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第十九話:団長の夜と、愛は分け合わない王の宣言

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 四龍ユニゾン『四龍絶対支配圏』が発動した城上空は、一瞬の静寂に包まれた。

 ヒカルが指揮した「協奏曲(シンフォニー)」は、教団の精鋭騎士団五千を、その場から一切動かすことなく、完全に制圧した。

 騎士団は、炎の障壁に阻まれ、水に足場を奪われ、大地に押し潰されそうになり、頭上を風に攪乱された。

 彼らが何とかドームの外へ這い出した時には、戦意は完全に喪失し、無傷でありながらも、ただ逃走するしかなかった。

「……五千の精鋭騎士団を、無傷で、撤退させた……?!」

 蒼玉の理性竜姫アクアが、冷静な分析を忘れ、信じられないという表情で呟く。

 ヒカル自身も驚愕に目を見開いた。

鉄壁の将(アイアン・ウォール)との戦いでは、こちらは泥濘地を作り、防御を崩壊させて、ようやくブレスで打ち破った。だが、今回は違う)

 彼は『戦場の視覚化』で戦場を再確認する。

(敵の兵力は五千。こちらの四龍ユニゾンの魔力総量は、彼らの総和を遥かに上回ったわけではない。勝敗を分けたのは、単純な破壊力ではなく、四つの属性の調和による絶対的な領域支配だ)

 ヒカルは、自分の『絆の共感者』の数値を確認する。四龍姫の感情は、ユニゾン成功による達成感で満たされ、最高潮に安定している。

「王よ。今回のユニゾンは、論理的な計算を超越した、奇跡的な調和でした」

 深海の戦術師シエルが、静かにヒカルに報告した。

「四人の王妃の感情が完璧に調律され、ユニゾン出力は、三龍ユニゾンの三倍以上に跳ね上がりました。これは、王の愛の調律の成果です」

 ヒカルは大きく頷き、四人の妻たちに向き直った。

「MVPを発表する……」

 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、自信満々の笑みを浮かべ、炎を揺らめかせた。

「MVPは私ね! 主旋律のトランペットが、最も激しく、そして美しく鳴り響いたのだから!」

「レヴィア、感情論は非合理です」

 アクアが冷徹に、そして即座に反論する。

「MVPは私。私のクラリネットが、音の理(ことわり)で構造を与え、全員の暴走を防いだことが、最大の功績です」

 テラも柔らかな母性の光を瞳に宿す。

「いいえ。チェロの音色で、王の不安を完全に拭い去った、わらわの献身こそが、礎となったのです」

 三人の間で激しい火花が散る中、ヒカルは迷わず、一人の名を口にした。

「MVPは、セフィラだ」

 場が静まり返る。セフィラは目を丸くし、レヴィアとアクアは驚愕と嫉妬に顔色を変えた。

「なぜだ!? 末妹のフルートが、主旋律や構造、基盤より上だと!?」

 レヴィアがヒカルに詰め寄った。

 ヒカルはセフィラの瞳を真っ直ぐに見つめ、優しく微笑んだ。

「レヴィア、アクア、テラ。お前たちの愛は、すでに強大だ。だが、その強大すぎる愛は、時に重圧となり、俺の心を縛る」

 ヒカルは続けた。

「セフィラは、自由を愛するが故に、俺を王の義務から解放し、団長の自由を与えてくれた。彼女の軽やかなフルートの音色で、俺の心は安らぎを得た。その精神的なリフレッシュなくして、四人の感情を完璧に調律することはできなかった」

 セフィラは、ヒカルに近づき、その軽装なミニスカート姿でヒカルの体温を感じた。彼女は勝利の喜びに満ちた笑顔を浮かべ、レヴィアたちを牽制するように宣言した。

「セフィラ。お前の愛は、この軍団の自由と希望の象徴だ。MVPとして、俺からの特別な褒美を要求しろ」
「ヤッター! 団長! じゃ、じゃあ、MVPの褒美は、団長との最高の冒険の独占権ね! 今夜の当番制は、私との夜の語らいに決定だよ! 誰にも邪魔させないよ!」
「なっ…………ずるいわ! 当番制だけでなく、MVPも独占するつもりか!」

 レヴィアは激しく嫉妬し、炎を噴出させるが、アクアはゼファーの論理を思い出し、冷静さを保とうと努める。

 夜。王の義務としての当番制は、セフィラの独占となった。

 セフィラは、ヒカルと二人きりになると、昼間の奔放さを少しだけ抑え、静かにヒカルに語りかけた。

「団長……みんな、王妃の座を巡って争っているけど、団長は誰か一人が幸せになるよりも、全員が笑っている方が好きなんでしょ?」

 ヒカルの胸に、その言葉が深く突き刺さった。セフィラは、彼の「王の義務」の核心と、その裏にある孤独を見抜いていた。

「私が欲しいのは、みんなを平等に愛する団長の笑顔だよ。それが、私にとって最高の冒険の成功なんだ」

 セフィラの無邪気な優しさに触れ、ヒカルは心の中で張り詰めていた糸が緩むのを感じた。レヴィアたちの熱情や、アクアの理性では触れられない、彼の心の奥底の孤独が、セフィラの自由な発想によって、そっと癒やされていく。

 セフィラは、ヒカルに抱きつきながら、軽装のミニスカート姿で、彼をそっと誘惑する。

「ね、団長。たまには王の義務を忘れて、私だけの団長になってよ。私なら、誰にもバレないように、最高の夜の冒険を教えてあげられるよ」

 ヒカルは、セフィラの自由と純粋さを認めつつ、彼女の愛を正面から受け止めた。

「セフィラ。お前の愛は、俺の心を軽くしてくれる。だが、覚えておけ」

 ヒカルは、セフィラの目を見つめ、王として、そして男として、揺るぎない覚悟を宣言した。

「俺の愛は、誰か一人が独占し、分け合うものではない。レヴィアにも、アクアにも、テラにも、そしてセフィラにも、全員に等しく、そして最大限に与えるものだ。それが、俺の王としての愛であり、お前たちの協奏曲を永遠に奏でるための、俺の王の義務だ」

 セフィラは、その言葉に満足げに微笑んだ。

「ふふ、団長らしいね。じゃあ、私はその王の義務を、一番面白くする愛の挑戦者になるよ!」

 セフィラとの夜の語らいは、ヒカルにとって、愛の挑戦と精神的な支えの両方となった。

【第20話へ続く】





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 四龍ユニゾン『四龍絶対支配圏』が発動した城上空は、一瞬の静寂に包まれた。
 ヒカルが指揮した「協奏曲(シンフォニー)」は、教団の精鋭騎士団五千を、その場から一切動かすことなく、完全に制圧した。
 騎士団は、炎の障壁に阻まれ、水に足場を奪われ、大地に押し潰されそうになり、頭上を風に攪乱された。
 彼らが何とかドームの外へ這い出した時には、戦意は完全に喪失し、無傷でありながらも、ただ逃走するしかなかった。
「……五千の精鋭騎士団を、無傷で、撤退させた……?!」
 蒼玉の理性竜姫アクアが、冷静な分析を忘れ、信じられないという表情で呟く。
 ヒカル自身も驚愕に目を見開いた。
(|鉄壁の将 《アイアン・ウォール》との戦いでは、こちらは泥濘地を作り、防御を崩壊させて、ようやくブレスで打ち破った。だが、今回は違う)
 彼は『戦場の視覚化』で戦場を再確認する。
(敵の兵力は五千。こちらの四龍ユニゾンの魔力総量は、彼らの総和を遥かに上回ったわけではない。勝敗を分けたのは、単純な破壊力ではなく、四つの属性の調和による絶対的な領域支配だ)
 ヒカルは、自分の『絆の共感者』の数値を確認する。四龍姫の感情は、ユニゾン成功による達成感で満たされ、最高潮に安定している。
「王よ。今回のユニゾンは、論理的な計算を超越した、奇跡的な調和でした」
 深海の戦術師シエルが、静かにヒカルに報告した。
「四人の王妃の感情が完璧に調律され、ユニゾン出力は、三龍ユニゾンの三倍以上に跳ね上がりました。これは、王の愛の調律の成果です」
 ヒカルは大きく頷き、四人の妻たちに向き直った。
「MVPを発表する……」
 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、自信満々の笑みを浮かべ、炎を揺らめかせた。
「MVPは私ね! 主旋律のトランペットが、最も激しく、そして美しく鳴り響いたのだから!」
「レヴィア、感情論は非合理です」
 アクアが冷徹に、そして即座に反論する。
「MVPは私。私のクラリネットが、音の理(ことわり)で構造を与え、全員の暴走を防いだことが、最大の功績です」
 テラも柔らかな母性の光を瞳に宿す。
「いいえ。チェロの音色で、王の不安を完全に拭い去った、わらわの献身こそが、礎となったのです」
 三人の間で激しい火花が散る中、ヒカルは迷わず、一人の名を口にした。
「MVPは、セフィラだ」
 場が静まり返る。セフィラは目を丸くし、レヴィアとアクアは驚愕と嫉妬に顔色を変えた。
「なぜだ!? 末妹のフルートが、主旋律や構造、基盤より上だと!?」
 レヴィアがヒカルに詰め寄った。
 ヒカルはセフィラの瞳を真っ直ぐに見つめ、優しく微笑んだ。
「レヴィア、アクア、テラ。お前たちの愛は、すでに強大だ。だが、その強大すぎる愛は、時に重圧となり、俺の心を縛る」
 ヒカルは続けた。
「セフィラは、自由を愛するが故に、俺を王の義務から解放し、団長の自由を与えてくれた。彼女の軽やかなフルートの音色で、俺の心は安らぎを得た。その精神的なリフレッシュなくして、四人の感情を完璧に調律することはできなかった」
 セフィラは、ヒカルに近づき、その軽装なミニスカート姿でヒカルの体温を感じた。彼女は勝利の喜びに満ちた笑顔を浮かべ、レヴィアたちを牽制するように宣言した。
「セフィラ。お前の愛は、この軍団の自由と希望の象徴だ。MVPとして、俺からの特別な褒美を要求しろ」
「ヤッター! 団長! じゃ、じゃあ、MVPの褒美は、団長との最高の冒険の独占権ね! 今夜の当番制は、私との夜の語らいに決定だよ! 誰にも邪魔させないよ!」
「なっ…………ずるいわ! 当番制だけでなく、MVPも独占するつもりか!」
 レヴィアは激しく嫉妬し、炎を噴出させるが、アクアはゼファーの論理を思い出し、冷静さを保とうと努める。
 夜。王の義務としての当番制は、セフィラの独占となった。
 セフィラは、ヒカルと二人きりになると、昼間の奔放さを少しだけ抑え、静かにヒカルに語りかけた。
「団長……みんな、王妃の座を巡って争っているけど、団長は誰か一人が幸せになるよりも、全員が笑っている方が好きなんでしょ?」
 ヒカルの胸に、その言葉が深く突き刺さった。セフィラは、彼の「王の義務」の核心と、その裏にある孤独を見抜いていた。
「私が欲しいのは、みんなを平等に愛する団長の笑顔だよ。それが、私にとって最高の冒険の成功なんだ」
 セフィラの無邪気な優しさに触れ、ヒカルは心の中で張り詰めていた糸が緩むのを感じた。レヴィアたちの熱情や、アクアの理性では触れられない、彼の心の奥底の孤独が、セフィラの自由な発想によって、そっと癒やされていく。
 セフィラは、ヒカルに抱きつきながら、軽装のミニスカート姿で、彼をそっと誘惑する。
「ね、団長。たまには王の義務を忘れて、私だけの団長になってよ。私なら、誰にもバレないように、最高の夜の冒険を教えてあげられるよ」
 ヒカルは、セフィラの自由と純粋さを認めつつ、彼女の愛を正面から受け止めた。
「セフィラ。お前の愛は、俺の心を軽くしてくれる。だが、覚えておけ」
 ヒカルは、セフィラの目を見つめ、王として、そして男として、揺るぎない覚悟を宣言した。
「俺の愛は、誰か一人が独占し、分け合うものではない。レヴィアにも、アクアにも、テラにも、そしてセフィラにも、全員に等しく、そして最大限に与えるものだ。それが、俺の王としての愛であり、お前たちの協奏曲を永遠に奏でるための、俺の王の義務だ」
 セフィラは、その言葉に満足げに微笑んだ。
「ふふ、団長らしいね。じゃあ、私はその王の義務を、一番面白くする愛の挑戦者になるよ!」
 セフィラとの夜の語らいは、ヒカルにとって、愛の挑戦と精神的な支えの両方となった。
【第20話へ続く】