SCENE013 管理局との駆け引き
ー/ー 僕は管理局の人たちがやってくるまでの間、バトラーと話をしていた。
「プリンセス、ダンジョン管理局とはいかなる機関ですかな?」
バトラーから質問される。
「僕が知っているのは、世界中に存在するダンジョンの位置を把握して、どのような場所なのかという情報を握っている人たちだね。探索者たちも、その管理下に置かれているんだよ」
「ほうほう。つまり、こちらの世界のダンジョンに関する事柄を一手に握っている人たちなのですな?」
「まあ、そういうことかな。僕もあんまり詳しくないから、この程度の情報でごめんね」
バトラーはかなり情報を欲しがっているみたいだけど、僕が話せるのはこのくらいだ。
あの管理局の人たちもどこまで話せるのか分からない。機密も多いだろうから、あまり期待しない方がよさそう。
このダンジョンはあまり深くないし、慎重に調べて回っていたとしてもそろそろやって来るはず。
僕はダンジョンポイントを使って出したクッキーを食べている。あっ、思ったよりおいしいや。
「おや、もう一番奥ですか」
ダンジョン管理局の人たちがようやく到着した。
「ずいぶんとゆっくりでしたね。ここ、ちょっと前までただの無人ダンジョンだったのに」
紅茶を飲んで、僕は管理局の人たちに話しかけている。
声をかけただけでものすごく警戒されてる。こういう反応されると傷つくなぁ……。
「まったく、プリンセスに対して無礼な者たちですな。プリンセス、ちょっと懲らしめてやってもよろしいですかな?」
バトラーは丁寧な口調で僕に許可を求めてくる。うん、ずいぶんとご立腹みたいだ。
だけど、ここで脅しても悪いように言われるだけだよね。だったら、僕にも考えはあるよ。
ここで取り出したのは、配信用のドローンだった。いつでも配信できるように、常に僕の周りに置いている。今回だって着ているワンピースのポケットからすぐに取り出せた。
「なっ、それは配信用ドローン?!」
「なんで、モンスターが持っているんですか!」
「さっき言ったじゃないですか。僕は元々そっち側の人間だって」
騒ぐ管理局の人にそうとだけいうと、僕は早速配信を開始する。
「こんにちは、ダンジョンマスターのウィンクです。本日は、ダンジョンにお客様がいらしています」
『ウィンクちゃんの配信はじまた』
『お客ってなんや?』
『探索者が来たん? 危なくない?』
視聴者さんたちがすぐに反応している。
「ダンジョン管理局に見つかったみたいです。どうやら、こないだやってきた探索者の資格のある警察官に通報されたみたいです」
『あー、そういうもんなんか』
『新しいのを見つけたら報告する義務があるからなぁ』
『管理局員たちなら安心か。非戦闘員がメインやし』
視聴者さんたちは、さすが博識ですね。
『でも、その無人ダンジョンは既に知られてたんだろ?』
「そうですね。でも、大きなモンスターを見かけたという情報ですから、無視できなかったというところでしょうね」
『なるほど』
視聴者さんたちに説明しながら、僕はちらりと管理局の人たちを見る。
「それで、どうなさるおつもりですか。管理局の方々は」
ドローンともども、僕は管理局の人たちを見る。管理局の人たちは、ぎょっとした様子でたじろいでいる。
「な、なんですか」
「私たちを脅すつもりか?」
なんですかね。モンスターだからって偏見にまみれてませんか?
「ダンジョンは放置しておくと危険です。適正に管理するために監視をしませんと……」
「まあ、その意見には賛成しますな」
「バトラー?」
管理局の人たちの意見に、バトラーが腕を組んで首を縦に振っている。どういうことなんだろ。
「今はまだモンスターは、ダンジョンの中でしか活動できません。ですが、いずれマナの量が増えてきますと、外とダンジョン内の環境に差がなくなってきます。それは、ダンジョンとの境界が消滅するということです」
「えっ、それって、外にもモンスターが出ていきかねないっていうこと?」
「そういうことですな」
『な、なんだってーっ!』
『初耳だぞ』
『いや、このバトラーさんの言うことなら信用できる』
視聴者さんたちは、すっかり僕たちの味方みたいだ。これが魅了効果というものなのかな。
「どうでしょう。ここは誕生したばかりのダンジョンですし、プリンセスはあなた方に害をなすつもりがございません。ダンジョンですのでマナはあふれておりますし、ダンジョンの適正な管理のために、この空間をお使いになられてはどうでしょうか」
「ちょっと、バトラー?!」
予想もしていなかった提案に、僕はものすごく驚かされている。
「だって、そうではありませんか。プリンセスには配信ができるという特殊な事情もございます。管理局の方々に協力すれば、探索者に襲われることもなくなると思われますぞ?」
「むむむむ……」
バトラーってば、僕の心理をうまく突いてくるなぁ……。
『やだ、この執事ってば有能・・・』
『ウィンクちゃんならではの事情を、うまく利用しようとしてる・・・』
視聴者さんたちも納得しちゃってる……。
こうなったら僕もこれをのむしかなさそうなので、問題は管理局の人たちかぁ。
「面白い提案ですね。持ち帰って検討させて頂きます」
管理局の人たちはそう言うと、回れ右をしてダンジョンを去っていった。
とりあえず、何もなくてよかったけれど、僕はこれからどうなっちゃうんだろう。
「プリンセス、ダンジョン管理局とはいかなる機関ですかな?」
バトラーから質問される。
「僕が知っているのは、世界中に存在するダンジョンの位置を把握して、どのような場所なのかという情報を握っている人たちだね。探索者たちも、その管理下に置かれているんだよ」
「ほうほう。つまり、こちらの世界のダンジョンに関する事柄を一手に握っている人たちなのですな?」
「まあ、そういうことかな。僕もあんまり詳しくないから、この程度の情報でごめんね」
バトラーはかなり情報を欲しがっているみたいだけど、僕が話せるのはこのくらいだ。
あの管理局の人たちもどこまで話せるのか分からない。機密も多いだろうから、あまり期待しない方がよさそう。
このダンジョンはあまり深くないし、慎重に調べて回っていたとしてもそろそろやって来るはず。
僕はダンジョンポイントを使って出したクッキーを食べている。あっ、思ったよりおいしいや。
「おや、もう一番奥ですか」
ダンジョン管理局の人たちがようやく到着した。
「ずいぶんとゆっくりでしたね。ここ、ちょっと前までただの無人ダンジョンだったのに」
紅茶を飲んで、僕は管理局の人たちに話しかけている。
声をかけただけでものすごく警戒されてる。こういう反応されると傷つくなぁ……。
「まったく、プリンセスに対して無礼な者たちですな。プリンセス、ちょっと懲らしめてやってもよろしいですかな?」
バトラーは丁寧な口調で僕に許可を求めてくる。うん、ずいぶんとご立腹みたいだ。
だけど、ここで脅しても悪いように言われるだけだよね。だったら、僕にも考えはあるよ。
ここで取り出したのは、配信用のドローンだった。いつでも配信できるように、常に僕の周りに置いている。今回だって着ているワンピースのポケットからすぐに取り出せた。
「なっ、それは配信用ドローン?!」
「なんで、モンスターが持っているんですか!」
「さっき言ったじゃないですか。僕は元々そっち側の人間だって」
騒ぐ管理局の人にそうとだけいうと、僕は早速配信を開始する。
「こんにちは、ダンジョンマスターのウィンクです。本日は、ダンジョンにお客様がいらしています」
『ウィンクちゃんの配信はじまた』
『お客ってなんや?』
『探索者が来たん? 危なくない?』
視聴者さんたちがすぐに反応している。
「ダンジョン管理局に見つかったみたいです。どうやら、こないだやってきた探索者の資格のある警察官に通報されたみたいです」
『あー、そういうもんなんか』
『新しいのを見つけたら報告する義務があるからなぁ』
『管理局員たちなら安心か。非戦闘員がメインやし』
視聴者さんたちは、さすが博識ですね。
『でも、その無人ダンジョンは既に知られてたんだろ?』
「そうですね。でも、大きなモンスターを見かけたという情報ですから、無視できなかったというところでしょうね」
『なるほど』
視聴者さんたちに説明しながら、僕はちらりと管理局の人たちを見る。
「それで、どうなさるおつもりですか。管理局の方々は」
ドローンともども、僕は管理局の人たちを見る。管理局の人たちは、ぎょっとした様子でたじろいでいる。
「な、なんですか」
「私たちを脅すつもりか?」
なんですかね。モンスターだからって偏見にまみれてませんか?
「ダンジョンは放置しておくと危険です。適正に管理するために監視をしませんと……」
「まあ、その意見には賛成しますな」
「バトラー?」
管理局の人たちの意見に、バトラーが腕を組んで首を縦に振っている。どういうことなんだろ。
「今はまだモンスターは、ダンジョンの中でしか活動できません。ですが、いずれマナの量が増えてきますと、外とダンジョン内の環境に差がなくなってきます。それは、ダンジョンとの境界が消滅するということです」
「えっ、それって、外にもモンスターが出ていきかねないっていうこと?」
「そういうことですな」
『な、なんだってーっ!』
『初耳だぞ』
『いや、このバトラーさんの言うことなら信用できる』
視聴者さんたちは、すっかり僕たちの味方みたいだ。これが魅了効果というものなのかな。
「どうでしょう。ここは誕生したばかりのダンジョンですし、プリンセスはあなた方に害をなすつもりがございません。ダンジョンですのでマナはあふれておりますし、ダンジョンの適正な管理のために、この空間をお使いになられてはどうでしょうか」
「ちょっと、バトラー?!」
予想もしていなかった提案に、僕はものすごく驚かされている。
「だって、そうではありませんか。プリンセスには配信ができるという特殊な事情もございます。管理局の方々に協力すれば、探索者に襲われることもなくなると思われますぞ?」
「むむむむ……」
バトラーってば、僕の心理をうまく突いてくるなぁ……。
『やだ、この執事ってば有能・・・』
『ウィンクちゃんならではの事情を、うまく利用しようとしてる・・・』
視聴者さんたちも納得しちゃってる……。
こうなったら僕もこれをのむしかなさそうなので、問題は管理局の人たちかぁ。
「面白い提案ですね。持ち帰って検討させて頂きます」
管理局の人たちはそう言うと、回れ右をしてダンジョンを去っていった。
とりあえず、何もなくてよかったけれど、僕はこれからどうなっちゃうんだろう。
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