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10:追われる身に……。

ー/ー



少し肌寒く感じる夜の【イスト】――都のとある飲食店でグラウはイサネに食事会でした話を伝えていた。

「【聖女】伝説ですか……」

イサネの浮かない顔の理由がわからず不思議に思いながらワインをひとくち口に含むグラウ。

「(……私を捕らえた理由がそれじゃなかったみたいだからしばらくは大丈夫かな)」
「イサネ……?口に合わない……?」
「あ、いえ!とても美味しいです!」

良い返事……だが食が進まないイサネ。

「食べたら……都を出ようイサネ」
「あ……え……はい?」
「他の国の様子も見て……【紫炎の魔女(リラ・ウィッチ)】を……探そう」

口いっぱいに急いで頬張ったイサネ……グラウを驚きの表情で見つめる。

「ほれ……ほっへほうふんでふは?」
「……よく噛んで……飲み込んでから返事」

ごくんっと喉を鳴らしもう一度問う。

「本気で言ってます?追ってどうするんですか?」
「……原因を取り除く……違ったか?」
「違いますよ?」
「……」

グラウの本来の目的は嫁探し。もちろん【イスト】の情勢を無視できないし、世話になった村の為にも男たちの解放をしてあげたい。ただ……わかった原因の内容がこの世界全体を巻き込むもの。一国の王子がどうこうできることではなくなっていた。

「……まぁ……でも……?お嫁さん探しをする道中で出会ってしまった場合は……仕方ないのかもしれませんけど……?」
「……じゃあ……【聖女】を探す……?」
「……………本気で言ってます?」

なぜか気まずい空気が流れ、グラウを見るイサネの目は細く座っていた。

無言のまま店を出て門を目指す。来た時とは逆側の門へ……食事をとる前に様子を見た時、吊橋で出会った兵士の言っていた通り、見た顔を発見したからだ。

「こんばんわ、兵士さん。元気そうで良かったです」
「グラウ様にイサネさ……っ!こ、こちらへ!」

大柄な兵士は怪しまれないようにと、小部屋へ急いで案内してくれた。

「……水鏡の通信でお話は伺っていますよ。こんな時間に門を越えるのですか?」
「ちょっと難しい状況になっちゃって……まだ何もできていないのに……この国を出ることにしました……」
「……力不足で……すまない」
「あ、あやまらないでください!理由ある旅の途中で助けてもらい……心強い言葉も頂いた……それだけで十分です!我々も少しずつですが情報を共有して同志を増やし……これ以上の被害を出さないようにと動いていますよ!」

前向きな情報を……自分の国の為に生きることの意味を見出したこと……笑顔で応え、グラウからも新しい情報を兵士に伝える。

「ミケ王妃に……会った……【紫炎の魔女(リラ・ウィッチ)】の術で……惑わされていた」
「なんと……それは……だからあんなことを我々に……?」

驚きと困惑で表情が歪む。

「ここまで先を急ぐような旅ではなかったんですけど【イスト】にいられなくなってしまったので国を出ます。でも、あなたたちを見捨てるような行動は絶対にしません……お約束します」
「……イサネの……おかげで俺も……追われる身に……」
「否定はしませんけど実行したのはグラウ様ですからね?」

なにをしたのか?と、大柄の兵士に聞かれて正直に答え、自分の国の王に大きな被害ではないが害をなしたというのに笑っていた。グラウたちへの信頼の方が大きくなっているようだ。

「まさかあの【白銀の黒狼(シルビオ・シュヴァルツ)】が犯罪まがいの事をして冗談まで言うとは……ははは!っと……ここに長居はよくないですな……自分がうまく誤魔化しておきますのでこのままお通りください」

兵専用の扉から都の外へ……姿が見えなくなるまで大柄の兵士は手を振り見送ってくれた。

イサネの言っていた争いの無くなる解決策を本物にしたい……グラウはその気持ちが大きく、嫁探しは後回し……と、密かに決意を固め【サウス】へと急ぎ向かう。

「イサネ」
「なんでしょう?」
「また……あのパンを食べよう……」
「そうですね……みんなで笑って……食べたいですね」


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「(……私を捕らえた理由がそれじゃなかったみたいだからしばらくは大丈夫かな)」
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「あ、いえ!とても美味しいです!」
良い返事……だが食が進まないイサネ。
「食べたら……都を出ようイサネ」
「あ……え……はい?」
「他の国の様子も見て……【|紫炎の魔女《リラ・ウィッチ》】を……探そう」
口いっぱいに急いで頬張ったイサネ……グラウを驚きの表情で見つめる。
「ほれ……ほっへほうふんでふは?」
「……よく噛んで……飲み込んでから返事」
ごくんっと喉を鳴らしもう一度問う。
「本気で言ってます?追ってどうするんですか?」
「……原因を取り除く……違ったか?」
「違いますよ?」
「……」
グラウの本来の目的は嫁探し。もちろん【イスト】の情勢を無視できないし、世話になった村の為にも男たちの解放をしてあげたい。ただ……わかった原因の内容がこの世界全体を巻き込むもの。一国の王子がどうこうできることではなくなっていた。
「……まぁ……でも……?お嫁さん探しをする道中で出会ってしまった場合は……仕方ないのかもしれませんけど……?」
「……じゃあ……【聖女】を探す……?」
「……………本気で言ってます?」
なぜか気まずい空気が流れ、グラウを見るイサネの目は細く座っていた。
無言のまま店を出て門を目指す。来た時とは逆側の門へ……食事をとる前に様子を見た時、吊橋で出会った兵士の言っていた通り、見た顔を発見したからだ。
「こんばんわ、兵士さん。元気そうで良かったです」
「グラウ様にイサネさ……っ!こ、こちらへ!」
大柄な兵士は怪しまれないようにと、小部屋へ急いで案内してくれた。
「……水鏡の通信でお話は伺っていますよ。こんな時間に門を越えるのですか?」
「ちょっと難しい状況になっちゃって……まだ何もできていないのに……この国を出ることにしました……」
「……力不足で……すまない」
「あ、あやまらないでください!理由ある旅の途中で助けてもらい……心強い言葉も頂いた……それだけで十分です!我々も少しずつですが情報を共有して同志を増やし……これ以上の被害を出さないようにと動いていますよ!」
前向きな情報を……自分の国の為に生きることの意味を見出したこと……笑顔で応え、グラウからも新しい情報を兵士に伝える。
「ミケ王妃に……会った……【|紫炎の魔女《リラ・ウィッチ》】の術で……惑わされていた」
「なんと……それは……だからあんなことを我々に……?」
驚きと困惑で表情が歪む。
「ここまで先を急ぐような旅ではなかったんですけど【イスト】にいられなくなってしまったので国を出ます。でも、あなたたちを見捨てるような行動は絶対にしません……お約束します」
「……イサネの……おかげで俺も……追われる身に……」
「否定はしませんけど実行したのはグラウ様ですからね?」
なにをしたのか?と、大柄の兵士に聞かれて正直に答え、自分の国の王に大きな被害ではないが害をなしたというのに笑っていた。グラウたちへの信頼の方が大きくなっているようだ。
「まさかあの【|白銀の黒狼《シルビオ・シュヴァルツ》】が犯罪まがいの事をして冗談まで言うとは……ははは!っと……ここに長居はよくないですな……自分がうまく誤魔化しておきますのでこのままお通りください」
兵専用の扉から都の外へ……姿が見えなくなるまで大柄の兵士は手を振り見送ってくれた。
イサネの言っていた争いの無くなる解決策を本物にしたい……グラウはその気持ちが大きく、嫁探しは後回し……と、密かに決意を固め【サウス】へと急ぎ向かう。
「イサネ」
「なんでしょう?」
「また……あのパンを食べよう……」
「そうですね……みんなで笑って……食べたいですね」