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SCENE010 ダンジョン改装の第一歩

ー/ー



 配信を終えて、ダンジョンの改装をしようとダンジョンコアを呼び出す。
 そのダンジョンクリエイトのメニューを見て、僕は驚いていた。

「あれ? ポイント増えてないかな?」

 食事などのためにポイントを使ったので、500くらいまで減っていたはず。
 だけど、今見ると1200くらいまで増えていた。なんでだろう。

「おお、やりましたな、プリンセス」

「うわぁっ、バトラー?!」

 突然、横からバトラーが顔を突っ込んでくる。考えごとをしている最中だったから、ものすごく驚いちゃったじゃないか。

「いやはや失礼を致しました。これはプリンセスが、人間を魅了したことによって発生したようですな。内訳が見れますぞ」

「えっ?」

 バトラーがダンジョンポイントを確認すれば、増減の履歴が見れるという。本当かなぁと疑いながら、僕はダンジョンポイントの数値をポチッと押してみた。

「わわっ!」

 数字の上に、増減の履歴が確かに表示されていた。
 そこには『他者の魅了』という項目があった。
 ああ、確かにゲームのイメージなら、ラミアって人間の男性をとりこにするとかいうことを聞いた覚えがある。
 ……もしかして、それが僕にも適応されているってわけなのかな。

「何をお考えか分かりますぞ。その通りです。ラミア族は他者の魅了を得意とする種族ですからな。先程の配信で、プリンセスのとりこになった人間がそれだけいたということでしょう」

「ほえ~……。そういうのもありなんだ」

 僕はあんまりよく分からないので、ぼけっとした反応をしてしまう。
 ところが、どういうわけかバトラーは、僕を見ながらあんぐりとした顔をしている。

「なんという自覚のなさなのですか。ラミア族待望のプリンセスだというのに、なんと嘆かわしい……。我は悲しいですぞ」

 バトラーはどこからともなくハンカチを取り出して、泣くような仕草をしている。でも、僕にはよく分からないので、どう反応していいのか分からなかった。

「やはり、人間からの転生では意識のずれというのがあるのでしょうな。ですが、その状況下でもラミア族としての力を目覚めさせているのは、さすがプリンセスとしか言いようがございません。もうこのまま、無自覚に人間たちを魅了していって下さいませ」

「えと、あの……。うん、頑張るよ」

 なんだかよく分からないけれど、僕はこくりと頷くしかなかった。

 さて、ダンジョンを改装しないとね。
 視聴者たちが言っていたように、ダンジョンマスターのいるダンジョンと認識されれば、探索者が入ってくる可能性がある。あの視聴者たちのように優しい人とは限らないから、自衛手段を講じておく必要があるよね。
 考えた僕は、まずは300ポイントを消費して、階層を一つ増やした。
 その瞬間、ぐらっとした感覚が僕を襲う。

「な、何、今の……」

「おお、階層を増やしたのですな。しかし、このままでは一層と二層のを分離しただけでございます。画面をご覧ください」

 言われるがままに画面を見ると、あの短いダンジョンが途中でぶっつり分断されて、一層と二層に分かれただけだった。

「空間的に遮断されておりますので、このままでは向こうから来ることもできませんが、こちらから出ていくこともできません」

「なら、襲われずに済むってことだよね。いいことじゃないの?」

 僕はバトラーに尋ねる。
 ところが、バトラーは首を横に振る。

「ダンジョンというものは、外界と接していて初めて成り立つのです。このまま階層をつなぐ通路を用意しませんと、分離したこの二層はいずれ消滅してしまいます。となると、我々も巻き込まれる可能性があるのですよ、その消滅に」

「な、なんだって?! じゃ、じゃあ、急いで一層とつなげる通路を作らなきゃ」

 僕はすぐさまメニュー画面を見る。
 階層を追加したことで、新たなメニューが追加されていた。

「なんだろう、この『階層通路』って。普通の通路とは違うの?」

「はい、違いますね。通路では作れなかった連絡通路を作ることができます。具体的に言うと、階段やローブやはしごといった上下移動をするための設備ですね。プリンセスが強くなれば、人間たちの持つ設備すらも作れるようになります」

「エレベーターやエスカレーターってこと?」

「左様でございます」

 なんだかよく分からないなぁ。
 とはいえ、階層を分離してしまった以上は、すぐにでも作らないと僕が危ない。
 僕は石造りの階段を追加することにした。

「すごいね。階段も木か石か選べるなんて」

「はい。ダンジョンコアをお使いになれば、様々なダンジョン設備を追加することができます。それこそ、外と変わらないような青空の広がる空間も作れますよ。最低でも50000ポイントほどかかりますけれど」

「うへぇ……。いいなと思ったのに、そんなにポイント使うんだ……」

「いい設備はそれだけ、値が張るのですよ」

 僕の反応に対して、バトラーはにやけたように笑っている。からかうのはやめてほしいな。

 今日のところは、階層をひとつ増やして階段を設置しただけで終わった。階層を増やした時の感覚で、ちょっと気持ち悪くなってしまったんだもん。
 階層と階段で合わせて400ポイントの消費。
 残り800ポイントあるけれど、どんなダンジョンにしていこうかな。
 僕はゆっくり休みながら、自分のダンジョンのことを考えていたのだった。


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次のエピソードへ進む SCENE011 改造したら見せびらかしたい


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 配信を終えて、ダンジョンの改装をしようとダンジョンコアを呼び出す。
 そのダンジョンクリエイトのメニューを見て、僕は驚いていた。
「あれ? ポイント増えてないかな?」
 食事などのためにポイントを使ったので、500くらいまで減っていたはず。
 だけど、今見ると1200くらいまで増えていた。なんでだろう。
「おお、やりましたな、プリンセス」
「うわぁっ、バトラー?!」
 突然、横からバトラーが顔を突っ込んでくる。考えごとをしている最中だったから、ものすごく驚いちゃったじゃないか。
「いやはや失礼を致しました。これはプリンセスが、人間を魅了したことによって発生したようですな。内訳が見れますぞ」
「えっ?」
 バトラーがダンジョンポイントを確認すれば、増減の履歴が見れるという。本当かなぁと疑いながら、僕はダンジョンポイントの数値をポチッと押してみた。
「わわっ!」
 数字の上に、増減の履歴が確かに表示されていた。
 そこには『他者の魅了』という項目があった。
 ああ、確かにゲームのイメージなら、ラミアって人間の男性をとりこにするとかいうことを聞いた覚えがある。
 ……もしかして、それが僕にも適応されているってわけなのかな。
「何をお考えか分かりますぞ。その通りです。ラミア族は他者の魅了を得意とする種族ですからな。先程の配信で、プリンセスのとりこになった人間がそれだけいたということでしょう」
「ほえ~……。そういうのもありなんだ」
 僕はあんまりよく分からないので、ぼけっとした反応をしてしまう。
 ところが、どういうわけかバトラーは、僕を見ながらあんぐりとした顔をしている。
「なんという自覚のなさなのですか。ラミア族待望のプリンセスだというのに、なんと嘆かわしい……。我は悲しいですぞ」
 バトラーはどこからともなくハンカチを取り出して、泣くような仕草をしている。でも、僕にはよく分からないので、どう反応していいのか分からなかった。
「やはり、人間からの転生では意識のずれというのがあるのでしょうな。ですが、その状況下でもラミア族としての力を目覚めさせているのは、さすがプリンセスとしか言いようがございません。もうこのまま、無自覚に人間たちを魅了していって下さいませ」
「えと、あの……。うん、頑張るよ」
 なんだかよく分からないけれど、僕はこくりと頷くしかなかった。
 さて、ダンジョンを改装しないとね。
 視聴者たちが言っていたように、ダンジョンマスターのいるダンジョンと認識されれば、探索者が入ってくる可能性がある。あの視聴者たちのように優しい人とは限らないから、自衛手段を講じておく必要があるよね。
 考えた僕は、まずは300ポイントを消費して、階層を一つ増やした。
 その瞬間、ぐらっとした感覚が僕を襲う。
「な、何、今の……」
「おお、階層を増やしたのですな。しかし、このままでは一層と二層のを分離しただけでございます。画面をご覧ください」
 言われるがままに画面を見ると、あの短いダンジョンが途中でぶっつり分断されて、一層と二層に分かれただけだった。
「空間的に遮断されておりますので、このままでは向こうから来ることもできませんが、こちらから出ていくこともできません」
「なら、襲われずに済むってことだよね。いいことじゃないの?」
 僕はバトラーに尋ねる。
 ところが、バトラーは首を横に振る。
「ダンジョンというものは、外界と接していて初めて成り立つのです。このまま階層をつなぐ通路を用意しませんと、分離したこの二層はいずれ消滅してしまいます。となると、我々も巻き込まれる可能性があるのですよ、その消滅に」
「な、なんだって?! じゃ、じゃあ、急いで一層とつなげる通路を作らなきゃ」
 僕はすぐさまメニュー画面を見る。
 階層を追加したことで、新たなメニューが追加されていた。
「なんだろう、この『階層通路』って。普通の通路とは違うの?」
「はい、違いますね。通路では作れなかった連絡通路を作ることができます。具体的に言うと、階段やローブやはしごといった上下移動をするための設備ですね。プリンセスが強くなれば、人間たちの持つ設備すらも作れるようになります」
「エレベーターやエスカレーターってこと?」
「左様でございます」
 なんだかよく分からないなぁ。
 とはいえ、階層を分離してしまった以上は、すぐにでも作らないと僕が危ない。
 僕は石造りの階段を追加することにした。
「すごいね。階段も木か石か選べるなんて」
「はい。ダンジョンコアをお使いになれば、様々なダンジョン設備を追加することができます。それこそ、外と変わらないような青空の広がる空間も作れますよ。最低でも50000ポイントほどかかりますけれど」
「うへぇ……。いいなと思ったのに、そんなにポイント使うんだ……」
「いい設備はそれだけ、値が張るのですよ」
 僕の反応に対して、バトラーはにやけたように笑っている。からかうのはやめてほしいな。
 今日のところは、階層をひとつ増やして階段を設置しただけで終わった。階層を増やした時の感覚で、ちょっと気持ち悪くなってしまったんだもん。
 階層と階段で合わせて400ポイントの消費。
 残り800ポイントあるけれど、どんなダンジョンにしていこうかな。
 僕はゆっくり休みながら、自分のダンジョンのことを考えていたのだった。