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ー/ー



「ありがとう、ございますっ……」

 左腕の肘から先がない女が、ぺらぺらの巾着袋を胸に抱いて泣き崩れた。その巾着袋を、カウンター越しでなく、わざわざ外へ出てきて手渡した彼女は、うずくまった女の正面に膝をつき、女の両肩を優しく支えた。

 僕は、その場所の床がきれいかどうかが気になった。

「リィサ様、クエストの受注者は、報酬はいらないとおっしゃいました」
「えっ……?」

 女は頭を上げた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡れたその顔には、信じられないといった驚愕の表情が張り付いていた。

「いらない? 1イェンも?」
「はい」
「……そんな」
「大変な思いをして集められたお金だと思います。ですからこれは、今後、あなた様ご自身のためにお使いください」

 僕は、女がクエストを依頼しに来たときのことを思い出していた。

『体売ります。何でもします。売れる臓器ぜんぶ売ります。犬とだってスライムとだって寝ます』

 彼女が、コインの入った重い巾着袋を女の手に握らせる。その金を集めるために、女はどの臓器を手放したのだろう。何度スライムと寝たのだろう。

 その金がまったく不要だったと知った今、どんな気持ちでいるのだろう。

 この可能性を彼女は、少しくらい考えただろうか。


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「ありがとう、ございますっ……」
 左腕の肘から先がない女が、ぺらぺらの巾着袋を胸に抱いて泣き崩れた。その巾着袋を、カウンター越しでなく、わざわざ外へ出てきて手渡した彼女は、うずくまった女の正面に膝をつき、女の両肩を優しく支えた。
 僕は、その場所の床がきれいかどうかが気になった。
「リィサ様、クエストの受注者は、報酬はいらないとおっしゃいました」
「えっ……?」
 女は頭を上げた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡れたその顔には、信じられないといった驚愕の表情が張り付いていた。
「いらない? 1イェンも?」
「はい」
「……そんな」
「大変な思いをして集められたお金だと思います。ですからこれは、今後、あなた様ご自身のためにお使いください」
 僕は、女がクエストを依頼しに来たときのことを思い出していた。
『体売ります。何でもします。売れる臓器ぜんぶ売ります。犬とだってスライムとだって寝ます』
 彼女が、コインの入った重い巾着袋を女の手に握らせる。その金を集めるために、女はどの臓器を手放したのだろう。何度スライムと寝たのだろう。
 その金がまったく不要だったと知った今、どんな気持ちでいるのだろう。
 この可能性を彼女は、少しくらい考えただろうか。