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第3話 初めてのダンジョンと「恋人つなぎ」 -1

ー/ー



 夜が明け、一行は近くの森にあるダンジョンを目指して歩いていた。昨夜の騒動は、システィナとレオンが同行するという形で収束した。

 レオンが「私たちの任務は勇者様の旅に同行すること」と説明し、ルナとセレナは王国の英雄カップルが仲間になったという事実に心を躍らせていた。

 カイはといえば、事態をよく飲み込めていない様子だったが、優しいルナとセレナに加えて、頼れる兄貴分のようなレオンと、からかってくるけれどどこか憎めないシスティナが仲間になったことに純粋に喜んでいた。

「まさか、王国の英雄であるレオン様やシスティナ様と旅をご一緒できるなんて、夢のようですわ」

 セレナが目を輝かせながら言った。

「…ふん、別に、どうでもいい」

 ルナはそう言ってそっぽを向いたが、その耳と尻尾は誇らしげにピンと立っていた。彼女にとって、王宮で憧れだったシスティナと共に旅をできることは、魔法使いとしての自信を取り戻すきっかけになるかもしれないという期待を抱かせていた。

 そんな和やかな空気の中、一行は冒険者ギルドで立ち寄った。

「ダンジョン攻略ですか?俺、レベル1だし、自信ないんですけど…」

 カイはしぶしぶといった表情でレオンに尋ねた。

「勇者様、我々は旅の資金が必要だ。この世界では、働くことが、自分の身を守ることに繋がる。金貨を稼がなければ、宿にも泊まれないし、食料も買えない」

 レオンは真剣な表情でカイに諭した。

「そうかぁ…でも、他に稼げる方法はないんですか?例えば、迷い猫の捜索とか…」

 カイが冗談めかして言ったが、レオンは苦笑いを浮かべた。

「ふふふ、他にも稼げる方法はいくらでもあるわよ」

 システィナが口を挟む。

「薬草摘みの依頼とか、魔物の討伐依頼とか…たくさんあるわ」

「そうなんですか!だったら、そっちに…」

 カイが目を輝かせた。だが、システィナはフンと鼻で笑う。

「でも、薬草摘みは一ヶ月かかって金貨一枚、護衛の依頼は一年かかって金貨五枚。このダンジョン攻略は、上手くいけば一週間で金貨百枚。一番効率がいいのよ」

「え…そんなに違うんですか?」

 カイは驚きを隠せない。システィナは、そんなカイの様子を面白がるように笑った。

「それに、他の依頼には『経験値』というご褒美がないものね」

 システィナはそう言って、ダンジョンへの道を指さした。カイは、システィナの強引な態度に、反論することができなかった。

 こうして、一行はしぶしぶダンジョン内を進んでいく。ダンジョン内は、薄暗く、じめじめとした空気が漂っていた。迷路のように入り組んだ通路を進んでいくと、突然、複数の魔物の気配がした。

「みんな、気を付けて…!」

 カイが警戒するように声をかける。ルナとセレナは、カイの隣を歩こうと互いに牽制し合い、一瞬だけ連携が遅れてしまった。その隙に、三体のゴブリンが一行の前に現れた。

「くそっ…!」

 ルナは、自分の連携不足を悔やみ、焦って魔法陣を展開する。

 だが、感情が高ぶっているせいで、魔力が暴走し、狙った場所に着弾しない。セレナもまた、聖女としての完璧な振る舞いをしようと焦り、浄化魔法の力がうまく発動できない。

「やれやれ、また君の悪い癖が出たようだな」

 レオンは、システィナの様子にため息をついた。

「ふふふ、だって面白いじゃない?二人のヒロインが主人公を巡って意地の張り合いをするなんて、ラブコメの醍醐味よ…」

 システィナはそう言って、ルナとセレナに

「勇者様とルナちゃんの魔力の共鳴が見たいの。レオン、協力して頂戴」

 とレオンを巻き込み、二人の手を無理やり繋がせる。
 システィナの企みを知らないカイは、

「え、手繋ぎ?なんか、学校のレクリエーションみたいだね」

 と呑気に言う。

 しかし、ルナは彼の言葉に赤面し、感情が高ぶることで魔力が暴走しかける。その時、カイはルナの魔力の暴走を感じ取り、

「ルナ、落ち着いて!俺がそばにいるから大丈夫だよ」

 と、彼女の手を強く握り直した。


「勇者様、ルナさん、セレナさん。ここは、私たちが手本を見せましょう」

 レオンが冷静にそう言い放つと、システィナは面白そうに笑いながら、カイたち三人の前に立った。

「ふふん、良い機会だわ。勇者様たち、よく見てなさい」

 システィナはそう言い、ルナとセレナを交互に見る。

「ルナちゃん、魔力の制御ができていないのは、感情の波が大きすぎるからよ。もっと集中して、魔力の流れを意識しなさい」

 システィナの言葉に、ルナは反発するように「わかってる!」と叫ぶ。

「セレナちゃん、あなたの浄化魔法は、聖女としての完璧な姿を求めるあまり、心が弱くなっているわ。もっと自分の心を解放しなさい」

 セレナは、システィナの言葉に戸惑いながらも、その通りだと心の中で認めた。

「レオン、私はこのダンジョンのマップを書き換えて、二人の連携を試すわよ。あなたは二人の動きを見て、的確な指示を出しなさい」

「承知した」

 レオンは、システィナの指示に真剣な表情で答える。

 システィナは、不敵な笑みを浮かべ、空間を歪める魔法を発動させた。すると、迷路のように入り組んだ通路が、まるで生きているかのように形を変え、ルナとセレナの動きを制限し始めた。

「さあ、勇者様。あなたは二人の力を信じて、進むべき道を切り開くのよ」

 システィナは、カイにそう告げ、レオンと共に通路の奥へと消えていった。

 カイは、システィナの唐突な行動に戸惑いを隠せない。

 しかし、ルナとセレナが互いに「私たちが頑張らないと…!」と顔を見合わせ、目を輝かせているのを見て、自然と笑みがこぼれた。

「よし、行こう!」

 カイの言葉に、ルナとセレナは頷き、三人はシスティナが作り出した迷路の中へと足を踏み入れた。






みんなのリアクション

 夜が明け、一行は近くの森にあるダンジョンを目指して歩いていた。昨夜の騒動は、システィナとレオンが同行するという形で収束した。
 レオンが「私たちの任務は勇者様の旅に同行すること」と説明し、ルナとセレナは王国の英雄カップルが仲間になったという事実に心を躍らせていた。
 カイはといえば、事態をよく飲み込めていない様子だったが、優しいルナとセレナに加えて、頼れる兄貴分のようなレオンと、からかってくるけれどどこか憎めないシスティナが仲間になったことに純粋に喜んでいた。
「まさか、王国の英雄であるレオン様やシスティナ様と旅をご一緒できるなんて、夢のようですわ」
 セレナが目を輝かせながら言った。
「…ふん、別に、どうでもいい」
 ルナはそう言ってそっぽを向いたが、その耳と尻尾は誇らしげにピンと立っていた。彼女にとって、王宮で憧れだったシスティナと共に旅をできることは、魔法使いとしての自信を取り戻すきっかけになるかもしれないという期待を抱かせていた。
 そんな和やかな空気の中、一行は冒険者ギルドで立ち寄った。
「ダンジョン攻略ですか?俺、レベル1だし、自信ないんですけど…」
 カイはしぶしぶといった表情でレオンに尋ねた。
「勇者様、我々は旅の資金が必要だ。この世界では、働くことが、自分の身を守ることに繋がる。金貨を稼がなければ、宿にも泊まれないし、食料も買えない」
 レオンは真剣な表情でカイに諭した。
「そうかぁ…でも、他に稼げる方法はないんですか?例えば、迷い猫の捜索とか…」
 カイが冗談めかして言ったが、レオンは苦笑いを浮かべた。
「ふふふ、他にも稼げる方法はいくらでもあるわよ」
 システィナが口を挟む。
「薬草摘みの依頼とか、魔物の討伐依頼とか…たくさんあるわ」
「そうなんですか!だったら、そっちに…」
 カイが目を輝かせた。だが、システィナはフンと鼻で笑う。
「でも、薬草摘みは一ヶ月かかって金貨一枚、護衛の依頼は一年かかって金貨五枚。このダンジョン攻略は、上手くいけば一週間で金貨百枚。一番効率がいいのよ」
「え…そんなに違うんですか?」
 カイは驚きを隠せない。システィナは、そんなカイの様子を面白がるように笑った。
「それに、他の依頼には『経験値』というご褒美がないものね」
 システィナはそう言って、ダンジョンへの道を指さした。カイは、システィナの強引な態度に、反論することができなかった。
 こうして、一行はしぶしぶダンジョン内を進んでいく。ダンジョン内は、薄暗く、じめじめとした空気が漂っていた。迷路のように入り組んだ通路を進んでいくと、突然、複数の魔物の気配がした。
「みんな、気を付けて…!」
 カイが警戒するように声をかける。ルナとセレナは、カイの隣を歩こうと互いに牽制し合い、一瞬だけ連携が遅れてしまった。その隙に、三体のゴブリンが一行の前に現れた。
「くそっ…!」
 ルナは、自分の連携不足を悔やみ、焦って魔法陣を展開する。
 だが、感情が高ぶっているせいで、魔力が暴走し、狙った場所に着弾しない。セレナもまた、聖女としての完璧な振る舞いをしようと焦り、浄化魔法の力がうまく発動できない。
「やれやれ、また君の悪い癖が出たようだな」
 レオンは、システィナの様子にため息をついた。
「ふふふ、だって面白いじゃない?二人のヒロインが主人公を巡って意地の張り合いをするなんて、ラブコメの醍醐味よ…」
 システィナはそう言って、ルナとセレナに
「勇者様とルナちゃんの魔力の共鳴が見たいの。レオン、協力して頂戴」
 とレオンを巻き込み、二人の手を無理やり繋がせる。
 システィナの企みを知らないカイは、
「え、手繋ぎ?なんか、学校のレクリエーションみたいだね」
 と呑気に言う。
 しかし、ルナは彼の言葉に赤面し、感情が高ぶることで魔力が暴走しかける。その時、カイはルナの魔力の暴走を感じ取り、
「ルナ、落ち着いて!俺がそばにいるから大丈夫だよ」
 と、彼女の手を強く握り直した。
「勇者様、ルナさん、セレナさん。ここは、私たちが手本を見せましょう」
 レオンが冷静にそう言い放つと、システィナは面白そうに笑いながら、カイたち三人の前に立った。
「ふふん、良い機会だわ。勇者様たち、よく見てなさい」
 システィナはそう言い、ルナとセレナを交互に見る。
「ルナちゃん、魔力の制御ができていないのは、感情の波が大きすぎるからよ。もっと集中して、魔力の流れを意識しなさい」
 システィナの言葉に、ルナは反発するように「わかってる!」と叫ぶ。
「セレナちゃん、あなたの浄化魔法は、聖女としての完璧な姿を求めるあまり、心が弱くなっているわ。もっと自分の心を解放しなさい」
 セレナは、システィナの言葉に戸惑いながらも、その通りだと心の中で認めた。
「レオン、私はこのダンジョンのマップを書き換えて、二人の連携を試すわよ。あなたは二人の動きを見て、的確な指示を出しなさい」
「承知した」
 レオンは、システィナの指示に真剣な表情で答える。
 システィナは、不敵な笑みを浮かべ、空間を歪める魔法を発動させた。すると、迷路のように入り組んだ通路が、まるで生きているかのように形を変え、ルナとセレナの動きを制限し始めた。
「さあ、勇者様。あなたは二人の力を信じて、進むべき道を切り開くのよ」
 システィナは、カイにそう告げ、レオンと共に通路の奥へと消えていった。
 カイは、システィナの唐突な行動に戸惑いを隠せない。
 しかし、ルナとセレナが互いに「私たちが頑張らないと…!」と顔を見合わせ、目を輝かせているのを見て、自然と笑みがこぼれた。
「よし、行こう!」
 カイの言葉に、ルナとセレナは頷き、三人はシスティナが作り出した迷路の中へと足を踏み入れた。