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第三十九話:光土ユニゾン:献身の愛が砕く偽りの信仰

ー/ー



 ヒカルの命懸けの公開演説は、全軍の理性を吹き飛ばすほどの愛の熱量を放ち、士気を最高潮に達させた。

 しかし、その熱狂の中心で、冷たい魔力を放つ一つの軍勢が対峙していた。偽光の宣教師(フォールス・プリーチャー)が率いる古王軍の光属性部隊だ。宣教師は、ヒカルの「愛の証明」を、憎悪の瞳で見つめていた。

 優雅な金色の巻き髪を持つ、柔和な微笑みの女性神官。彼女は、は全身を金糸の豪華な神官服で覆い、瞳は偽りの信仰に満ちた狂信的な輝きを放っていた。

「王よ! 貴様が吐いた『愛と絆』の言葉など、この偽光の宣教師(フォールス・プリーチャー)が放つ真の光の信仰の前では、一瞬で消え去る砂上の楼閣だ!」

 宣教師は、自らの魔力を広範囲に解放し、戦場全体に幻影と精神魔術を込めたプロパガンダを流し始めた。その攻撃は、兵士たちの心に過去の罪悪感や不安を蘇らせ、ヒカルの愛の調律を担う純白の調和聖女ルーナを狙う、巧妙な心理戦だった。

「ルーナ。最前線に出ろ!!」

 ヒカルの指示に従い、ルーナは純白の神官服を翻し、最前線へ進み出た。彼女の部隊、光龍儀仗隊は、宣教師の「光と信仰」の論理に対抗できる唯一の部隊だ。

 その間、紅蓮の激情竜姫レヴィアは炎龍部隊を率いて敵の側面への牽制攻撃を敢行し、蒼玉の理性竜姫アクアは司令部で空虚の斥候王ゼファーと共に敵の魔力パターンを解析している。誰もが、自らの軍務を果たしていた。

 宣教師は、ルーナの穢れを恐れる純粋さを嘲笑した。そして、彼女がのこのこと前線に出てきたことに油断をしたのだ。

「光の竜姫ルーナよ! 貴様の光は、ヒカルという裏切りの闇を照らせぬ! 貴様は、この世界の闇と憎悪に耐えられない、脆い存在なのだ!」

 宣教師の精神攻撃は、ルーナの心にヒカルの過去と、ヴァルキリアの孤立という二つの闇を突きつける。ルーナの調律の光が、一瞬、弱々しく揺らいだ。

 ヒカルの絆の共感者が感知するルーナの戦闘能力数値Battle Power Index:BPI(献身の愛)は、BPI (Love): 99% (MAX)に跳ね上がる一方、MP (魔力)は1% (生命維持ライン)まで急落していた。

 だが、そこで踏みとどまった!

(ルーナの光が弱まっている……。彼女の純粋さゆえに、世界に満ちる憎悪に耐えられないのか。ルーナには酷だが、しかし彼女がより強くなるために、必要なことなのだ……)

 ルーナは、その穢れを恐れる純粋さを乗り越え、ヒカルに命懸けの誓いを捧げた。

「大丈夫です、ヒカル様。私の光は、闇を照らすためにあります。私の光を、貴方の闇を照らすために使ってください! 貴方の裏切りの過去、貴方の孤独、全てを私に預けて! 私の愛こそが、貴方の真の光となる!」

 宣言とともに、なんとルーナの光が一気に湧き上がり、大地を照らし出した!!

 ルーナの命懸けの訴えにより、戦場は宣教師の光とルーナの光が衝突し、拮抗する状況に至った!

 彼女自身に宣言させることで、ルーナの力を限界以上に引き出せると考えた荒療治であった。しかしながら、意外にも、この作戦は彼女自身がヒカルに提案したものであった。

 ルーナは彼女自身の光の力が充分に機能していないとかねてから考えており、光の竜を統べる者として、より高みを目指さねばならない。それが王であるヒカルの期待に応えることだと考えていたのだ。

 ヒカルはその想いに応えた。

 ただし、彼は1つの条件を課していた。

 決して1人で戦わないこと。必要なら家族を、姉妹を頼ること。

 ルーナは、自分自身を調和の要と考え、必要以上に責任を背負い込んでしまっていた。

 それを見抜いていたヒカルは、最初からテラとのユニゾンも含めて計算し、ルーナとテラに用意を指示していたのだ。

 

 一時的に、拮抗するまでに至ったが、そう長くは持たない。

「ルーナ様が限界です! 彼女の魔力は、生命維持ラインに達しようとしている! 兵士の士気だけではどうしようもないです!」

 当然、司令部で解析にあたっていた空虚の斥候王ゼファーが、焦りの声を上げた。

「ルーナは大丈夫だ! 予定通りテラを呼べ、ゼファー! 最速で! ルーナの魔力と生命を維持し、最大化できるのは、テラの再生の土しかない! アウラに、ユニゾンの安定化を指示しろ!」

 ヒカルの力強い指示に、遠く防衛拠点にいた磐石の守護龍テラは、ヒカルからの緊急魔力伝達とルーナの悲痛な音色を感知した瞬間、不動の防衛将ガイアに後方を託し、音速を超える速度で戦場へと向かった。彼女の戦闘能力数値Battle Power Index:BPI (母性の愛)は、85%で安定していた。

「ルーナ、よくやったわ! ここからは2人で敵を撃ち倒しましょう!」
「はい、テラ姉様!」

 駆けつけた無垢なる浄化使アウラが、ルーナとテラの間に入った。

「王よ! ルーナ様の献身の愛は、彼女の生命力を浪費します! 私(アウラ)の論理的な調律を加え、リジェネの出力を生命維持の最小限に安定させてみせます!」

 テラは、ルーナの隣で柔らかな母性の微笑みを浮かべた。

「主(あるじ)。王の命令と、妹の命を前に、危険など計算可能な誤差です。わらわの母性的な献身は、ルーナの愛を必ず守り抜きます。光土ユニゾン、大地再生(リジェネ)発動!」

 テラとルーナによる光土ユニゾンが発動した。テラの重低音(コントラバス/チェロ)と、ルーナの調律の音色(ホルン)が融合し、その和音は、大地と光が織りなす癒やしのゴスペルのような響きを奏でた。

 光土ユニゾンが戦場を支配した瞬間、宣教師の偽りの光が依存していた不毛な大地と、兵士たちの傷ついた心が、瞬時に癒やしと再生の光に包まれた。

 宣教師の精神魔術は、兵士の心に巣食う闇と絶望を燃料としていたが、テラの母性的な愛による大地再生(リジェネ)が、その燃料である心の傷を根本から治癒したことで、宣教師の偽りの信仰は、その基盤を失い、崩壊した。

「論理が…………信仰が崩壊する! 貴様たちの光は、なぜ命を愛する…………!?」

 宣教師は、自らの論理と信仰が、ヒカルの「優しさが最強の力」という理念によって完全に打ち砕かれたことを悟り、部隊を率いて敗走した。



 ◇◆◇◆◇

 戦闘で激しく消耗したルーナと、音速移動とユニゾンの負荷で疲労がピークに達したテラは、互いに愛の独占権を主張した。

 ヒカルは、二人の献身的な愛を公正に受け止めた。

「静かにしろ、妻たちよ。今回のMVPは、ルーナとテラのジョイントMVP(共同最優秀貢献)とする」

 ヒカルの裁定に対し、その場にいた他の竜姫たちは、論理的な承認と愛の諦念が混ざった反応を示した。
 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静に眼鏡を押し上げた。

「論理的には、生命維持への貢献度が最大値。異論はないわ。今回は、静かな愛の勝ちね」

 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、唇を噛みしめ、炎の魔力を押し殺した。

「ちっ、今回はその地味な献身を認めよう。だが、次こそは私の激情が勝つ!」

 疾風の遊撃竜姫セフィラは、軽やかな笑みを浮かべた。

「ふぅん。団長の命を一番守ったのは、光と土の地味だけど一番大事な冒険だもんね。ボクは異論なーし」

 テラとルーナは、互いに満ち足りた笑顔を交わし、勝利の褒美を要求した。しかし、その報酬を巡る主張は、「献身」という名の下で、他の姫たちも驚くほどに過激だった。

「テラ姉さま。命懸けの調律はわたくしが行いました。どうぞ、王の肉体の安寧を独占してください」
「いいえ、ルーナ。貴女の精神的な安寧こそが、この勝利の核。わらわは王の肉体の防御を主張します」

 純白の調和聖女ルーナは、四女としてのプライドと、調律師としての優位性を主張した。

「異論ありません、ヒカル様。では、わたくしが精神的な支えとして、王の魂の安息を独占します。その証として…………」

 ルーナは、純白のローブの袖を払い、ヒカルの額に長く、静謐な儀式としてのキスを落とした。それは、彼の魂の楽譜を彼女が完全に掌握したことを示す、過激な精神的な独占だった。

 磐石の守護龍テラは、五女として、ルーナの精神的な独占に肉体的な献身で対抗した。

「ルーナの精神的な支えは認めましょう。ですが、王の肉体はわらわが守ります。主(あるじ)!」

 テラは、ルーナのキスが終わるや否や、両腕をヒカルの腰に回し、その体全体を大地のように抱きしめた。

「わ、わらわは、今夜、王の寝台の下に大地を張ります。主(あるじ)の肉体が、いかなる闇の力にも触れられないよう、わらわの母性的な土が揺るぎない盾となり、主の全てを独占します!」

 この、魂の安息と肉体の防御を巡る、穏やかなる姫たちの過激な独占宣言に、レヴィアとアクアは再び嫉妬と驚愕の表情を浮かべた。

 放浪の運び屋(ウィンド・ランナー)は、遠くからこの光景を見ていた。

「愛が、信仰を打ち砕き、大地を再生させる…………フン。この軍団の『献身』という名の魔力は、想像以上に採掘価値があるな」

 彼は、ヒカルの軍団への全面的な協力が、論理的に見て最も合理的な選択であることを再確認し、盟約軍の拠点へと向かう。

 終幕: 偽光の宣教師との戦いに勝利した盟約軍は、古王討伐に向けた最終戦略へと移行する。ヒカルの愛の調律は、闇の王女ヴァルキリアという、最後の敵にして最後の希望との対決を避けて通れないことを確信する。

【第40話へ続く】



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 ヒカルの命懸けの公開演説は、全軍の理性を吹き飛ばすほどの愛の熱量を放ち、士気を最高潮に達させた。
 しかし、その熱狂の中心で、冷たい魔力を放つ一つの軍勢が対峙していた。|偽光の宣教師《フォールス・プリーチャー》が率いる古王軍の光属性部隊だ。宣教師は、ヒカルの「愛の証明」を、憎悪の瞳で見つめていた。
 優雅な金色の巻き髪を持つ、柔和な微笑みの女性神官。彼女は、は全身を金糸の豪華な神官服で覆い、瞳は偽りの信仰に満ちた狂信的な輝きを放っていた。
「王よ! 貴様が吐いた『愛と絆』の言葉など、この|偽光の宣教師《フォールス・プリーチャー》が放つ真の光の信仰の前では、一瞬で消え去る砂上の楼閣だ!」
 宣教師は、自らの魔力を広範囲に解放し、戦場全体に幻影と精神魔術を込めたプロパガンダを流し始めた。その攻撃は、兵士たちの心に過去の罪悪感や不安を蘇らせ、ヒカルの愛の調律を担う純白の調和聖女ルーナを狙う、巧妙な心理戦だった。
「ルーナ。最前線に出ろ!!」
 ヒカルの指示に従い、ルーナは純白の神官服を翻し、最前線へ進み出た。彼女の部隊、光龍儀仗隊は、宣教師の「光と信仰」の論理に対抗できる唯一の部隊だ。
 その間、紅蓮の激情竜姫レヴィアは炎龍部隊を率いて敵の側面への牽制攻撃を敢行し、蒼玉の理性竜姫アクアは司令部で空虚の斥候王ゼファーと共に敵の魔力パターンを解析している。誰もが、自らの軍務を果たしていた。
 宣教師は、ルーナの穢れを恐れる純粋さを嘲笑した。そして、彼女がのこのこと前線に出てきたことに油断をしたのだ。
「光の竜姫ルーナよ! 貴様の光は、ヒカルという裏切りの闇を照らせぬ! 貴様は、この世界の闇と憎悪に耐えられない、脆い存在なのだ!」
 宣教師の精神攻撃は、ルーナの心にヒカルの過去と、ヴァルキリアの孤立という二つの闇を突きつける。ルーナの調律の光が、一瞬、弱々しく揺らいだ。
 ヒカルの絆の共感者が感知するルーナの戦闘能力数値Battle Power Index:BPI(献身の愛)は、BPI (Love): 99% (MAX)に跳ね上がる一方、MP (魔力)は1% (生命維持ライン)まで急落していた。
 だが、そこで踏みとどまった!
(ルーナの光が弱まっている……。彼女の純粋さゆえに、世界に満ちる憎悪に耐えられないのか。ルーナには酷だが、しかし彼女がより強くなるために、必要なことなのだ……)
 ルーナは、その穢れを恐れる純粋さを乗り越え、ヒカルに命懸けの誓いを捧げた。
「大丈夫です、ヒカル様。私の光は、闇を照らすためにあります。私の光を、貴方の闇を照らすために使ってください! 貴方の裏切りの過去、貴方の孤独、全てを私に預けて! 私の愛こそが、貴方の真の光となる!」
 宣言とともに、なんとルーナの光が一気に湧き上がり、大地を照らし出した!!
 ルーナの命懸けの訴えにより、戦場は宣教師の光とルーナの光が衝突し、拮抗する状況に至った!
 彼女自身に宣言させることで、ルーナの力を限界以上に引き出せると考えた荒療治であった。しかしながら、意外にも、この作戦は彼女自身がヒカルに提案したものであった。
 ルーナは彼女自身の光の力が充分に機能していないとかねてから考えており、光の竜を統べる者として、より高みを目指さねばならない。それが王であるヒカルの期待に応えることだと考えていたのだ。
 ヒカルはその想いに応えた。
 ただし、彼は1つの条件を課していた。
 決して1人で戦わないこと。必要なら家族を、姉妹を頼ること。
 ルーナは、自分自身を調和の要と考え、必要以上に責任を背負い込んでしまっていた。
 それを見抜いていたヒカルは、最初からテラとのユニゾンも含めて計算し、ルーナとテラに用意を指示していたのだ。
 一時的に、拮抗するまでに至ったが、そう長くは持たない。
「ルーナ様が限界です! 彼女の魔力は、生命維持ラインに達しようとしている! 兵士の士気だけではどうしようもないです!」
 当然、司令部で解析にあたっていた空虚の斥候王ゼファーが、焦りの声を上げた。
「ルーナは大丈夫だ! 予定通りテラを呼べ、ゼファー! 最速で! ルーナの魔力と生命を維持し、最大化できるのは、テラの再生の土しかない! アウラに、ユニゾンの安定化を指示しろ!」
 ヒカルの力強い指示に、遠く防衛拠点にいた磐石の守護龍テラは、ヒカルからの緊急魔力伝達とルーナの悲痛な音色を感知した瞬間、不動の防衛将ガイアに後方を託し、音速を超える速度で戦場へと向かった。彼女の戦闘能力数値Battle Power Index:BPI (母性の愛)は、85%で安定していた。
「ルーナ、よくやったわ! ここからは2人で敵を撃ち倒しましょう!」
「はい、テラ姉様!」
 駆けつけた無垢なる浄化使アウラが、ルーナとテラの間に入った。
「王よ! ルーナ様の献身の愛は、彼女の生命力を浪費します! 私(アウラ)の論理的な調律を加え、リジェネの出力を生命維持の最小限に安定させてみせます!」
 テラは、ルーナの隣で柔らかな母性の微笑みを浮かべた。
「主《あるじ》。王の命令と、妹の命を前に、危険など計算可能な誤差です。わらわの母性的な献身は、ルーナの愛を必ず守り抜きます。光土ユニゾン、大地再生(リジェネ)発動!」
 テラとルーナによる光土ユニゾンが発動した。テラの重低音(コントラバス/チェロ)と、ルーナの調律の音色(ホルン)が融合し、その和音は、大地と光が織りなす癒やしのゴスペルのような響きを奏でた。
 光土ユニゾンが戦場を支配した瞬間、宣教師の偽りの光が依存していた不毛な大地と、兵士たちの傷ついた心が、瞬時に癒やしと再生の光に包まれた。
 宣教師の精神魔術は、兵士の心に巣食う闇と絶望を燃料としていたが、テラの母性的な愛による大地再生(リジェネ)が、その燃料である心の傷を根本から治癒したことで、宣教師の偽りの信仰は、その基盤を失い、崩壊した。
「論理が…………信仰が崩壊する! 貴様たちの光は、なぜ命を愛する…………!?」
 宣教師は、自らの論理と信仰が、ヒカルの「優しさが最強の力」という理念によって完全に打ち砕かれたことを悟り、部隊を率いて敗走した。
 ◇◆◇◆◇
 戦闘で激しく消耗したルーナと、音速移動とユニゾンの負荷で疲労がピークに達したテラは、互いに愛の独占権を主張した。
 ヒカルは、二人の献身的な愛を公正に受け止めた。
「静かにしろ、妻たちよ。今回のMVPは、ルーナとテラのジョイントMVP(共同最優秀貢献)とする」
 ヒカルの裁定に対し、その場にいた他の竜姫たちは、論理的な承認と愛の諦念が混ざった反応を示した。
 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静に眼鏡を押し上げた。
「論理的には、生命維持への貢献度が最大値。異論はないわ。今回は、静かな愛の勝ちね」
 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、唇を噛みしめ、炎の魔力を押し殺した。
「ちっ、今回はその地味な献身を認めよう。だが、次こそは私の激情が勝つ!」
 疾風の遊撃竜姫セフィラは、軽やかな笑みを浮かべた。
「ふぅん。団長の命を一番守ったのは、光と土の地味だけど一番大事な冒険だもんね。ボクは異論なーし」
 テラとルーナは、互いに満ち足りた笑顔を交わし、勝利の褒美を要求した。しかし、その報酬を巡る主張は、「献身」という名の下で、他の姫たちも驚くほどに過激だった。
「テラ姉さま。命懸けの調律はわたくしが行いました。どうぞ、王の肉体の安寧を独占してください」
「いいえ、ルーナ。貴女の精神的な安寧こそが、この勝利の核。わらわは王の肉体の防御を主張します」
 純白の調和聖女ルーナは、四女としてのプライドと、調律師としての優位性を主張した。
「異論ありません、ヒカル様。では、わたくしが精神的な支えとして、王の魂の安息を独占します。その証として…………」
 ルーナは、純白のローブの袖を払い、ヒカルの額に長く、静謐な儀式としてのキスを落とした。それは、彼の魂の楽譜を彼女が完全に掌握したことを示す、過激な精神的な独占だった。
 磐石の守護龍テラは、五女として、ルーナの精神的な独占に肉体的な献身で対抗した。
「ルーナの精神的な支えは認めましょう。ですが、王の肉体はわらわが守ります。主《あるじ》!」
 テラは、ルーナのキスが終わるや否や、両腕をヒカルの腰に回し、その体全体を大地のように抱きしめた。
「わ、わらわは、今夜、王の寝台の下に大地を張ります。主《あるじ》の肉体が、いかなる闇の力にも触れられないよう、わらわの母性的な土が揺るぎない盾となり、主の全てを独占します!」
 この、魂の安息と肉体の防御を巡る、穏やかなる姫たちの過激な独占宣言に、レヴィアとアクアは再び嫉妬と驚愕の表情を浮かべた。
 |放浪の運び屋《ウィンド・ランナー》は、遠くからこの光景を見ていた。
「愛が、信仰を打ち砕き、大地を再生させる…………フン。この軍団の『献身』という名の魔力は、想像以上に採掘価値があるな」
 彼は、ヒカルの軍団への全面的な協力が、論理的に見て最も合理的な選択であることを再確認し、盟約軍の拠点へと向かう。
 終幕: 偽光の宣教師との戦いに勝利した盟約軍は、古王討伐に向けた最終戦略へと移行する。ヒカルの愛の調律は、闇の王女ヴァルキリアという、最後の敵にして最後の希望との対決を避けて通れないことを確信する。
【第40話へ続く】