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2話

ー/ー



「う、……」

「……あ、起きられましたかね…?」

ぐい、と瞑られた目をこじ開けると、そこにはたくさんの、人…がいた。
なんで…あの人に連れてこられたのか?

「こんにちは。わたしは柚月陽菜です。」

制服がローブになったような不思議な格好をしていた。整えられた茶髪に黄色の目。驚くほど色が白くかわいらしい。

「となりは柚月連くんです」

「……どうも」

柚月連、と呼ばれた少年もローブを身にまとっている。
黒色の髪に碧い目がとても綺麗で、美形、といったところだろうか。

………ん?まてよ、苗字が同じ?

「2人は兄弟、ってことですか…?」

一斉に答えが帰ってくる。

「違う」

「そうですよ」

ぎ、と茶髪の少女は黒髪の少年を睨みつけた。

「だ〜か〜ら〜!わたしと蓮くんは家族なの!いい加減認めたらどう!?」

黒髪の少年は納得がいかないと言った様子でそっぽを向いた。

「家族だけど家族じゃない」

「またその変なこだわり!本当に可愛くない!」

その時、純白と桜色がすっと目に入った。

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて?ね、せんせー!」

「ああ、そうだねぇ」

先生、と言われた青年は黒い髪が片目を隠していた。
それから、なぜか頭髪の上の方が白い。
これは…突っ込んでもいいものなのだろうか。
彼はなぜか長いコートのようにローブを着ていた。

「僕のことは葉月先生と呼んでくれ」

「は、はい…」

ふああ、と欠伸が聞こえ、そちらを向くと猫耳の生えた少女がいた。
……猫耳!?

「よろしくショーネン。あたし、葵」

「あ、どうも…」

ぴくぴく、と耳が動く。
いやなんかおかしいだろ!兄弟に先生に猫耳?属性どうなってんだ!

「ねぇ少年?わたしのこと忘れてない?」

にこ、と純白と桜色がこちらを見ていた。
この人、服が白基調なだけで目と髪は桜色なんだ。
服の主張が強いと言えばいいのだろうか。ただのポンチョなのに白がすごく強調されている。

「少年〜〜!わたしだよ君を救ったわたし!ちょっとは興味持ってくれない?」

「あ……。すみません、お名前は…」

にこ、と桜色が笑った。

「多分思ってるままだよ!一色桜。よくそのままだね〜って言われるの!」

一色桜。変わった名だ。

「それで?桜、この子連れてきたはいいけどどうするんだい」

「それはねっ!わたしに秘策があるといいますか〜〜」

「何も考えてなさそう」

にこにこと桜さんに聞く葉月先生、それを聞いて自信ありげな桜さんに興味が若干しかなさそうな葵さん。
いや、若干あるだけましか。

「ま、とりあえず」

桜さんの声色が変わった。
これは…人を導く人間の声だ。

「会議を始めよう」

皆が一斉にはあい、と声を上げる。

「今日の課題はそこにいる少年____悠くんのお友達、市川藍ちゃんのことだ」

「藍っ…!?」

にこり、とこちらを向くその顔はまるで待ってたよと言わんばかりの。

「君も必要だ。さあ、会議を始めようか」





「さて、と」

桜さんの顔つきが変わる。まるで同一人物でもないかのような。

「今回市川藍を拘束した例の組織…通称死の魔女が送り出したのは指名手配中の鋏の権能者。彼女の権能は家庭環境にすら強く響きいつの日からか夜の街を徘徊するようになったらしい。それを武器だとでも言い上手くいいくるめて引き入れたんだろう」

皆の顔が顰められる。
どうやらそれぞれ思うところがあるらしい。

「これはうちの責任だ」

葉月先生が強く拳を握り締めていた。

「彼女は何も悪くない。もっと、もっと早く学園が動いて彼女を引き入れていたら…あるいは…」

空気が重たくなるのを感じる。

「んー、まあまあ。わたしの責任でもあるから。少年?聞きたいことがいっぱいなんじゃない?」

さらっと重い空気を流し僕に話を託した…?
なんだ、この尋常じゃない人柄。彼女が喋ればここは天国にも地獄にでもなる。

「少年っ!聞きたいことは?」

はっと気付く。すっかり忘れていた。聞きたいこと。そうだな、聞きたいこと…。

「藍は、無事なんですか」

にこり。お決まりの桜さんの笑顔。

「それは少年がこれから知りに行くんだよ!」

「………………え?」

ふふん、と得意げに言う桜さん。
僕が?どうやって?

「だって彼女に1番近いのは君だろう?見込みあると思うんだよねっ!」

「おい、桜」

葉月先生のやれやれ、という顔が見えた。

「彼は素人だ。対して相手はあの死の魔女だぞ。ちょっと舐めすぎなんじゃあないかなあ」

「いや、少年には見込みしかないよ」

おどけた声ではなく、丁寧で冷静な声色だった。

「みんなも分かってるじゃないか。彼は感情の権能者だ」

ざわり、と空気が変わる。
感情の…!?え、まさか…でもこの子が…

「えーみんな分かってなかったの?元々市川さんが拘束されているのだって感情の権能者である彼のキーパーソンになるからであって、市川さん目当てじゃないってあれほど…」

「た、確かに…」

「桜さん、適当な会話に重要事項の伏線貼るの好きですよね。正直それめんどくさいっす」

「え〜なんてこと言うの蓮くん」

とほほ…と言葉が出できそうな顔つきをする桜さん。

「ちなみに、感情の権能の証拠は?それがないと私達も判断しかねます」

「うん、そうだね」

桜さんの瞳が怖く歪む

「受け止めてご覧、少年っ!」


その言葉と共に杖を取りだし、杖から閃光を出す。
が、それがこちらに来ているなんて知るよしもせず。気付けば既に時遅しだった。

「………え、」

「すご」

「カウンター…中々の才覚ですね」

ぱち、と恐る恐る目を開けると、閃光は僕の手で反射している。
な、なんでだ…?

「君の恐怖が作り出したものだ。君の心情から察するに恐怖への正当防衛らしい」

桜さんが淡々と述べる。

「はいっ!これでわかった?権能持ち、しかも感情の!」

空気がシーンとする。誰も逆らえないのか、逆らう気をなくしたのか。

「じゃ、少年はこの後特訓だからわたしといよ?いっくよー!」

「ま、ちょ…ああもうっ!」

わかりました、と僕が折れた。仕方なし、訓練とやらに付き合ってやる。


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「う、……」
「……あ、起きられましたかね…?」
ぐい、と瞑られた目をこじ開けると、そこにはたくさんの、人…がいた。
なんで…あの人に連れてこられたのか?
「こんにちは。わたしは柚月陽菜です。」
制服がローブになったような不思議な格好をしていた。整えられた茶髪に黄色の目。驚くほど色が白くかわいらしい。
「となりは柚月連くんです」
「……どうも」
柚月連、と呼ばれた少年もローブを身にまとっている。
黒色の髪に碧い目がとても綺麗で、美形、といったところだろうか。
………ん?まてよ、苗字が同じ?
「2人は兄弟、ってことですか…?」
一斉に答えが帰ってくる。
「違う」
「そうですよ」
ぎ、と茶髪の少女は黒髪の少年を睨みつけた。
「だ〜か〜ら〜!わたしと蓮くんは家族なの!いい加減認めたらどう!?」
黒髪の少年は納得がいかないと言った様子でそっぽを向いた。
「家族だけど家族じゃない」
「またその変なこだわり!本当に可愛くない!」
その時、純白と桜色がすっと目に入った。
「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて?ね、せんせー!」
「ああ、そうだねぇ」
先生、と言われた青年は黒い髪が片目を隠していた。
それから、なぜか頭髪の上の方が白い。
これは…突っ込んでもいいものなのだろうか。
彼はなぜか長いコートのようにローブを着ていた。
「僕のことは葉月先生と呼んでくれ」
「は、はい…」
ふああ、と欠伸が聞こえ、そちらを向くと猫耳の生えた少女がいた。
……猫耳!?
「よろしくショーネン。あたし、葵」
「あ、どうも…」
ぴくぴく、と耳が動く。
いやなんかおかしいだろ!兄弟に先生に猫耳?属性どうなってんだ!
「ねぇ少年?わたしのこと忘れてない?」
にこ、と純白と桜色がこちらを見ていた。
この人、服が白基調なだけで目と髪は桜色なんだ。
服の主張が強いと言えばいいのだろうか。ただのポンチョなのに白がすごく強調されている。
「少年〜〜!わたしだよ君を救ったわたし!ちょっとは興味持ってくれない?」
「あ……。すみません、お名前は…」
にこ、と桜色が笑った。
「多分思ってるままだよ!一色桜。よくそのままだね〜って言われるの!」
一色桜。変わった名だ。
「それで?桜、この子連れてきたはいいけどどうするんだい」
「それはねっ!わたしに秘策があるといいますか〜〜」
「何も考えてなさそう」
にこにこと桜さんに聞く葉月先生、それを聞いて自信ありげな桜さんに興味が若干しかなさそうな葵さん。
いや、若干あるだけましか。
「ま、とりあえず」
桜さんの声色が変わった。
これは…人を導く人間の声だ。
「会議を始めよう」
皆が一斉にはあい、と声を上げる。
「今日の課題はそこにいる少年____悠くんのお友達、市川藍ちゃんのことだ」
「藍っ…!?」
にこり、とこちらを向くその顔はまるで待ってたよと言わんばかりの。
「君も必要だ。さあ、会議を始めようか」
「さて、と」
桜さんの顔つきが変わる。まるで同一人物でもないかのような。
「今回市川藍を拘束した例の組織…通称死の魔女が送り出したのは指名手配中の鋏の権能者。彼女の権能は家庭環境にすら強く響きいつの日からか夜の街を徘徊するようになったらしい。それを武器だとでも言い上手くいいくるめて引き入れたんだろう」
皆の顔が顰められる。
どうやらそれぞれ思うところがあるらしい。
「これはうちの責任だ」
葉月先生が強く拳を握り締めていた。
「彼女は何も悪くない。もっと、もっと早く学園が動いて彼女を引き入れていたら…あるいは…」
空気が重たくなるのを感じる。
「んー、まあまあ。わたしの責任でもあるから。少年?聞きたいことがいっぱいなんじゃない?」
さらっと重い空気を流し僕に話を託した…?
なんだ、この尋常じゃない人柄。彼女が喋ればここは天国にも地獄にでもなる。
「少年っ!聞きたいことは?」
はっと気付く。すっかり忘れていた。聞きたいこと。そうだな、聞きたいこと…。
「藍は、無事なんですか」
にこり。お決まりの桜さんの笑顔。
「それは少年がこれから知りに行くんだよ!」
「………………え?」
ふふん、と得意げに言う桜さん。
僕が?どうやって?
「だって彼女に1番近いのは君だろう?見込みあると思うんだよねっ!」
「おい、桜」
葉月先生のやれやれ、という顔が見えた。
「彼は素人だ。対して相手はあの死の魔女だぞ。ちょっと舐めすぎなんじゃあないかなあ」
「いや、少年には見込みしかないよ」
おどけた声ではなく、丁寧で冷静な声色だった。
「みんなも分かってるじゃないか。彼は感情の権能者だ」
ざわり、と空気が変わる。
感情の…!?え、まさか…でもこの子が…
「えーみんな分かってなかったの?元々市川さんが拘束されているのだって感情の権能者である彼のキーパーソンになるからであって、市川さん目当てじゃないってあれほど…」
「た、確かに…」
「桜さん、適当な会話に重要事項の伏線貼るの好きですよね。正直それめんどくさいっす」
「え〜なんてこと言うの蓮くん」
とほほ…と言葉が出できそうな顔つきをする桜さん。
「ちなみに、感情の権能の証拠は?それがないと私達も判断しかねます」
「うん、そうだね」
桜さんの瞳が怖く歪む
「受け止めてご覧、少年っ!」
その言葉と共に杖を取りだし、杖から閃光を出す。
が、それがこちらに来ているなんて知るよしもせず。気付けば既に時遅しだった。
「………え、」
「すご」
「カウンター…中々の才覚ですね」
ぱち、と恐る恐る目を開けると、閃光は僕の手で反射している。
な、なんでだ…?
「君の恐怖が作り出したものだ。君の心情から察するに恐怖への正当防衛らしい」
桜さんが淡々と述べる。
「はいっ!これでわかった?権能持ち、しかも感情の!」
空気がシーンとする。誰も逆らえないのか、逆らう気をなくしたのか。
「じゃ、少年はこの後特訓だからわたしといよ?いっくよー!」
「ま、ちょ…ああもうっ!」
わかりました、と僕が折れた。仕方なし、訓練とやらに付き合ってやる。