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山本タクミ(20)/配信者①

ー/ー



『相変わらずのゴリ押し配信だよねw』

『あ、その先に昔バグありましたよね』

『操作がたどたどしい』

「しょうがないだろ。ビンボー大学生なんだから頭使わなくちゃ。あー、ほんとファミコンって判定シビアだよな」

『何度見ても笑える』

『変な座り方してる』

『画期的なのか原始的なのか』

『画面見づらいだろうに』

『ぴーぽーぴーぽー』

『救急車って有料になったんだっけ?』

『そのうち蝉の声とか聞こえて来そう』

『早朝は聞こえるよ』

『まじですかw』

「俺はゲーム配信者なの。ゲームをメインコンテンツにしてんのよ。配信環境についていちいち言ってくるんじゃないよ全く」

『だからさ、いっそそっちを全面に出した動画タイトルにしなよ』

『いやチャンネル名にも入れよう』

『マイクもねえ!カメラもねえ!環境音もぐーるぐる!オラこれでも頑張ってるだ』

『鏡の国の配信者』

『レトロゲームがしたい! ~レトロなのはゲームだけじゃなく環境もです~』

『ブラウン管とカメラと私、時々三面鏡』

「うるせえうるせえ、なんでそんなので盛り上がってんの。……だ! あーーー、ちょっとー、死んじゃったじゃんか~。お前らのせいだぞ」

『リスナーのせいにする配信者のクズ』

『誰もゲームなんて気にしてないから』

「だから俺はゲーム配信者だっつってんのに。あーやめやめ、一回休憩すっか」

『ずっと煙草休憩。これだからヤニカスは』

「あー、モンスター買ってくればよかった。喉乾いたな。っていうか腹も減ったな」

『ウーバーしよう』

『急な飯配信』

「しねえよ。つーか、このやり方そんなに気になる? この部屋のレトロさとブラウン管テレビの良さを知ってほしくてやってんだけど、もしかしてそこんとこが伝わってないんかね」

『田舎の実家感』

『フクロウってほんとにホーホーいうのを知ったよ』

『荒技だと思う』

『この部屋、なんか怖い』

『でも前のゲーム配信より視聴者数微増だからいいんじゃないですか?』

『ゲームより画がつよすぎ』

「わかんねえかなぁ、このブラウン管テレビのざらついた良さが。輝度も高くて、目がチカチカするほどの刺激を浴びながら、その規格に合わせて技術を詰め込んだファミコンをやるなんて最高の贅沢じゃねえかよ。それをリスナーにも共有したいから、わざわざこんなやり方してるって言うのに、俺の愛が伝わらんとは悲しいね」

『さっきはビンボー大学生だからって言い訳してた』

『この前は金がないからって直球だった』

『だせーかなーって愚痴ってた日もあるじゃん』

「お前らは毎度笑うけどこのセッティング、思いつくまで結構大変だったんだぞ。家から持って来たパソコンとカメラ一台だけで、どうやって配信するかって。軍資金がないから機材は買わずに、どうにか配信できないかって色々試したよ。何を映したいか、何を見てもらいたいかって言ったらブラウン管テレビの映像なわけだから、まずテレビの画面がよく映るよう正面にカメラ設置するだろ。で、一台しかない画面の中に俺も映したいってなって、じゃあそれをどうやるかっていうのが頭の使いどころよ。それで、思いついたのが鏡で反射する技ね。ばあちゃんの重たい三面鏡をわざわざテレビの横まで持って来て、俺がゲームしてる姿がカメラに映るよう微調整して、あとは配線がごちゃつかないよう目隠ししながらパソコン繋いで」

『涙ぐましい無駄な努力』

『急に饒舌でオタクみある』

『カメラもう一台あれば解決』

『ゲーム画面と鏡に反射した主の姿が同時に映ってるとゲームに集中できない』

『主さんは気づいてるかわからないですけど、結構ゲームしてる時って謎な動きしてますよ』

「それな。アーカイブ見て俺も思った。じっとしてるつもりなんだけど結構動いてんのな。多分いつものゲーミングチェアと違うからさ。ここほら畳だから座布団に座ってやってるわけ。そうするとなんか動いちゃうみたいなんだよね」

『ダニ?』

『不衛生w』

『さすが田舎』

「は、いやそういうことじゃないって。わかるだろ?」

『いい座布団買おう』

『ソファでも可』

『ヨギボーがいいんじゃね』

「そんな金あったら機材買うっての。……はーぁ、俺の予想では、このイイ感じの部屋で配信したら、もうちょっとイイ感じの小金稼ぎになるはずだったんだけどなぁ」

『世の中そんなに甘くない』

『バイトでもしろ自堕落大学生』

『世間を舐めるな』

『数え切れないぐらいの配信者がいますからね。難しい道だと思いますよ』

『関係ないけど、ガチャンガチャン音してるのは何?』

『それ気になってた。結構うるさい』

「あー、音な、ごめんな。ここじいちゃんちなんだけど田舎でさ。隣も空き家だったし、俺好みのレトロ空間だし、ゲーム配信でちょっとハメ外しても大丈夫だろって思って、夏休み中こっちにいるつもりでプチ引っ越ししたんだけどさ、先週?あたりかな、隣に誰か引っ越してきたみたいなんだよね。でも言うても田舎だし、多少騒いでも大丈夫だろって思ってたら、まさかの越してきた隣がうるさいってわけ」

『それにしては物騒な音』

『人の声とかじゃないよね』

『何か投げてる? 壊してる?』

『深夜回るのにでかい音させてるなんて頭のおかしい人だろ』

「どうなんだろな。確かにうるさいけど、関係持ちたくないし、あっちがうるさいのをこっちは我慢してんだから、こっちがうるさくしてんのも許せって感じ」

『そうじゃなくて、こっちがうるさくしてたら怒鳴り込んでくるんじゃね?』

『お前がうるさいってのは棚に上げてさ』

『理不尽はどこにでもいる』

『いつでも警察呼べるようにしておいた方がいいんじゃないですか?』

「いやいや、大袈裟すぎ。なんか廃品回収?っていうの? 粗大ゴミみたいなのとか、古い家具とか、そういうのが運び込まれてるから、なんかそういう業者なんじゃね? 都会と比べて田舎だからそういうの壊してOKだろ、みたいな。よくわからんけど。……言ってて思ったけど、もしかして年代物のブラウン管テレビとかレトロ家具とか、お宝あるかもしれんな」

『やめとけよ』

『ゴミなんだろ?』

『深夜にでかい物音立ててる時点で常識ないから話通じないって』

『凸った配信でもすれば? 俺は見ないけどw』

「明日の昼間、ちょっと家出た時にちらっと覗いてみるか。どうせ買い物に出なくちゃならないし。掘り出し物があったらいいなぁ。そんで格安かタダで手に入ったら最高だな」

『で、ゲームは?』

『ブラウン管テレビがチカチカしてつらい』

「あー、なんか今日はもういいや。どうせこの音も止まないだろうし、明日のお宝探しに備えて寝るわ」

『ゲームしろよ』

『おつ』

『また明日』

『クソ配信者』

『お疲れ様でした』


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『何度見ても笑える』
『変な座り方してる』
『画期的なのか原始的なのか』
『画面見づらいだろうに』
『ぴーぽーぴーぽー』
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『そのうち蝉の声とか聞こえて来そう』
『早朝は聞こえるよ』
『まじですかw』
「俺はゲーム配信者なの。ゲームをメインコンテンツにしてんのよ。配信環境についていちいち言ってくるんじゃないよ全く」
『だからさ、いっそそっちを全面に出した動画タイトルにしなよ』
『いやチャンネル名にも入れよう』
『マイクもねえ!カメラもねえ!環境音もぐーるぐる!オラこれでも頑張ってるだ』
『鏡の国の配信者』
『レトロゲームがしたい! ~レトロなのはゲームだけじゃなく環境もです~』
『ブラウン管とカメラと私、時々三面鏡』
「うるせえうるせえ、なんでそんなので盛り上がってんの。……だ! あーーー、ちょっとー、死んじゃったじゃんか~。お前らのせいだぞ」
『リスナーのせいにする配信者のクズ』
『誰もゲームなんて気にしてないから』
「だから俺はゲーム配信者だっつってんのに。あーやめやめ、一回休憩すっか」
『ずっと煙草休憩。これだからヤニカスは』
「あー、モンスター買ってくればよかった。喉乾いたな。っていうか腹も減ったな」
『ウーバーしよう』
『急な飯配信』
「しねえよ。つーか、このやり方そんなに気になる? この部屋のレトロさとブラウン管テレビの良さを知ってほしくてやってんだけど、もしかしてそこんとこが伝わってないんかね」
『田舎の実家感』
『フクロウってほんとにホーホーいうのを知ったよ』
『荒技だと思う』
『この部屋、なんか怖い』
『でも前のゲーム配信より視聴者数微増だからいいんじゃないですか?』
『ゲームより画がつよすぎ』
「わかんねえかなぁ、このブラウン管テレビのざらついた良さが。輝度も高くて、目がチカチカするほどの刺激を浴びながら、その規格に合わせて技術を詰め込んだファミコンをやるなんて最高の贅沢じゃねえかよ。それをリスナーにも共有したいから、わざわざこんなやり方してるって言うのに、俺の愛が伝わらんとは悲しいね」
『さっきはビンボー大学生だからって言い訳してた』
『この前は金がないからって直球だった』
『だせーかなーって愚痴ってた日もあるじゃん』
「お前らは毎度笑うけどこのセッティング、思いつくまで結構大変だったんだぞ。家から持って来たパソコンとカメラ一台だけで、どうやって配信するかって。軍資金がないから機材は買わずに、どうにか配信できないかって色々試したよ。何を映したいか、何を見てもらいたいかって言ったらブラウン管テレビの映像なわけだから、まずテレビの画面がよく映るよう正面にカメラ設置するだろ。で、一台しかない画面の中に俺も映したいってなって、じゃあそれをどうやるかっていうのが頭の使いどころよ。それで、思いついたのが鏡で反射する技ね。ばあちゃんの重たい三面鏡をわざわざテレビの横まで持って来て、俺がゲームしてる姿がカメラに映るよう微調整して、あとは配線がごちゃつかないよう目隠ししながらパソコン繋いで」
『涙ぐましい無駄な努力』
『急に饒舌でオタクみある』
『カメラもう一台あれば解決』
『ゲーム画面と鏡に反射した主の姿が同時に映ってるとゲームに集中できない』
『主さんは気づいてるかわからないですけど、結構ゲームしてる時って謎な動きしてますよ』
「それな。アーカイブ見て俺も思った。じっとしてるつもりなんだけど結構動いてんのな。多分いつものゲーミングチェアと違うからさ。ここほら畳だから座布団に座ってやってるわけ。そうするとなんか動いちゃうみたいなんだよね」
『ダニ?』
『不衛生w』
『さすが田舎』
「は、いやそういうことじゃないって。わかるだろ?」
『いい座布団買おう』
『ソファでも可』
『ヨギボーがいいんじゃね』
「そんな金あったら機材買うっての。……はーぁ、俺の予想では、このイイ感じの部屋で配信したら、もうちょっとイイ感じの小金稼ぎになるはずだったんだけどなぁ」
『世の中そんなに甘くない』
『バイトでもしろ自堕落大学生』
『世間を舐めるな』
『数え切れないぐらいの配信者がいますからね。難しい道だと思いますよ』
『関係ないけど、ガチャンガチャン音してるのは何?』
『それ気になってた。結構うるさい』
「あー、音な、ごめんな。ここじいちゃんちなんだけど田舎でさ。隣も空き家だったし、俺好みのレトロ空間だし、ゲーム配信でちょっとハメ外しても大丈夫だろって思って、夏休み中こっちにいるつもりでプチ引っ越ししたんだけどさ、先週?あたりかな、隣に誰か引っ越してきたみたいなんだよね。でも言うても田舎だし、多少騒いでも大丈夫だろって思ってたら、まさかの越してきた隣がうるさいってわけ」
『それにしては物騒な音』
『人の声とかじゃないよね』
『何か投げてる? 壊してる?』
『深夜回るのにでかい音させてるなんて頭のおかしい人だろ』
「どうなんだろな。確かにうるさいけど、関係持ちたくないし、あっちがうるさいのをこっちは我慢してんだから、こっちがうるさくしてんのも許せって感じ」
『そうじゃなくて、こっちがうるさくしてたら怒鳴り込んでくるんじゃね?』
『お前がうるさいってのは棚に上げてさ』
『理不尽はどこにでもいる』
『いつでも警察呼べるようにしておいた方がいいんじゃないですか?』
「いやいや、大袈裟すぎ。なんか廃品回収?っていうの? 粗大ゴミみたいなのとか、古い家具とか、そういうのが運び込まれてるから、なんかそういう業者なんじゃね? 都会と比べて田舎だからそういうの壊してOKだろ、みたいな。よくわからんけど。……言ってて思ったけど、もしかして年代物のブラウン管テレビとかレトロ家具とか、お宝あるかもしれんな」
『やめとけよ』
『ゴミなんだろ?』
『深夜にでかい物音立ててる時点で常識ないから話通じないって』
『凸った配信でもすれば? 俺は見ないけどw』
「明日の昼間、ちょっと家出た時にちらっと覗いてみるか。どうせ買い物に出なくちゃならないし。掘り出し物があったらいいなぁ。そんで格安かタダで手に入ったら最高だな」
『で、ゲームは?』
『ブラウン管テレビがチカチカしてつらい』
「あー、なんか今日はもういいや。どうせこの音も止まないだろうし、明日のお宝探しに備えて寝るわ」
『ゲームしろよ』
『おつ』
『また明日』
『クソ配信者』
『お疲れ様でした』