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@ 63話

ー/ー





 4対4。突き離されるわけにはいかない。今度はこちらがブレイクする番だ。しかし都合よく進むわけもない。4‐5、5‐5……ブレイクできず、風香のサーブ。


 


 


 女体付属、選手交代。後衛に下がったMBがサーブを終え、リベロに交代かと思われたが出てきた選手は背番号9・小山空美……。


 それはツーセッター。公式練でみた16番セッターはスパイクも強烈だった、この9番もそうに決まっている、つまりは前衛が常に3枚のアタッカーと言うわけである。


 


 


 


 風香のサーブでスタートする。互いの意地がボールをコートに落とすのを拒む。ラリーが続く。徐々にゲームに入り込んだ9番がアタッカーたちを自在に使い分け始める。


 


「菜々巳……頭の悪いあたしには良く分かんないけど、これって……」


「菜々巳は~、頭良いでしょ~?! テレビで~見たことあるけど~……」


 


 ラリー中にもかかわらず八千が大きな独り言のように発する……。それに睦美が同調する。


 


 


 


「そうね……これは『ハイブリット6』……」


 


 


 


 試合直後に感じていた違和感……。何故分からなかったのだろう。バレーは背番号がポジションを表すとは必ずしも決まっていない。


 プロトコール時のラインナップシートで背番号とポジションまでチェックしてなどいない。女体の試合をビデオで見た記憶の中のポジションだけだ。


 


 思えばS3ローテでスタートした女体のセッター対角にリベロがいた。これはこのときのための布石としか考えられない。


 現代バレーではそれぞれのポジションにはそれぞれに担っている役割がある。それが当たり前となってきた。


 しかし『ハイブリット6』での選手はポジションにこだわらず、流動的に全員がレシーブし、全員がアタックを打ち、さまざまな位置からスパイクを打つ。そのバレーを、『混ぜる、組み合わせる』という意味を持つハイブリッドと称した。『MB1システム(* ミドルブロッカーが1人という意)』を進化させ編み出した『ハイブリッド6』。


 


 弱点は選手の負担が大きい、以外見当たらない。


 


 これまで3度のオリンピックでの男女の金メダルは、すべて新戦術で獲得している。


 1964年、東京五輪の女子は『回転レシーブ』、1972年に行なわれたミュンヘン五輪の男子は『時間差攻撃』、1976年、モントリオール五輪の女子は『ひかり攻撃』といった具合に、過去の栄光は、常に新しいバレーとともにあった。


 


 


 


 じわりじわりと点差が開いていく。5‐7、6‐7、6‐8、6‐9……。


 


 


 


 7点目を取る。ここが柏手高の最も強いローテ。ここで追い付きたいが8‐9止まりで一歩及ばず。


 セッター菜々巳が最後の後衛のローテでサイドアウトしたのなら、すぐさまサイドアウトで女体付属が10点目をあげる。


 


 そして女体付属のハイブリッドたちの勢いが増す。




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 4対4。突き離されるわけにはいかない。今度はこちらがブレイクする番だ。しかし都合よく進むわけもない。4‐5、5‐5……ブレイクできず、風香のサーブ。
 女体付属、選手交代。後衛に下がったMBがサーブを終え、リベロに交代かと思われたが出てきた選手は背番号9・小山空美……。
 それはツーセッター。公式練でみた16番セッターはスパイクも強烈だった、この9番もそうに決まっている、つまりは前衛が常に3枚のアタッカーと言うわけである。
 風香のサーブでスタートする。互いの意地がボールをコートに落とすのを拒む。ラリーが続く。徐々にゲームに入り込んだ9番がアタッカーたちを自在に使い分け始める。
「菜々巳……頭の悪いあたしには良く分かんないけど、これって……」
「菜々巳は~、頭良いでしょ~?! テレビで~見たことあるけど~……」
 ラリー中にもかかわらず八千が大きな独り言のように発する……。それに睦美が同調する。
「そうね……これは『ハイブリット6』……」
 試合直後に感じていた違和感……。何故分からなかったのだろう。バレーは背番号がポジションを表すとは必ずしも決まっていない。
 プロトコール時のラインナップシートで背番号とポジションまでチェックしてなどいない。女体の試合をビデオで見た記憶の中のポジションだけだ。
 思えばS3ローテでスタートした女体のセッター対角にリベロがいた。これはこのときのための布石としか考えられない。
 現代バレーではそれぞれのポジションにはそれぞれに担っている役割がある。それが当たり前となってきた。
 しかし『ハイブリット6』での選手はポジションにこだわらず、流動的に全員がレシーブし、全員がアタックを打ち、さまざまな位置からスパイクを打つ。そのバレーを、『混ぜる、組み合わせる』という意味を持つハイブリッドと称した。『MB1システム(* ミドルブロッカーが1人という意)』を進化させ編み出した『ハイブリッド6』。
 弱点は選手の負担が大きい、以外見当たらない。
 これまで3度のオリンピックでの男女の金メダルは、すべて新戦術で獲得している。
 1964年、東京五輪の女子は『回転レシーブ』、1972年に行なわれたミュンヘン五輪の男子は『時間差攻撃』、1976年、モントリオール五輪の女子は『ひかり攻撃』といった具合に、過去の栄光は、常に新しいバレーとともにあった。
 じわりじわりと点差が開いていく。5‐7、6‐7、6‐8、6‐9……。
 7点目を取る。ここが柏手高の最も強いローテ。ここで追い付きたいが8‐9止まりで一歩及ばず。
 セッター菜々巳が最後の後衛のローテでサイドアウトしたのなら、すぐさまサイドアウトで女体付属が10点目をあげる。
 そして女体付属のハイブリッドたちの勢いが増す。