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第十三話 待ち合わせ

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軽い朝食を済ませたジョージとアーサーは宿をあとにし、待ち合わせの廃墟へと向かった。
 二人が廃墟についたとき、既にオリバーが先に来ていた。彼は廃墟の周りに張り巡らされている黒い鉄の柵に寄りかかって、うつむいていた。
 昨日は寝坊して仲間に置いて行かれたと言っていたが、今日は起きることができたようでジョージは一安心した。
 二人の姿に気が付くと、オリバーはスッと顔をあげた。
「おはようございます」
「よぉ」
「おはよう」
 オリバーは、目深にかぶったニット帽を右手で触りながら言った。
 昨日はよく見えなかった彼の姿が、朝日に照らされてよく見える。
 オリバーは青色のニット帽に薄手のコートを羽織っていて、その茶色い巻き毛の前髪が、ニット帽からちょろっとのぞいていた。
 ジョージは彼の右手を見て、驚いた。
 昨日は気づかなかったのだが、なんと彼は……右手の人差し指がないのだ。
(事故で失ったのだろうか……)
 ジョージはオリバーに聞いてみようか一瞬迷ったが、突然聞くのは失礼な気がしたのでやめた。そのかわり、ジョージは、今朝アーサーと話し合って決めたことを、さっそく彼に話すことにした。
「別荘まで、馬に乗っていこうと思う」
「馬ですか……」
 彼は一瞬同意しかけたが、その細い目を見開いてすぐに聞き返した。
「え、徒歩じゃなくて、馬ですか?」
 彼はとても早口に言った。
「そうだ。別荘は山奥にあるから、徒歩で半日かかってしまう。時間を無駄にしたくない」
 アーサーが答えた。
「俺、生まれてから一度も馬に乗ったことがないんです」
 オリバーは目を伏せた。
「俺の後ろに乗ればいいよ!」
 ジョージが楽しそうに答えた。
「屋敷にある馬屋で、何頭か飼っているんだ。人慣れしているから、安心だよ!」
 そう軽く言うと、オリバーはさらに目を見開いた。
「馬を飼っているだなんて……」
 そう呟いた彼は、興味深そうにジョージを見る。彼の目線がジョージの胸元にあるペンダントを捕らえた。
「そういえば、まだ聞いていなかったんですけれど、貴方何て名前ですか?」
「ん? あぁ。自己紹介がまだだったね。ごめん」
 そういうとジョージはせき払いをして言った。
「俺の名前はジョージ・ウィリアムズ。隣の彼はアーサー・モリスだ」
 それをきいたオリバーは、驚いて息をのんだ。
「……。ウィリアムズって、あのウィリアムズ家の坊ちゃんか……」
「俺のこと知ってるのか! びっくりだな、あまり有名じゃないと思ってた」
じゃ、そこそこ有名人ですよ。貧民街に出入りする、奇特な貴族がいるってね。そいつをカモにすると、恐ろしいことが待っているという噂が流れてる。そうか、あんたがそいつなのか」
「そ、そうなのか」
 ジョージは有名人と聞いて一瞬嬉しそうな顔をしたが、カモときいてがっくりと肩を落とした。アーサーが哀れな目でジョージを見ている。
 アーサーは再起不能なジョージを尻目に、オリバーに告げた。
「こいつの屋敷まで、馬車で小一時間くらいかかるんだ。時間がもったいねぇから、急ぐぞ」


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軽い朝食を済ませたジョージとアーサーは宿をあとにし、待ち合わせの廃墟へと向かった。
 二人が廃墟についたとき、既にオリバーが先に来ていた。彼は廃墟の周りに張り巡らされている黒い鉄の柵に寄りかかって、うつむいていた。
 昨日は寝坊して仲間に置いて行かれたと言っていたが、今日は起きることができたようでジョージは一安心した。
 二人の姿に気が付くと、オリバーはスッと顔をあげた。
「おはようございます」
「よぉ」
「おはよう」
 オリバーは、目深にかぶったニット帽を右手で触りながら言った。
 昨日はよく見えなかった彼の姿が、朝日に照らされてよく見える。
 オリバーは青色のニット帽に薄手のコートを羽織っていて、その茶色い巻き毛の前髪が、ニット帽からちょろっとのぞいていた。
 ジョージは彼の右手を見て、驚いた。
 昨日は気づかなかったのだが、なんと彼は……右手の人差し指がないのだ。
(事故で失ったのだろうか……)
 ジョージはオリバーに聞いてみようか一瞬迷ったが、突然聞くのは失礼な気がしたのでやめた。そのかわり、ジョージは、今朝アーサーと話し合って決めたことを、さっそく彼に話すことにした。
「別荘まで、馬に乗っていこうと思う」
「馬ですか……」
 彼は一瞬同意しかけたが、その細い目を見開いてすぐに聞き返した。
「え、徒歩じゃなくて、馬ですか?」
 彼はとても早口に言った。
「そうだ。別荘は山奥にあるから、徒歩で半日かかってしまう。時間を無駄にしたくない」
 アーサーが答えた。
「俺、生まれてから一度も馬に乗ったことがないんです」
 オリバーは目を伏せた。
「俺の後ろに乗ればいいよ!」
 ジョージが楽しそうに答えた。
「屋敷にある馬屋で、何頭か飼っているんだ。人慣れしているから、安心だよ!」
 そう軽く言うと、オリバーはさらに目を見開いた。
「馬を飼っているだなんて……」
 そう呟いた彼は、興味深そうにジョージを見る。彼の目線がジョージの胸元にあるペンダントを捕らえた。
「そういえば、まだ聞いていなかったんですけれど、貴方何て名前ですか?」
「ん? あぁ。自己紹介がまだだったね。ごめん」
 そういうとジョージはせき払いをして言った。
「俺の名前はジョージ・ウィリアムズ。隣の彼はアーサー・モリスだ」
 それをきいたオリバーは、驚いて息をのんだ。
「……。ウィリアムズって、あのウィリアムズ家の坊ちゃんか……」
「俺のこと知ってるのか! びっくりだな、あまり有名じゃないと思ってた」
「《《俺らの界隈》》じゃ、そこそこ有名人ですよ。貧民街に出入りする、奇特な貴族がいるってね。そいつをカモにすると、恐ろしいことが待っているという噂が流れてる。そうか、あんたがそいつなのか」
「そ、そうなのか」
 ジョージは有名人と聞いて一瞬嬉しそうな顔をしたが、カモときいてがっくりと肩を落とした。アーサーが哀れな目でジョージを見ている。
 アーサーは再起不能なジョージを尻目に、オリバーに告げた。
「こいつの屋敷まで、馬車で小一時間くらいかかるんだ。時間がもったいねぇから、急ぐぞ」