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第三部・第4章〜三大配信者 芦宮高校最大の決戦〜⑭

ー/ー



「次に、白草さんと宮野さんのグループについて、話しをさせてもらって良いかしら?」

 鳳花(ほうか)部長の一言に、ボクたち広報部のメンバーと仮入部状態の宮野さんは、すぐに「はい!」と首を縦に振って反応したけれど、白草さんだけは、明確に態度にこそ出していないものの、表情の変化に乏しく、広報部の代表者の講評には、さして関心を持ってなさそうなようすだ。

 まあ、彼女からすると、想定外の敗北を喫した上に、その自分たちの作品を他人から論評されるなんて、面白くないことかも知れないけど……。

 そんな白草さんの気持ちを汲んだのかはわからないけど、鳳花(ほうか)部長は、ダンス部とのプレゼンテーションで、大講堂を大いに盛り上げた彼女に対する言葉を最初に述べた。

「白草さんには、まずお礼を言わないとね。今回のイベントは、生徒会と広報部が合同で企画したものだったんだけど……これだけ盛況なイベントになったのは、生徒会執行部でも広報部のメンバーでもない貴女(あなた)の素晴らしいパフォーマンスがあったからこそよ」

 部長が、白草さんにそう語りかけると、さっきまで無表情をつらぬいていた彼女の顔色に、少しだけ変化が見られた。

「今日の本番だけでなく、先週からダンス部と一緒にSNSへの動画投稿を続けてくれていたものね。その投稿のおかげで、『PR動画コンテスト』は、1回目にもかかわらず全校生の認知度も高まって、大きな盛り上がりを見せたわ。生徒会の一員として、そして、広報部の代表者として、心から感謝しています。本当にありがとう」

 鳳花(ほうか)部長は、そんな風に語ると、白草さんに対して、深々とお辞儀をする。
 すると、白草さんの表情はほころび、

「そんな……わたしは、自分たちのために活動をしていただけですから……」

彼女にしては珍しく(?)、謙遜して、恐縮するように返答しているけど、部長の言葉をまんざらでもないと受け取っているのは、その顔色を見るだけでも理解できた。
 そんな白草さんを持ち上げるように、部長の講評は続く。

「プレゼンテーションのトップバッターという不利な条件で、協力してもらクラブをダンス部だけに絞ったにもかかわらず、これだけ多くの得票を得て、大接戦に持ち込んだことは、白草さんたちが、間違いなく今回のイベントの主役であったことを示しているわ。さっきまで、アンケートフォームの結果を精査していたんだけど、クラブに所属していない生徒は、75パーセント以上が貴女たちのグループに投票していることがわかったわ。これは、驚異的なことよ」

 鳳花(ほうか)部長の言葉を笑顔で受け取った彼女は、

「それが、わたしたちの目標でしたから……ダンス部のみんなと雪乃に協力してもらったのに、トップになれなかったのは、残念でしたけど……」

と、後悔の念をにじませながら、最後は少し残念そうに苦笑する。
 ただ、その言葉をさえぎるように割って入る存在があった。
 
「それは、わたすが、もっとチカラになれていれば……!」

「雪乃……アナタは、良くがんばってくれたじゃない? 一年生が、ほとんど面識のない生徒ばかりのダンス部にまじって活動するのは、とても大変だったと思うけど……アナタは、彼女たちと変わらないレベルのダンスを披露してくれた上に、撮影のときも細かな気配りをしてくれたでしょう? わたしは、今回の企画で、アナタと一緒に活動ができて、本当に良かったと思ってるよ」

 自分を慕う下級生に対して、慈愛に満ちたように語る白草さんのそんな表情をボクは、これまで見たことがなかった。
 そんな言葉をかけられた宮野さんは、瞳をうるませながら、言葉をつまらせる。

「そんな……わたすなんかには、もったいない言葉だべ……」

 下級生の言葉に、「雪乃……」と、つぶやいた白草さんは、隣の宮野さんを抱き寄せ、ふたりは、ひしと抱擁する。

(な、なんだこのベタな百合展開のような茶番劇は……)

 眼の前で繰り広げられる光景を醒めた目で冷静に眺めながらも、白草さんが、フォロワーの人たちに熱心に支持される理由を垣間見た気がした。

 竜司に対する言動は尊大に感じられることが多いし、佐倉さんに対しては、敵意を隠そうともしないけれど、彼女には、こうして他人を思いやる部分があるのかも知れない。

 そんなようすを確認しながら、鳳花(ほうか)部長は、ふたりに声をかける。
 
「白草さんには、もうひとつ、感謝しないといけないことがあったわね。宮野さんが今回の企画でチカラを発揮できたのは、貴女(あなた)のおかげね……」

 下級生とハグをしているボクたちのクラスメートにそう伝えた部長は、続けて、一年生にも語りかける。

「宮野さん、はじめての広報活動お疲れさま。これまでは、仮入部という扱いだったけど、貴女(あなた)さえ良ければ、これからは正式に広報部の一員として、メンバーに加わってもらおうと思うわ」

 鳳花(ほうか)部長の一言に、宮野さんは、パッと顔を輝かせて、元気よく返答する。

「はい! よろしくお願いしまス!」

 晴れて新入部員として、ボクたちの仲間になることが決まった一年生に、「えぇ、こちらこそ、よろしく」と笑顔を見せた部長は、もう一度、白草さんに対して、言葉をかける。

「白草さん、今回の活躍ぶりから、今後も広報部の外部アドバイザーとして協力してもらえると、とても助かるのだけど……」

 その鳳花(ほうか)部長の一言に、白草さんは、

「はい! もちろん、喜んで!」

と、笑顔で応じた。


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「次に、白草さんと宮野さんのグループについて、話しをさせてもらって良いかしら?」
 |鳳花《ほうか》部長の一言に、ボクたち広報部のメンバーと仮入部状態の宮野さんは、すぐに「はい!」と首を縦に振って反応したけれど、白草さんだけは、明確に態度にこそ出していないものの、表情の変化に乏しく、広報部の代表者の講評には、さして関心を持ってなさそうなようすだ。
 まあ、彼女からすると、想定外の敗北を喫した上に、その自分たちの作品を他人から論評されるなんて、面白くないことかも知れないけど……。
 そんな白草さんの気持ちを汲んだのかはわからないけど、|鳳花《ほうか》部長は、ダンス部とのプレゼンテーションで、大講堂を大いに盛り上げた彼女に対する言葉を最初に述べた。
「白草さんには、まずお礼を言わないとね。今回のイベントは、生徒会と広報部が合同で企画したものだったんだけど……これだけ盛況なイベントになったのは、生徒会執行部でも広報部のメンバーでもない|貴女《あなた》の素晴らしいパフォーマンスがあったからこそよ」
 部長が、白草さんにそう語りかけると、さっきまで無表情をつらぬいていた彼女の顔色に、少しだけ変化が見られた。
「今日の本番だけでなく、先週からダンス部と一緒にSNSへの動画投稿を続けてくれていたものね。その投稿のおかげで、『PR動画コンテスト』は、1回目にもかかわらず全校生の認知度も高まって、大きな盛り上がりを見せたわ。生徒会の一員として、そして、広報部の代表者として、心から感謝しています。本当にありがとう」
 |鳳花《ほうか》部長は、そんな風に語ると、白草さんに対して、深々とお辞儀をする。
 すると、白草さんの表情はほころび、
「そんな……わたしは、自分たちのために活動をしていただけですから……」
彼女にしては珍しく(?)、謙遜して、恐縮するように返答しているけど、部長の言葉をまんざらでもないと受け取っているのは、その顔色を見るだけでも理解できた。
 そんな白草さんを持ち上げるように、部長の講評は続く。
「プレゼンテーションのトップバッターという不利な条件で、協力してもらクラブをダンス部だけに絞ったにもかかわらず、これだけ多くの得票を得て、大接戦に持ち込んだことは、白草さんたちが、間違いなく今回のイベントの主役であったことを示しているわ。さっきまで、アンケートフォームの結果を精査していたんだけど、クラブに所属していない生徒は、75パーセント以上が貴女たちのグループに投票していることがわかったわ。これは、驚異的なことよ」
 |鳳花《ほうか》部長の言葉を笑顔で受け取った彼女は、
「それが、わたしたちの目標でしたから……ダンス部のみんなと雪乃に協力してもらったのに、トップになれなかったのは、残念でしたけど……」
と、後悔の念をにじませながら、最後は少し残念そうに苦笑する。
 ただ、その言葉をさえぎるように割って入る存在があった。
「それは、わたすが、もっとチカラになれていれば……!」
「雪乃……アナタは、良くがんばってくれたじゃない? 一年生が、ほとんど面識のない生徒ばかりのダンス部にまじって活動するのは、とても大変だったと思うけど……アナタは、彼女たちと変わらないレベルのダンスを披露してくれた上に、撮影のときも細かな気配りをしてくれたでしょう? わたしは、今回の企画で、アナタと一緒に活動ができて、本当に良かったと思ってるよ」
 自分を慕う下級生に対して、慈愛に満ちたように語る白草さんのそんな表情をボクは、これまで見たことがなかった。
 そんな言葉をかけられた宮野さんは、瞳をうるませながら、言葉をつまらせる。
「そんな……わたすなんかには、もったいない言葉だべ……」
 下級生の言葉に、「雪乃……」と、つぶやいた白草さんは、隣の宮野さんを抱き寄せ、ふたりは、ひしと抱擁する。
(な、なんだこのベタな百合展開のような茶番劇は……)
 眼の前で繰り広げられる光景を醒めた目で冷静に眺めながらも、白草さんが、フォロワーの人たちに熱心に支持される理由を垣間見た気がした。
 竜司に対する言動は尊大に感じられることが多いし、佐倉さんに対しては、敵意を隠そうともしないけれど、彼女には、こうして他人を思いやる部分があるのかも知れない。
 そんなようすを確認しながら、|鳳花《ほうか》部長は、ふたりに声をかける。
「白草さんには、もうひとつ、感謝しないといけないことがあったわね。宮野さんが今回の企画でチカラを発揮できたのは、|貴女《あなた》のおかげね……」
 下級生とハグをしているボクたちのクラスメートにそう伝えた部長は、続けて、一年生にも語りかける。
「宮野さん、はじめての広報活動お疲れさま。これまでは、仮入部という扱いだったけど、|貴女《あなた》さえ良ければ、これからは正式に広報部の一員として、メンバーに加わってもらおうと思うわ」
 |鳳花《ほうか》部長の一言に、宮野さんは、パッと顔を輝かせて、元気よく返答する。
「はい! よろしくお願いしまス!」
 晴れて新入部員として、ボクたちの仲間になることが決まった一年生に、「えぇ、こちらこそ、よろしく」と笑顔を見せた部長は、もう一度、白草さんに対して、言葉をかける。
「白草さん、今回の活躍ぶりから、今後も広報部の外部アドバイザーとして協力してもらえると、とても助かるのだけど……」
 その|鳳花《ほうか》部長の一言に、白草さんは、
「はい! もちろん、喜んで!」
と、笑顔で応じた。