水面下 1
ー/ー
「ナツヤはこれからどうするの?」
赤い日差しを浴びてフユミトは尋ねる。
「俺は……、俺はどうすれば良いのか分からない」
「そっか」
視線をナツヤから太陽へとフユミトは移した。
「フユミトは、フユミトはどうするんだ?」
「僕かぁ……」
しばらく沈黙した後、フユミトは話し始める。
「このままだったら、ここからお金やお金になりそうな物を貰って国外に逃げるかな」
「やっぱり、そうか」
ナツヤの相槌にフユミトはクスッと笑って話し続けた。
「もしも、僕がもしもナツヤの立場だったら。他の弱くて虐げられている人たちを助けるかな」
言われてナツヤはハッとする。
「ナツヤにはその力がある。人を救う力が、国を変える力が」
ナツヤは心が高揚すると同時に、使命感のようなものが芽生えた。
「俺が、俺が国を……」
「そうだよ、ナツヤは人の苦しみを知っている。きっと良い王様になるよ」
「王様だなんて……」
フユミトはニコニコ笑って冗談じゃなく心から言っているみたいだ。
「王様は別に良いけど、弱い人を助けることは……。したいかもしれない」
鉱山で自分が受けた仕打ち、絶望。そんな事を味合わずに生きる貴族、支配者たち。
今度はナツヤの心は怒りで燃え上がった。
「よし、決めた! 俺は弱い人を助ける」
「そっか」
その決意を優しい笑顔でフユミトは迎える。
「ナツヤがやるなら僕も着いていくよ」
「本当に?」
フユミトは頭が回るし、不思議と人を引き付けまとめる。居てくれるならナツヤは心強かった。
「じゃあ、僕達の組織の名前を考えないとね」
「名前……か」
ナツヤはうーんと悩み、登りかけている太陽を見て閃く。
「さっきフユミトが言った『黎明』って言葉を使いたい。カッコいいし」
そこまで言った後ナツヤは続ける。
「それに、俺にとって今は人生の夜明けなんだ。後は、暗い夜のままの人たちの人生も夜明け……、黎明をあげたい」
「良いと思うよ」
フユミトに言われて、ナツヤは少し照れた。
「それじゃ、黎明だけじゃ短いから僕からの提案。人に黎明を与えるなら『黎明の呼び手』なんてどうだろう?」
「『黎明の呼び手』か、良いな!! よし、俺達は黎明の呼び手だ!!」
城壁に手を掛けて、ナツヤは大声で叫ぶ。
「ふぅー。今日で2つ回収っと」
とある街の宿でルーがベッドに倒れながら言った。
「あぁ、後どれぐらいあるんだろうな」
アシノもやれやれといった感じだ。定期連絡の時間なので、長距離用連絡石で他の勇者達とギルスに連絡を入れる。
「大丈夫みたいだな、ムツヤ頼む」
「はい!」
ムツヤは、カバンから取り出した赤い玉を壁にぶつけた。
「アシノせんぱーい!! こんばんはー!!」
画面越しにも抱きつこうとするのは、アシノの後輩勇者であり、風魔法を使う剣士、勇者サツキだ。
「アシノさん、今日もお疲れさんです」
もう一人の男は、故郷を失った叩き上げの勇者。イタヤ。
「こんばんは、アシノさん」
国へ反旗を翻したが、事情がありアシノ達と停戦協定を結んでいる。元勇者トチノハ。
「どーもー、勇者の皆さん」
そして最後に、研究者であり、アシノ達の旅のサポートをしているギルスだ。
「こんばんは、皆さん。今日も状況の報告をお願い致します」
アシノが言うと、イタヤが手を挙げた。
「じゃあ俺から行こうかな。裏の道具は2つ回収しました。それで、気になる噂があったんですけどね」
「気になる噂ですか?」
「えぇ、何でも行商人のキャラバンが壊滅させられたって話でして」
行商人が襲われることは、悲しい事だがそんなに珍しい話ではない。
「何でも、生き延びた人が言うに、空を飛ぶ人間が一人で襲ってきたと」
それを聞いてアシノ達は嫌な予感がした。
「また、魔人ですか……」
「えぇ、恐らくは」
イタヤも肩をガックリさせて言う。
「分かりました。次は……」
「はいはい!! 私からも良いですか?」
サツキが声を上げるのでアシノが尋ねた。
「なんだ?」
「王都に今日入った情報なんですけど、一週間前にレイード地方の貴族の城が襲われたって話です」
「貴族の城が?」
魔神ラメルも同じことをしていたので、またアシノが険しい顔をする。
「えぇ、何でも生き残ったメイドさんの証言では『魔物の群れがいきなり襲いかかってきた』そうです。その後、人間が大勢来て城を占拠したとかで」
「魔物の群れか……、また魔人関係か……」
アシノは目を閉じて厄介だなと考えていた。最後にトチノハが現状報告をする。
「私からは、魔人に繋がるような情報はありません。裏の道具を3つ回収したぐらいですかね」
「分かりました。ギルス、この話を聞いてどう思う?」
アシノはギルスに質問をした。
「そうだね、キャラバンを襲った魔人らしき者と、貴族の城を襲った者。何らかの繋がりはあるんじゃない?」
「まぁ、だろうな」
うーんとアシノは考える。
「私達はレイード地方へ向かってみようと思います」
「そんな! アシノ先輩一人で危ない場所になんて行かせられません!! ここは私も……」
「お前は王都を守ってろ」
アシノに一蹴されサツキは不満そうだった。そんなやり取りを見てイタヤは「はっはっは」と笑う。
「魔人だとしたらムツヤの力が必要だ」
「私も同行しましょうか? もちろん影からですが」
トチノハがそう名乗りを上げた。アシノは頷く。
「魔人だとしたら戦力が多い方が良い。よろしくお願いします」
「えぇ、信用して下さりありがとうございます」
イタヤも自分に何が出来るか考え、口に出す。
「俺はもっと情報を集めて、アシノさんがヤバそうになったら応援に行きますよ」
「助かります」
その後、取り止めない話を数回して今日の定例会議は終わった。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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「ナツヤはこれからどうするの?」
赤い日差しを浴びてフユミトは尋ねる。
「俺は……、俺はどうすれば良いのか分からない」
「そっか」
視線をナツヤから太陽へとフユミトは移した。
「フユミトは、フユミトはどうするんだ?」
「僕かぁ……」
しばらく沈黙した後、フユミトは話し始める。
「このままだったら、ここからお金やお金になりそうな物を貰って国外に逃げるかな」
「やっぱり、そうか」
ナツヤの相槌にフユミトはクスッと笑って話し続けた。
「もしも、僕がもしもナツヤの立場だったら。他の弱くて虐げられている人たちを助けるかな」
言われてナツヤはハッとする。
「ナツヤにはその力がある。人を救う力が、国を変える力が」
ナツヤは心が高揚すると同時に、使命感のようなものが芽生えた。
「俺が、俺が国を……」
「そうだよ、ナツヤは人の苦しみを知っている。きっと良い王様になるよ」
「王様だなんて……」
フユミトはニコニコ笑って冗談じゃなく心から言っているみたいだ。
「王様は別に良いけど、弱い人を助けることは……。したいかもしれない」
鉱山で自分が受けた仕打ち、絶望。そんな事を味合わずに生きる貴族、支配者たち。
今度はナツヤの心は怒りで燃え上がった。
「よし、決めた! 俺は弱い人を助ける」
「そっか」
その決意を優しい笑顔でフユミトは迎える。
「ナツヤがやるなら僕も着いていくよ」
「本当に?」
フユミトは頭が回るし、不思議と人を引き付けまとめる。居てくれるならナツヤは心強かった。
「じゃあ、僕達の組織の名前を考えないとね」
「名前……か」
ナツヤはうーんと悩み、登りかけている太陽を見て閃く。
「さっきフユミトが言った『黎明』って言葉を使いたい。カッコいいし」
そこまで言った後ナツヤは続ける。
「それに、俺にとって今は人生の夜明けなんだ。後は、暗い夜のままの人たちの人生も夜明け……、黎明をあげたい」
「良いと思うよ」
フユミトに言われて、ナツヤは少し照れた。
「それじゃ、黎明だけじゃ短いから僕からの提案。人に黎明を与えるなら『黎明の呼び手』なんてどうだろう?」
「『黎明の呼び手』か、良いな!! よし、俺達は黎明の呼び手だ!!」
城壁に手を掛けて、ナツヤは大声で叫ぶ。
「ふぅー。今日で2つ回収っと」
とある街の宿でルーがベッドに倒れながら言った。
「あぁ、後どれぐらいあるんだろうな」
アシノもやれやれといった感じだ。定期連絡の時間なので、長距離用連絡石で他の勇者達とギルスに連絡を入れる。
「大丈夫みたいだな、ムツヤ頼む」
「はい!」
ムツヤは、カバンから取り出した赤い玉を壁にぶつけた。
「アシノせんぱーい!! こんばんはー!!」
画面越しにも抱きつこうとするのは、アシノの後輩勇者であり、風魔法を使う剣士、勇者サツキだ。
「アシノさん、今日もお疲れさんです」
もう一人の男は、故郷を失った叩き上げの勇者。イタヤ。
「こんばんは、アシノさん」
国へ反旗を翻したが、事情がありアシノ達と停戦協定を結んでいる。元勇者トチノハ。
「どーもー、勇者の皆さん」
そして最後に、研究者であり、アシノ達の旅のサポートをしているギルスだ。
「こんばんは、皆さん。今日も状況の報告をお願い致します」
アシノが言うと、イタヤが手を挙げた。
「じゃあ俺から行こうかな。裏の道具は2つ回収しました。それで、気になる噂があったんですけどね」
「気になる噂ですか?」
「えぇ、何でも行商人のキャラバンが壊滅させられたって話でして」
行商人が襲われることは、悲しい事だがそんなに珍しい話ではない。
「何でも、生き延びた人が言うに、空を飛ぶ人間が一人で襲ってきたと」
それを聞いてアシノ達は嫌な予感がした。
「また、魔人ですか……」
「えぇ、恐らくは」
イタヤも肩をガックリさせて言う。
「分かりました。次は……」
「はいはい!! 私からも良いですか?」
サツキが声を上げるのでアシノが尋ねた。
「なんだ?」
「王都に今日入った情報なんですけど、一週間前にレイード地方の貴族の城が襲われたって話です」
「貴族の城が?」
魔神ラメルも同じことをしていたので、またアシノが険しい顔をする。
「えぇ、何でも生き残ったメイドさんの証言では『魔物の群れがいきなり襲いかかってきた』そうです。その後、人間が大勢来て城を占拠したとかで」
「魔物の群れか……、また魔人関係か……」
アシノは目を閉じて厄介だなと考えていた。最後にトチノハが現状報告をする。
「私からは、魔人に繋がるような情報はありません。裏の道具を3つ回収したぐらいですかね」
「分かりました。ギルス、この話を聞いてどう思う?」
アシノはギルスに質問をした。
「そうだね、キャラバンを襲った魔人らしき者と、貴族の城を襲った者。何らかの繋がりはあるんじゃない?」
「まぁ、だろうな」
うーんとアシノは考える。
「私達はレイード地方へ向かってみようと思います」
「そんな! アシノ先輩一人で危ない場所になんて行かせられません!! ここは私も……」
「お前は王都を守ってろ」
アシノに一蹴されサツキは不満そうだった。そんなやり取りを見てイタヤは「はっはっは」と笑う。
「魔人だとしたらムツヤの力が必要だ」
「私も同行しましょうか? もちろん影からですが」
トチノハがそう名乗りを上げた。アシノは頷く。
「魔人だとしたら戦力が多い方が良い。よろしくお願いします」
「えぇ、信用して下さりありがとうございます」
イタヤも自分に何が出来るか考え、口に出す。
「俺はもっと情報を集めて、アシノさんがヤバそうになったら応援に行きますよ」
「助かります」
その後、取り止めない話を数回して今日の定例会議は終わった。