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SCENE020 トップというのは大変だ

ー/ー



 早いもので、探索者がやって来た翌々日には、簡易ながらもダンジョンの入口にゲートが設けられてしまった。

「うちの支所の対応が遅くて、ご迷惑をおかけしました」

「普通のモンスターなら、謝罪はないんだよね?」

「そうですね。ウィンクさんのように話の通じる相手ではありませんので、このように話をするということはありませんね」

 谷地さんが謝罪しているんだけど、やっぱり僕だからという対応みたい。

「そもそも、元人間のダンジョンマスターなんて初めてですからね。ウィンクさんが協力的であっても、うちの支所内は慣れないことでてんやわんやですよ」

「まったくだね。信じられないというなら一緒に見てほしいと伝えてるのですが、かたくなにダンジョンに近付きませんからね、うちの支所長は……」

 谷地さんと日下さんの様子を見ている限り、なんだか管理局も複雑なよう。

「まったく、それは困ったものですな」

「バトラー」

 僕たちの話にひょっこりとバトラーが加わってくる。

「責任者というものはどっしりと構えていればいいのは確かではございますが、それは状況を分析して判断を下せる能力があってこそできるものでございます。それがないのであれば、現場に足を運ぶのは当然でございましょう」

 バトラーが何か語り出している。

「うちのプリンセスを見て下され。我に任せればいいものを、自分からこうやって前に出てくるのです。まったく、その上司とやらも見習ってもらいたいものですな」

「それはちょっと違うんじゃ……?」

 バトラーの言い分に、僕はつい指摘を入れてしまう。
 そしたら、僕に黙っていてくれと言わんばかりに、バトラーは鋭い視線を向けてきた。はい、黙ってますとも。

「来るつもりがないようでしたら、プリンセスの今までの配信を見せつけてやればよいのです。敵意はございませんし、協力的なことも分かっていただけるでしょう。我という強い従者もおりますしな」

 自分でいっちゃったよ、バトラー。
 いや、確かに強いんだけどね。

「あ、そうだ」

「なんでしょうか」

「僕の配信って、収益化されるんですかね」

 管理局の人に思わず聞いてしまう。妹と会ったからかな。

「このままでしたら、規定通りに一月後から収益化は可能だと思います。ウィンクさんの場合は、前例のないモンスター、しかもダンジョンマスターによる配信ですから、提供側も困っているでしょうね」

「そうですか。もし収益化がされるのでしたら、僕の家族のところに振り込まれるように変更できますかね。僕はまだ口座がないので、振込先が設定できてないんですよ」

「分かりました。持ち帰ってすぐにでも手続きをしましょう。その代わり、こちらからもお願いしてよいでしょうか」

「はい、できる範囲でなら」

 僕の配信の収益化の問題はどうやらクリアできそう。でも、谷地さんから代わりの話を持ち掛けられちゃった。なんだろ。

「早く、ダンジョンの設備を整えて頂きたいのですよね。探索初心者たちの訓練の場となるのですから、簡単な戦闘くらいは行えるようにしてほしいのです」

「わ、分かりました。確認してみますね」

 戦闘設備を備えるように言われちゃった。
 あまり痛いのは嫌なんだけど、探索者のための設備にすると言っちゃった以上、これは避けられないもんね。仕方がないから、僕は話が終わってから整備することを約束した。

 というわけで、僕のダンジョンを僕たちとダンジョン管理局側の双方から整えていくことになった。訓練設備になるからということで、他のダンジョンよりも厳格に管理をするらしい。
 ボス部屋に戻った僕も、早速ダンジョンコアを呼び出して設備の設定を行うことにする。

「ねえ、バトラー」

「なんでしょうか、プリンセス」

「初心者にお勧めなモンスターって何がいいの?」

 ダンジョンのことをほとんど何も知らないので、僕はバトラーにアドバイスを求める。まあ、仕方ないよね。

「そうですな。ゴブリンやコボルトがおすすめでしょう。攻撃は単純ですし、さほど頭はよくありませんから」

「あれっ、スライムは違うの?」

「スライムはあまり初心者にお勧めしませんな。魔法があれば別でしょうが、普通に攻撃しただけでは傷がつきませんし、斬れば分裂します。それに相手を取り込んで吸収することもありますので、どちらかといえば中級向けですな」

「ふむふむ。スライムはこちらのイメージとは違うんだね」

「はい、かなり手強いモンスターでございます」

 どうやら僕たちはゲームの影響か、スライムは弱いと思い込んでいたみたいだ。
 なので、ここは素直にバトラーのアドバイスに従っておくことにする。なにせ知識の豊富な執事なんだもん。とっても参考になるよ。

「それじゃあ、階段を設置した小部屋の中に、何体か配置しておいた方がいいかな」

「そうでございますね。ですが、我としてはこのキラーアントがおすすめですぞ」

「へ?」

 ゴブリンたちを呼び出そうとしたら、バトラーに止められてしまった。

「キラーアントは名前こそ怖く感じるものですが、ゴブリンなどのように単純な能力しか持っておりません。それと強者に対して従順でありますので、我がいれば簡単に従わせることができます」

「なるほど」

「それと、こやつらの外郭はいい素材になるのです。我々にとっては扱いやすく、こちらの世界の人間にとっても得になる。初心者ダンジョンとしては申し分ないでしょう」

「そっか。ありがとう、バトラー」

 僕はキラーアントをまずは10体呼び出した。1匹あたりの使用ダンジョンポイントは5。なので全部で50ポイント。かなりお得だ。
 キラーアントたちは、バトラーを見るなり怯えていた。だけど、僕に対しては威嚇をしてくる始末。
 レベルを見てみたら3。僕は今まだ2なので、なるほど、それで威嚇してきたのか。上下社会って厳しいなぁ。
 ひとまず、キラーアントたちを階段前の小部屋に配置して、ダンジョンの改装はひとまず終わりにしたよ。


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次のエピソードへ進む SCENE021 ダンジョンの特殊設定


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 早いもので、探索者がやって来た翌々日には、簡易ながらもダンジョンの入口にゲートが設けられてしまった。
「うちの支所の対応が遅くて、ご迷惑をおかけしました」
「普通のモンスターなら、謝罪はないんだよね?」
「そうですね。ウィンクさんのように話の通じる相手ではありませんので、このように話をするということはありませんね」
 谷地さんが謝罪しているんだけど、やっぱり僕だからという対応みたい。
「そもそも、元人間のダンジョンマスターなんて初めてですからね。ウィンクさんが協力的であっても、うちの支所内は慣れないことでてんやわんやですよ」
「まったくだね。信じられないというなら一緒に見てほしいと伝えてるのですが、かたくなにダンジョンに近付きませんからね、うちの支所長は……」
 谷地さんと日下さんの様子を見ている限り、なんだか管理局も複雑なよう。
「まったく、それは困ったものですな」
「バトラー」
 僕たちの話にひょっこりとバトラーが加わってくる。
「責任者というものはどっしりと構えていればいいのは確かではございますが、それは状況を分析して判断を下せる能力があってこそできるものでございます。それがないのであれば、現場に足を運ぶのは当然でございましょう」
 バトラーが何か語り出している。
「うちのプリンセスを見て下され。我に任せればいいものを、自分からこうやって前に出てくるのです。まったく、その上司とやらも見習ってもらいたいものですな」
「それはちょっと違うんじゃ……?」
 バトラーの言い分に、僕はつい指摘を入れてしまう。
 そしたら、僕に黙っていてくれと言わんばかりに、バトラーは鋭い視線を向けてきた。はい、黙ってますとも。
「来るつもりがないようでしたら、プリンセスの今までの配信を見せつけてやればよいのです。敵意はございませんし、協力的なことも分かっていただけるでしょう。我という強い従者もおりますしな」
 自分でいっちゃったよ、バトラー。
 いや、確かに強いんだけどね。
「あ、そうだ」
「なんでしょうか」
「僕の配信って、収益化されるんですかね」
 管理局の人に思わず聞いてしまう。妹と会ったからかな。
「このままでしたら、規定通りに一月後から収益化は可能だと思います。ウィンクさんの場合は、前例のないモンスター、しかもダンジョンマスターによる配信ですから、提供側も困っているでしょうね」
「そうですか。もし収益化がされるのでしたら、僕の家族のところに振り込まれるように変更できますかね。僕はまだ口座がないので、振込先が設定できてないんですよ」
「分かりました。持ち帰ってすぐにでも手続きをしましょう。その代わり、こちらからもお願いしてよいでしょうか」
「はい、できる範囲でなら」
 僕の配信の収益化の問題はどうやらクリアできそう。でも、谷地さんから代わりの話を持ち掛けられちゃった。なんだろ。
「早く、ダンジョンの設備を整えて頂きたいのですよね。探索初心者たちの訓練の場となるのですから、簡単な戦闘くらいは行えるようにしてほしいのです」
「わ、分かりました。確認してみますね」
 戦闘設備を備えるように言われちゃった。
 あまり痛いのは嫌なんだけど、探索者のための設備にすると言っちゃった以上、これは避けられないもんね。仕方がないから、僕は話が終わってから整備することを約束した。
 というわけで、僕のダンジョンを僕たちとダンジョン管理局側の双方から整えていくことになった。訓練設備になるからということで、他のダンジョンよりも厳格に管理をするらしい。
 ボス部屋に戻った僕も、早速ダンジョンコアを呼び出して設備の設定を行うことにする。
「ねえ、バトラー」
「なんでしょうか、プリンセス」
「初心者にお勧めなモンスターって何がいいの?」
 ダンジョンのことをほとんど何も知らないので、僕はバトラーにアドバイスを求める。まあ、仕方ないよね。
「そうですな。ゴブリンやコボルトがおすすめでしょう。攻撃は単純ですし、さほど頭はよくありませんから」
「あれっ、スライムは違うの?」
「スライムはあまり初心者にお勧めしませんな。魔法があれば別でしょうが、普通に攻撃しただけでは傷がつきませんし、斬れば分裂します。それに相手を取り込んで吸収することもありますので、どちらかといえば中級向けですな」
「ふむふむ。スライムはこちらのイメージとは違うんだね」
「はい、かなり手強いモンスターでございます」
 どうやら僕たちはゲームの影響か、スライムは弱いと思い込んでいたみたいだ。
 なので、ここは素直にバトラーのアドバイスに従っておくことにする。なにせ知識の豊富な執事なんだもん。とっても参考になるよ。
「それじゃあ、階段を設置した小部屋の中に、何体か配置しておいた方がいいかな」
「そうでございますね。ですが、我としてはこのキラーアントがおすすめですぞ」
「へ?」
 ゴブリンたちを呼び出そうとしたら、バトラーに止められてしまった。
「キラーアントは名前こそ怖く感じるものですが、ゴブリンなどのように単純な能力しか持っておりません。それと強者に対して従順でありますので、我がいれば簡単に従わせることができます」
「なるほど」
「それと、こやつらの外郭はいい素材になるのです。我々にとっては扱いやすく、こちらの世界の人間にとっても得になる。初心者ダンジョンとしては申し分ないでしょう」
「そっか。ありがとう、バトラー」
 僕はキラーアントをまずは10体呼び出した。1匹あたりの使用ダンジョンポイントは5。なので全部で50ポイント。かなりお得だ。
 キラーアントたちは、バトラーを見るなり怯えていた。だけど、僕に対しては威嚇をしてくる始末。
 レベルを見てみたら3。僕は今まだ2なので、なるほど、それで威嚇してきたのか。上下社会って厳しいなぁ。
 ひとまず、キラーアントたちを階段前の小部屋に配置して、ダンジョンの改装はひとまず終わりにしたよ。