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第2話 魔女の家

ー/ー



 住宅街にある古い洋館のドアを白猫は叩いた。

 ドンドン、ドンドンドンドン!

「誰かしら、こんな夜中に。常識はずれですわ」と使い魔のトカゲ。

「出てあげなさい」と魔女。

「嫌ですわ」とトカゲ。

「ぶつ切りにされたいの?」と魔女。

「仕方ないですわ」とトカゲ。玄関の内側から「どなたですか?」と言った。

「助けてください! お願いです! 行くところがないのです!」と白猫。

「名前をおっしゃいなさい」とトカゲ。

「それは……言えません、でも怪しいものではありません、お願いです!」と白猫。

「ではお帰り下さい」とトカゲ。

「白猫です!」と白猫。

「そんな知り合いはおりません。お引き取り下さい」とトカゲ。

「開けてあげなさい」と魔女。

「面倒くさいことになりそうですわ」と言ってトカゲがドアを開けた。「うわあ!」

「どうしたの?」と魔女。

「ずぶ濡れの女と子供ですわ」とトカゲ。

「入ってもらいなさい」と魔女。

 子供を抱きかかえた女は家の中に入り、魔女の前に立った。

「タオルを持ってきなさい」と魔女はトカゲに言った。

「この人を、この子を手当てしてください! 私のことはいいのです、この子を!」と白猫。

「分かったわ。子供は私が見てあげるから、あなたは自分の体を拭きなさい」と魔女は言った。ぐったりとした子供を受け取り、ダイニングテーブルの上にのせて治療を始めた。



「もう大丈夫よ。死にはしないわ」と治療を終えた魔女が言った。

「ありがとうございます」と白猫は頭を下げた。

「それで、さっきあなた、白猫って言ったわよね」と魔女。「一応、名乗ってくれないかしら。それから、今夜この家にいたいなら、私たちに逆らわないと誓ってほしいわ。」

「私は白猫のフェンと申します。この家ではあなたに逆らわないことを誓います」と白猫。

「いいわ。今夜ここに泊めてあげるわ」と魔女。

「よろしくお願いします」と白猫。

「あなた、公園の石に閉じ込められていたわよね」と魔女。

「はい」と白猫。

「出られたってことは、誰かに助けられたの?」と魔女。

「はい」と白猫。


「それで、なぜ私の所に? 知り合いって程じゃないはずだけど」と魔女。

「申し訳ありません。他に頼れる人がいなかったので……」と白猫。

「そうね。怪我した子供を連れていては、そう遠くへは行けないものね」と魔女。

「はい」と白猫。

「ちょっとはあなたからもしゃべってくれると助かるのだけど」と魔女。

「ごめんなさい。勝手に話せないのです」と白猫。

「誰かの使い魔になってるの? あなたが?」と魔女。

「はい、一応……」と白猫。

「ひょっとして、あの子があなたの主人なの?」と魔女。

「はい」と白猫。

「本当にあなた白猫? 主人が死ねばあなたは自由よ。以前のあなたなら見殺しにしてたはずでしょ」と魔女。

「はい。でも今は違うのです。あの人のために生きているのです」と白猫。

「ありえないわ。物の怪が人間のためだなんて。ましてあなたは、あの有名な白猫でしょ」と魔女。

「どうしていいのかわからないのです。ただあの人を、どうしてもお守りしたいのです」と白猫。

「白猫ってこんなキャラでしたっけ?」とトカゲ。

「違うわ。でも事情があるのでしょ」と白猫。

「とにかく何か食べなさい。お腹すいてるんでしょ」と魔女。

「ありがとうございます」と白猫。

「でもおかしいですわ。白猫がなんで人の姿をしてるのかしら?」とトカゲ。

「しかも、見たことないほどに完璧な人間の女に物質化してるわね。こんなの飛びぬけたレベルの術者の仕事よ。本当にあなたの主人はあの子供なの?」と魔女。

「はい」と白猫。

「あなたがしゃべらないのなら、あの子が回復してから聞くしかないわね」と魔女。

「はい」と白猫。

「あの子供、何者なのかしら。術者が自由に出歩けるようなご時世じゃないのに。話を聞くのが楽しみだわ」と魔女。


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 住宅街にある古い洋館のドアを白猫は叩いた。
 ドンドン、ドンドンドンドン!
「誰かしら、こんな夜中に。常識はずれですわ」と使い魔のトカゲ。
「出てあげなさい」と魔女。
「嫌ですわ」とトカゲ。
「ぶつ切りにされたいの?」と魔女。
「仕方ないですわ」とトカゲ。玄関の内側から「どなたですか?」と言った。
「助けてください! お願いです! 行くところがないのです!」と白猫。
「名前をおっしゃいなさい」とトカゲ。
「それは……言えません、でも怪しいものではありません、お願いです!」と白猫。
「ではお帰り下さい」とトカゲ。
「白猫です!」と白猫。
「そんな知り合いはおりません。お引き取り下さい」とトカゲ。
「開けてあげなさい」と魔女。
「面倒くさいことになりそうですわ」と言ってトカゲがドアを開けた。「うわあ!」
「どうしたの?」と魔女。
「ずぶ濡れの女と子供ですわ」とトカゲ。
「入ってもらいなさい」と魔女。
 子供を抱きかかえた女は家の中に入り、魔女の前に立った。
「タオルを持ってきなさい」と魔女はトカゲに言った。
「この人を、この子を手当てしてください! 私のことはいいのです、この子を!」と白猫。
「分かったわ。子供は私が見てあげるから、あなたは自分の体を拭きなさい」と魔女は言った。ぐったりとした子供を受け取り、ダイニングテーブルの上にのせて治療を始めた。
「もう大丈夫よ。死にはしないわ」と治療を終えた魔女が言った。
「ありがとうございます」と白猫は頭を下げた。
「それで、さっきあなた、白猫って言ったわよね」と魔女。「一応、名乗ってくれないかしら。それから、今夜この家にいたいなら、私たちに逆らわないと誓ってほしいわ。」
「私は白猫のフェンと申します。この家ではあなたに逆らわないことを誓います」と白猫。
「いいわ。今夜ここに泊めてあげるわ」と魔女。
「よろしくお願いします」と白猫。
「あなた、公園の石に閉じ込められていたわよね」と魔女。
「はい」と白猫。
「出られたってことは、誰かに助けられたの?」と魔女。
「はい」と白猫。
「それで、なぜ私の所に? 知り合いって程じゃないはずだけど」と魔女。
「申し訳ありません。他に頼れる人がいなかったので……」と白猫。
「そうね。怪我した子供を連れていては、そう遠くへは行けないものね」と魔女。
「はい」と白猫。
「ちょっとはあなたからもしゃべってくれると助かるのだけど」と魔女。
「ごめんなさい。勝手に話せないのです」と白猫。
「誰かの使い魔になってるの? あなたが?」と魔女。
「はい、一応……」と白猫。
「ひょっとして、あの子があなたの主人なの?」と魔女。
「はい」と白猫。
「本当にあなた白猫? 主人が死ねばあなたは自由よ。以前のあなたなら見殺しにしてたはずでしょ」と魔女。
「はい。でも今は違うのです。あの人のために生きているのです」と白猫。
「ありえないわ。物の怪が人間のためだなんて。ましてあなたは、あの有名な白猫でしょ」と魔女。
「どうしていいのかわからないのです。ただあの人を、どうしてもお守りしたいのです」と白猫。
「白猫ってこんなキャラでしたっけ?」とトカゲ。
「違うわ。でも事情があるのでしょ」と白猫。
「とにかく何か食べなさい。お腹すいてるんでしょ」と魔女。
「ありがとうございます」と白猫。
「でもおかしいですわ。白猫がなんで人の姿をしてるのかしら?」とトカゲ。
「しかも、見たことないほどに完璧な人間の女に物質化してるわね。こんなの飛びぬけたレベルの術者の仕事よ。本当にあなたの主人はあの子供なの?」と魔女。
「はい」と白猫。
「あなたがしゃべらないのなら、あの子が回復してから聞くしかないわね」と魔女。
「はい」と白猫。
「あの子供、何者なのかしら。術者が自由に出歩けるようなご時世じゃないのに。話を聞くのが楽しみだわ」と魔女。