邪神サズァン 1
ー/ー
ムツヤはペンダントを握りしめ、魔力を込める。
だが、返事は無い。その代わりに外が騒がしくなった。
「ダメです。サズァン様に連絡が取れません!!」
「一体何が起きているんだ!! お前ら、外に出るぞ!!」
外では民衆が遠くを見ていた。ムツヤ達もその方向を見る。
何か巨大な建物の上部が、暗闇の中でぼうっと映し出されていた。
「なんだありゃ……」
「アレは!!」
ムツヤはそう言って外壁の上へと階段を登る。
「ムツヤっちどうしたの!?」
仲間達もその後を追った。外壁の上から見える巨大な建造物。それを見てムツヤは一言。
「あれは……、あれは田舎にあった塔です!!」
「えぇ!?」
皆が驚愕の声を上げる。
「アレが裏ダンジョンって、コト!?」
ルーが言うと、ムツヤが頷いた。
「はい! そうでず!!」
「何で裏ダンジョンがこの世界に!?」
モモは思わずそう言った。アシノは腕を組んで考える。
「あの夢と、裏ダンジョンの出現……。直接サズァンに聞いてみるしか無いな」
時は少し遡り、ムツヤの住んでいた田舎でのお話。
迷い木の怪物ことマヨイギは今日もムツヤの育った家でタカクと茶を飲んでいた。
最初は裏ダンジョンで過ごしていたが、ある日サズァンから魔物の活性化を理由に外へ出るように言われたのだ。
外でタカクと戦う理由も無いし、第一自分が戦った所で勝てる相手ではないと、田舎に来た時点で察していたので、共存する道を選んでいた。
そんな家に今日もまた別の尋ね人が来る。ノエウとナリアだ。
アラクネのナリアは誰も襲う素振りを見せず、今日も何を考えているのか分からない。
「に、肉を取ってきた」
「それじゃ何か作るわ」
マヨイギは畑で作物を作ると同時に、料理番を担当していた。
それこそ最初は肉を丸焼きにする事しか出来なかったが、書物やタカクの教えで今では色々な料理を作ることが出来る。
今日は肉と野菜の炒め物を作り、皆で食べていた。食後の紅茶を楽しんでいる時、タカクは何かに気付いたようにハッとしてから目を瞑る。
「タカク、どうかした?」
マヨイギに尋ねられて、タカクは静かに答える。
「とうとう、この日が来てしまった」
その言葉と同時に、四方からガラスが砕けるような、そんな音が響いた。
マヨイギとノエウは驚き、その音のうるささに耳を塞ぐ。しばらくすると音は鳴り止んだ。
「何が起きているのよ!!」
そんなマヨイギの言葉に、タカクは静かに答えた。
「結界が壊れた」
「はぁー!?」
マヨイギは驚いていた。淡々とタカクは続ける。
「結界は日に日に弱くなっていた。そして、今日壊れた。それだけだ」
「結界が壊れたらどうなるのよ!?」
ゆっくりとタカクは答えた。
「世界の、終わりだ」
アシノは急ぎ勇者達へ連絡石で会議の準備をさせた。
赤い石を叩きつけると、サツキ、イタヤ、トチノハが映し出される。
「アシノさん!! あれは、あの夢と建物は一体何なんだ!?」
開口一番にイタヤが言う。冷静にアシノは返した。
「あの夢の邪神は本物です。そして、あの建物は裏ダンジョンです」
元勇者のトチノハでさえ驚いて目を丸くする。
「先輩! それが本当だったら、七日後に世界を滅ぼすって……」
「あぁ。どんな手段か知らないが、本気だろう」
「そ、そんな……」
ショックで言葉を失うサツキ、トチノハはうーんと一瞬悩み言った。
「先に様子を見てきましょうか?」
「いえ、我々勇者もきっとすぐに招集されるでしょう。その後、塔の近くで合流をしましょう」
「わかりました」
アシノの言葉にトチノハは了承をする。
会議が終わり、ベッドに腰掛け下を向いているムツヤを仲間達は心配そうに眺めていた。
「サズァン様は、我々の味方をしてくれていたのに、何故この様な事を……」
モモがポツリと言う。
「さぁな、今まで味方のフリをしていただけかもしれん」
「サズァン様は!! サズァン様は……、そんな人じゃない……、と思います」
ムツヤは強く言ったが、最後の方は弱気な声になっていた。
「どちらにせよ、本人に聞くのが一番だな」
日が昇る頃、王都に居る勇者達はすぐさま緊急招集された。
王も、側近のイグチこと魔人メボシも居なかったので、国会議員から選ばれた代表との対話になる。
「勇者の皆様、よくぞお集まり頂きました。それで、皆の夢に現れた邪神を名乗るものと、王都の東に現れた塔についてなのですが」
その言葉に、アシノは口を開く。
「恐らく、あの塔にその邪神は居るでしょうね」
「我々も同じことを考えていました」
代表者もそういった旨を勇者達へ伝える。
「私は、あの塔の調査をしたいと考えております」
「アシノ先輩と同じ考えです」
「俺も、付いていこうと思っています」
そう言う勇者達を見て、代表者は言う。
「皆様、ご武運を」
王都から東へ約三キロの場所に深い森と共に裏ダンジョンは現れた。
周りでは兵たちが野次馬の立ち入りを禁じている。
三台並んで走る馬車が、森の前で止まり、中から勇者と仲間達がゾロゾロと降り始めた。
「勇者様!!」
兵の一人が姿勢を正す。そちらに礼を返して、勇者達は森の中へと消えていった。
ムツヤの案内で向かった森の出口付近にて、アシノ達は声を掛けられる。
「こんにちは、皆さん」
元勇者のトチノハだった。どうやってここへ来たのか、全く神出鬼没な男だとアシノは思う。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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だが、返事は無い。その代わりに外が騒がしくなった。
「ダメです。サズァン様に連絡が取れません!!」
「一体何が起きているんだ!! お前ら、外に出るぞ!!」
外では民衆が遠くを見ていた。ムツヤ達もその方向を見る。
何か巨大な建物の上部が、暗闇の中でぼうっと映し出されていた。
「なんだありゃ……」
「アレは!!」
ムツヤはそう言って外壁の上へと階段を登る。
「ムツヤっちどうしたの!?」
仲間達もその後を追った。外壁の上から見える巨大な建造物。それを見てムツヤは一言。
「あれは……、あれは田舎にあった塔です!!」
「えぇ!?」
皆が驚愕の声を上げる。
「アレが裏ダンジョンって、コト!?」
ルーが言うと、ムツヤが頷いた。
「はい! そうでず!!」
「何で裏ダンジョンがこの世界に!?」
モモは思わずそう言った。アシノは腕を組んで考える。
「あの夢と、裏ダンジョンの出現……。直接サズァンに聞いてみるしか無いな」
時は少し遡り、ムツヤの住んでいた田舎でのお話。
迷い木の怪物ことマヨイギは今日もムツヤの育った家でタカクと茶を飲んでいた。
最初は裏ダンジョンで過ごしていたが、ある日サズァンから魔物の活性化を理由に外へ出るように言われたのだ。
外でタカクと戦う理由も無いし、第一自分が戦った所で勝てる相手ではないと、田舎に来た時点で察していたので、共存する道を選んでいた。
そんな家に今日もまた別の尋ね人が来る。ノエウとナリアだ。
アラクネのナリアは誰も襲う素振りを見せず、今日も何を考えているのか分からない。
「に、肉を取ってきた」
「それじゃ何か作るわ」
マヨイギは畑で作物を作ると同時に、料理番を担当していた。
それこそ最初は肉を丸焼きにする事しか出来なかったが、書物やタカクの教えで今では色々な料理を作ることが出来る。
今日は肉と野菜の炒め物を作り、皆で食べていた。食後の紅茶を楽しんでいる時、タカクは何かに気付いたようにハッとしてから目を瞑る。
「タカク、どうかした?」
マヨイギに尋ねられて、タカクは静かに答える。
「とうとう、この日が来てしまった」
その言葉と同時に、四方からガラスが砕けるような、そんな音が響いた。
マヨイギとノエウは驚き、その音のうるささに耳を塞ぐ。しばらくすると音は鳴り止んだ。
「何が起きているのよ!!」
そんなマヨイギの言葉に、タカクは静かに答えた。
「結界が壊れた」
「はぁー!?」
マヨイギは驚いていた。淡々とタカクは続ける。
「結界は日に日に弱くなっていた。そして、今日壊れた。それだけだ」
「結界が壊れたらどうなるのよ!?」
ゆっくりとタカクは答えた。
「世界の、終わりだ」
アシノは急ぎ勇者達へ連絡石で会議の準備をさせた。
赤い石を叩きつけると、サツキ、イタヤ、トチノハが映し出される。
「アシノさん!! あれは、あの夢と建物は一体何なんだ!?」
開口一番にイタヤが言う。冷静にアシノは返した。
「あの夢の邪神は本物です。そして、あの建物は裏ダンジョンです」
元勇者のトチノハでさえ驚いて目を丸くする。
「先輩! それが本当だったら、七日後に世界を滅ぼすって……」
「あぁ。どんな手段か知らないが、本気だろう」
「そ、そんな……」
ショックで言葉を失うサツキ、トチノハはうーんと一瞬悩み言った。
「先に様子を見てきましょうか?」
「いえ、我々勇者もきっとすぐに招集されるでしょう。その後、塔の近くで合流をしましょう」
「わかりました」
アシノの言葉にトチノハは了承をする。
会議が終わり、ベッドに腰掛け下を向いているムツヤを仲間達は心配そうに眺めていた。
「サズァン様は、我々の味方をしてくれていたのに、何故この様な事を……」
モモがポツリと言う。
「さぁな、今まで味方のフリをしていただけかもしれん」
「サズァン様は!! サズァン様は……、そんな人じゃない……、と思います」
ムツヤは強く言ったが、最後の方は弱気な声になっていた。
「どちらにせよ、本人に聞くのが一番だな」
日が昇る頃、王都に居る勇者達はすぐさま緊急招集された。
王も、側近のイグチこと魔人メボシも居なかったので、国会議員から選ばれた代表との対話になる。
「勇者の皆様、よくぞお集まり頂きました。それで、|皆《みな》の夢に現れた邪神を名乗るものと、王都の東に現れた塔についてなのですが」
その言葉に、アシノは口を開く。
「恐らく、あの塔にその邪神は居るでしょうね」
「我々も同じことを考えていました」
代表者もそういった|旨《むね》を勇者達へ伝える。
「私は、あの塔の調査をしたいと考えております」
「アシノ先輩と同じ考えです」
「俺も、付いていこうと思っています」
そう言う勇者達を見て、代表者は言う。
「皆様、ご武運を」
王都から東へ約三キロの場所に深い森と共に裏ダンジョンは現れた。
周りでは兵たちが野次馬の立ち入りを禁じている。
三台並んで走る馬車が、森の前で止まり、中から勇者と仲間達がゾロゾロと降り始めた。
「勇者様!!」
兵の一人が姿勢を正す。そちらに礼を返して、勇者達は森の中へと消えていった。
ムツヤの案内で向かった森の出口付近にて、アシノ達は声を掛けられる。
「こんにちは、皆さん」
元勇者のトチノハだった。どうやってここへ来たのか、全く神出鬼没な男だとアシノは思う。