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練習

ー/ー



 家に帰って部屋に鍵をかけると自分の足首を使って、本結びの練習をする。難しくてわからなくなると、動画を、見返す。素晴らしいお手本に感激しつつまた練習をする。ふと気づくと日付が変わってしまっていた。トモがあわてて寝る準備を整えてベッドに戻ると、ちょうどモコからのメッセージで通知音が鳴った。
 
 モコ「もう寝てたらごめん。帰ってからずっと練習してたんだけど、とっても難しいね。」
 
 トモ「大丈夫、起きてるよ。本当にまだ最初なのに難しいよね。」
 
 モコ「良かったら、明日大学終わった後に、一緒に練習しない?」
 
 あ、僕の言いたい事を向こうから言って来てくれた。モコは僕の事、どう思ってるんだろう。単に便利な練習相手なんだろうか?でも少なくとも嫌ってはないよね、身体に触れる事を許容してくれているわけだし・・・などと考えていると。
 
 モコ「明日何か用事あった?むりはしなくていいからね。」と心配してもう一通メッセージをしてきた。
 
 トモ「ああ、大丈夫だよ。そっちは何時頃終わる?何処なら練習出来るかな?って考えてたら返事遅れちゃっただけ。」
 
 慌てて僕はこう返した。少し間があって、また通知がなる。
 
 モコ「良かったら、私の部屋はどうかな?トモの大学から近いし、お金もかからないし。」
 
 ドキドキして来た。モコの部屋、一人暮らしだって言ってたよね。
 
 トモ「とても、ありがたいよ。じゃ、お邪魔して良いかな?僕は明日5限までだから15時くらいにいけると思う。」
 
 モコ「15時なら私も大丈夫。住所送るから。トモなら住所だけで、来れるかな?」
 
 トモ「うん、大丈夫だよ。とりあえず授業終わったらメッセージいれるね。」
 
 モコ「わかった、おやすみない。」
 
 トモ「おやすみなさい。」
 
 とおやすみの挨拶をしたけれど、僕は胸がドキドキし過ぎて、なかなか眠れず、翌朝は久し振りに母親に叩き起こされてしまった。
 
 そして翌日の午後、僕は住所の場所に立っていた。真新しくもなく、でも小綺麗で、一応オートロックのマンションだった。僕はインターホンで、聞いていた部屋番号を押して、呼び出した。
 
「はーい、開けるね。」オートロックのドアが開いたので、すっと中に入ると、音もせず後ろでドアがまた閉まった。
 僕はエレベータに乗り彼女の部屋に向かって、呼び鈴を押す。
 
「いらっしゃい。どうぞ、入って。」モコが笑って僕を招き入れてくれる。
 
 女の子の部屋、それも一人暮らし・・・余計なことを考えないように、気をつけて中に入っていった。
 
「まだ引越したばかりだから、整理しきれないとこがあったらごめんね。」
 
 よく言えば、機能的。悪く言うと殺風景な部屋だった。女の子らしい雰囲気をまだ作る前・・・みたいな感じだろうか。それがかえって今の僕には安心できる雰囲気で、助かったと思う。
 
「まだ、最低限いるものしか送ってきてないのよね。必要なものがはっきりしてから、GWにもう一度戻って、荷物送るつもりだったから。」
 
「そうなんだね。これお土産のケーキ。何にするか迷ったんだけど、モコは今でも苺のショートケーキは好きかな?好み変わってたらごめん。」
 
「あ、ありがとう、大丈夫よ。今もそんな変わってないよ。これ冷蔵庫にしまっておくね。まず、練習しないとね。」
 
 お互い向かい合って座って、黙々と練習する。練習を始めると、雑念が飛んでいって、縄に集中できるのがわかる。モコの部屋って意識するとダメになる気がして、真剣に、練習をした。
 時々、実際にお互いの手首を練習台にしてもらいながら、真剣にやってるとなんとか二人とも形が整ってくるようになった。
 
「とりあえずできるようになったけど、見本のビデオと比べちゃうと、全然ダメだって思っちゃうね。」と僕が言うと、
 
「先生のは綺麗だよね。なんかピシッとしてるっていうか。」とモコが答える。
 
「でも、そろそろ休憩して、ケーキにしない?お茶淹れるわ。」
 
 大学の話をしながら、ケーキを食べる。
 モコはバイトをどうするか悩んでいるらしい、下宿して仕送りはあるけど、やはりバイトもしないとということらしい。実家でヌクヌクとしている自分が少し恥ずかしくなった。
 ケーキを食べ終わって、皿を片付けようとすると、モコに呼び止められる。
「待って、トモ、ほっぺにクリームついてるよ。」そのまま子供時代のように、指で僕の頬のクリームを拭うと、それをまた子供時代のようにペロッと舐め取って、「美味しい」って笑った。

 やった後に、急に顔を真っ赤にして、「私、子供の時と一緒だわ、成長してないよね。ごめんなさい。」と謝ってきた。「大丈夫だよ、気にしないから。」と僕も顔を真っ赤にして言葉では言ったが、本当は僕は気にしまくっていたのだ。



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 家に帰って部屋に鍵をかけると自分の足首を使って、本結びの練習をする。難しくてわからなくなると、動画を、見返す。素晴らしいお手本に感激しつつまた練習をする。ふと気づくと日付が変わってしまっていた。トモがあわてて寝る準備を整えてベッドに戻ると、ちょうどモコからのメッセージで通知音が鳴った。
 モコ「もう寝てたらごめん。帰ってからずっと練習してたんだけど、とっても難しいね。」
 トモ「大丈夫、起きてるよ。本当にまだ最初なのに難しいよね。」
 モコ「良かったら、明日大学終わった後に、一緒に練習しない?」
 あ、僕の言いたい事を向こうから言って来てくれた。モコは僕の事、どう思ってるんだろう。単に便利な練習相手なんだろうか?でも少なくとも嫌ってはないよね、身体に触れる事を許容してくれているわけだし・・・などと考えていると。
 モコ「明日何か用事あった?むりはしなくていいからね。」と心配してもう一通メッセージをしてきた。
 トモ「ああ、大丈夫だよ。そっちは何時頃終わる?何処なら練習出来るかな?って考えてたら返事遅れちゃっただけ。」
 慌てて僕はこう返した。少し間があって、また通知がなる。
 モコ「良かったら、私の部屋はどうかな?トモの大学から近いし、お金もかからないし。」
 ドキドキして来た。モコの部屋、一人暮らしだって言ってたよね。
 トモ「とても、ありがたいよ。じゃ、お邪魔して良いかな?僕は明日5限までだから15時くらいにいけると思う。」
 モコ「15時なら私も大丈夫。住所送るから。トモなら住所だけで、来れるかな?」
 トモ「うん、大丈夫だよ。とりあえず授業終わったらメッセージいれるね。」
 モコ「わかった、おやすみない。」
 トモ「おやすみなさい。」
 とおやすみの挨拶をしたけれど、僕は胸がドキドキし過ぎて、なかなか眠れず、翌朝は久し振りに母親に叩き起こされてしまった。
 そして翌日の午後、僕は住所の場所に立っていた。真新しくもなく、でも小綺麗で、一応オートロックのマンションだった。僕はインターホンで、聞いていた部屋番号を押して、呼び出した。
「はーい、開けるね。」オートロックのドアが開いたので、すっと中に入ると、音もせず後ろでドアがまた閉まった。
 僕はエレベータに乗り彼女の部屋に向かって、呼び鈴を押す。
「いらっしゃい。どうぞ、入って。」モコが笑って僕を招き入れてくれる。
 女の子の部屋、それも一人暮らし・・・余計なことを考えないように、気をつけて中に入っていった。
「まだ引越したばかりだから、整理しきれないとこがあったらごめんね。」
 よく言えば、機能的。悪く言うと殺風景な部屋だった。女の子らしい雰囲気をまだ作る前・・・みたいな感じだろうか。それがかえって今の僕には安心できる雰囲気で、助かったと思う。
「まだ、最低限いるものしか送ってきてないのよね。必要なものがはっきりしてから、GWにもう一度戻って、荷物送るつもりだったから。」
「そうなんだね。これお土産のケーキ。何にするか迷ったんだけど、モコは今でも苺のショートケーキは好きかな?好み変わってたらごめん。」
「あ、ありがとう、大丈夫よ。今もそんな変わってないよ。これ冷蔵庫にしまっておくね。まず、練習しないとね。」
 お互い向かい合って座って、黙々と練習する。練習を始めると、雑念が飛んでいって、縄に集中できるのがわかる。モコの部屋って意識するとダメになる気がして、真剣に、練習をした。
 時々、実際にお互いの手首を練習台にしてもらいながら、真剣にやってるとなんとか二人とも形が整ってくるようになった。
「とりあえずできるようになったけど、見本のビデオと比べちゃうと、全然ダメだって思っちゃうね。」と僕が言うと、
「先生のは綺麗だよね。なんかピシッとしてるっていうか。」とモコが答える。
「でも、そろそろ休憩して、ケーキにしない?お茶淹れるわ。」
 大学の話をしながら、ケーキを食べる。
 モコはバイトをどうするか悩んでいるらしい、下宿して仕送りはあるけど、やはりバイトもしないとということらしい。実家でヌクヌクとしている自分が少し恥ずかしくなった。
 ケーキを食べ終わって、皿を片付けようとすると、モコに呼び止められる。
「待って、トモ、ほっぺにクリームついてるよ。」そのまま子供時代のように、指で僕の頬のクリームを拭うと、それをまた子供時代のようにペロッと舐め取って、「美味しい」って笑った。
 やった後に、急に顔を真っ赤にして、「私、子供の時と一緒だわ、成長してないよね。ごめんなさい。」と謝ってきた。「大丈夫だよ、気にしないから。」と僕も顔を真っ赤にして言葉では言ったが、本当は僕は気にしまくっていたのだ。