第22話 姉妹の再会とレオンの決意 -2
ー/ー 夜が明け、一行は野営地を後にして、再び森の奥深くへと歩みを進めた。
朝の森は、昼間とはまた違う顔を見せていた。木漏れ日が差し込むはずの場所も、黒い瘴気によって光が遮られ、不気味な薄暗さが支配している。時折、黒く変色した小鳥が悲しげな鳴き声を上げ、すぐに静寂の中に消えていった。
「うわ…なんか、昨日よりすごいことになってるな…」
カイが思わず呟く。彼の足元では、フィリアが精霊魔法で小さな光の球を浮かべ、足元を照らしている。
「はい…精霊さんたちの声が、どんどんか細くなっていきます…まるで、何かに喰われているみたいです…!」
フィリアは顔を歪め、精霊たちの苦しみを共有しているようだった。彼女のその真剣な表情は、これまでの無邪気な笑顔とは打って変わり、パーティーの誰もが、この森の深刻さを改めて実感した。
「精霊の力は、その土地の生命力そのもの。それを根こそぎ奪い取っている…この瘴気の源は、ただの魔物ではないかもしれないわね」
システィナは、普段の余裕の笑みを消し、険しい表情で周囲を見渡す。彼女の言葉に、パーティー全体に緊張が走った。
そんな重い空気を打ち破ったのは、ルナだった。
「だ、大丈夫よ!カイ、私が道を拓いてあげるから!そんな怖い顔しなくてもいいの!」
ルナは、そう言うと、真っ黒な巨木に炎の魔法を放った。火の玉は木に激突し、爆音と共に燃え上がった。しかし、木は黒い炎に包まれただけで、倒れることはなかった。
「なっ…!?」
ルナは驚きを隠せない。いつもなら一撃で粉砕できるはずの木が、びくともしなかったのだ。
「ルナさん、焦りは禁物ですわ!そんな乱暴な魔法では、かえって危険ですわ!」
セレナはそう言いながら、ルナが燃やした木の周りに、浄化魔法で美しい花を咲かせた。花はすぐに枯れてしまったが、彼女の力は確かに瘴気を一瞬だけ払いのけていた。
「ふふっ、カイさん。見てくださいな。私の力は、ルナさんのような破壊的な力ではなく、癒しと安らぎの力なのですわ」
セレナは、カイにアピールするように、わざと優雅な仕草で語る。ルナは、セレナの言葉に再び顔を真っ赤にする。
「な、なによ!い、癒しだけじゃ、こんな森は進めないでしょ!?」
「まあ…!ルナさん、カイさんを危険に晒すような魔法を、よく使えますわね!?」
二人の口論が始まる。しかし、その根底にあるのは、互いを認め、カイに自分の方がふさわしいと示したいという、複雑な感情だった。カイは、そんな二人の様子を呑気に眺めていた。
「え、二人ともどうしたんだ?なんだか今日は、一段とやる気があるみたいだね!」
そんなカイの言葉に、ルナとセレナは顔を真っ赤にし、一斉に彼に背を向けた。
その様子を、システィナは満足そうに見ていた。
(はっは~ん、おやおや、面白くなってきたわね。私の知らないところで、もうラブコメの第二章が始まっていたなんて。しかも、私の可愛い妹が新ヒロインだなんて…。これは、もう傍観者ではいられないわね。私ももっと、この舞台を楽しんであげないと…!)
システィナは、口元を隠してニヤリと笑う。彼女のラブコメオタクとしての好奇心は、妹のフィリアという新たなピースが加わったことで、最高潮に達していた。
その時、フィリアはレオンに近づき、真剣な眼差しで語りかけた。
「レオンさん。お姉さまは、勇者様のドタバタラブコメには参加しない…そうおっしゃっていましたよね?でも、もしかして、レオンさんとお姉さまの間で、すでに『お尻』を巡る、とっておきのラブコメが始まっていたりするのですか?」
フィリアは、キラキラとした瞳でレオンとシスティナを交互に見つめる。システィナの顔が、瞬間的に真っ赤になった。
「な、何言ってるのよ…!フィリア!私のことは何もしなくていいのよ!」
システィナは、可愛らしくぶつぶつとつぶやいた。しかし、その表情はどこか嬉しそうだ。
そんなシスティナの様子に、レオンはハラハラする。
(…フィリア殿の言葉に、システィナ様がこんなに素直な反応をするなんて…!やはり、何かを企んでいるに違いない…いや、待てよ…もしかして、本当に俺に…?)
レオンは、システィナの珍しい態度に、警戒心と期待が入り混じった複雑な表情を浮かべた。その瞬間、彼の胸に熱いものがこみ上げてきた。
「…システィナ、俺は…」
レオンは、一歩前に出て、システィナの顔を真っ直ぐに見つめた。
「俺は、システィナが好きだ!」
その言葉に、システィナの顔は驚きと羞恥で真っ赤になった。
「な、な…!? 何言ってるのよ…! このバカ…!」
システィナは、顔を真っ赤にしながら、両手を前に突き出した。
次の瞬間、彼女の手から、強烈な火炎魔法が放たれた。
火炎魔法は、レオンの頭上をかすめ、森の巨木を焼き尽くした。
「は、ははは…! や、やっと…私自身のラブコメが、始まってしまったわ…!」
システィナは、そう呟き、頭から煙を立ち上らせながら、気絶したようにその場にへたり込んだ。
レオンは、システィナの魔法を避けるのが精一杯で、額に冷や汗をかきながら、その場に立ち尽くしていた。
そんな彼らを他所に、一行は瘴気が最も濃く立ち込める広間へとたどり着いた。そこには、複数の樹木と岩石が融合したかのような、身の丈五メートルを超える巨大な魔獣が、静かに鎮座していた。その名は「森の番人」。森の心臓部を守護する魔獣だった。
フィリアは、震える声でその魔獣の名を呟いた。
「…あれが、森の番人です…」
六人体制となった勇者パーティーは、次なる戦いに備え、それぞれの武器を構える。新たな仲間を得た勇者パーティーの、次なる試練が、今、始まろうとしていた。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
夜が明け、一行は野営地を後にして、再び森の奥深くへと歩みを進めた。
朝の森は、昼間とはまた違う顔を見せていた。木漏れ日が差し込むはずの場所も、黒い瘴気によって光が遮られ、不気味な薄暗さが支配している。時折、黒く変色した小鳥が悲しげな鳴き声を上げ、すぐに静寂の中に消えていった。
「うわ…なんか、昨日よりすごいことになってるな…」
カイが思わず呟く。彼の足元では、フィリアが精霊魔法で小さな光の球を浮かべ、足元を照らしている。
「はい…精霊さんたちの声が、どんどんか細くなっていきます…まるで、何かに喰われているみたいです…!」
フィリアは顔を歪め、精霊たちの苦しみを共有しているようだった。彼女のその真剣な表情は、これまでの無邪気な笑顔とは打って変わり、パーティーの誰もが、この森の深刻さを改めて実感した。
「精霊の力は、その土地の生命力そのもの。それを根こそぎ奪い取っている…この瘴気の源は、ただの魔物ではないかもしれないわね」
システィナは、普段の余裕の笑みを消し、険しい表情で周囲を見渡す。彼女の言葉に、パーティー全体に緊張が走った。
そんな重い空気を打ち破ったのは、ルナだった。
「だ、大丈夫よ!カイ、私が道を拓いてあげるから!そんな怖い顔しなくてもいいの!」
ルナは、そう言うと、真っ黒な巨木に炎の魔法を放った。火の玉は木に激突し、爆音と共に燃え上がった。しかし、木は黒い炎に包まれただけで、倒れることはなかった。
「なっ…!?」
ルナは驚きを隠せない。いつもなら一撃で粉砕できるはずの木が、びくともしなかったのだ。
「ルナさん、焦りは禁物ですわ!そんな乱暴な魔法では、かえって危険ですわ!」
セレナはそう言いながら、ルナが燃やした木の周りに、浄化魔法で美しい花を咲かせた。花はすぐに枯れてしまったが、彼女の力は確かに瘴気を一瞬だけ払いのけていた。
「ふふっ、カイさん。見てくださいな。私の力は、ルナさんのような破壊的な力ではなく、癒しと安らぎの力なのですわ」
セレナは、カイにアピールするように、わざと優雅な仕草で語る。ルナは、セレナの言葉に再び顔を真っ赤にする。
「な、なによ!い、癒しだけじゃ、こんな森は進めないでしょ!?」
「まあ…!ルナさん、カイさんを危険に晒すような魔法を、よく使えますわね!?」
二人の口論が始まる。しかし、その根底にあるのは、互いを認め、カイに自分の方がふさわしいと示したいという、複雑な感情だった。カイは、そんな二人の様子を呑気に眺めていた。
「え、二人ともどうしたんだ?なんだか今日は、一段とやる気があるみたいだね!」
そんなカイの言葉に、ルナとセレナは顔を真っ赤にし、一斉に彼に背を向けた。
その様子を、システィナは満足そうに見ていた。
(はっは~ん、おやおや、面白くなってきたわね。私の知らないところで、もうラブコメの第二章が始まっていたなんて。しかも、私の可愛い妹が新ヒロインだなんて…。これは、もう傍観者ではいられないわね。私ももっと、この舞台を楽しんであげないと…!)
システィナは、口元を隠してニヤリと笑う。彼女のラブコメオタクとしての好奇心は、妹のフィリアという新たなピースが加わったことで、最高潮に達していた。
その時、フィリアはレオンに近づき、真剣な眼差しで語りかけた。
「レオンさん。お姉さまは、勇者様のドタバタラブコメには参加しない…そうおっしゃっていましたよね?でも、もしかして、レオンさんとお姉さまの間で、すでに『お尻』を巡る、とっておきのラブコメが始まっていたりするのですか?」
フィリアは、キラキラとした瞳でレオンとシスティナを交互に見つめる。システィナの顔が、瞬間的に真っ赤になった。
「な、何言ってるのよ…!フィリア!私のことは何もしなくていいのよ!」
システィナは、可愛らしくぶつぶつとつぶやいた。しかし、その表情はどこか嬉しそうだ。
そんなシスティナの様子に、レオンはハラハラする。
(…フィリア殿の言葉に、システィナ様がこんなに素直な反応をするなんて…!やはり、何かを企んでいるに違いない…いや、待てよ…もしかして、本当に俺に…?)
レオンは、システィナの珍しい態度に、警戒心と期待が入り混じった複雑な表情を浮かべた。その瞬間、彼の胸に熱いものがこみ上げてきた。
「…システィナ、俺は…」
レオンは、一歩前に出て、システィナの顔を真っ直ぐに見つめた。
「俺は、システィナが好きだ!」
その言葉に、システィナの顔は驚きと羞恥で真っ赤になった。
「な、な…!? 何言ってるのよ…! このバカ…!」
システィナは、顔を真っ赤にしながら、両手を前に突き出した。
次の瞬間、彼女の手から、強烈な火炎魔法が放たれた。
火炎魔法は、レオンの頭上をかすめ、森の巨木を焼き尽くした。
「は、ははは…! や、やっと…私自身のラブコメが、始まってしまったわ…!」
システィナは、そう呟き、頭から煙を立ち上らせながら、気絶したようにその場にへたり込んだ。
レオンは、システィナの魔法を避けるのが精一杯で、額に冷や汗をかきながら、その場に立ち尽くしていた。
そんな彼らを他所に、一行は瘴気が最も濃く立ち込める広間へとたどり着いた。そこには、複数の樹木と岩石が融合したかのような、身の丈五メートルを超える巨大な魔獣が、静かに鎮座していた。その名は「森の番人」。森の心臓部を守護する魔獣だった。
フィリアは、震える声でその魔獣の名を呟いた。
「…あれが、森の番人です…」
六人体制となった勇者パーティーは、次なる戦いに備え、それぞれの武器を構える。新たな仲間を得た勇者パーティーの、次なる試練が、今、始まろうとしていた。