17.女子トーク
ー/ー 楓花は今までに何人か恋人がいたし、告白されて断ったことも何回かある。それは相手の外見や性格の総合判断が楓花には良くなかったからで──、好きになってもらえるのは嫌なことではない。だから断ったあとも相手との関係は変えなかったけれど、それは相手にも希望を与えてしまうらしい。
大学二年になってから翔琉は楓花に断られても、キャンパスで会うことは減っていても、楓花のことが好きな気持ちは変わらなかったらしい。久々に会うと彩里より楓花に注目していたし、晴大のことも相変わらず気に入らない様子だった。外見や成績の話は一切していないので、楓花との関係だ。翔琉は晴大を見るなり表情を変えて、晴大に突っかかった。
楓花は晴大とは特別な関係ではない。地元が同じで──秘密にしていることはあるけれど──、それ以外は特に何もない。それでも彼は外見と成績からモテてしまうので、翔琉には恋敵に映っているらしい。ただそれは翔琉の思い込みのようで、晴大は〝一緒にするな〟と言ってから離れた席を取りに行った。
二人で話すことは何度かあったけれど、晴大が楓花に好かれようとしている、と思ったことはない。楓花に親切にはしてくれるけれど、それが特別なこととは思わない。それでも〝翔琉と一緒にするな〟ということは〝好かれようとしていない〟つまり〝女としては見ていない〟ので、否定されたような気もして悲しくなってしまう。
「別に良いけどさ……そんなんじゃないし」
休日、楓花は彩里とEmilyと三人で買い物に来ていた。奈良や京都の観光は以前のホストファミリーと行ったようで、Emilyは買い物がしたいと言った。一通り店を回ったあと、いまはカフェで休憩中だ。
「フウカ……You are lovely」
「ありがとうEmily」
「そうそう。楓花ちゃんって実は人気あるし」
「ええっ?」
「いつも渡利君とか翔琉君が一緒やから諦めとぉみたいやけど」
楓花の様子を遠くから見ている人が何人かいるらしい。楓花はいま恋人がいないので話し掛けてくれて構わないけれど、翔琉の噂や晴大の外見が邪魔をしているらしい。
「それにしてもさぁ、あのときの渡利君、ちょっと格好良くなかった? 俺は俺や、って」
「そうかなぁ?」
「誰にも流されへんぞ、みたいな?」
翔琉と晴大の会話を、彩里は英語でEmilyに説明した。彩里が〝not influenced〟と言うと、Emilyは〝lone wolf〟とか〝self-reliant〟とか言いながら晴大を褒めていた。
「But, I don't know KAKERU……どんな人ですか?」
「うーん……clothes and hairstyle are flashy,……friends are not good, and……loves FUUKA」
「Oh……反対、ハルトと反対のimage」
「うん。そう。その……渡利君の〝俺は俺や〟って、中学のときから言ってるから、言い慣れてるんちがう?」
「そんな前から?」
「うん。他の男子たちとは一緒にされたくない、って言ってるって何回か聞いたわ。あの頃からモテてたし……誰からも影響受けてなかったんちゃうかな」
友人はいたけれど特に群れようとはせず、ほとんど一人か二人で行動していた。彼は徒歩通学でいつもギリギリに登校していたし、バレンタインの帰りに自転車に乗せてくれていた丈志は晴大をいちばん理解していた人だ。その丈志でさえ晴大はリコーダーのことを秘密にしていた。
「もしさぁ、楓花ちゃん……翔琉君が真面目な人で、渡利君が性格良かったら、どっちと付き合う?」
「えええ?」
「キャラは今のままで、翔琉君が遊んどらんで、渡利君も女の子すぐ泣かす人じゃなかったら」
「うーん……どっちやろう……」
翔琉は楓花が知っている男性の中ではイケメンなほうだと思う。優しくしてくれているし、先輩たちにも気に入られやすそうな可愛いキャラクターだ。一方の晴大は悔しいけれどトップクラスのイケメンで、成績も良いので文句のつけようがない。ただ彼は一匹狼なので、取っつきにくくもある。もちろん楓花は中学の頃にある程度は慣れてしまっているけれど。
「翔琉君かなぁ……。渡利君と付き合ったら、周りからの視線が怖そう」
「あー、それはあるかもなぁ」
実際に一緒に電車に乗っているだけで痛いほど視線を浴びたことはある。
「じゃあ、もし、こないだ渡利君が、楓花ちゃんに気に入られようとしとぉ、て認めたらどうしてた?」
「……別にどうもなってないと思う」
それはそれで喜んでいたかも知れないけれど。彼が恋人と長続きした話は聞いたことがないので、結局、どちらも選んでいないはずだ。
「I envy you. You are liked by two men, and they're both handsome. I have never had that experience.私もそんな経験したいでーす」
「いや、だからEmily、翔琉君はともかく、渡利君は……、それより彩里ちゃんはどうなん? Emilyは?」
長く楓花の話をしていて疲れてきたので、楓花は話題を彩里とEmilyのことに変えた。Emilyには大学に入ってから付き合っている人がいて、今も頻繁に連絡をくれているらしい。
「That's good! His name is?」
「James.彼は一つ上の学年、大学のChristmas Partyで出会いました。そんなに格好良くないけど、優しい」
Emilyの話を聞いたあとは彩里のことを聞いた。彼女は最初に言っていた通り同級生には興味がないようで、サークルで同じ大学の先輩と仲良くなりかけているらしい。それでもイケメンには興味があるので、もしも晴大が年上で性格も良ければ狙っていた、と笑う。
「早く成人式にならんかなぁ。来年、一月……」
「セイジン、シキ? What's that?」
「Coming-of-age ceremony. Many men wear black suits, but many women wear furisode──long-sleeved kimonos. Furisode is a formal kimono worn by unmarried women. The colorful furisode, paired with hair ornaments, shiny bags, and sandals, looks very beautiful」
大学二年になってから翔琉は楓花に断られても、キャンパスで会うことは減っていても、楓花のことが好きな気持ちは変わらなかったらしい。久々に会うと彩里より楓花に注目していたし、晴大のことも相変わらず気に入らない様子だった。外見や成績の話は一切していないので、楓花との関係だ。翔琉は晴大を見るなり表情を変えて、晴大に突っかかった。
楓花は晴大とは特別な関係ではない。地元が同じで──秘密にしていることはあるけれど──、それ以外は特に何もない。それでも彼は外見と成績からモテてしまうので、翔琉には恋敵に映っているらしい。ただそれは翔琉の思い込みのようで、晴大は〝一緒にするな〟と言ってから離れた席を取りに行った。
二人で話すことは何度かあったけれど、晴大が楓花に好かれようとしている、と思ったことはない。楓花に親切にはしてくれるけれど、それが特別なこととは思わない。それでも〝翔琉と一緒にするな〟ということは〝好かれようとしていない〟つまり〝女としては見ていない〟ので、否定されたような気もして悲しくなってしまう。
「別に良いけどさ……そんなんじゃないし」
休日、楓花は彩里とEmilyと三人で買い物に来ていた。奈良や京都の観光は以前のホストファミリーと行ったようで、Emilyは買い物がしたいと言った。一通り店を回ったあと、いまはカフェで休憩中だ。
「フウカ……You are lovely」
「ありがとうEmily」
「そうそう。楓花ちゃんって実は人気あるし」
「ええっ?」
「いつも渡利君とか翔琉君が一緒やから諦めとぉみたいやけど」
楓花の様子を遠くから見ている人が何人かいるらしい。楓花はいま恋人がいないので話し掛けてくれて構わないけれど、翔琉の噂や晴大の外見が邪魔をしているらしい。
「それにしてもさぁ、あのときの渡利君、ちょっと格好良くなかった? 俺は俺や、って」
「そうかなぁ?」
「誰にも流されへんぞ、みたいな?」
翔琉と晴大の会話を、彩里は英語でEmilyに説明した。彩里が〝not influenced〟と言うと、Emilyは〝lone wolf〟とか〝self-reliant〟とか言いながら晴大を褒めていた。
「But, I don't know KAKERU……どんな人ですか?」
「うーん……clothes and hairstyle are flashy,……friends are not good, and……loves FUUKA」
「Oh……反対、ハルトと反対のimage」
「うん。そう。その……渡利君の〝俺は俺や〟って、中学のときから言ってるから、言い慣れてるんちがう?」
「そんな前から?」
「うん。他の男子たちとは一緒にされたくない、って言ってるって何回か聞いたわ。あの頃からモテてたし……誰からも影響受けてなかったんちゃうかな」
友人はいたけれど特に群れようとはせず、ほとんど一人か二人で行動していた。彼は徒歩通学でいつもギリギリに登校していたし、バレンタインの帰りに自転車に乗せてくれていた丈志は晴大をいちばん理解していた人だ。その丈志でさえ晴大はリコーダーのことを秘密にしていた。
「もしさぁ、楓花ちゃん……翔琉君が真面目な人で、渡利君が性格良かったら、どっちと付き合う?」
「えええ?」
「キャラは今のままで、翔琉君が遊んどらんで、渡利君も女の子すぐ泣かす人じゃなかったら」
「うーん……どっちやろう……」
翔琉は楓花が知っている男性の中ではイケメンなほうだと思う。優しくしてくれているし、先輩たちにも気に入られやすそうな可愛いキャラクターだ。一方の晴大は悔しいけれどトップクラスのイケメンで、成績も良いので文句のつけようがない。ただ彼は一匹狼なので、取っつきにくくもある。もちろん楓花は中学の頃にある程度は慣れてしまっているけれど。
「翔琉君かなぁ……。渡利君と付き合ったら、周りからの視線が怖そう」
「あー、それはあるかもなぁ」
実際に一緒に電車に乗っているだけで痛いほど視線を浴びたことはある。
「じゃあ、もし、こないだ渡利君が、楓花ちゃんに気に入られようとしとぉ、て認めたらどうしてた?」
「……別にどうもなってないと思う」
それはそれで喜んでいたかも知れないけれど。彼が恋人と長続きした話は聞いたことがないので、結局、どちらも選んでいないはずだ。
「I envy you. You are liked by two men, and they're both handsome. I have never had that experience.私もそんな経験したいでーす」
「いや、だからEmily、翔琉君はともかく、渡利君は……、それより彩里ちゃんはどうなん? Emilyは?」
長く楓花の話をしていて疲れてきたので、楓花は話題を彩里とEmilyのことに変えた。Emilyには大学に入ってから付き合っている人がいて、今も頻繁に連絡をくれているらしい。
「That's good! His name is?」
「James.彼は一つ上の学年、大学のChristmas Partyで出会いました。そんなに格好良くないけど、優しい」
Emilyの話を聞いたあとは彩里のことを聞いた。彼女は最初に言っていた通り同級生には興味がないようで、サークルで同じ大学の先輩と仲良くなりかけているらしい。それでもイケメンには興味があるので、もしも晴大が年上で性格も良ければ狙っていた、と笑う。
「早く成人式にならんかなぁ。来年、一月……」
「セイジン、シキ? What's that?」
「Coming-of-age ceremony. Many men wear black suits, but many women wear furisode──long-sleeved kimonos. Furisode is a formal kimono worn by unmarried women. The colorful furisode, paired with hair ornaments, shiny bags, and sandals, looks very beautiful」
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