目でいかにもお嬢様と思うほどの容姿。美貌。
もう一人は全身を覆う水玉模様が入ったポンチョ姿。しかも被っているフードには猫耳がついている。美空色の長靴を履き、水玉模様が織り込まれた傘を閉じたり開いたりしている。
聞こえる名前はレイン。フードの影から覗く髪は綺麗な美空色で、瞳は群青。オドオドとしたおとなしめで可愛らしい顔つき。水たまりみたいな感じだ。
「……何故彼女たちはあんな外装を通して魔法を行使しているのでしょうか? あれだけの力量なら、普通に魔法術式を組んで魔法を行使したほうがいいのでは?」
魔法少女を観察している冥土は、真っ白の目に黒の花と翡翠の星々を浮かべて同様に観察する大輔に疑問を呈する。
学校では観察がバレた時の万が一を考えて魔法少女――百目鬼杏の観察はしなかった。
それに魂魄を持つ存在が発する特有のオーラ――気配の感知に優れていて、個々の絶妙な気配の違いを見分けられる直樹が、プロミネンスと杏を同一人物と判断したところで、大輔には、そも直樹にもどうでもよかった。
直樹が調査した感じ、魔法少女自体は地球のファンタジーにはあまり関わっていないようだった。それに魔法少女自体を調べなくとも、その上――神和ぎ社や陰陽寮などの機関へのラインを持った存在は把握している。
局長と呼ばれていた人物だ。
それに、もしそのラインが途切れても、向こうには魔力を感知する術があるようなので、大輔たちの存在がバレなように隠蔽しながら、多大魔力を発生されば必ず現れる。
問題があればその後を追えばいい。
兎も角、学校で解析する必要性はなかったのだ。
だけど、今は興味がある。それに学校ではないから、認識阻害をして観察すれば大輔であることはバレない。それくらいの自信がある。
その自信を持った大輔は、解析能力を消耗に影響しない範囲で稼働しながら、冥土の疑問に応える。
「たぶん、彼女たち自身の魔力量は大したことないよ。魔法の力量も。混沌の兵士とやらが邪魔でまだ全貌は分かってないけど、たぶんあの外装――魔法少女衣装は一時的に魄を変性させて、魔力を増幅させてるんだよ。それはあの魔法少女衣装を纏ってない時もそうだね。たぶんコアかなんかを魄に取り込む感じかな。肉体をすっ飛ばしている感じだし」
魄とは、肉体に重なる精神体の事だ。魂はその魄の中心部分であり、精神そのものを司っている。それらを合わせて魂魄とよぶ。
「肉体を直接変性させていないといことは、魄の変性に無理やり付随させたのでしょうか?」
「たぶんそうだろうね。結構無理やりだから、一時的……丁度十三歳くらいから二十歳近くだね。混沌の兵士への有効攻撃手段と重なっているのは偶然じゃないと思う。どっちにしろ、彼女たちがあれだけの魔力を持てるのはその期間の間だけ、ということかな。その後は、普通の女性になる」
「……使い捨てでしょうか。普通の女性といっても無理した後遺症は残るでしょうし、魔力持ちがその外装を身に着ければ、あれ以上の強化が望めるでしょう」
「たぶん、そうだろうね。人材不足か、コスパか。兎も角地球、いや日本でも子供が戦わなきゃいけないのは変わりないようだね」
大輔の精神は大人だ。年数で言えば二十三歳。もう少しで四歳になるだろうか。異世界だろうが平和な日本だろうが、子供に命を賭けさせている社会に僅かばかり呟いた。
けど僅かばかりだ。大輔はそんな社会を憂いて、変革を為そうと思ってはいない。大輔は善人ではないからだ。
それは、大輔を目的として湧いて襲ってきている混沌の兵士を魔法少女に任せていることからも分かる。それを高みの見物として観察しているのも。ぶっちゃけクズの部類だろう。
それに、けれど。
「……ねぇ、高校生って大人だったけ? 子供だったけ?」
「……高校生とは、十五歳から十八歳までの学生のことでしょうか」
「まぁ留年したりすればそれ以上もいるけど」
「……なら、大人では? ご主人様もその年齢で殺し合いをしていましたし」
「うん、やっぱり戦士だね」
自らの意志で戦って生きている者の邪魔は、なるべくしない。少なくとも面白半分に介入する事は、絶対にない。それが大輔の持っている礼儀の一つだ。
だから、血を流しながらも燦然と輝く瞳で混沌の兵士と戦う魔法少女に手を出したりはしない。彼女たちには大輔が原因であろうがそうでなかろうが、戦う理由があるからだ。その理由を意志として戦っている彼女たちの邪魔はしない。
まぁ死にそうになったら手助けをするが。
けど、そもそれは最初に表明していた。冥土は少しだけ首を傾げる。
「先ほど自分で戦士だと仰っていたではありませんか」
「まぁね」
大輔はヘラヘラと笑う。今はまだ、手を出さない。
Φ
『撤退しなさい! 再度通告するわよ、撤退しなさい!』
混沌の異界と現世を繋ぐ通信システムの通信回数は決まっている。その限界を無理やり突破して来た二度目の通信に、けれどプロミネンスは無視する。他の魔法少女も同様だ。
戦う。ここで引けば、ここら一帯に住んでいる全ての人が襲われ、混乱に陥る。死者がでるかもしれない。それだけは防がなければ。
けれど。
「ジュエリーとレインは防御に徹しろっ! グリムはホワイトの補助をっ!」
「言われるまでもないですわっ! それより、アナタはサッサと下がりなさい!」
「はひぃ!」
「……ん!」
数百体を超える混沌の兵士相手に防御重視の殲滅をしていたが、プロミネンスたちの損傷がホワイトの≪癒し≫の発動速度を超え始めてしまった。
このままでは瓦解する。そう判断したプロミネンスは完全な防御陣形を指示する。折れた右腕で風穴の空いた腹を抑える。大剣は手元になく、≪灼熱≫で作り出した炎の弾丸を混沌の兵士へ放ち牽制する。戦線を離脱しようとする。
血に染まった縦ロールを揺らし、額から血を流すジュエリーは、されど凛然と艶笑する。プロミネンスが自身の後ろに後退した事を確認すると、ルビーの指輪を輝かせて≪金剛≫で半円の宝石の壁を自身の前に作り出す。後ろにいる存在を守護し、下から三番目に強い三級の歩く混沌の猛攻を防ぐ。
宝石の壁の外に取り残されたグリムは黒のブーツから闇色の光を波打たせ、≪影踏み≫で空中に作り出した実体を持つ影を踏んで、一気に壁を跳び越える。
闇の波動を放つ大鎌を振るって宝石の壁から漏れた歩く混沌を切り払いながら、≪生殺≫で傷を負ったプロミネンスとレインを回復させる。ホワイトの傍に降り立つ。
カフッと血を吐きながらレインは開いた水玉模様の傘を一振り。≪鬼雨≫で雨の弾丸を作り出し、数十もの歩く混沌を消滅させる。
水玉模様のポンチョをはためかせ、≪氾浪≫で水の激流を作り出し、宝石の壁の手前に水の壁を作り出す。ホワイトは≪強化≫でレインの魔法を強化する。
そして最後の力をふり絞って戦線を離脱したプロミネンスをステッキを輝かせて≪癒し≫で治癒する。けれど折れた右腕も腹に空いた風穴も全くもって癒されない。ホワイトの≪癒し≫の出力が弱っているのだ。魔力が足りない。
治癒は全くもって進んでいないプロミネンスは、ホワイトに体を預けながらも苦痛に歪んでいる顔で笑う。腕を連ねた翼で飛翔し、激流の壁と宝石の壁を飛び越えた飛ぶ混沌六体を、≪灼熱≫で爆発を起こして吹き飛ばす。
「はぁうっ!」
「こんっのっ、やろうですわっ!」
レインとジュエリーが裂帛の叫びを上げる。大河の激流の壁は弾き飛ばされ、宝石の壁に亀裂が走る。
それでも二人は残り少ない魔力を注ぎ込み、プロミネンスの怪我の治癒するまでの時間を稼ぐ。
全員は薄々気が付いていた。プロミネンスの傷を癒す時間は稼げても、あと二十分も時間は稼げない。
もともと彼女たち五人以外にも、東京と神奈川から派遣された魔法少女を含めてあと六人いる。予備チームが二人。負傷して緊急治癒に入っているのが四人。
予備チームは新人だ。魔法少女新人であり、戦闘には不慣れ。最下級の五級相手を倒すのにも時間が掛かる。だから戦線には出さない。出したところで足手まといだ。
そしてここにいる全員がこの戦線に入った瞬間分かった。五人だけでは殲滅は不可能だと。
最も高い階級、特一級に属しており、混沌の兵士を生み出す力を持つ混沌の兵士。大樹の混沌の兵士。最強と言われる混沌の兵士。
湧く混沌。
過去に現れたのは一度。一度は混沌の妄執が西日本の混沌の異界の支配権を失う時。最後の足掻きとして現れた。
十数人の魔法少女が命を掛けて戦い、何とか倒した敵。倒さなければ支配権を一瞬で奪い返されてしまう敵。バランスブレイカー。
なのに今は五人。特一級でも戦闘型ならばまだよかった。ただただ強いだけならやりようはある。けれど物量で押しつぶす湧く混沌を少人数で倒すことはできない。物量には物量。常識だ。
だから彼女たちは持久戦へと移行した。緊急治療をしている四人の魔法少女が回復し、こっちに来るまでの残り二十分を耐えて耐えてそして倒す。
そう考えていたのだが……
「ッッッッッッ!」
「ヒィィィィッィィィィッィッ!」
脳裏にチラついていた悪い予想がついに訪れた。
ドクンと混沌の兵士の群れが脈動した瞬間、レインとジュエリーが作り出した防御壁が決壊した。二人は歩く混沌の濁流に飲まれ、二人は吹き飛ばされる。
その瞬間、ホワイトとグリムは逃げることを決意した。
先輩である三人は命尽きるまで戦うつもりだろう。けれど彼女たちは違う。彼女たちは先輩たちのために命を賭けるのであって、正義のために命を捨てる気はさらさらない。先輩たちの命なら猶更。
絶対に捨てさせない。生き延びて見せる。自らの命に代えても。
それが後輩たちの想い。
だからホワイトはプロミネンスをレンジャーロールする。グリムは≪影踏み≫で空中を蹴る。吹き飛ばされ気を失い宙を舞っている二人を受け止めようとするが。
「ッ」
グリムを恰好の獲物と捉えたか。数十体の飛ぶ混沌が襲い掛かる。ジュエリーたちに気を取られていたグリムは大鎌を振るうが、全方位から襲い掛かる敵を倒しきれない。
あわやグリムが飛ぶ混沌に食われそうになった瞬間。
「……えん……だん」
ホワイトに担がれたプロミネンスは、激痛で意識を朦朧とさせて視界を暗転させていたのにも関わらず、≪直観≫でグリムの危機を捉える。≪直観≫でグリムを襲う飛ぶ混沌を把握し、無意識に≪灼熱≫で作り出した火炎弾を射出する。力尽きプロミネンスは気を失う。
けれど力をふり絞った甲斐はあった。
グリムの周囲にいた飛ぶ混沌が火炎弾に貫かれて霧散した。それでも間断なく飛ぶ混沌が襲ってくるが、数秒は稼いだ。
その数秒を逃さない。グリムは≪影踏み≫で一気に加速し、大鎌を上へ投げながらジュエリーとレインを抱える。タイミングよく落ちてきた大鎌を足で水平に蹴り飛ばし、襲い掛かってきた飛ぶ混沌を切り殺す。
大鎌はブーメランのようにグリムのもとへ返ってくる。
それを見届ける事もせずに、即座に反転。≪影踏み≫で踏み込み、ホワイトに並んで駆ける。ホワイトはビルからビルへ飛び移る。グリムは空を駆ける。
二人は必死に遁走しながら、ホワイトは≪癒し≫で、グリムは≪生殺≫でプロミネンスたちを意識が回復するよう治癒を施す。意識がないと重すぎるからだ。
「まだっ!」
「……っ。ま、負けるかっ!」
けれど意識が回復するには時間が足らない。二人のすぐ後ろには、喰い殺さんばかりに猛る飛ぶ混沌が数十体もいた。歩く混沌は違う方へと進行しているのは不幸中の幸いか。
二人は歯を食いしばり、踏ん張る。グリムはいつもの能面のような顔を思いっきり歪める。軽傷といえど、体力は既に底をついている。精神的な体力なら猶更。
だから。
「……ぁ」
「グリムさんっ!」
自身よりも大きい意識をなくした少女二人を背負っていたグリムは、≪影踏み≫で作り出した影の足場を踏み外した。ホワイトは慌てて手を伸ばすが間に合わない。
数十の飛ぶ混沌がグリムを喰い殺そうと殺到しようとして。
「創造主様直伝っ、行けっ、ファ〇ネル!」
灰色の世界に似つかわしくない光る漆黒の羽根が、全ての飛ぶ混沌を貫いた。
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