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爆発物処理班のプライド

ー/ー



「ハァ……ハァ……」


       「ハァ……ハァ……」


ようやく、八本のコードの切断に成功……残るコードの色は『赤』と『青』である。

「やっぱりこの二本が残ったか……blue or red……この先は何年やっても100%の正解は無い。まさにってやつだな……」

『赤』を切るべきか、『青』を切るべきか……確率は二分の一。まさに運命の分かれ道である。

「真田さん、時間がありません! あと八分しかありませんよ!」

「わかってるよ! なぁ、山本……お前ならどっちを切る?」

残り時間わずか八分という時になって、真田は山本にそんな質問を投げかけて来た。

「どっちって言われても……」

そんな事を訊かれても、山本にも正解は判らない……山本は、起爆装置から出る二本の配線をじっと見つめた。


すると、その時である……山本は、この起爆装置のに気が付いたのであった!

「ああ! そうかっ! 真田さん、導火線ですよ!」

「はあ?」

「この爆弾、なんか普通と違うような気がしてたんですが……起爆装置から火薬まで『導火線』で繋がっているじゃないですか! だったら、よ!」

まさに『目からウロコ』 『灯台もと暗し』である。どうして今までその事に気が付かなかったのだろう。しかし、ともかく時間前にその事に気が付いて良かった……

これで起爆装置は無事に解除出来る。山本は、そう思った。


だが………





















だ、そんなのは」

「え………?」

「俺達はプロだぞ? そんなが出来るか!」

この道10年のベテラン真田は眉間に(しわ)を寄せ、吐き捨てるように言った。

「そんな事言ってる場合ですか! あと七分しか無いんですよ!」

「七分ありゃ上等~! 残りはあと一本だ!」

真田は、右手の中指を上に立ててイキ捲っている。



「なに言ってんですか! アナタ、死にたいんですかっ!」

「お前こそなに言ってる! この稼業に就いた時から、だろうが!」

「そういうの『無駄死に』って言うんですよ!」

「解除すりゃあ~いいじゃね~か! 確率は二分の一だ!俺に任せろ!」

(ダメだぁ……この人………)


☆☆☆



「う~む……これを作った相手はテロリスト。ならば、本命はやはり『赤』か……いや、しかし逆にそれをトラップにするって事もあるしな……」

二人の命が懸かった配線の色の選択を、『作った人間の性格』というなんとも曖昧な根拠から導き出そうとする真田。

「やっぱり、6-4で『青』を切るべきだろうな」

「6-4って……競馬予想してるんじゃないんだから……」

残す時間はあと七分……その時、山本の持っていたスマホの着信音が鳴り響いた。

「はい、山本……あっ、本部長ですか?」

電話の相手は警視庁捜査本部……その本部長、長嶋だった。

『そっちの様子はどうだ? 起爆装置は解除出来たのか?』

「いえ……それがまだ……」

『なんだって! あと七分しか無いぞ! それは、そんなに複雑な代物なのか!』

「いえ、超簡単です! なんですがね……」

山本は、これまでのいきさつを長嶋本部長に話した。

『…………』

絶句する本部長。

「おい、山本~やっぱり『赤』ってのも捨てがたいよな~」


『なにやってんだああぁぁぁ~~お前らはああぁぁぁ~~~~っ!』


本部長のカミナリが、電話越しでもビルのガラスが震動する位に大きく響き渡った。


☆☆☆


『とにかく導火線を切れ! 真田!』

「嫌です! そんなふざけたやり方は、爆発物処理係の俺のプライドが許さない!」

『そんな事を言ってる場合かっ! そのビル建てるのに何百億かかっていると思ってんだ!』

「僕らの命じゃ無いんだ……」

『あ……いや、別にそういう訳では……』

「とにかく! 本部長といえど、現場に首を突っ込むのは止めていただきたい! ここは俺達のテリトリーです!」

真田はそれだけ言うと、再び起爆装置と向き合っていた。

「こんな調子で、いくら言っても聞かないんですよ……真田さん……」

『まったく、あんなバカ、見た事が無い!……とりあえず電話は切らずにこのまま繋いでおけ!』

「分かりました、本部長」

本部長ですら、真田を説得するまでには及ばなかった。



爆弾の爆発まで、あと六分……



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「ハァ……ハァ……」
       「ハァ……ハァ……」
ようやく、八本のコードの切断に成功……残るコードの色は『赤』と『青』である。
「やっぱりこの二本が残ったか……blue or red……この先は何年やっても100%の正解は無い。まさに《《神のみぞ知る領域》》ってやつだな……」
『赤』を切るべきか、『青』を切るべきか……確率は二分の一。まさに運命の分かれ道である。
「真田さん、時間がありません! あと八分しかありませんよ!」
「わかってるよ! なぁ、山本……お前ならどっちを切る?」
残り時間わずか八分という時になって、真田は山本にそんな質問を投げかけて来た。
「どっちって言われても……」
そんな事を訊かれても、山本にも正解は判らない……山本は、起爆装置から出る二本の配線をじっと見つめた。
すると、その時である……山本は、この起爆装置の《《根本的なある事実》》に気が付いたのであった!
「ああ! そうかっ! 真田さん、導火線ですよ!」
「はあ?」
「この爆弾、なんか普通と違うような気がしてたんですが……起爆装置から火薬まで『導火線』で繋がっているじゃないですか! だったら、《《導火線を切ってしまえば爆発しません》》よ!」
まさに『目からウロコ』 『灯台もと暗し』である。どうして今までその事に気が付かなかったのだろう。しかし、ともかく時間前にその事に気が付いて良かった……
これで起爆装置は無事に解除出来る。山本は、そう思った。
だが………
「《《邪道》》だ、そんなのは」
「え………?」
「俺達はプロだぞ? そんな《《シロウトみたいなマネ》》が出来るか!」
この道10年のベテラン真田は眉間に皺《しわ》を寄せ、吐き捨てるように言った。
「そんな事言ってる場合ですか! あと七分しか無いんですよ!」
「七分ありゃ上等~! 残りはあと一本だ!」
真田は、右手の中指を上に立ててイキ捲っている。
「なに言ってんですか! アナタ、死にたいんですかっ!」
「お前こそなに言ってる! この稼業に就いた時から、《《既に死とは隣り合わせ》》だろうが!」
「そういうの『無駄死に』って言うんですよ!」
「解除すりゃあ~いいじゃね~か! 確率は二分の一だ!俺に任せろ!」
(ダメだぁ……この人………)
☆☆☆
「う~む……これを作った相手はテロリスト。《《血生臭い事を好む奴》》ならば、本命はやはり『赤』か……いや、しかし逆にそれをトラップにするって事もあるしな……」
二人の命が懸かった配線の色の選択を、『作った人間の性格』というなんとも曖昧な根拠から導き出そうとする真田。
「やっぱり、6-4で『青』を切るべきだろうな」
「6-4って……競馬予想してるんじゃないんだから……」
残す時間はあと七分……その時、山本の持っていたスマホの着信音が鳴り響いた。
「はい、山本……あっ、本部長ですか?」
電話の相手は警視庁捜査本部……その本部長、長嶋だった。
『そっちの様子はどうだ? 起爆装置は解除出来たのか?』
「いえ……それがまだ……」
『なんだって! あと七分しか無いぞ! それは、そんなに複雑な代物なのか!』
「いえ、超簡単です! 《《解除するのは超簡単》》なんですがね……」
山本は、これまでのいきさつを長嶋本部長に話した。
『…………』
絶句する本部長。
「おい、山本~やっぱり『赤』ってのも捨てがたいよな~」
『なにやってんだああぁぁぁ~~お前らはああぁぁぁ~~~~っ!』
本部長のカミナリが、電話越しでもビルのガラスが震動する位に大きく響き渡った。
☆☆☆
『とにかく導火線を切れ! 真田!』
「嫌です! そんなふざけたやり方は、爆発物処理係の俺のプライドが許さない!」
『そんな事を言ってる場合かっ! そのビル建てるのに何百億かかっていると思ってんだ!』
「僕らの命じゃ無いんだ……」
『あ……いや、別にそういう訳では……』
「とにかく! 本部長といえど、現場に首を突っ込むのは止めていただきたい! ここは俺達のテリトリーです!」
真田はそれだけ言うと、再び起爆装置と向き合っていた。
「こんな調子で、いくら言っても聞かないんですよ……真田さん……」
『まったく、あんなバカ、見た事が無い!……とりあえず電話は切らずにこのまま繋いでおけ!』
「分かりました、本部長」
本部長ですら、真田を説得するまでには及ばなかった。
爆弾の爆発まで、あと六分……