第9話 ダンジョン村

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 多くのグリーン級、ブロンズ級冒険者は素材はほとんど持ち帰らない。
 心臓付近にある魔石だけ拾って帰ってくることがほとんどだ。
 モンスター素材はかさばる割にはあまり儲からないものが多いためだ。

 荷物持ちは登山の役職にならいポーターと呼ばれる制度もあるにはある。
 これは中学を卒業した十五歳以上で登録制になっていて、ホワイト級と呼ばれている。
 ホワイト級冒険者の戦闘は一応、規約で禁止されているんだけど、緊急時はもちろん例外的に戦闘することも許可されている。
 中にはこのホワイト級冒険者を安く使って戦わせている、制度の悪用をしている人たちもいるらしい。
 それでもポーターは必要なため、今のところ黙認されているのが実情だった。
 一年以上在籍したポーターは十八歳になり、再び講習を受けるとブロンズ級に直接上がれる。
 グリーン級にならなくていいので、その目的で早くからポーターをしている人もいた。

 僕たちはモンスター素材もマジック・バッグがあるので持って帰れる。
 ポーターも雇う必要がない、のだけれど……。

「いひひ、お兄ちゃん」
「なんだ、マナミ」
「あのねあのね、じゃじゃーん。私ホワイト級冒険者。登録しちゃった」
「ポーターか。危ないからダメって言ったのに」
「いいじゃん。戦闘しなければいいんでしょ」
「その通りだが、なかなかそうはいかないというか」

 妹と視線を交差させる。
 すると妹マナミがにやりと笑って見せる。

「お兄ちゃん、私、雇ってよ」

 ポーターのホワイト級はブロンズ級以上がいるパーティーと一緒でなければ、ダンジョンへ入ることは禁止されているのだ。
 登録から間もないグリーン級もポーターを雇う資格がない。
 つまり、一人で見学したいとか言ってもダメってこと。
 ポーターでソロとかはできない仕組みだ。

 だからポーターになったマナミは誰かに雇ってもらう必要がある。
 しかし、基本的に縁故、つまりコネがほとんどで、自由に雇ったりする支援制度はない。
 ということでマナミのコネといえば僕しかないわけだ。
 ネットとかで探す人もいるにはいるが、トラブルになりやすいので推奨はされていない。

「ダメって言いたいけど。他の馬の骨とかに雇われるよりは、マシ、か」
「そうだよぉ。変な男の人に雇われて、あんなことや、こんなことになったら、責任取ってくれるの?」
「う、そう言われると」
「でしょ。実質、お兄ちゃんしかいないじゃん」
「まあ、そうだな」

 ということで後日。

「あーあー。リオンのダンジョン配信、はじめます。今日はポーターとして僕の妹、マナミがついてきてます」
「えへへ、お兄ちゃんの妹でマナミです。よろしくお願いします」
『かわいいお兄ちゃんに妹までくぁわいい』
『かわいい姉妹だか兄妹だか、もう分らんな』
「ということで、リオン、ミリア、マナミの女の子三人でお送りします」
『ぱふぱふ』
『いえい!』
『よし、いいぞ』

 ドローンが僕たち三人を順繰りと見渡す。
 マナミも革鎧を装備している。
 革鎧といえば、この前、ルミナスと一緒にポーターをした。あれから三回ほどお世話になっていた。
 ちょっとお金が入ったので、マナミも含めて三人ともオーガの革鎧に更新してある。

「ルミナス様様で、オーガの革鎧です。ブイブイ」

 もちろん自分たちでオーガの皮を持ち帰ったものを加工してもらったのだ。
 またマジシャンズ・ハンド製の一品だった。
 僕たち女の子用なのでサイズが小さく、オーダーメードだった。
 汎用品は男性サイズで、百六十センチ以上からなので、百五十センチくらいの僕たちには大きいのだ。
 それに胸も少し出てて形も違うんだそうで。
 一着十万円くらいだったかな。服としては高いが、鎧は重要な防具なのでケチケチしてはいけない。

「今日は三階から奥、東地区へと延びるダンジョン村へ向かいたいと思います」
『えっと東地区ってなんだっけ』
『日本平ダンジョンは東西に広がってて、入り口は西地区にあるんだ』
『そそ。それで三階の東西の東地区の入り口にダンジョン村がある』
「解説ありがとう。ダンジョン村っていうのはダンジョン内の拠点のことだね」

 ダンジョン村には冒険者ギルドとコンビニ『ギルド亭』がある。
 ギルド運営のコンビニだね。
 コンビニだけど休憩室とかもあって、寝泊りや簡易的な食事もできる。
 村といっても住民とかいなくて、設備も最低限しかない。
 入り口にはギルドに雇われた警備が立ってるくらいだろうか。
 この警備もギルド職員だったり、冒険者が雇われれてやっていたりまちまちだ。

 今日は土曜日。学校もお休みということで、昼から潜っている。
 順調にスライムやゴブリンなどを倒して進む。
 ゴブリンは魔石以外特に有用な素材もない。
 皮も薄くて使い物にならないのだ。
 もちろん不味いゴブリン肉を食べる習慣はない。

「ディメンジョン・イーターいないねぇ」
「いないねぇ」
「そんなすぐいないでしょ。お兄ちゃん」
「そりゃね」

 ブラック・マウスがけっこう出てくる。
 この大型のネズミは白ネズミがディメンジョン・イーターなのに対して黒っぽいのでそう名付けられている。
 同じネズミでもマジック・バッグにはならないのでハズレ枠である。
 それでも毛皮が初級用防具になるので売れるには売れるので、皮を剥いでいく。
 肉は食べられないことはないが、あまり食用にする文化が発展しなかった。
 ネズミ肉だしね。
 皮を剥ぐ作業はちょっとグロテスクで妹が嫌な顔をしたが、それも次第に慣れてきたようだ。

「ブラック・マウスばっかりだね」
「まあ、このあたりじゃね」

 妹が不満気だが、僕は軽くあしらう。

 そうして進むこと数時間。
 本来ならマジック・バリアが切れる前に戻らなければならない。

「ほら到着」
「おお、コンテナハウス? みたいな何かだ」
「そそ。これがダンジョン村だよ」

 何人かがすでに休憩していた。
 僕たちも中へと入る。
 ここでアイテムを売却することもできるが、手数料がかかるため、マジック・バッグに余裕がある僕たちはそのまま持って帰る。

「重要なのは、ここにもギルド職員のマジック・バリアの係員がいるんだよ」
「なるほど。それで活動時間が大幅に伸ばせるのね」
「そういうこと」

 妹がふむふむと頷いた。
 時間はもう午後六時ごろだったので、ここでご飯にする。

「名物はトカゲ丼だけど、どうする?」
「え、トカゲ?」
「はい?」

 女の子二人は頭にクエスションを浮かべていた。

「正確にはアイス・リザードのお肉なんだけど」
「あぁ、トカゲ系モンスターのお肉なのね」
「うん。うま味もあってけっこう美味しいから、おすすめなんだけど」
「じゃあそれで」

 ということで三人でトカゲ丼を食べる。
 甘辛い味付けにうま味のあるお肉。
 それも手に入りやすく安いため、これでもかとお肉がたっぷり乗っている。
 逆にご飯は外からの持ち込みなので、控えめだ。
 それにお味噌汁。
 ダンジョンに生えるキノコが入っており、赤味噌味でなかなか美味しい。

「なにこれ美味しいです!」
「外では食べられないの?」
「ん? 飲食店でもたまに売ってるよ。ただ外だとちょっと高いんだ」
「なるへそぉ」

 妹もミリアも感心していた。

「ごちそうさま!」
「ふふ、ごちそうさまです」
「ごちそうさまでした」

 丁寧語なのはミリアちゃんだ。
 ご両親は失業していたと言っていたけど、育ちの良さを感じる。
 高校もけっこういいところみたいだし、僕たち庶民とは少し違いそうだ。

 輸送するのも大変そうだが、専門のマジック・バッグを持ってる業者がいて、その人たちが輸送を担当しているため、水や調味料、雑貨、ポーションなどいろいろなものを持ち込んでいる。
 帰りはゴミのほか、トカゲ肉と魔法キノコを満載して戻ってくるらしい。

「それじゃ、午後は東地区だね。マナミ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「ミリアちゃんは?」
「私も大丈夫です」
「んじゃ、東地区へ、レッツゴー」
「ラジャー!」
「はーい、お兄ちゃん」



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 多くのグリーン級、ブロンズ級冒険者は素材はほとんど持ち帰らない。
 心臓付近にある魔石だけ拾って帰ってくることがほとんどだ。
 モンスター素材はかさばる割にはあまり儲からないものが多いためだ。
 荷物持ちは登山の役職にならいポーターと呼ばれる制度もあるにはある。
 これは中学を卒業した十五歳以上で登録制になっていて、ホワイト級と呼ばれている。
 ホワイト級冒険者の戦闘は一応、規約で禁止されているんだけど、緊急時はもちろん例外的に戦闘することも許可されている。
 中にはこのホワイト級冒険者を安く使って戦わせている、制度の悪用をしている人たちもいるらしい。
 それでもポーターは必要なため、今のところ黙認されているのが実情だった。
 一年以上在籍したポーターは十八歳になり、再び講習を受けるとブロンズ級に直接上がれる。
 グリーン級にならなくていいので、その目的で早くからポーターをしている人もいた。
 僕たちはモンスター素材もマジック・バッグがあるので持って帰れる。
 ポーターも雇う必要がない、のだけれど……。
「いひひ、お兄ちゃん」
「なんだ、マナミ」
「あのねあのね、じゃじゃーん。私ホワイト級冒険者。登録しちゃった」
「ポーターか。危ないからダメって言ったのに」
「いいじゃん。戦闘しなければいいんでしょ」
「その通りだが、なかなかそうはいかないというか」
 妹と視線を交差させる。
 すると妹マナミがにやりと笑って見せる。
「お兄ちゃん、私、雇ってよ」
 ポーターのホワイト級はブロンズ級以上がいるパーティーと一緒でなければ、ダンジョンへ入ることは禁止されているのだ。
 登録から間もないグリーン級もポーターを雇う資格がない。
 つまり、一人で見学したいとか言ってもダメってこと。
 ポーターでソロとかはできない仕組みだ。
 だからポーターになったマナミは誰かに雇ってもらう必要がある。
 しかし、基本的に縁故、つまりコネがほとんどで、自由に雇ったりする支援制度はない。
 ということでマナミのコネといえば僕しかないわけだ。
 ネットとかで探す人もいるにはいるが、トラブルになりやすいので推奨はされていない。
「ダメって言いたいけど。他の馬の骨とかに雇われるよりは、マシ、か」
「そうだよぉ。変な男の人に雇われて、あんなことや、こんなことになったら、責任取ってくれるの?」
「う、そう言われると」
「でしょ。実質、お兄ちゃんしかいないじゃん」
「まあ、そうだな」
 ということで後日。
「あーあー。リオンのダンジョン配信、はじめます。今日はポーターとして僕の妹、マナミがついてきてます」
「えへへ、お兄ちゃんの妹でマナミです。よろしくお願いします」
『かわいいお兄ちゃんに妹までくぁわいい』
『かわいい姉妹だか兄妹だか、もう分らんな』
「ということで、リオン、ミリア、マナミの女の子三人でお送りします」
『ぱふぱふ』
『いえい!』
『よし、いいぞ』
 ドローンが僕たち三人を順繰りと見渡す。
 マナミも革鎧を装備している。
 革鎧といえば、この前、ルミナスと一緒にポーターをした。あれから三回ほどお世話になっていた。
 ちょっとお金が入ったので、マナミも含めて三人ともオーガの革鎧に更新してある。
「ルミナス様様で、オーガの革鎧です。ブイブイ」
 もちろん自分たちでオーガの皮を持ち帰ったものを加工してもらったのだ。
 またマジシャンズ・ハンド製の一品だった。
 僕たち女の子用なのでサイズが小さく、オーダーメードだった。
 汎用品は男性サイズで、百六十センチ以上からなので、百五十センチくらいの僕たちには大きいのだ。
 それに胸も少し出てて形も違うんだそうで。
 一着十万円くらいだったかな。服としては高いが、鎧は重要な防具なのでケチケチしてはいけない。
「今日は三階から奥、東地区へと延びるダンジョン村へ向かいたいと思います」
『えっと東地区ってなんだっけ』
『日本平ダンジョンは東西に広がってて、入り口は西地区にあるんだ』
『そそ。それで三階の東西の東地区の入り口にダンジョン村がある』
「解説ありがとう。ダンジョン村っていうのはダンジョン内の拠点のことだね」
 ダンジョン村には冒険者ギルドとコンビニ『ギルド亭』がある。
 ギルド運営のコンビニだね。
 コンビニだけど休憩室とかもあって、寝泊りや簡易的な食事もできる。
 村といっても住民とかいなくて、設備も最低限しかない。
 入り口にはギルドに雇われた警備が立ってるくらいだろうか。
 この警備もギルド職員だったり、冒険者が雇われれてやっていたりまちまちだ。
 今日は土曜日。学校もお休みということで、昼から潜っている。
 順調にスライムやゴブリンなどを倒して進む。
 ゴブリンは魔石以外特に有用な素材もない。
 皮も薄くて使い物にならないのだ。
 もちろん不味いゴブリン肉を食べる習慣はない。
「ディメンジョン・イーターいないねぇ」
「いないねぇ」
「そんなすぐいないでしょ。お兄ちゃん」
「そりゃね」
 ブラック・マウスがけっこう出てくる。
 この大型のネズミは白ネズミがディメンジョン・イーターなのに対して黒っぽいのでそう名付けられている。
 同じネズミでもマジック・バッグにはならないのでハズレ枠である。
 それでも毛皮が初級用防具になるので売れるには売れるので、皮を剥いでいく。
 肉は食べられないことはないが、あまり食用にする文化が発展しなかった。
 ネズミ肉だしね。
 皮を剥ぐ作業はちょっとグロテスクで妹が嫌な顔をしたが、それも次第に慣れてきたようだ。
「ブラック・マウスばっかりだね」
「まあ、このあたりじゃね」
 妹が不満気だが、僕は軽くあしらう。
 そうして進むこと数時間。
 本来ならマジック・バリアが切れる前に戻らなければならない。
「ほら到着」
「おお、コンテナハウス? みたいな何かだ」
「そそ。これがダンジョン村だよ」
 何人かがすでに休憩していた。
 僕たちも中へと入る。
 ここでアイテムを売却することもできるが、手数料がかかるため、マジック・バッグに余裕がある僕たちはそのまま持って帰る。
「重要なのは、ここにもギルド職員のマジック・バリアの係員がいるんだよ」
「なるほど。それで活動時間が大幅に伸ばせるのね」
「そういうこと」
 妹がふむふむと頷いた。
 時間はもう午後六時ごろだったので、ここでご飯にする。
「名物はトカゲ丼だけど、どうする?」
「え、トカゲ?」
「はい?」
 女の子二人は頭にクエスションを浮かべていた。
「正確にはアイス・リザードのお肉なんだけど」
「あぁ、トカゲ系モンスターのお肉なのね」
「うん。うま味もあってけっこう美味しいから、おすすめなんだけど」
「じゃあそれで」
 ということで三人でトカゲ丼を食べる。
 甘辛い味付けにうま味のあるお肉。
 それも手に入りやすく安いため、これでもかとお肉がたっぷり乗っている。
 逆にご飯は外からの持ち込みなので、控えめだ。
 それにお味噌汁。
 ダンジョンに生えるキノコが入っており、赤味噌味でなかなか美味しい。
「なにこれ美味しいです!」
「外では食べられないの?」
「ん? 飲食店でもたまに売ってるよ。ただ外だとちょっと高いんだ」
「なるへそぉ」
 妹もミリアも感心していた。
「ごちそうさま!」
「ふふ、ごちそうさまです」
「ごちそうさまでした」
 丁寧語なのはミリアちゃんだ。
 ご両親は失業していたと言っていたけど、育ちの良さを感じる。
 高校もけっこういいところみたいだし、僕たち庶民とは少し違いそうだ。
 輸送するのも大変そうだが、専門のマジック・バッグを持ってる業者がいて、その人たちが輸送を担当しているため、水や調味料、雑貨、ポーションなどいろいろなものを持ち込んでいる。
 帰りはゴミのほか、トカゲ肉と魔法キノコを満載して戻ってくるらしい。
「それじゃ、午後は東地区だね。マナミ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「ミリアちゃんは?」
「私も大丈夫です」
「んじゃ、東地区へ、レッツゴー」
「ラジャー!」
「はーい、お兄ちゃん」