表示設定
表示設定
目次 目次




第15話 飯と依頼

ー/ー



 机の上にあった森鳥の丸焼きは今や骨のみ。残るのは、完全に食後の時間、眠気がくるまでの団欒だけだった。

「いやぁー! 美味しかったー」

「カリルさん、そんなに食べたら明日に支障が出ますよ?」

 周りがメインの鳥に、付け合わせの野菜スープとパンで終わらせているのに対し、彼女は魚介出汁の粥まで食ていた。

「いーのいーの、このくらい食べなきゃ明日頑張れないでしょ。それにリークを除いた割り勘なんだから、ここは食べなきゃ!」

「え? 流石にそれは対象外だと思うぞ……?」

 その言葉にカリルの表情は完全に固まっていた。

「味ってのは……こんな種類もあるんだな……」

 そんな会話を無視して、少年は腹を擦りながら虚空を見つめていた。少年だって、パンやスープ、肉だってあの森で一通り食べてきた。それでも、スパイシーな香辛料というのは初めてで、その刺激に衝撃を受けたのだ。

「すぴー……」

 リークは満腹になり、腕を組んで完全に寝ている。その顔を全員で見ていると、ふと誰かが呟いた。

「帰ろう」

 そうだな。少年も眠くなってきたので寝床に向かおうとするが、あることに気づく。

「宿とってない……」


 
「本当に、良いんだな?」

 少年は、リーク達が住んでいるという小さなレンガ作りの家を見ながら言った。

「部屋は空いてないけど、毛布くらいは貸せるからねー、それを敷くって感じで良いならもちろん!」
 
「そうだぜ、どうせ明日も一緒に行くんだからな。この方がこっちも楽だぜ」


「じゃあ、おやすみー」

「ああ、また明日」

 4人が、階段を登って二階にある各自の部屋に行くのを見送った後、少年も服を脱ぎ、重ねた毛布の上に寝転がる。

「くっくっく」

 (今日は楽しかったな……)

 少年は、最高だった1日を振り返ろうとするも、程よい満腹感と朝からの疲労に耐えれずに、眠りに落ちてしまった。


 
 次の日。支度を終えた一行はまだ日が昇って間もない時間に、ギルドに向けて出発した。

「うう、少し冷えるなぁ、もう夏も終わりかなー」

 この中では一番の軽装であるリークが腕を擦りながら言う。

「歩いてれば、すぐに温かくなりますよ。ほら、僕なんてもうこんなにポカポカ……って冷たいですね」
 
 モンスが軽くリークの手を触るも、予想以上に冷えていたのか、すぐに離れていった。反応から見て、かなり冷たそうだ。
   
「お、見えてきたな。依頼は取ってくるからギルドの前で待っててくれ」

 大槍使いにして、パーティのまとめ役であるジャガンが、そう言って走っていく。

「あれ、依頼って俺らは行かなくて良いのか?」

「街の外まで行く依頼ですと、複数人で挑むのが多いですから、それを見越したギルドがちゃんとパーティっていう制度を作っているんです」
 
「名前だけだと思ってた」

「いえ、ちゃんと一人が依頼を受ければ、特例でもない限り全員で行くという処理をしてくれます。まあ、その特例は貴方なんですけど、話は昨日通しておきましたから」

 パーティの存在はリークから聞いていた少年だが、実際にちゃんとした制度であることに驚いた。
 


「おっし、受けてきたぞー」

「昨日言ってたとおりの、いつものだよね?」

「そうだな、魔狼狩りとギルギン草集め。じゃあ出発するぞー!」

 全員で軽い掛け声を上げて、魔狼やギルギン草があるという森に向かって歩き出した。


次のエピソードへ進む 第16話 迫る魔狼


みんなのリアクション

 机の上にあった森鳥の丸焼きは今や骨のみ。残るのは、完全に食後の時間、眠気がくるまでの団欒だけだった。
「いやぁー! 美味しかったー」
「カリルさん、そんなに食べたら明日に支障が出ますよ?」
 周りがメインの鳥に、付け合わせの野菜スープとパンで終わらせているのに対し、彼女は魚介出汁の粥まで食ていた。
「いーのいーの、このくらい食べなきゃ明日頑張れないでしょ。それにリークを除いた割り勘なんだから、ここは食べなきゃ!」
「え? 流石にそれは対象外だと思うぞ……?」
 その言葉にカリルの表情は完全に固まっていた。
「味ってのは……こんな種類もあるんだな……」
 そんな会話を無視して、少年は腹を擦りながら虚空を見つめていた。少年だって、パンやスープ、肉だってあの森で一通り食べてきた。それでも、スパイシーな香辛料というのは初めてで、その刺激に衝撃を受けたのだ。
「すぴー……」
 リークは満腹になり、腕を組んで完全に寝ている。その顔を全員で見ていると、ふと誰かが呟いた。
「帰ろう」
 そうだな。少年も眠くなってきたので寝床に向かおうとするが、あることに気づく。
「宿とってない……」
「本当に、良いんだな?」
 少年は、リーク達が住んでいるという小さなレンガ作りの家を見ながら言った。
「部屋は空いてないけど、毛布くらいは貸せるからねー、それを敷くって感じで良いならもちろん!」
「そうだぜ、どうせ明日も一緒に行くんだからな。この方がこっちも楽だぜ」
「じゃあ、おやすみー」
「ああ、また明日」
 4人が、階段を登って二階にある各自の部屋に行くのを見送った後、少年も服を脱ぎ、重ねた毛布の上に寝転がる。
「くっくっく」
 (今日は楽しかったな……)
 少年は、最高だった1日を振り返ろうとするも、程よい満腹感と朝からの疲労に耐えれずに、眠りに落ちてしまった。
 次の日。支度を終えた一行はまだ日が昇って間もない時間に、ギルドに向けて出発した。
「うう、少し冷えるなぁ、もう夏も終わりかなー」
 この中では一番の軽装であるリークが腕を擦りながら言う。
「歩いてれば、すぐに温かくなりますよ。ほら、僕なんてもうこんなにポカポカ……って冷たいですね」
 モンスが軽くリークの手を触るも、予想以上に冷えていたのか、すぐに離れていった。反応から見て、かなり冷たそうだ。
「お、見えてきたな。依頼は取ってくるからギルドの前で待っててくれ」
 大槍使いにして、パーティのまとめ役であるジャガンが、そう言って走っていく。
「あれ、依頼って俺らは行かなくて良いのか?」
「街の外まで行く依頼ですと、複数人で挑むのが多いですから、それを見越したギルドがちゃんとパーティっていう制度を作っているんです」
「名前だけだと思ってた」
「いえ、ちゃんと一人が依頼を受ければ、特例でもない限り全員で行くという処理をしてくれます。まあ、その特例は貴方なんですけど、話は昨日通しておきましたから」
 パーティの存在はリークから聞いていた少年だが、実際にちゃんとした制度であることに驚いた。
「おっし、受けてきたぞー」
「昨日言ってたとおりの、いつものだよね?」
「そうだな、魔狼狩りとギルギン草集め。じゃあ出発するぞー!」
 全員で軽い掛け声を上げて、魔狼やギルギン草があるという森に向かって歩き出した。